アルツハイマー病と認知症(3)予防と改善のための食事法

2015/09/01/

バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。

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アルツハイマー病予防と改善の食事法

アルツハイマー病予防と改善の食事法

アルツハイマー病や認知症の予防、あるいは、症状の進行を遅くする効果のあるホリスティックな方法を5回に渡ってお伝えする、今回は第3回目です。

第2回目では、肉食と野菜についてお伝えしました。

3回目の今回は、次の食品についてお伝えします。

  • 果物
  • ナッツとシーズ
  • スパイスとハーブ

3. 果物

アボカド、メロン、キウイ、いちご、バナナ、パインアップル、いちじく、柑橘類

【グルタチオン】

前回ご紹介した脳の清掃人グルタチオンは、これらの果物に多く含まれています。生で食べる時、もっとも多くのグルタチオンが生成されます。

グルタチオンになる成分を多く含む食品の詳細については、『お肌を修復し肌荒れの予防と改善に効く野菜と果物』をご参照ください。

【ビタミンC】

ビタミンCに、アルツハイマー病予防効果があるとする研究報告があります。2004年の1月に発行された『アーカイブス・オブ・ニューロロジー(Archives of Neurology)』によれば、毎日、十分なビタミンCとビタミンEを摂っている高齢者にアルツハイマー病の発症が64%も低かったと報告されています。

フルーツには特に多くのビタミンCが含まれています。

【ノビレチン】

柑橘類の外側の皮と実の間にある白い筋や袋やふわふわした物資に豊富に含まれてるノビレチンと呼ばれるフラボノイド(抗酸化物質)にアルツハイマー病の症状の緩和に効果があることが動物実験で報告されています。

柑橘類では、シークワーサーに最も多く含まれ、オレンジ、レモン、グレープフルーツなどは外側の皮にも多く含んでいます。

ノビレチンの抗認知症作用として、次の作用が顕著に観察されています。(『ノビレチン』東北大学工学研究科附属抗認知症機能性食品開発部門)

  1. 記憶障害改善作用
  2. 脳コリン作動性神経変性抑制効果: 生存に不可欠な神経伝達物質であるアセチルコリンが不足することを抑制。アセチルコリンの生産不全がアルツハイマー病の原因とも言われています。
  3. アミロイドβタンパクの沈着抑制作用
  4. 神経伝達物質の合成を行ったり、神経細胞を守る働きのある神経成長因子(NGF: Nerve growth factor)の様な効果

ノビレチンのその他の作用については『みかんの白い筋』もご参照ください。

さくらんぼ、ラズベリー、トマト

【メラトニン】

メラトニンは、アミロイドβタンパクの合成を抑制する働きがあるホルモンです。脳の松果体から分泌される他、食べ物から直接摂取してもちゃんと血中に吸収され脳内で働くことが最近の研究で明らかにされています。

上に記載したフルーツの他、メラトニンを多く含む食品には、次の様なものがあります。

  • オレンジ色のパプリカ
  • クルミ、クコの実、アーモンド等のナッツ類
  • フラックスシード(麻の実)、マスタードシード等の種(シーズ)類
  • フェヌグリーク

特に、サクランボ1g中には、13.5ng(ナノグラム)のメラトニンが含まれていて、一日の必要最低限なメラトニンは、サクランボジュース大さじ2杯でとれるとのことです。

詳しいサクランボの効果については『酸っぱいサクランボ』をご参照ください。

プルーン

プルーンがホモシステインを分解し、アミロイドβタンパク質の発現を抑制したことが報告されています。

プルーンの詳しい作用については『プルーン』をご確認ください。

4. ナッツ類&シーズ類

【ビタミンB6】

前回ご紹介した、毒性のあるアミノ酸ホモシステインを減らし、メチオニンの正常な代謝とグルタチオンの産生の促進には、ビタミンB6が必要です。ナッツとシーズは、ビタミンB6が豊富です。

【ビタミンE】

PCRM (Physicians Committee of Responsible Medicine、責任ある医療を目指す医師の会)は、アルツハイマー病予防には、ビタミンEを毎日15mg以上摂ることを推奨しています。

しかし、厚生労働省による食品摂取基準では、1日6.5mgから7.0mgを推奨値としています。つまり、PCRMの推奨値は、厚労省の食品摂取基準の約2倍の量となります。

