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赤ちゃんと共生細菌 – 分娩と授乳方法は健康と性格に影響する?

私達と共生している10兆個もの細菌達が、私達の免疫機能と関係し、体の健康だけでなく、心の健康や、脳機能にまで大きな影響をもっていることが判明して数年がたちました。

その共生細菌たちは、私達が誕生する時に、まず最初に母親から引き継がれるのですが、自然分娩で生まれたのか、帝王切開で生まれたのか等、誕生のプロセスの違いからの影響について、詳細な調査研究が行われ、次第に多くのことが判ってきました。

もちろん、まだまだ判っていないことの方が多いのですが、ここでは、現在までに判っている様々な研究からの報告をまとめて紹介します。その際、最後に掲載している参考文献の日付を確認していただきたいのですが、全て今年(2015)に入ってから発表された論文ばかりです。そのことからも、今、研究真っ最中、研究途中の分野であることが分かっていただけると思います。AN055_L

誕生時の共生細菌の種類と分布

自然分娩で生まれてくる赤ちゃんは産道を通る間に、出産のためにお母さんの産道内に増殖したビフィズス菌属を主とする乳酸菌が鼻や口、目から侵入し、また、体全体も覆われて外界に出てきます。

そのため、自然分娩で生まれた赤ちゃんの腸内細菌は、ほぼビフィズス菌属に独占されている状態で、多様性はありません

帝王切開で生まれてくる赤ちゃんは産道を通らないため、お母さんの産道にいるビフィズス菌達と接触することなく生まれてきます。そのため、帝王切開で生まれた赤ちゃんの腸内細菌は、お母さんの皮膚の上と口の中にいる共生細菌と同じ種類と分布を示しているそうです。また、お母さんだけでなく、誕生の場に居合わせた医師、看護師さん、助産婦さん、お父さんなどの皮膚の上にいる共生細菌も混ざっています。

つまり、帝王切開で生まれた赤ちゃんの腸内細菌は、皮膚と口の共生細菌を主体としつつも多様性をもっているということです。帝王切開で生まれた赤ちゃんの腸内細菌には既に耐性菌も混ざっていることも報告されています。(耐性菌というのは抗生物質が効かない菌のことです)

この様に、分娩方法の違いによって、誕生時の赤ちゃんの腸内細菌の種類と分布状況が大きく異なることが判明しています。

分娩方法と自閉症

しばらく前から、帝王切開で生まれた赤ちゃんの自閉症発生率は、自然分娩の赤ちゃんと比べて約20%くらい高いと、報告されてきました。その原因は、誕生時におけるこうした腸内細菌の違いによるものではないかと、2-3年前から研究が進められています。一方で、自閉症と帝王切開との関連性は、遺伝的な要因の方が大きいとする研究報告もあります。

もしかしたら、どちらかひとつの要因が原因なのではなく、遺伝と腸内細菌の両方による、複雑な相互作用の結果なのかもしれませんね。自閉症の症状が虹色(スペクトラム)と呼ばれるほど多様なことも、こうした複雑性ゆえの結果なのかもしれません。

母乳と人工乳による相違

誕生して直ぐに母乳をあたえられた赤ちゃんと人工乳を与えられた赤ちゃんにおいても腸内細菌の分布に違いが見られました。人工乳を与えられた赤ちゃんの腸内細菌は、母乳の赤ちゃんよりも多様性を示したそうです。

体の成長に沿って適切な菌が増殖したり減少したり

どの様な方法で誕生した赤ちゃんの腸内細菌も、4ヵ月までは、母乳に多く含まれるオリゴ糖から栄養を得て増えます。

赤ちゃんが1歳頃になると、腸内には、オリゴ糖だけでなくペクチン(食物繊維)やスターチ類(ブドウ糖)を好む細菌が増え始めます。ちょうどその頃、赤ちゃんは、軟食を食べられるようになっていますよね。腸内細菌の種類と赤ちゃんが消化できる食べ物との間には重要な関連性があることが分かってきました。

赤ちゃんの体の成長に沿って、骨や臓器、それぞれの部位の成長に必要なビタミンやミネラルを消化吸収できる菌が、タイミングよく増殖したり減少していることも観察されています。例えば、誕生から4ヵ月目まで、体の細胞を作るアミノ酸の吸収を促進させる菌が腸内で高い密度を保っていることが確認されています。

面白いのは、赤ちゃんの腸内には、日夜を判別する菌(体内時計)が、3-4ヵ月に入るまで存在しないということです。赤ちゃんが夜中に泣くのも仕方がないってことですね。赤ちゃんにとっては、夜中も日中も同じだったわけですものね。

このようなプロセスを経て、自然分娩でも帝王切開でも、2歳までには同じ様な共生細菌の種類と分布を獲得していきます。しかし、そこに至るスピードには有意な違いが見られました。

腸内細菌の種類と分布の差は約2年で解消されるが、解消のプロセスに違い

一般的に、赤ちゃんの腸内細菌は、3歳になるまでに、ほぼ、大人と同じ様な種類と分布を示すようになるそうです。自然分娩と帝王切開による誕生時の腸内細菌の種類や分布の違いは、4ヵ月ごろから小さくなっていき、2歳になるまでには、ほぼ解消されるという報告がなされています。

帝王切開で生まれた赤ちゃんの腸内に一時的に存在していた皮膚細菌や口腔細菌達は、腸内環境になじめないため、次第に減少していき、反対に、腸内環境で繁殖できる、そもそもの腸内菌が徐々に増殖してくるためです。ただ、1歳時点では、自然分娩の赤ちゃんにはいるバクテロイデス門(善玉菌)の菌が、帝王切開の赤ちゃんの腸内では、まだ少ない存在しないことも確認されていますので、少なくとも初期の腸内細菌が十分に増殖するまでには1年以上かかるということになります。赤ちゃんと菌

また、ほぼビフィズス菌属しかいなかった多様性のない自然分娩で生まれた赤ちゃんの腸内細菌は、2年から3年かけて、ゆっくりと大人と同じ種類(多様性)と分布を獲得していきます。一方、帝王切開で生まれた赤ちゃんの腸内細菌は、もともと多様性がありますので、とても速いスピードで、大人と同じ種類(多様性)と分布を獲得します。

腸内細菌の分布状況から、赤ちゃんの月齢を推定する方法によれば、帝王切開で生まれた赤ちゃんの腸内細菌の分布から推定される月齢は、自然分娩で生まれた赤ちゃんと比較し、高い月齢(大人に近い)分布を示すということです。

自然分娩+母乳  自然分娩+人工乳  帝王切開+人工乳  帝王切開+母乳

の順に推定月齢が高くなっていきます。特に、帝王切開で生まれ母乳で育った赤ちゃんは、1歳の頃には既に大人と同じ様な腸内細菌の種類(多様性)と分布を獲得しているそうです。

出産方法と授乳方法の相違が生む健康への影響

こうした違いが、赤ちゃんのその後の人生において、どのような影響をもつのか、あるいは、まったく影響はないのか、突き止めるための追跡研究が既に始められています。でも、まだ始まってから数年ですから、今判明している影響は、誕生から2-3年の間のことです。

大人の場合であれば、腸内細菌が多様な方が、健康にとって有益だということが判明しています。でも、乳幼児の段階で既に大人と同様の多様性をもってしまうことが、いったい良いことなのか、悪いことなのか、それともまったく関係のないことなのか、様々な病気への影響、免疫力獲得への影響などについて、まだ、明確な結論は、出されていません

乳児の時の違いが、成人になってから、老人になってから、どんな影響となって現れてくるのか判明するのは、これからです。

ただ、「影響がないわけはないだろう」という推測から、赤ちゃんが帝王切開で生まれた途端に、母親の産道内にガーゼを入れ、産道内の共生細菌を収集し、そのガーゼで、赤ちゃんの体や顔を覆ったり拭いたりする応急処置が執られることも、ここ最近、米国では増えています。マイクロバイオーム(共生細菌のDNA)研究所所長のロブ・ナイト博士も、最初のお子さんが緊急帝王切開で誕生した際に、その方法を選択しています。

この方法を帝王切開で誕生した赤ちゃんに30日間続けた結果、自然分娩で誕生した赤ちゃんと同様の腸内細菌相を形成したそうですよ。

この方法が長期に渡って本当に有効であるかどうかを検証するための追跡調査も既に米国では始まっていますが、その赤ちゃん達もまだ2歳です。結果について述べるには早いですね。

一方で、母乳を与えられた赤ちゃんには、制御性T細胞(免疫機能の恒常性を保っている細胞)が、そうでない赤ちゃんと比べて多いことが報告されています。そのため、母乳の有無は、アレルギーの発症リスクと関係があるのではないかとの推察もされています。(証明はされていません。)

ただ、制御性T細胞の数は、

  • 母親の人種
  • 赤ちゃんの腸内細菌の誕生時の推定月齢
  • 誕生前後におけるニコチンとの接触の有無(母親や家族の喫煙の有無)
  • 出産方法(自然分娩か帝王切開か)
  • ペットの有無

によっても影響を受けます。

つまり、母乳で育った赤ちゃんも、帝王切開で生まれれば、腸内細菌の推定月齢は高くなってしまうわけですから、必ずしも、母乳だけが免疫力を決定づける主要因だとまでは言えないように思います。複雑ですね。

その中でも、この研究を報告したヘンリーフォード病院のジョンソン医学博士は、誕生の早い段階から、ペットとの接触をもつことは、有意にアレルギー症状発症リスクを低減すると報告しています。

参考:『細菌がどのようにして私達を定義し、形づくり、癒してくれるのか(翻訳シリーズ)』

つまり、出産方法や授乳方法が腸内細菌の変遷に影響をもっていることは確かですが、その違いによって、病気の発症率について確定的なことを言えるほど単純なものではなく、様々な環境要因が相互に関係している複雑なもののようですね。まぁ、人間はホリスティックですからねぇ。

今後の追跡調査の結果が楽しみです。

性格形成への影響はない

自然分娩か帝王切開か、母乳が人工乳か、の違いは、性格形成には影響がなかったとする報告がなされています。

この調査は、1歳半から2歳前後の幼児を対象に行われたものですが、総体的に、腸内細菌の分布に男女差は見られなかったとのことです。出産方法や授乳方法の違いによらず、男女共に、腸内細菌が多様であればあるほど、前向きで、好奇心があり、社交的で、でも衝動的だったとのことです。

女の子の性格は、男の子ほど腸内細菌の分布から影響を受けにくいとのことですが、それでも、女の子の場合、腸内細菌の多様性が低い方が、自制心があり、可愛げがあり、集中力があるとのことです。面白いですね。

ただ、この研究の研究者も、個々の幼児の離乳食の内容やその開始のタイミングなどの詳細な要因について検証していないことから、詳細に検証を行うことで、もっと具体的なことが判るのではないかと述べています。

 

人類が地球に誕生してからの自然の営みとして、他のほ乳類と同様に、自然分娩と母乳による子育てを通して、私達は共生細菌との関係を築き、人間として進化してきたわけですよね。

何万年もかけて培われてきた共生細菌とヒトとの関係を、20世紀に入ってからのたった100年程度で、医学の力で変容してきたことの結果はどうだったのでしょうか。確かに、帝王切開の安全性が高まったことで救われた命は数知れません。母乳が足りないことで失う命も先進国では無くなりました。

こうした善意の医術の介入による真の影響については、これからの調査が明らかにしてくれることでしょう。

そして、こうした客観的な科学による調査や研究を通して発見された事柄が、母親を責めるための材料になってはいけないと強く思います。ましてや、自然分娩&母乳で育てた母親が、そうでない母親に対して優越感をもつような環境を作ってもいけないと思います。

今はまだ、違いが判明したにすぎません。その違いによる影響もまだ明確になっていません。影響が明確になって初めて、じゃぁ、どうしたら、その影響を緩和・解消することができるのかが、議論できるようになるのです。

母親を追い詰め、責めるための材料ではなく、解決策を提供する材料として、こうした研究成果が活用されるようになることを強く強く願います。

 

公認ホリスティック・ヘルスコーチは、食事だけでなく、あなたを取り巻く様々なこと(環境、仕事、家族、人間関係など)を考慮して、プログラムに反映させ、あなたが、なりたいあなたになれるようコーチングを提供します。

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参考文献:

参考:
細菌がどのようにして私達を定義し、形づくり、癒してくれるのか(翻訳シリーズ)』
バクテリア・コミュニケーション
腸内細菌の構成には、遺伝子型よりも食事が優位
ミクロフローラとプロビオティクス – ボディエコロジーの考え方
腸内環境の修復が必要かもしれない11のサイン
腸内ミクロフローラが私達の世界観を左右する
それはどこにでもいる(翻訳シリーズ)』
生きている菌と死んだ菌
石鹸なし、シャンプーなし、バクテリア満載 – 私の衛生実験(翻訳シリーズ)

Author: Chise

森智世(もりちせ) | 公認 統合食養ヘルスコーチ(Certified Integrative Nutrition Health Coach) / ソフィアウッズ・インスティテュート代表 / 米国代替医療協会(AADP) 公認ホリスティック・ヘルスコーチ / 女子栄養大学 食生活指導士 / 国際ヘルスコーチ協会 公認国際ヘルスコーチ/ 経営学修士(MBA)| ひとりひとりのバイオ個性に着目したポストモダンでホリスティックな食事法を推奨し、マインド・ボディ・コネクション(心と体のつながり)を食を通して実現します。また、私達を取り巻くすべての環境 - 人間関係、仕事などの社会環境、自然環境、体内環境(マイクロバイオーム) - を考慮するボディ・エコロジストです。長期に渡り過ごした米国やヨーロッパの情報も、判りやすく解説を入れて配信していきます。厚生労働省「健康寿命をのばそう」プロジェクトメンバー / 目黒区男女平等共同参画審議会委員 / 日経ウーマンオンライン連載コラム『ホリスティック美女講座』執筆。食事法や健康などご相談のある方やヘルスコーチングを受けてみたい方は初回コンサルテーション(無料)にお申し込みくださいね!

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