マーガリンや植物油脂ってそんなに体に悪いの?|トランス脂肪酸の危険性

2019/06/24/
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バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。

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米国FDAがトランス脂肪酸の使用を禁止

ソフィアウッズ・インスティテュートは、以前からトランス脂肪酸が多く含まれている加工食品を「購入しないこと」、「食べてはいけないこと」をブログやコーチング、セミナーやワークショップの中でお伝えし続けてきました。

とうとう、2015年6月16日、米国食品医薬品局(FDA)が、工場生産された部分的硬化油(通称、トランス脂肪酸)の加工食品への使用を全面禁止しました。

部分的硬化油とトランス脂肪酸とは

部分的硬化油とかトランス脂肪酸と言われても何のことなのか分からないという人も多くいらっしゃるのではないかと思います。

部分的硬化油

部分的硬化油は、植物油に水素を添加して作る化学物質です。

植物油の多くは常温で液状ですが、そこに水素分子を添加することで、半固形の状態の油、つまり、部分的に硬化した油(部分的硬化油)になります。

そうすることで、運搬にも保存にも加工にも便利になります。

トランス脂肪酸

部分的硬化油に含まれている主要な脂肪酸成分のことです。

これだけ読むとそんなものが食品として使われているのは、特殊な場合だけだろうと思うかもしれません。

でも、そうじゃないんです。

トランス脂肪酸は自然界にも存在する

トランス脂肪酸は、化学的に造られた部分的硬化油だけに含まれている成分ではなく、普通の植物油やお肉等にも微量に含まれています。

そして、次の状態でトランス脂肪酸は増えます。

  • 植物油の酸化
  • 植物油を搾る際の搾り方

そのため、食事から完全に排除することは難しいものです。

米国の食品医薬品局(FDA)が、わざわざ「工場生産されたトランス脂肪酸と、限定して規制したのはこのためです。

(ここでご紹介する情報の裏付けとなる研究論文は、最後に参考文献として一覧にしています)

バターとマーガリンの違い

バターとマーガリン、違うことは知っていても、何がどう違うのか知らない人もいらっしゃるかもしれませんね。

バター

牛などの乳から作られるものです。

バターを作るためには、乳牛を育てなければなりません。そのためには、乳牛に与える餌が必要です。昔なら、牧草だけを食べさせて育てていたと思いますが、今では、トウモロコシや大豆なども主に食べさせて育てます。

そうして、育てた乳牛から乳が搾られます。しかし生乳の全てがバターになるわけではありません。ほとんどは、飲料の牛乳として販売されます。

生乳の約20%が、バター等に加工されます

大豆&トウモロコシ(餌) 
⇒ 乳牛 > 生乳 >> 乳脂肪 > バター

バターは作るのに、時間も労力も餌代もかかって、ちょっとしか作れないんです。

マーガリン

そこで登場したのが、マーガリンです。

乳牛に餌として与えていた大豆やトウモロコシから、直接、油を搾って、水素を添加するだけで、バターのように柔らかく固まる物質(部分的硬化油)ができることが発見されたのです。

そう、マーガリンは部分的硬化油です。

自然食品ではなく、化学的に造られた物質です。

大豆&トウモロコシ > 油 + 水素 = マーガリン

牛に大豆を与える代わりに、そのまま大豆から油を搾ってマーガリンにすれば、牛を育てる時間も労力も必要ありませんし、搾った油をまるまるマーガリンにできます。

マーガリンはバターと比較して、非常に安価に短期間にできるのにもかかわらず、店頭での販売価格はそれほど大きく変わりません。メーカーにとっては非常に高収益な商品ではないでしょうか。

食品表示と有機認証の抜け穴

日本の食品表示ルールの下では、原材料が原形をとどめていないものは、遺伝子組換え原料を使っていたとしても、それを明記しなくてもいいことになっています。

例えば、醤油や油がそれに該当します。原料になった大豆の原形は残っていませんから、それが遺伝子組換え大豆だったとしても、それを製品パッケージに記載する義務がメーカーにはないのです。

そのため、マーガリンに使用された大豆油の大豆が遺伝子組換えか否かは、原材料表示を見てもわかりません。

また、有機栽培された大豆から搾った油を使用して作られたマーガリンにオーガニック認証が付されていることも日本では起きています。いくら原料がオーガニックだったとしても、マーガリンは”化合物”です。海外では信じられないことです。「認証」を鵜呑みにするのではなく、日本の消費者が賢くならないといけないですね。