厚生労働省は、ビタミンEを食品から摂る場合には、過剰摂取の問題は生じないと考えられることから耐容上限量を設定していません。PCRMの推奨値を食品から摂るのであれば、問題はないように思います。

ただし、サプリメントを用いた多くの介入試験の結果においては、冠動脈疾患発症リスクを上昇させるとする報告や死亡率を増加させるとする報告があることを厚生労働省は公表し、注意を呼びかけています。くれぐれも、ビタミンEをサプリメントから摂らないでくださいね。(ビタミンEについては『あなたのビタミンEは本物ですか?』をご参照ください。)

ナッツやシーズ(種)類にはビタミンEが豊富なものが多く、種類によりますが、約50gから100gで、PCRMの推奨量をクリアします。(とはいえ、毎日100g=約一袋のナッツを食べ続けるのは大変なことですから、他の食品と併せて食べることが大切ですね)

ナッツとシーズについては『秋はナッツが美味しい季節!』、『秋はシーズ(種)も美味しい季節!』もご確認ください。

【マグネシウム】

マグネシウムは、緑黄色野菜だけでなく、ナッツやシーズにも豊富に含まれています。近年、私達の記憶力と集中力に大きな影響をもっていることにも注目が集まっています。

脳に最もよく吸収されるL-トレオン酸マグネシウムについては、第1回目の野菜の項をご参照ください。

5. スパイス&ハーブ

ターメリック

インドの村の高齢者には、アルツハイマー病発症者がほとんどいません。それはカレーに用いられるターメリックの効能によるのではないかとの仮説が立てられ、その後、多くの研究がなされており、アミロイドβタンパクの減少脳神経細胞の衰退の遅延などの効果が観察されています。

ターメリックに含まれているクルクミンと呼ばれる成分に強い抗炎症作用があると考えられています。

ターメリックのお料理への使い方については『キッチンを薬局に|基本の15ハーブの効能と使い方(3)』を、ターメリックのその他の詳しい効果については『ターメリック』をご確認ください。

山椒

山椒に含まれているgx-50と呼ばれる成分が、試験管試験において、アルツハイマー病患者の脳に特徴的に蓄積するアミロイドβタンパク質のオリゴマー(高分子多量体)へ直接的に作用することが観察されています。

アミロイドβタンパク質のオリゴマーが分解されることで、アミロイドβタンパク質によって引き起こされる神経細胞死や細胞死を司る遺伝子の発現が抑制され、更に、神経カルシウム毒性が減少したことが観察されています。

山椒の詳しい作用については『山椒』をご確認ください。

シナモン

シナモンの抽出液が、アミロイドβタンパク質の合成を抑制し、脳細胞死を阻止したことが観察されています。

ハエを使った実験では、寿命を延ばし、アミロイドβタンパク質によるプラークを全て解消させ、運動機能を回復したと報告されています。また、アルツハイマー病のマウスに与えたところ、プラークが減少し、認知機能を改善させたことが報告されています。

シナモンの詳しい作用については『シナモン』をご参照ください。

イチョウ葉茶

東洋医学でも用いられることのあるイチョウの葉を使ったお茶は、脳への血流を増加させることが判っています。そのことから、イチョウの葉茶が、初期のアルツハイマー病や加齢による一般的な認知症の進行を遅らせると期待されています。

動物実験では効果が検証されていますが、人間を対象とした実験(臨床試験)では、効果がまだ証明されていません。

また、イチョウの葉の抽出液を濃縮したサプリメントで副作用が出たという報告がある他、まったく効果が無かったとする報告もあります。

ハーバード大学医学部は、平均年齢76歳の男女約3,000人に毎日2回120mgのイチョウの葉の抽出物のサプリメントを6年間飲み続けてもらい追跡調査をしていますが、認知症予防効果はまったくなかったと報告しています。

サプリメントにしたことで効能が失われてしまったのか、そもそもイチョウの葉には効果がないのかは、これらの研究からは判別できません。

とはいえ、毎日のお茶のレパートリーにイチョウの葉茶を加えることは悪いことではないように思います。

さて、日々の食事の中に自然に取り入れて、気がついたら予防になっていたというのが一番良いですね。今日からでも、お料理に上で紹介したスパイスやお茶、おやつにナッツや柑橘類を食べるようにしてみませんか?

>>『アルツハイマー病と認知症(4)予防と改善のための食事法

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参考文献:

ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング