食で心と体をつなぐ – ホリスティック・ヘルスコーチング の ソフィアウッズ・インスティテュート

あなたのバイオ個性に着目するNYC発ポストモダンな食事法

ビタミンが隠ぺいする食の質(翻訳シリーズ)

ニューヨークタイムズ誌に「サプリメントを飲んでいれば大丈夫だ」という現代に蔓延している認識に喝を入れる記事が2月14日に掲載されました。

実はこの記事が書かれる少し前、2015年2月2日に、米国ニューヨーク州の司法長官が、4つの大手小売チェーン(GNC、ターゲット、ウォルグリーン、ウォルマート(西友の親会社))に対して、各社が自社ブランドとして販売しているサプリメント、特に、天然植物性原料などと謳っているものの販売中止を命令しました。司法省が独自に検査をしたところ、成分表示通りの天然成分を含んでいなかったどころか、アレルギーを引き起こしかねない他の食品成分が含まれていることが判明したことが原因です。

参考:”Cease and Desist Notification, State of New York, Office of the Attorney General“(排除・停止命令)

成分表示の偽装、景品表示法違反、などなど、どれも消費者としては看過できない問題ですし、日本でもサプリメントに対する安全基準は、米国同様にとても低いため、対岸の火事とは思われません。でも、今回のニューヨークタイムズ誌の記事は、それ以前の問題としてのサプリメントについて言及しています。

ホリスティック栄養学では、「一物全体」といって、「全体は個々の総和よりも価値がある」というアプローチをとります。つまり、個々の栄養素の積み上げよりも、自然食品を丸ごと食べる方が価値があるという考え方です。なぜなら、自然食品には、まだ発見されていない栄養素がたくさんあるだけでなく、個々の栄養素単独での作用を超えて、栄養素が一つの自然食品として存在していることによる相互作用、単純な足し算ではなく、1+1が2以上になるシナジーが存在するからです。

西洋医学は、単独の化学物質・化合物の効能による医療ですが、東洋医学ホリスティック栄養学を含む代替医学医食同源)では、複数の成分によって起こるシナジーによる医療です。

そうした考えに、原著者の主張が重なるため、和訳することとしました。

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No. 005

作者: CATHERINE PRICE 2015年2月14日
翻訳: 森 智世 2015年2月16日

サプリメントに何が入っているのかが、最近、多くの懸念の的となっています。本当にラベルに表示されているような成分が入っているのかどうかです。

入っているかもしれませんし、入っていないかもしれません。商品の種類にして85,000種もあるサプリメント商品の個々の品質管理の問題は、確かに、アメリカの消費者を立ち止まらせるべきだと思います。しかし、品質管理の問題以前に、ビタミンそのもの – 壊血病やくる病のような欠乏症予防に必要な13の化学物質 – による、隠れた危険が存在しています。

ビタミン錠剤ビタミンは常に私達にとって良いもので、たくさん摂れば摂るほど良いと、私達は強く信じているために、メーカーが合成ビタミンを使って、それほど健康的ではない製品を販売していることに無頓着です。欠乏症を避けるために合成ビタミンに依存的になるだけでなく、そのことで食事習慣を改めることがなくなった私達は、自らの健康に悲惨な結果を生んでいます。

ほんの1世紀前に発見されたビタミンは、栄養科学にブレイクスルーをもたらしました。恐ろしい病気の治療や予防となってきました。そして、ビタミンが科学者の実験室から、食品会社の事務所に広がり、一人歩きを始めるまで、それほど時間はかかりませんでした。

世界では約20億人が十分なビタミンを摂取できずにいると予測されていますが、アメリカ人のほとんどが、ビタミン不足を経験したり、欠乏症の重篤な症状を目撃することすらありません。

食品に含まれているビタミンを摂ることで、そうした欠乏症から守られていると信じたいものですが、現実的には、食品に含まれているビタミンのほとんどが、合成添加物です。シリアルのようにビタミンや栄養素が強化のために添加されているもの(機能性食品の表示があるもの)は明白ですが、明白でないものもあります。例えば、牛乳にはビタミンDが添加されています。あまりに昔から添加されているので、多くの人が、人工的に添加されたビタミンだと知らずに、重要な栄養源であるかのように飲んでいます。「ほとんどの人はマルチビタミンを摂る必要がない」と栄養士が言うのは、ある意味正しいのです。なぜなら、様々なビタミンが既に食品に添加されているからです。

典型的なアメリカ人の食事の質の低さを考慮すれば、こうした添加物による栄養補強は、不必要なものだとは決して言えません。事実、栄養素の添加や補強があまりに長い間行われてきた牛乳や小麦は、もはやそれがあって当然になってしまっていますから、合成ビタミンを添加しない方が無責任だとも言えます。もし食品会社が自発的に添加しなくなれば、政府は、国民がビタミン欠乏症に陥らないように、ビタミンを添加するよう規制を設けることでしょう。

しかしながら、ビタミン強化を強制するような事態にはならないでしょう。なぜなら、合成ビタミンは、食品会社の売上にとって主力製品であり、消費者にとっても不可欠になってしまっているからです。今日の市場で成功するためには、食品会社は、運送が簡単で、長距離移送に耐えられ長期間保存可能な製品を創り出すことが不可欠なのです。そして、食品会社は、栄養価のある製品を提供していることに消費者を確信させる必要があります。でなければ、消費者はビタミンを求めて、どこか他にさまよって行ってしまうからです。でも、長期間保存を可能にさせる食品加工プロセスは、ビタミンや他の重要な栄養素を破壊します。数か月もスーパーマーケットに並べることができ、かつ、天然ビタミン豊富な食品を創ることはほとんど不可能です。

Øivin Horvei

Øivin Horvei

製造業者にとって幸運なことは、加工食品が誕生したのと同時期に、合成ビタミンが発明されたことです。食品加工の過程で失われるビタミンを簡単に入れ替えることが可能になったのです。天然ビタミンが失われたのと同時に合成ビタミンを添加しているだけ、入れ替えているだけですから、製造業者は自社製品の栄養価の劣化について公表する必要はないというわけです。代りに、栄養補強されたことのメリットを公表する自由もあります。そもそもなぜ栄養補強しなければいけなくなったのかについて、言及することもなくです。そして、合成ビタミンがいかに巨額の利益をもたらしてくれるのか気がついた途端、彼等は振り返ることを止めたのです。

ビタミンを利用して、製品を購入するように消費者をごまかしてきたと、食品会社を責めることは簡単です。でも、私達の盲目さは、己の責任です。こうした食品を製造する企業を精査することもなく、私達は彼等の共犯者となったのです。食品会社は製品を購入する消費者に依存し、私達消費者は、ビタミン欠乏症になりかねない現状の食生活を維持するために食品会社が製品に添加する合成ビタミンに依存しているのです。

栄養素に対する姿勢の問題は、合成ビタミン自体に固有の問題があるからだけではありません。私達のビタミンに対する執着が問題だと考えるのも、あまりに近視眼的な栄養哲学です。もちろん、合成ビタミンが手に入りやすいということは、私達は、もはや急性ビタミン欠乏症で死ぬこともなくなったということです。でも、過剰なビタミン摂取は、食事と強い関係性をもつ肥満症や心疾患や2型糖尿病など、全国に蔓延している慢性的な「文明病」から私達を守ってはくれません

自然食品は、潜在的な予防成分、例えば、フィトケミカルや多価不飽和脂肪酸など、加工によって失われてしまう、そして、入れ替えの利かない成分を含んでいます。もし、多くの研究者が示唆するように、本当にこうした成分が重要であるなら、ビタミンにのみ焦点をあてる姿勢は、誤ったリスクから自己を守ろうとしているだけだと言えます。まるで、津波のリスクが高い地域に、火災保険をかけるようなものです。

失った後にビタミンを添加する方法は、シナジーの問題を無視していることになります。単独に切り出された栄養素の挙動と天然の栄養素の挙動の違いです。例えば、2011年に行われたブロッコリーに関する研究は、ブロッコリーや他のアブラナ科の野菜に含まれているグルシノレイトと呼ばれる抗がん成分は、生のブロッコリーを食べる方が、純粋なグルシノレイトのカプセルを飲む場合よりも、7倍も体内吸収率と代謝が高いことを発見しました。研究者は、丸のままのブロッコリーには、抗がん成分が体内で利用可能にできるよう支援する他の成分も含まれているからであろうと説明しています。

それでもなお、私達は、今の食事習慣を変えることを拒否するのです。自分自身を守ってくれるよう、加工食品を最小限に抑え、自然食品を中心に食べる代りに、自分が食べたいものを食べ続けることを正当化するために、足りない部分を錠剤で満たすために、合成ビタミンを正当化するのです。この傾向は、ジャンクフードを食べている人達だけではありません。サプリメントとビタミン補強された“健康”食品人気は、健康に気を使っている人が、誤ったことをしている可能性を示しています。

近年のサプリメントに関する議論は重要ですが、そもそもの疑問から目をそらしてはいけません。なぜ私達は、「ビタミン」を「健康」と同義語だと思う様になってしまったのか。真剣に考えてみれば、ビタミンのオーラが、私達の常識を乗っ取ってしまったことを認めずにはいられません。合成ビタミンは、健康を維持してくれているのかもしれませんが、病気を誘発する食事習慣を続けることを、可能にしてもいるというパラドックスに気がつきます。
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CATHERINE PRICE: キャサリン・プライスは、サイエンスライターで、「Vitamania: Our Obsessive Quest for Nutritional Perfection」の筆者です。 原典: “Vitamins Hide the Low Quality of Our Food”, CATHERINE PRICE, FEB. 14, 2015

 

参考:
遺伝子”組換え”でない、遺伝子”編集”作物はOK?

 

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ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング

 

Author: Chise

森智世(もりちせ) | 公認 統合食養ヘルスコーチ(Certified Integrative Nutrition Health Coach) / ソフィアウッズ・インスティテュート代表 / 米国代替医療協会(AADP) 公認ホリスティック・ヘルスコーチ / 女子栄養大学 食生活指導士 / 国際ヘルスコーチ協会 公認国際ヘルスコーチ/ 経営学修士(MBA)| ひとりひとりのバイオ個性に着目したポストモダンでホリスティックな食事法を推奨し、マインド・ボディ・コネクション(心と体のつながり)を食を通して実現します。また、私達を取り巻くすべての環境 – 人間関係、仕事などの社会環境、自然環境、体内環境(マイクロバイオーム) – を考慮するボディ・エコロジストです。長期に渡り過ごした米国やヨーロッパの情報も、判りやすく解説を入れて配信していきます。厚生労働省「健康寿命をのばそう」プロジェクトメンバー / 目黒区男女平等共同参画審議会委員 / 日経ウーマンオンライン連載コラム『ホリスティック美女講座』執筆。食事法や健康などご相談のある方やヘルスコーチングを受けてみたい方は初回コンサルテーション(無料)にお申し込みくださいね!

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