料理嫌いだったはずの私が料理に瞑想を覚えた理由|マイケル・ポーランの『Cooked』を読んで

2014/06/25/

バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。

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私はいつからお料理が嫌いになったのか

社会人になってからの私は、料理をすることが好きではありませんでした。

仕事から帰ってくる時間も遅いので、寝るまでの短い時間、やらなくてはならないことが他にたくさんあり、料理に費やす時間がもったいないというか、面倒無駄な時間だと思っていました。

食事なんて何でもいいからお腹が満たされればそれで良いと思っていました。

私はもともと料理嫌いだったのだろうか・・・

記憶を遡ってみると・・

米国大学の寮生時代の私

米国留学時代の私は、1・2年生は寮に住まないといけないというルールの大学に通っていました。当然、食事は寮のカフェテリアで食べることになります。すると半年も経たないうちに、体重が今現在に至る私の人生の中で、到達したことのない境地にまで増加し、高校1年生以降変化したことのない洋服のサイズを大きく変更しなければいけいない事態になりました。

18歳の未熟な脳も「このままこの食事を続けていてはいけない」と気づき、大学院生向けのキッチンつき寮へ移動させてもらうことにしました。

新入生がそこへ入寮するのは不可能に近いのですが、外国人学生とアレルギーや病気のある学生だけは特別に、「アメリカの一般的な食事が合わない」という理由が認められていましたので、自由の国アメリカ万歳で、1年生なのにキッチンつきの院生寮に移り住むことができたのです。

そこから、私の自炊生活が始まりました。

米国大学生時代の自炊を始めた私

その院生寮には学部生はほぼいませんでしたが、外国人の院生がたくさん住んでいました。スイス、フランス、オーストラリア、中国、ベトナム、ドイツ、日本、もちろんアメリカ人も。

そこで、毎週日曜日、持ち回りで自国料理を作り、皆で食事をするという会を始めました。

食器は、シルバーウエアも含め各自持参して、食べ終わった後も、自分で持ち帰って各自洗うというルールです。料理をする人は、料理をするだけで食後の片づけの手間がなく、当番になるまでの1-2か月間は日曜日の夜を料理から解放されて過ごせるだけでなく、他国の料理まで楽しめるという合理的な集まりでした。

その頃の私は、母が送ってくれた「基本のおかず」という料理本を片手にがんばっていました。

雑誌に面白そうなデザートの写真があるとレシピをくり抜いたりもしていました。なので、お料理が嫌いというわけではないはずだったのです。

社会人になった途端に

仕事を始めた後の私は、お料理することに、1ミリの楽しみも見出すことができませんでした

決して、お料理ができないわけでもありません。18歳の頃から、米国で手に入る食材を工夫して日本食を作るくらいのことはできたのですから。

でも仕事を始めてからの私は料理が好きだと思ったことはありませんでした。

周囲にもそう言っていました。それが・・

仕事を辞めた途端に

仕事を辞めて、食生活指導士の資格を得るために女子栄養大学から出される調理課題を実習しているうちに、お料理が楽しいものだと思えるようになっていったのです。

と、いうか、楽しいものだったということを私の脳が思い出したのかもしれません。

そして、お料理することが、私にとって瞑想効果をもたらすことを発見し、ますます、お料理が好きになっていきました。

お料理に瞑想効果?

不思議に思いますよね。瞑想効果を実感している私自身もなぜそうなのかずっと不思議でした。

瞑想効果のなぞを教えてくれたポーラン

その謎が、カリフォルニア大学バークレー校の科学と環境ジャーナリズムの教授であるマイケル・ポーラン氏の最新著書『Cooked(邦題:人間は料理をする)』を読んで、解けたように感じました。

ここからは、私の心に残った彼の言葉をご紹介していきます。

「料理することは人間の本質である」

「現代人は、自分で料理する時間が短くなった一方で、
誰かが料理をしている姿や映像を好んで観る時間が長くなった」

と、ポーラン氏は言います。

「料理する」ことがそんなに面倒で、どうでもいいことで、知的労働者が行うに値しないようなものであるのなら、なぜ私達は有名シェフが料理をやってみせる番組や目の前で調理してくれるお店に行きたがるのでしょうか?と、いうのです。

それは、調理することが、私達に人間の本質を思い出させてくれるからだとポーラン氏は言います。

確かに、料理をする動物は人間だけです。

「人間を他の動物と分ける本質的な違いは調理だ」

と、ハーバード大学霊長類学者のラングハム博士も言います。

なるほど、企業買収などといった人間らしかぬ仕事をしていた私は、調理をすることで人間としての本質を取り戻していたのだと気がつきました。

だから、私にとって、調理が瞑想効果をもたらしたのだと気がついたのです。

『Cooked』の中で、人間は、

  • まず最初に「」をもって食材を調理することを発見し、器や鍋を作る技術を得たこと。そしてその器を利用して
  • 」を沸かして調理することを発見し、狩猟生活の中で拾い集めた種や実を、少ない量でもできるだけ満腹になるよう工夫する知恵を得たこと。それがやがて
  • 種や実を粉に挽き、と混ぜ、「空気」を入れ、で焼くことで膨らませられることを発見し、食品加工の原点となったこと。
  • 更に、火も水も使わずに、「」の微生物と作用させることで食材を変容・変質させられる発酵の奇跡を発見するに至ったこと。

それぞれの過程について各章を設けて解説しています。

中でも、第4章目の「Earth(土)」の章は、「発酵」をテーマに、「野菜」、「動物」、「アルコール」の3つの節に渡ってそれぞれの歴史や示唆が描かれているのですが、私のお気に入りの章です。

「発酵とは、野菜を(火も水も使わずに)茹でること」

と、いう台詞が、中でも一番好きです。

また、清潔な自然に近い環境で育てられた牛のお乳は、生のまま飲めることについても触れられていました。

食品衛生法の規制が、「後々どうせ殺菌するのだからいいだろう」と乳牛の飼育環境が改善されない理由であり、生乳を殺菌消毒しなければいけないと定めた法律ができた時代の衛生事情と現代の衛生事情は異なるため、時代遅れの法律を適用していることにも問題があると、いった説明には、なるほどと思いました。(が、やはり私は低温殺菌されていない牛乳を飲むことには抵抗がありますけどね、笑)

また、「アルコール」の節のフランスの修道院でのエピソードが好きです。

「No one who has been drinking old wine desires new
(古いワインを飲みつけていた者は新しいワインを好まない)」

ルカによる福音書5:39

と、いうキリストがパリサイ人に言ったと記載される言葉に続くお話が特に好きです。

私はキリスト教徒ではありませんが、カトリック系の大学院を卒業しましたので、信仰と発酵を結び付けたこの文章が心に響きました。

「信仰(Spiritual faith)は、発酵のようなものです」

“a transformation of substrate of nature or everyday life
into something indefinitely more powerful, meaningful, and symbolic”
自然や日常生活の基盤を、無限により力強く、
より意義のあるものに、
そして象徴的なな何かに変容すること

“To transform what is old in us,
the fruit of the earth and the work of human hands,
into something new.”
私達の中にある古いもの、
土の恵みと人間の手による仕事を、
新しい何かに変容すること

食べものに対する感謝の気持ち、日本人の「いただきます」という言葉もカトリックの「Grace(食前の感謝の祈り)」も食と信仰が結びつく点ですよね。

料理をすることは、人間らしく生きること。感謝して食事すること。発酵と信仰と人間としての熟成と(笑)

マイケル・ポーランに関するその他の記事

マイケル・ポーランについて執筆した記事です。

ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス

食事やお料理の瞑想効果については、『五感で食べるマインドフル・イーティング』、『お料理の科学的癒し効果』もご覧ください。

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