女性の心疾患のリスク要因は男性とは異なる|コレステロール低下薬・女性ホルモン剤の罪

2024/03/07/

バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。

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高コレステロールは心疾患リスク?

血中の高コレステロールは、心疾患リスクを高める

この認識は、今や常識になっています。

しかし、この常識が女性に関しては誤っていたと、いう新しい研究調査が報告されています。

今回は、女性の心疾患について、新しく発見された事実についてお伝えします。

脂質プラークの蓄積には男女差がある

脂質プラーク(脂肪のヘドロ)は冠状動脈(一番太い血管)を通って心臓へ運ばれます。その脂質プラークの冠状動脈における蓄積のプロセスが女性と男性で異なることが発見されました。

  • 女性の脂質プラーク|徐々に血管を侵食し、血管全体に平均的につく
  • 男性の脂質プラーク|一箇所に山積みにされ、血管を破裂させる

この違いは、男女の太り方の差にも表れていて、男性は局所的に脂肪がつきやすいですが、女性は、体全体に脂肪が均等につくのが一般的です。

男性の心疾患は見つけやすい

この脂質プラークの局所的な蓄積により、男性の心疾患には次の特徴があります。

  • 鋭い胸の痛み
  • 心電図に異常が現れる
  • 動脈中に血栓があるので、カテーテルでドンドンと突いて血栓を取り除くことができる

女性の心疾患の兆候は見逃されやすい

女性の脂質プラークは平均的に蓄積されるため、次のような特徴があります。

  • 侵食が起きている箇所に血栓ができない
  • 強烈な症状がない
  • 心電図にも僅かにしか現れない

そのため、女性の心疾患の兆候は見逃されやすいのです。

検査や治療方法は男性のために開発されてきた

今までの心疾患に関する研究は、主に男性を対象に行われてきたため、検査方法も治療法もそれに沿って開発されてきました。

男性にとっては、効果が認められた方法でも、脂質プラークの血管内での蓄積や心電図への現れ方が異なる女性にとっては、必ずしも効果的な方法ではないことが、発見されたのです。

従来通りの検査を受けていても、女性の心疾患は見逃されてしまう危険があるのです。

なお、別の視点で心疾患の兆候を見つける方法については『目は口ほどにものを言う?目に顕れる認知症・心疾患・糖尿病の前兆』をご参照ください。

コレステロール低下薬と糖尿病

米国政府による助成金で行われた『Women’s Health Initiative(女性の健康イニシアチブ)』と呼ばれる大規模な調査によって収集された膨大なデータを用いて、平均年齢63.2歳の、糖尿病ではない153,840人の女性に対するコレステロール低下薬の効果が分析されました。

1993年から1996年の3年の間に、約7%の女性(10,769人)がコレステロール低下薬を服用しており、コレステロール低下薬を服用しなかった女性と比較し、コレステロール低下薬を服用した女性では、次の疾患の罹患率が高かったことが報告されています。

  • 心疾患・・・71%増加
  • 糖尿病・・・48%増加

年齢や人種、体重、BMIを考慮にいれても同様の結果が得られています。心疾患を既にもっていた女性とそうでない女性においても同様の結果が示されています。

コレステロール低下薬のメーカーによる違いもありませんでした。

心疾患予防のためのコレステロール低下薬の服用のはずなのに、心疾患の罹患率が返って71%も高くなり、糖尿病罹患率まで48%も高くなるということは、女性にとっての、コレステロール低下薬の効果を疑問視せざるをえません。

コレステロール低下薬の人種による影響

コレステロール低下薬による糖尿病リスクは、どの年齢のどの人種のどの体重の女性においても上昇しましたが、特に、華奢な女性において最悪であったと報告されています。

また、人種による影響にも差がありました。

  • 白人女性・・・49%上昇
  • ヒスパニック女性(南米系女性)・・・57%上昇
  • アジア系女性・・・78%上昇

つまり、この追跡調査では、

華奢な体型のアジア系の女性が、
スタチン系のコレステロール低下薬を服用すると、
心疾患リスクと糖尿病リスクが最悪に高くなる

ということを示しています。

高齢女性の高コレステロール

更に、別の調査は、「コレステロール値が高いほど、心疾患リスクが上昇する」と、いう従来の認識が誤っていることも示唆しています。

その研究では、55歳から85歳の健康な女性の高コレステロールとの関係において、以下の事実が示されました。

  • 心疾患との明確な因果関係は見つかっていない
  • 心疾患以外の病気による死亡率を低下
  • 85歳超の女性が心臓発作で亡くなるリスクを予防
  • 85歳超の女性の心疾患による死亡リスクを低下

つまり、55歳以上の女性にとっては、従来の正常範囲とされてきたコレステロール値を超えたとしても、それが返って心疾患の予防要因になっている可能性があるのです。

「高いコレステロール値は、
直接的に心疾患に結び付くわけではなく、
返って死亡リスクを減らす要因である可能性があります。」

更に、それは、むやみにコレステロール低下薬を服用する必要がないことも示しています。

女性ホルモンの減少と心疾患

『Women’s Health Initiative(女性の健康イニシアチブ)』による研究調査では、「エストロゲンの充填が心疾患予防に効く」と、かつて言われ、金字塔のように行われていた治療が、まったく無意味であったことも報告しています。

女性の心疾患予防に、
女性ホルモン剤を用いることは無意味です。」

無意味なだけでなく、女性ホルモン剤を用いることには様々な好ましくない結果(認知症リスクの上昇、婦人科系がんリスクの上昇)などが報告されています。危険な治療法と言えます。

心房細動の発症リスクは、男性よりも女性の方が高いものの、「無症状」のため気づかれなかったり、「病院に行くほどではない」「更年期だから」といった思い込みによって見過ごされるケースは少なくないと、杏林大学循環器内科学教授の副島京子医師が説明されています。

従来、心房細動のリスクは男性の方が高いと考えられてきました。しかし、心疾患の既往のない男女2万5,000人超を対象にした米国のコホート研究では、身長および身長と体重を調整した解析において女性の心房細動のリスクは、それぞれ男性の1.39倍、1.49倍だったことが示されています。(なお、身長との関係については『背は高い方が良い?身長と病気との関係』をご参照ください。)

心房細動の主な症状は、動悸、息切れ、めまい、疲労感、食欲低下、頻尿などですが、こうした症状は、更年期の症状とも重なるため、心疾患が疑われることは稀だとおっしゃっています。また、心房細動のある人の約半数が、無症状なのだそうです。

副島先生は、次のように指摘されています。

「女性は男性よりも心房細動のリスクが高く、
未治療の場合、発作性心房細動から持続性心房細動への進行が速い」

心房細動を放置することで、次のリスクが高まることを強調されています。

  • 脳卒中リスク・・・約5倍
  • 死亡率・・・約2倍

心房細動の改善には、血液をサラサラにする治療に効果があるとおっしゃっています。

では女性はどうすべきか?

既に心疾患がある心疾患になったことがある女性

コレステロール低下薬、あるいは、抗血液凝固剤を処方されている人は、再発予防のために効果的ですから、医師の指示に従って、薬を飲み続けてください。

心疾患になったことがない女性

あまりに高いコレステロール値によって、心疾患リスクが目の前にまで迫ってきているようなら、一時的にコレステロール低下薬を服用することは必要かもしれません。

でも、そうではないのなら、次のことも考慮してみてください。

  • 高コレステロールという症状ではなく、その症状を起こしている原因(食事や運動、ストレス、環境化学物質など)を改善することが最重要であること
  • 食事とライフスタイルを変えることで、心疾患リスクも生活習慣病も予防できること
  • 多くの研究によって、コレステロール低下薬が女性の未発の心臓発作の予防に効果がないことを証明していること
  • コレステロール低下薬が女性が糖尿病にかかるリスクを高めること

もちろん、長年の習慣となってしまった食事やライフスタイルを変えることは簡単ではありません。薬を飲む方が楽です。でも、その薬が、予防すべき病気の発症率を間接的に上昇させてしまうようなものだとしたら?

心疾患予防の食事とライフスタイルについては、執筆した記事をご参照ください。

グレープフルーツはダメ

コレステロール低下薬を飲んでいる人は、グレープフルーツを食べても、グレープフルーツジュースを飲んでもいけません。

グレープフルーツの成分は、特定の薬の作用を促進させてしまうことが判っており、厚生労働省もFDA(米国食品医薬品局)も、医薬品の服用とグレープフルーツをいっしょに摂ることの危険性について、注意喚起をしています。

お医者様や薬剤師さんから注意を受けているはずですが、特に、次の医薬品で起こり得るので、注意してくださいね。

  • コレステロール低下薬
  • 血圧降下剤
  • 抗不安剤
  • 臓器移植による免疫反応抑制剤
  • 抗アレルギー薬
  • 不整脈調整剤

なお、グレープフルーツだけでなく、セビリアオレンジ橙(だいだい)でも同様の反応があると報告されています。

でも、グレープフルーツを日常的に食べる習慣がある人は、そのことをお医者様にお伝えすれば、その影響を加味した上で、お薬の量を調整してくださるはずなので、お医者様にちゃんと伝えることさえ忘れなければ、無理に食べるのを止める必要はありません。

注意が必要なのは、グレープフルーツを食べる習慣がない人や、たまにしか食べない人です。

余談:コレステロール低下薬とC型肝炎

コレステロール低下薬の肝毒性から、肝疾患患者へのスタチン投与は、控えられることが多いです。

しかし、C型肝炎に伴う代償性肝硬変患者にスタチンを投与すると、非代償性肝硬変への進展および死亡リスクがいずれも45%低下すると、米国バージニア州コネチカット・ヘルスケア・システム(Connecticut Healthcare System)のアルパン・モハンティ(Arpan Mohanty)博士率いる研究チームが、2015年4月に開催された欧州肝臓学会(EASL2015)で明らかにしました。

だったら、スタチンは、コレステロール低下薬としてではなく、C型肝炎治療薬として用いればいいのにね。

ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス

高コレステロールを指摘されたことがある人は、まずは食事とライフスタイルの改善から取り組んで欲しいです。いくらお薬を飲んでいても、毎日の食事がそれを覆すようなものなら何の意味もありません。

もちろん、薬に頼る前に生活の見直しから始めて欲しいとヘルスコーチとしては願います。どんな薬も始めるのは簡単ですが、止めるのはとても難しいからです。

でももし、おひとりで取り組むことに不安や困難を感じるのでしたら、ヘルスコーチと、一度、話をしてみませんか?

公認ホリスティック・ヘルスコーチは、食事だけでなく、あなたを取り巻く様々なこと(環境、仕事、家族、人間関係など)を考慮して、プログラムに反映させ、あなたが、なりたいあなたになれるようコーチングを提供します。

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参考文献:

ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング