傲慢にならずに自己中になろう|ワークライフ・バランスの呪縛から解き放たれるには

バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。

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日経ウーマンオンラインが2019年2月をもって閉鎖されることとなり、それに伴い、2014年2月~2014年12月まで連載していた『なりたい自分になるNY流栄養学 ホリスティック美女講座』の記事をこちらに再掲しています。

なお、この記事は、『日経ヘルス』にも掲載されていました。

2014年4月14日

ワークライフ・バランスはバランスしていますか?

 ワークライフ・バランス、最近よく耳にする言葉ですね。みなさんのライフとワークはバランスされていますか? 今、バランスしていない人も、なるだけワークライフをバランスしようと努力されているのではないでしょうか。

 ワークライフ・バランスをとろうと努力しているからこそ、家族や仲間と楽しく過ごすべき週末などに仕事をしていると、家族に申し訳ない気持ちになったり、自分は人生をエンジョイできていないように感じてしまいますよね。同じように、仕事のある日に、家族の予定でお休みをもらったり、病気やお盆や年始でもないのに有休をもらったりすると、職場の上司や同僚や部下に申し訳なく感じて、家族といても、旅行をしていても、会社のことが気になってしまったことはありませんか?

 家族や仲間といても罪の意識、仕事をしていても罪の意識。罪の意識の2乗です。

バランスという言葉が私達を追い詰める

 「バランス」という言葉を聞くと、私達は、無意識の内に、ワークとライフに、毎日の時間を平等に分割しなければいけないような気持ちになってしまいます。天秤の右と左のように、釣り合っていなければ、いけないように感じてしまいます

 自分の生活時間をワークとライフに平等に分割しようとすれば、例えば、24時間の内、10時間働いている人は、10時間を家族や自分のために時間を使わなければならないことになります。残り4時間が睡眠時間でしょうか? あるいは、平日できなかった分を週末に埋め合わせようと考えることもできます。でも、必ず、誰の方が、より家族のために時間を割いたとか、割かなかったとかという、お互いがお互いの帳尻を合わせようとして、口論の火種をつくることになりかねません。しかも、今の日本では、家事労働と育児の大半は女性が担っていますから、女性のワークが男性と同等なのであれば、男性のライフが女性と同等にならなければ、本当の意味でのバランスは難しいです。

週末リア充でなければいけない?

 また、週末をエンジョイしていなければ、ワークライフ・バランスがとれていないかのような認識がありませんか? 特に独身の方は、週末の充実ぶりをフェイスブックなどのソーシャルメディアで、アピールするのが、ちょっとしたステータスのようになっていませんか? でも、そうした、リア充アピールが負担に感じている人も少なくないように思います。それに、リア充っぷりが激しい「友達」の投稿が疎ましく思えたりしたことはありませんか? 家で、ただ寝て過ごす週末に罪悪感や劣等感を感じたことはありませんか?

ワークとライフはバランスさせるものではなくリズム

 ワークライフ・バランスなんて言葉がなければ、もっと、楽に自分らしく、自分のペースで、なごやかに時間を過ごせているかもしれないのに。ワークライフ・バランスって私達をストレスから解放するためにあるものではなかったのでしょうか? これでは、まるでワークライフ・バランスの呪縛です。私達の生活を更に窮屈にさせてしまう新手のストレス源ではないですか。

ワークライフにバランスは存在しない

 実のところ、ワークライフにはバランスなんて存在しません。これは、人事コンサルタントが生み出した幻想です。最近、米国の代替医療ホリスティック・ヘルスコーチの間でも、ワークとライフは、そもそもバランスさせるものではなく、リズムなんだという認識が大勢を占めています。

 日本にも「生活のリズム」という昔ながらの良い言葉があるではありませんか。まさしくワークとライフはそのリズムです。1年の中に四季(季節)があるように、私達の生活にも季節(=ワークとライフ)があります。季節に移り変わりのサイクルがあるように、ワークとライフにも移り変わりのサイクルがあります。それが、リズムです。

リズムは変わるもの

 リズムですから、全ての拍子を同じにする必要はありません。長い拍もあれば、短い拍もあっていいんです。また、全ての小節が同じリズムである必要もありません。歌だって一曲の中に起承転結ありますよね。サビもあります。転調したって良いのです。ワルツのリズム(三拍子)から、突然、ロックのリズム(八拍子)に変わったっていいんです。

 昔、監査法人で働いていた時、「監査法人には季節が5つある、四季とビジーシーズン(繁忙期=決算期)だ」という内部ジョークがありました。時代は移り、四半期決算が義務付けられた今、監査法人の季節のサイクルは、かなり複雑なものになってしまっていることでしょうね。

 人生も同じです。誰にもビジーシーズンがあります。起こります。監査法人のように定期的に起こる場合もあれば、唐突にビジーシーズンが始まってしまうこともあります。1日の中にも数時間のビジーシーズンがあることもあれば、週単位、月単位でやってくることもあります。

 私達は、各シーズンの長さを同じにすることを考えるのではなく、そのリズムに合わせて踊ることを考えればいいんです

リズムに合わせてダンスを上手に踊るには

1.セルフケアを一番大切にする

 時に、あなたの体と心は、あなたのノートPCや友人や家族以上に、あなたを必要としているんですよ。自分の体と心に向き合って、自分を大切にできなければ、仕事にも家族にもちゃんと向き合う気力も生まれません。

 仕事に没頭できるよう、自分の体と心、つまりセルフケアを一番に大切にすることが重要です。

 自分自身の体と心を、まず、信頼できることです。自分自身の体や心が信じられなければ、他者の意向に依存的になり、自分のリズムを維持することが難しくなります。それは他者を信じることとは大きく異なります。

2.ワークとライフの間に境界線を引く

 今はケイタイで何処にいても何時でもつながってしまうことが問題です。でも、本当に今、解決しなければならないような緊急事態は、そう起きません。

 ワークとライフの間に境界線を引く。働く時間と働かない時間を明確に分けましょう。線を引くのは、私達の心です。テクノロジーでも、会社でも顧客の問題でもありません

 かつて英国人の上司が言っていました。「本当に顧客と信頼関係が築けているのなら、顧客にNOと言えるはずだ」と、「緊急でなければ明日対応します」と、「その日は休暇をいただいています」と。これは、会社の上司や同僚や後輩に対しても同じです。お互いへの信頼が、ワークとライフに線を引くための鍵となります

3.リズムのビジョンを明確にする

 ワークライフのリズムに対するビジョンを明確にして(作曲家のように)、特に家族のいる方は、ワークライフのリズムに対する今後のビジョンを家族と分かち合いましょう。例えば、お互いが3拍子と4拍子のリズムで踊っていることが分かれば、かならず、お互いのリズムが一致する拍子が定期的に訪れることも分かります。一見、バラバラに見える3拍子と4拍子のリズムでも、一体感を生むことができることに気がつくはずです。

 そして、必ずビジョンを守ってください。お互いがリズムを守るという信頼があってこそ、一体感を生めるのです。そして、定期的にお互いのリズムについて、今後のビジョンを確認してください。その時々の状況に合わせてリズムを変えていく柔軟性も必要です。もちろん、お互いの合意の上で。

4.傲慢にならずに自己中になる

 周りを失望させましょう。相手の期待を満足させるよりも、自分ができる範囲だけしかやらなかったら、相手は失望するかもしれません。でも、それはあなたの問題じゃありません。罪の意識と仲良くなりましょう。質を落とせと言っているのではありません。やることを減らすのです。

 あなたが毎回、ミーティングに参加しなかったとしても会社が倒産することはありません。あなたの同僚は、あなたがいなくても会議を回していくことくらいできます。あなたの小学1年生の子供は、テーブルにお皿を並べることも片付けることも自分でできるはずです。もちろん、いつだって、あと10通、読まなければならないメールはありますし、あなたの時間を奪う出来事が無くなることはありません。

 でも、信頼は、様々な関係の主要通貨です。全てのことをコントロールしたり、重箱の隅をつつくように管理するのは、時に、自分自身に対する自信や他人に対する信頼を傷つけることにもなります。周りの人は、私達が考える以上にしっかりとしています。ちょっとした信頼の行動が、あなたの幸せに必要な魔法の呪文だったりします。

全部やろうとしないと人生が丸く収まる

 クリントン政権下の国務省で、米国の歴史上初めての女性局長として公共政策を担っていたアンヌ・マリー・スローター氏は、雑誌Atlanticに発表した論文『Why women still can’t have it all』(仮訳:なぜ女性はまだ全てを獲得できないのか)に基づくTED講演『Can we all have it all?』(仮題:私達は全てを得られるのでしょうか?)の中で、全ての働く女性に対し、仕事や家事や育児について

「全部やろうと思うのはやめなさい。私はしませんでしたよ」

と言っています。ちなみに彼女は2児の母でもあります。

 また、

“If family comes first, work does not come second.
Life comes together”

(もし家族が優先されたら、仕事がおろそかになるのではありません。
人生が融和されるのです。)

とも言っています。

 全ての人を喜ばせることは無理です。他人の基準を満たすことばかりに真剣になっていると、自分の基準を高める時間を捻出することはできません。それは家族に対しても同じです。

 音楽や絵画の美しさは、音符や線からのみ生まれるわけではありません。音符と音符、線と線の間、何もない空間、沈黙、休符からも生まれます。何もしないということは、時々、あなたの人生にとって、一番価値のある投資だったりするんです。

 背筋を伸ばして、顎をあげて、顔の皮を厚くして、人生を謳歌しましょう。

 それは、ソーシャルダンスの姿勢(ポーズ)と同じです。

 ワークとライフの両方を幸せにするのはバランスではありません。ワークとライフはリズムです。そして、そのリズムで踊ることを可能にする、自他への信頼が幸せの扉を開く鍵なのです。

ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス

もしおひとりで取り組むことに不安や難しさを感じるのでしたら、ヘルスコーチと、一度、話をしてみませんか?

公認ホリスティック・ヘルスコーチは、食事だけでなく、あなたを取り巻く様々なこと(環境、仕事、家族、人間関係など)を考慮して、プログラムに反映させ、あなたが、なりたいあなたになれるようコーチングを提供します。

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新学期は、毎年3月と9月です。講座でお会いしましょう。

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【参考文献】

  1. “The Myth of Work / Life Balance”, Jon Gordon,、
  2. “Settling into a Work-Life Rhythm”, Eva Rykrsmith,
  3. “How to work less and live more”, Kris Carr,
  4. “Why women still can’t have it all”, Ann-Marie Slaughter, The Atlantic, July/August, 2012,
  5. “Can we all have it all?”, Ann-Marie Slaughter, TED, Jun 2013,

日経ウーマンオンラインに掲載されていた当時の外景

ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング