バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。
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目次
ローズマリーは海のしずく
ローズマリーは地中海沿岸に自生していたハーブです。
小さな青い花をつけることから、「海のしずく」という意味のRosmarinus という属名がつけられたそうです。
特に、季節に関係なく花をつけます。
ローズマリーについては、2014年7月に「若返りのハーブ」として執筆しましたが、家庭の薬箱を超えて、ものすごい機能が次々に発表されていることから、あらためて、加筆することにしました。
裏付けとなる研究論文は、最後に参考文献として一覧にしています。
ロスマリン酸の働き
がん細胞のワーブルグ効果の抑制
ローズマリーに含まれている成分のロスマリン酸が、試験管試験と動物実験において、次の作用によって、がん細胞のワールブルグ効果を抑制したことが報告されています。
- HIF-1α(低酸素誘導因子1アルファ)を阻害し、ワーブグル効果を阻止
- 炎症因子(サイトカイン)のIL-6(インターロイキン6)に関する経路を阻害
- STAT3(シグナル伝達兼転写活性化因子3)と呼ばれる細胞の生存や増殖に関係するタンパク質の活性を阻害し、体内炎症を抑制(ワーブグル効果を抑制)
この研究は胃がん(MKN45)細胞で行われましたが、ワ―ブルグ効果は、胃がん細胞に限らず、多くのがん細胞で見られる現象のため、他のがん細胞でも有効に働くのはないかと期待されています。
ワーブルグ効果とは
通常細胞のエネルギー代謝の仕組み
有酸素の環境で通常細胞は、細胞内のミトコンドリアが糖を代謝(糖を活用/カロリー燃焼)してエネルギーを造ります。
有酸素運動が、カロリー消費に有効な理由のひとつです。
がん細胞のエネルギー代謝の仕組み
がん細胞が酸素や栄養を取り込むためには血管とつながる必要があります。しかし、血管から遠いところにあるがん細胞は、新しい血管を造って(血管新生して)血管とつながるまで、低酸素/低栄養状態で生き延びなければなりません。
低酸素環境で生き延びる仕組みとして、がん細胞は、酸素を必要としない代謝の仕組みを生み出したと考えられています。
それが、ワールブルグ効果です。
具体的には、次の順番でATP(エネルギー)が造られます。
- 低酸素状態のがん細胞内の HIF-1α(低酸素誘導因子1アルファ)が活性化
- 酸素を必要としない解糖系の代謝が発生
- アデノシン三リン酸(ATP / 元気の源)が造られる
この仕組みによる代謝物は、乳酸に変換され、がん細胞の更なる栄養となります。(がん細胞が乳酸を活用する仕組みについては『乳酸シャトル』をご参照ください。)
通常細胞の有酸素代謝よりも、がん細胞の低酸素代謝の方が効率が悪い(燃費が悪い)ため、がん細胞は(ワーブルグ効果は)、大量のブドウ糖を必要とします。
そのため、もし普段から甘いものを食べ過ぎている、あるいは、甘いものをたくさん食べているのに、太らず痩せていくとしたら、がんの可能性を疑ってみても良いかもしれませんね。
ワーブルグ効果を助ける要因
ワールブルグ効果は、体内の内臓炎症によって促進されます。
内臓炎症は、白砂糖と過剰な脂質によって誘発されます。
がん細胞の増殖を助ける体内の仕組みについては『あなたの細胞が、がん細胞の協力者となってしまう仕組みと、そうさせない方法』をご覧ください。
また、体内炎症を起こす食事については、次の記事も参考になるでしょう。
- 『白砂糖』
- 『体内炎症を起こす食品』
とはいえ、試験管試験と動物実験での結果で、ヒトを対象とした研究結果ではないため、ローズマリーを食べたらワーブルグ効果が阻害される(がん細胞を死滅できる)とまでは言い切れません。でも、がん予防効果があるとはいえるのではないでしょうか。
ローズマリー精油の働き
ローズマリー精油には、主に次の成分が含まれています。
- 1,8シネオール
- カンファー
- ボルネオール
- 酢酸ボルニル
- β-カリオフィレン等
ローズマリー精油の成分の含有量には、抽出した時期や産地によってばらつきがあります。成分の含有比率によって次の2つのタイプがあります。
- シネオールタイプ|1.8シネオールが35%以上、カンファーが15%以下
- カンファ―タイプ|1.8シネオールが35%以下、カンファーが15%以上
なお、ローズマリー精油の成分のうち、次の成分の相乗効果によって抗がん作用が生じることが試験管試験で観察されています。
- αピネン
- βピネン
- 1.8シネロール
肺がん細胞の増殖抑制
ヒト非小細胞肺がん (NSCL CA549)細胞を用いた実験で、ローズマリー精油が次の成分を不活化あるいは阻害したことが報告されています。
- Aktタンパク質
- エムトア(哺乳類ラパマイシン標的タンパク質)とp70S6K(70-kDaリボソームS6キナーゼ)
- アポトーシス性タンパク質のポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)
記号の羅列でよくわからない(笑)名前ですが、がん細胞の生存と増殖に関係している成分です。
また、ローズマリー精油が、投与量に比例して、肺がん細胞(A549)の分芽増殖とクローン原性の生存率を減少させ、アポトーシス(細胞死)を促進したことも報告されています。
卵巣がん細胞の不活化
ローズマリー精油が、次の2種類の卵巣がん細胞を90%以上不活性化させることが報告されています。
- SKOV-3細胞・・・94%
- HO-8910細胞・・・90%
肝臓がん細胞を死滅
肝臓がん細胞(Bel-7402)の90%を48時間で死滅させたことが報告されています。
皮膚がん予防
ヒト表皮角化細胞株のケラチノサイトに紫外線(UVB)を照射する実験が行われました。
ローズマリーの精油と柑橘類の精油の混合油で細胞を処理すると、次の効果があることが報告されています。
- 細胞生存率が有意に高い
- 細胞内のDNAダメージが少ない
- リンパ球内の染色体異常が減少
つまり、紫外線を浴びる前にローズマリー精油と柑橘類の精油を皮膚に塗布することで、皮膚がんを予防できる可能性が示されたことになります。
今回ご紹介したローズマリー精油を用いた研究は、細胞実験/試験管試験が中心のため、ローズマリー精油を服用したり外用することで、がん細胞を死滅できるとはまだ言えません。ただ、がん予防効果は期待して良いのではないかと思うのです。
日焼け止め効果
ローズマリーの精油と柑橘類の精油の混合油250mgを次の期間服用した際の、最小紅斑量(MED)を測調べた研究があります。
最小紅斑量試験|光線過敏症の検査のひとつ。UVBを照射して、24時間後に皮膚に紅斑を生じさせるのに必要な最小光線量を測定する。
精油を飲まなかった被験者と比較し、精油を飲んだ被験者の最小紅斑量(MED)が増加したことが報告されています。
- 8週間服用・・・34%増
- 12週間服用・・・56%増
柑橘類のフラボノイドと、ローズマリーのポリフェノールとジテルペン(レチノールなどの成分)の相乗効果によるのではないかと、研究者は述べています。
飲んでも効果があることの証だ
と、述べています。
ただ、12週間というと約3か月です。紫外線が強くなる5月に向けて準備するとなると、2月頃からローズマリー精油と柑橘類の精油を毎日、缶ジュース1本分(250ml)飲まないといけないことになります。それもなんだか大変です。
2月から3か月間限定で集中的に行うのではなく、1年を通して、日ごろから、ローズマリーをお料理に使って、デザートに柑橘類を増やすようにすれば、無理なく体の中から日焼けしにくい体を作れるように思います。
頭皮改善効果と毛量増加
ローズマリー精油には、頭皮改善と毛量増加効果があることが報告されています。
ローズマリー精油に含まれている成分による殺菌効果や血行促進効果による効果だと考えられています。
オーガニック系のシャンプーなどにローズマリー精油が配合されていることが多いのもうなづけます。
ローズマリー粉末の働き
認知機能の回復
乾燥ローズマリーの粉末を用いて、認知機能の回復効果を検証する実験が、28名の高齢者(平均75歳)を対象に、無作為プラセボ対照二重盲検反復測定交差試験が行われています。
無作為-プラセボ対照-二重盲検-反復測定-交差試験|被験者と試験官の双方において、先入観が入り込まないようにデザインされた実験が繰り返し実施された非常に信頼性の高い研究です。
偽薬を処方した時と比較してローズマリー粉末には次の効果があったと報告されています。
- ローズマリー粉末 750mg・・・有意で最も高い効果
- ローズマリー粉末 6,000mg・・・逆効果
過ぎたるは及ばざるがごとしなんですね~。
750mgの粉末(1g未満)で最も好ましい結果が現れたことから、毎日の食事に活用しやすいのがうれしいです。
ただし、今回の研究の被験者数が少ないことから、今後、更なる検証が必要だと研究者は述べています。
認知症・アルツハイマー病へのローズマリーの詳しい効果については『アルツハイマー病と認知症(4)予防と改善のライフスタイル』をご参照ください。
お料理に活用するには
ローズマリーは紫蘇科のハーブです。
地中海地域原産ですから、地中海料理に多く用いられています。そのため、オリーブオイルとの相性がよく、地中海料理に多く登場するお野菜(例えば、トマトや魚介類)などとの相性が良いです。
地中海地域人々が、他のヨーロッパの国々や北米の人々よりもがんの発症率が低い理由として、オリーブオイルの活用に加えて、レモンとローズマリーの活用だと考えられています。
ちなみに、ギリシャ人のがん発症率は、米国人の半分ほどです。
ローズマリーのお料理への活用方法は、『キッチンを薬局に|基本の15ハーブの効能と使い方(2)』もご確認ください。
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参考文献:
- “Anti-Warburg effect of rosmarinic acid via miR-155 in gastric cancer cells”, Han S, Yang S, Cai Z, Pan D, Li Z, Huang Z, Zhang P, Zhu H, Lei L, Wang W, Drug Des Devel Ther. 2015 May 19;9:2695-703. doi: 10.2147/DDDT.S82342. eCollection 2015.
- “Short-term study on the effects of rosemary on cognitive function in an elderly population”, Pengelly A, Snow J, Mills SY, Scholey A, Wesnes K, Butler LR, J Med Food. 2012 Jan;15(1):10-7. doi: 10.1089/jmf.2011.0005. Epub 2011 Aug 30.
- “Protective effects of citrus and rosemary extracts on UV-induced damage in skin cell model and human volunteers”, Pérez-Sánchez A, Barrajón-Catalán E, Caturla N, Castillo J, Benavente-García O, Alcaraz M, Micol V5, J Photochem Photobiol B. 2014 Jul 5;136:12-8. doi: 10.1016/j.jphotobiol.2014.04.007. Epub 2014 Apr 20.
- “Rosemary extract reduces Akt/mTOR/p70S6K activation and inhibits proliferation and survival of A549 human lung cancer cells”, Moore J, Megaly M, MacNeil AJ, Klentrou P, Tsiani E, Biomed Pharmacother. 2016 Oct;83:725-732. doi: 10.1016/j.biopha.2016.07.043. Epub 2016 Jul 29.
- “Chemical composition, anti-biofilm activity and potential cytotoxic effect on cancer cells of Rosmarinus officinalis L. essential oil from Tunisia”, Jardak M, Elloumi-Mseddi J, Aifa S, Mnif S, Lipids Health Dis. 2017 Oct 2;16(1):190. doi: 10.1186/s12944-017-0580-9.
- “Antibacterial activity and anticancer activity of Rosmarinus officinalis L. essential oil compared to that of its main components”, Wang W, Li N, Luo M, Zu Y, Efferth T, Molecules. 2012 Mar 5;17(3):2704-13. doi: 10.3390/molecules17032704.
- “Randomized trial of aromatherapy. Successful treatment for alopecia areata”, Hay IC, Jamieson M, Ormerod AD, Arch Dermatol. 1998 Nov;134(11):1349-52.
- “Rosemary oil vs minoxidil 2% for the treatment of androgenetic alopecia: a randomized comparative trial”, Panahi Y, Taghizadeh M, Marzony ET, Sahebkar A, Skinmed. 2015 Jan-Feb;13(1):15-21.
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