植物油脂とショートニングもトランス脂肪酸

常温でもクリーム状で、冷やせば固まってくれる部分的硬化油は、安いだけでなく、液体の植物油よりも取扱い・運搬・保存に便利ですから、消費者向けの製品としてだけでなく、加工業者向けの製品として食品加工の現場でとても重宝されてきました。

そのため、お菓子類や、レトルトのカレー、ほとんどのインスタント食品に使用されています。

食品加工メーカーが使用する部分的硬化油には、植物油脂やショートニングと呼ばれるものもあります。箱や袋の裏の原材料表にちゃんと記載されていますから、確認してくださいね。

植物油脂と植物油は違う

植物油脂という名称は、誤解を生みやすいです。

「植物」と書かれているのでヘルシーなものと勘違いしている人もいますし、植物油と混同している人もいるようです。

でも、まったく異なるものですから、注意して原材料表を読む必要があります。

全ての植物油脂がトランス脂肪酸ではない

ただ、「植物油脂」と記載されているもの全てが、トランス脂肪酸ということでもありません。これは日本の食品表示の問題です。

植物油脂としか表現できない自然油もあります。

例えば、常温で硬化しているようなココナッツオイルやパーム油などです

  • 「植物油脂(ココナッツオイル)」という記載を見たら、たぶんそれは、トランス脂肪酸ではありません。
  • 「植物油脂(大豆油)」「植物油脂(コーン油)」などという記載を見たら、たぶんそれはトランス脂肪酸です。
  • 「植物油脂」としか記載のないものは、たぶんそれはトランス脂肪酸です。

消費者が様々な自然油の特徴や個性を知っていなければ、見分けることが難しい表示となっています。

部分的硬化油の大罪

さて、じゃぁ、水素を添加しただけで、何がそんなに健康に悪いのでしょうか。

もともと植物油から造られるので、バターやラードのような体に悪いイメージもなく、返って、健康的なのではないの?と考える人もいるのではないでしょうか。

確かに、マーガリンはバターよりも低カロリーで健康に良いと、長年、宣伝がなされてきました。

でも、20年以上に渡る、多くの調査研究の積み重ねによって、とうとう部分的硬化油の健康への悪影響が証明され、米国食品医薬品局によって、

一般的に安全だとはもはや認識できない
(No Longer Generally Recognized as Safe)

という判断が下されるに至ったのです。

マーガリンが心疾患リスクを高める

2015年3月に発表された論文では、二種類のトランス脂肪酸(酸化した大豆油とマーガリン)の次の項目に対する影響を調査した結果が報告されています。

  • 血漿脂肪
  • 冠動脈損傷
  • 動脈脂肪酸分布

冠動脈脂肪(心臓の動脈内の脂肪)の蓄積度合いは、食事から摂る油の種類によって大きく影響を受けます。そして、トランス脂肪酸の含有量が高い油ほど、血液中のコレステロールに次の変化を起こしたことが報告されています。

  • 中性脂肪と悪玉コレステロールの増加
  • 善玉コレステロールの減少

結果、トランス脂肪酸の含有量が最も多いマーガリンが、循環器系(心臓・血管系)の臓器炎症リスクを最も高めたと報告しています。

つまり、自然食品に含まれているトランス脂肪酸(酸化した大豆油)よりも、マーガリンや植物油脂やショートニングなど化学的に造られた部分的硬化油の方が、圧倒的に心臓発作や脳卒中の原因となる動脈硬化や血漿脂肪、悪玉コレステロールを増加させてしまうということです。

低カロリーだから悪玉コレステロールを増やさないと、私達消費者を信じ込ませ続けてきた結果、本当は、その逆、悪玉コレステロールを増やしていただけのマーガリンの罪は大きいです。

マーガリンはリーキーガットを起こす

2023年1月に発表された論文で明らかにされたことです。詳しくは、『リーキーガットを起こす食品(グルテンじゃありません)』をご確認ください。

様々な身近なお菓子に使用されている

トランス脂肪酸はどれくらいなら大丈夫?

そのほとんどをトランス脂肪酸が占める、工場で造られた部分的硬化油(マーガリン、植物油脂、ショートニングなど)が、心臓を止めることは、多くの研究論文から明らかにされています。

しかし、自然食品に含まれる天然の油動物性脂肪、乳脂肪、植物油)に僅かに含まれているトランス脂肪酸はどうなのでしょうか。

食事から、完全にトランス脂肪酸を排除することは不可能なのですから、私達は、どうしたらいいのでしょうか。

過去20年間に発表された論文の共通認識

1990年から2013年までの約20年以上の間に科学研究論文サイトに発表・掲載されたトランス脂肪酸と心疾患との関連性について書かれた研究論文(私がざっと数えただけでも100本くらい)のレビューが2014年3月に発表されていました。

過去20年間に発表された論文の共通認識は次の通りです。

  • トランス脂肪酸が心疾患リスクと強く関係していることには疑問を挟む余地はない。
  • トランス脂肪酸が心疾患リスクを高めるメカニズムは、善玉コレステロールを低下させ、悪玉コレステロールを増加させることで、循環器系臓器に炎症を起こすことによる。
  • トランス脂肪酸の含有量が、その食品のもつ全エネルギー量の1%未満であれば、心疾患リスクを上昇させない
  • 部分的硬化油と同じくらい心疾患リスクを上昇させたのは、反芻動物(牛、羊、ヤギなど)の肉に含まれているトランス脂肪酸だが、反芻動物の肉に含まれているトランス脂肪酸の量はマーガリンほど多くないため、余程、大量に食べない限り問題はないと思われる。

なお、この研究者は、今後も、自然食品に含まれるトランス脂肪酸の安全限界値を明確に見極める研究が必要だと述べています。

食品中のトランス脂肪酸の量

日本の農林水産省が調査した、日本で販売されている食品に含まれているトランス脂肪酸の量は、

食品に含まれる総脂肪酸とトランス脂肪酸の含有量
2011年3月9日、農林水産省

で、確認できます。

親切にも、トランス脂肪酸が、100g中1g(1%を超える食品の数値を赤色にしてくれています。

でも、これは食品総重量100gに対するトランス脂肪酸の重量の割合なので、先にご紹介した論文の「総エネルギー量に対するトランス脂肪酸のエネルギー量」というのとは、ベースとなっている対象が違うので、同じ1%ですが意味するものが全く違うので、ご注意くださいね。

この表で見ても、マーガリンとショートニングは、ダントツです。文字通り、“桁”が違います。

日本では規制しないの?

日本では、トランス脂肪酸を食品表示項目として追加しようという動きが政府内にあるようです。米国では2006年から表示義務が課されていましたので、日本の対応は、米国と比べても約10年くらい遅れていることになります。

食品表示が必要となるのは、加工食品に限られるわけですから、米国のように加工食品からトランス脂肪酸の使用を全面禁止にしてしまえば、そもそも食品表示項目を増やす必要はなくなります。

とは言え、食品表示項目が増えることによる、パッケージの印刷にかかる追加費用よりも、トランス脂肪酸を食品加工過程から排除してもっと安全な天然の油に置き換える方が、きっとコスト高になると思うので、食品メーカーは、食品表示項目が増える方がいいと思うでしょうね。

それに、低コストで生産できて高値で売れるマーガリンが売れなくなったら乳業メーカーの収益は打撃を受けるので、各所からの反対や反発が予想されます。

経済産業省や農林水産省は面白く思わないかもしれませんが、厚生労働省には正しいことをして欲しいと思います。

追記:2015年10月2日

英国のランカスター大学がトランス脂肪酸の規制の方法として最も効果のあるものを調査しました。

(1)加工食品規制:加工食品にトランス脂肪酸の使用を全面禁止する
(2)食品表示規制:トランス脂肪酸の含有量を加工食品に表示する
(3)レストラン規制:レストランの料理にトランス脂肪酸の使用を禁止する
(4)ファストフード規制:ファストフード店の調理にトランス脂肪酸の使用を禁止する

の4つのうち、どの規制方法が最も健康に効果があり、公平な効果をもつかを検証しています。

結論として、(1)の加工食品への使用を全面禁止にする方法が最も効果があるとしています。

これは、今年6月に米国FDAが下した結論と同じですね。

厚生労働省は(2)を検討しているようですが、日本も(1)で進めて欲しいです。

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参考文献:

ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング