バクテリア・コミュニケーションを理解することが健康の鍵

2015/04/23/

バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。

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私達の90〜99パーセントはバクテリア

私達は自分を人間だと思っています。

でも、もし宇宙人が地球人をみたらどんな風に見えるでしょうか。

私達は、ほぼ細菌(バクテリア)の塊です。

自分自身の1兆個の細胞の10倍以上の共生細菌の細胞、10兆個のバクテリアの細胞が私達を内外から取り囲んでいます。遺伝子でみたら、私達は、約3万個の遺伝子で構成されていますが、その100倍もの細菌の遺伝子が私達の体内や体表に存在しています。

私達は、せいぜい10パーセントか、あるいは、測定のしかたによっては1パーセントだけ人間ということになります。

共生細菌の働き

細菌はただ私達の中や表面に乗っかっているだけではありません。環境からの攻撃をはねかえして私達の健康を維持してくれています。

  • 食べ物を消化したり
  • ビタミンを作ったり
  • 免疫システムを教育して、悪い細菌を排除するように指導してくれたり

もしています。

共生細菌は私達が生きていく上で、なくてはならない存在です。

人類は細菌を殺すことばかり考えて来た

なのに、ペニシリン(抗生物質)が発明されて以来、人類は、細菌を殺すことばかり考えてきたように思います。殺菌作用を謳った石鹸や洗剤が以前からよく売れています。

細菌(バクテリア)というと、私達に悪影響を及ぼすもののことばかりが注目されできました。

でも、たとえ数は多くても、顕微鏡でしか見えない様な小さな生き物が、どうして私達人間にとってそれほどの影響力をもっているのか不思議ではありませんか?

細菌の活動の仕組み

そんなことを調査した研究者がいます。

1. 細菌は数が少ない時は活動しない

細菌は個々で存在している時や数が非常に少ない時には、活動しません。

確かに、私達も独りでいる時、大胆な行動をすることは稀なように思います。また、大きな部屋にそれぞれ離れてぽつん、ぽつんとしかいない時、何か大きな行動に発展することはあまりありません。

2. 細菌は一定の数を超えると動き出す

細菌は、増殖して一定の数を超えると、全ての細菌が同時にいっせいに活動し始めます。

3. 細菌達はどうやって仲間の数を知るのか

疑問は、細菌達はどうやって自分が独りなのか集団の中にいるのかを判別しているのかです。

細菌達は、細胞分裂する度に特殊な分子(化学物質)を分泌するそうです。

その分子の量を細菌達は認識でき、どれくらいの数の仲間が近くにいるのか知ることができるそうです。そして、その分子量が一定量を超えた時、細菌達は、一斉に活動を開始するようになります。

「毒性」についても同様です。

体内に数個入ったくらいでは細菌達は活動を開始しないので、私達は何の影響も受けません。その時私達の免疫システムが正常に働いていれば、免疫細胞が細菌を異物と認識し排除してくれます。

でももし、免疫システムのパトロールを潜り抜けた細菌がいたとすると、その細菌はまず静かに待ち、増殖を始めます。そして、一定の数を越えた時、増殖した全ての細菌が一斉に毒性の攻撃を開始するのです。

そうなったら、攻撃は大抵成功し、彼等からみて巨大な人間を弱らせたり、死に至らしめることができるのです。

細菌達が行う集団行動は何百もある

それぞれの細菌は、自分と同じ種類の細菌の数を数えることができる一方で、他の種類の細菌が分泌する分子の数も認識できるのだそうです。

そのため、全細菌人口の中で、自分と同種の細菌がどのくらいの割合で存在しているのかまで把握できるとのことです。どの種が多数派なのか、どの種が少数派なのか、それによって行動を決めるのだそうです。

私達の腸内の共生細菌の70%以上が日和見細菌(状況によって態度を変える細菌)だと言われています。

つまり

大切なことは悪玉菌を殺すことではなく善玉菌を増やすこと

科学者は、大切なことは悪玉菌を殺すことではなく善玉菌を増やすことだと、述べています。

毒性をもった細菌が活動に必要な数に達するほど増殖できないよう、善玉菌の数を増やすこと、共生細菌の構成比を常に善玉菌優位に保つこと、それが大切だと述べています。

平時においてのこの菌のバランスは、ゲーム理論を学んだことがある人には馴染みがある、ナッシュ均衡の状態にあるとのことです。

つまり宿主をだまし討ちにするような方法で(例えば宿主が病気になったり死んだりするほど)増殖しても、結局、自分自身の利益にならないため、それぞれの菌がそれぞれの利益を最大化できるお互いの数で均衡しているのです。

食事が変わると新しい菌が加わるので、一時的にこのナッシュ均衡が崩れます。そして再び新たな均衡に辿り着くまでの時間が必要となります。

菜食と肉食で腸内細菌が何日くらいで入れ替わるのかについては、『腸内細菌の構成は、遺伝(変えられない)と食事(変えられる)のどっちで決まる?』をご覧ください。

マイクロバイオータの構成比が人間の健康を決める

どの種の菌が大勢を占めるか、菌の構成比は菌同士のコミュニケーションによって決まります

そうして決まった菌の構成比は、私達の代謝や様々な健康状態に影響を与え、私達の代謝や健康の状態もまた、菌の構成比に影響を与えます。

戦略的な病気治療のためには、こうした菌同士のダイナミックな力関係・相互作用を無視することはできないと科学者は言います。

今後の病気治療のために、こうした相互作用を解明し、どのような菌の構成比がそれぞれの病気の回復に適切な構成比なのかを判明させようとしている研究者もいます。

抗生物質と共生細菌

抗生物質は、全ての細胞膜を破壊、または、DNAを複製できないようにしてしまいます。そうやって、病原菌も善玉菌も無差別に殺します。

今まで病気治療には、様々な抗生物質が用いられてきました。その影響で、現在までに病原菌は恐ろしく多剤耐性に(多くの種類の抗生物質が効かなく)なってしまっています。

つまり、抗生物質を使用しても耐性菌だけが生き残ってしまうのです。

私達の中には、耐性菌しかいないことになりますから、他の菌と勢力争いをする必要もありません。独占状態ですから少しでも増殖すれば、十分に毒性を発することができてしまいます。

どんな薬でも殺せなかった多剤耐性病原菌を殺したのは善玉菌

不治の病と言われているC.デフィシル菌感染症は、抗生物質で荒野となった腸内に住みつきます。

どんな抗生物質でも死なないため、治療法がないと言われてきました。(現在ではC.ディフィシル菌に効く抗生物質が4種類発見されていますが、全ての人に同じ様に効くわけではありません。)

近年、研究によって、善玉菌を移植した途端、一晩で症状が改善し始めたことが報告されています。

C.デフィシル菌感染症患者に抗生物質を与えることは、単に善玉菌を排除し、C.デフィシル菌が住みやすい独占した腸内環境を造ってあげていただけだったということです。

そして解決策は、C.デフィシル菌を食べてくれる善玉菌を移植すること、善玉菌を増やすことだったわけです。

なんとも皮肉ですね。

菌のことは菌に任せる

ヒトなどの多細胞生物は、バクテリアと同じ単細胞生物から進化したわけですが、多細胞になったからと言って、バクテリア(細菌)同士のルールを、抗生物質や殺菌剤などによって勝手に変えられると考えたのは、人間の思いあがり、傲慢さだと気づかされます。

細菌は何十億年も前から地球にいます。

ヒトは、数十万年です。

私達が日常生活でできることは

  • 自分自身の免疫力を信じること
    • そのために、無差別に共生細菌を殺してしまう殺菌剤や薬をむやみに使用しないこと
  • 悪玉菌を排除するのではなく、善玉菌を増やすこと
    • そのために、善玉菌が好む食事やライフスタイルをおくること

2020年11月追記

上記の記事を書いたのは5年前の2015年です。

今年(2020年)の新型コロナウイルスのパンデミックの状態を視てやはり思うのは、過剰な除菌は、返って、私達のバリア機能を弱くしてしまっているのではないかということ。

感染しても重篤化する人としない人の違いについて、詳細な研究はこれからなのだと思いますが、『新型コロナウイルス感染症対策特別講座』でお話したように、食事によって重篤化を予防できる可能性があることも研究によって示されています。

新型コロナウイルスの脅威がなくても、確かに体や生活環境を清潔に保つことは健康にとって大切なことです。しかし過剰な除菌・殺菌ではなく、私達に備わっている善玉菌という戦闘部隊を強く厚くすることが最初に必要なことだと感じています。

ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス

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参考文献:

ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング