生活習慣病の改善にはサンザシがお勧め|欧米と中国で医療に用いられるメディカルハーブ

2021/08/31/

バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。

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サンザシ(山査子)をご存知でしょうか

薬膳やマクロビオティクスをされる人には馴染みのある食品(ドライフルーツ)です。

サンザシは中国原産の落葉低木ですが、ほとんどは北アメリカに自生しているのだそうです。

バラ科の植物で、5月~6月頃に白い花を咲かせ、9~10月に真っ赤な実をつけます。

西洋サンザシの花は、欧米では5月に咲くので「メイフラワー(May flower、5月の花)」と呼ばれます。メイフラワーと言えば、ヨーロッパのピューリタンの人達がアメリカに移民した時に乗っていた船の名前が「メイフラワー号」でしたよね。西洋サンザシには「希望」という意味もあるそうです。

欧米と東洋で医療に用いられているサンザシは2種類だけ

サンザシには、かなりたくさんの種類が存在しているそうですが、伝統的にも現在においても医療に用いられているのは、学名に「Crataegus」がついている次の2種類だけです。

この2つのサンザシは、欧州(EU)薬局方に掲載されており、医薬品扱いのハーブです。

原産地中国のオオミサンザシ(Crataegus pinnatifida)

中医学で、不老長寿の薬として用いられてきました。

日本には江戸時代に伝わり、胃の調子を整える漢方薬として用いられています。

北米に自生しているセイヨウサンザシ(Crataegus oxyacantha)

血行を改善する作用があることから高血圧や心疾患のために用いられてきたハーブです。

西洋サンザシは、ニューヨーク心臓協会分類のステージIおよびIIに相当する心不全、狭心症、心筋不全を伴う高血圧などの心疾患の治療に使用されていることが知られています。

オオミサンザシの効能

オオミサンザシは現在、中医学では、高脂血症および心血管疾患、メタボリックシンドロームの治療に広く使用されています。また、様々な研究によって、高血糖、脂質異常症、肥満、アテローム性動脈硬化症の予防と改善に効果をもたらす可能性があることが示されています。

葉に含まれているプロシアニジンとフラボノイドがアテローム性動脈硬化症の領域を大幅に減少させたことが報告されています。

種子

血小板凝集を阻害し抗血栓活性があるセスキテルペンを含んでいます。

実の抽出物にACAT酵素を阻害する能力を持つ2つのトリテルペン酸(オレアノール酸とウルソール酸)が含まれていて、VLDL(超悪玉)コレステロールとLDL(悪玉)コレステロール値を下げることが報告されています。

  • ACAT(アシルCoAコレステロールアシルトランスフェラーゼ)酵素|動脈硬化病巣の形成、食事性コレステロールの吸収、リポ蛋白合成などの働きを担っている酵素。ACAT 阻害剤は、血中コレステロール低下作用、泡沫細胞形成抑制を介した動脈硬化治療薬。
  • VLDLコレステロール|超低密度であるために血管壁に侵入しやすく、また肝臓に吸収されにくいため血液中に長くとどまって酸化され、動脈硬化の直接的な原因となりやすい性質があるコレステロール

西洋サンザシの効能

西洋サンザシの薬効成分

主な活性成分

  • オリゴメリック・プロシアニジン|血管の健康、生活習慣病の予防効果のあるポリフェノール
  • フラボン/フラボノールタイプのフラボノイド

具体的には・・

  • ルチン
  • カフタリン酸
  • コーヒー酸
  • エピカテキン
  • ケルセチン-3-O-β-グルコシド
  • ナリンゲニン
  • フェノール酸
  • トリテルペン
  • 脂肪酸
  • ステロール

など

  • 実と葉の抽出物には、グラム陽性菌に対して強力な抗菌活性があり
  • 実の抽出物については、殺菌力が実証されています

薬効成分は葉よりも実に多く含まれています。

動脈硬化・高血圧・心疾患予防と改善

何世紀にも渡り、心臓血管疾患の治療に用いられてきており、また、多くの検証研究も行われています。

  • 虚血性心疾患
  • うっ血性心不全
  • 不整脈
  • アテローム性動脈硬化症
  • 狭心症
  • 高血圧
  • 高脂血症

の予防と改善効果が示されています。

ただ、なぜそうした効果が起こるのかについては、まだ十分な解明がなされていません。

21人の高血圧症の患者を被験者として行われたこの研究では、サンザシによって 上腕動脈血流媒介拡張 (FMD)の変化は観察されませんでした。そのことから、研究者は、サンザシの降圧作用は、一酸化窒素に依存しない他のメカニズムによって起こっているのではないかと述べています。

FMD|一酸化窒素放出の間接的な測定値

高血糖・糖尿病予防と改善

サンザシは、糖尿病や血糖値の安定化のために、何世紀にも渡って欧米と中国における伝統医療に用いられていきましたが、なぜ効果があるのかのメカニズムについては、やはり十分に判ってはいません。

高脂肪食とストレプトゾトシンによって糖尿病にしたマウスを使った実験では、西洋サンザシが中性脂肪と総コレステロール値を有意に減少させ、すい臓による血漿インスリン放出を増加させたことが報告されています。

ストレプトゾトシン|特に哺乳類の膵臓のβ細胞への毒性を持つ天然由来の有機化合物。

その他の作用

次の効果を報告している研究もありました。

  • 腎結石予防・利尿作用
  • 鎮静剤・抗不安薬としての作用
  • 非アルコール性脂肪肝の改善(マウスを用いた研究)

サンザシの飲食方法

サンザシの実は、かなり酸味が強いので、食べられない訳ではありませんが、生で食べることはあまりお勧めできません。

ジュースにする

  • 生のサンザシの実
  • 未精製の甜菜糖/メープルシロップ/ハチミツ

作り方:

  1. 全部一緒に15分から30分ほど茹でます。
  2. ゆで汁を濾して冷やしたものがジュースです。

本来は白砂糖で作るのでしょうが、未精製の甜菜糖やメープルシロップやハチミツなどに変えれば、なお健康的で安心です。

サンザシ酒にする

  • 乾燥したサンザシの実
  • 有機本味醂(玄米)

伝統的には焼酎と氷砂糖を用いるのでしょうが、その両方を本味醂ひとつで代用することで、白砂糖不使用のより健康的な果実酒にすることができます。

1週間ほど漬け込むとサンザシ酒として飲むことができますが、長期間漬け込むことで薬膳酒にすることができます。

薬茶にする

  • 乾燥サンザシの実 大さじ2杯
  • オレンジピール 大さじ1杯
  • ルイボス茶 大さじ1杯
  • 水 約6杯分
  • 植物油(グレープシードオイルなど) お好みで

作り方:

  1. 水と油以外の材料を大きなジャーあるいは容器にいれる
  2. 沸騰させた湯を容器に注ぎ入れ、油を加え、4~6時間放置する
  3. 容器の中の茶葉や実を濾した後、冷やして飲む

または

  1. 鍋で全ての材料をいれて30分ほど煮る
  2. 火を止めた後、油を加え
  3. 冷ましてから
  4. 濾して容器に移す

油を加える理由は、実の中にある脂溶性の成分を抽出するためです。

次の医薬品を服用している人は要注意

サンザシの降圧作用によって、次の医薬品の作用が増長され、血圧が下がり過ぎてしまう可能性があります。

  • ベータブロッカー|高血圧、頻脈性不整脈、虚血性心疾患(心筋梗塞や狭心症など)、心不全などの薬
  • カルシウム遮断薬・カルシウム拮抗薬|血管拡張作用を示す薬剤
  • ACE 阻害剤|アンジオテンシンIIの生成を抑えることで血圧を下げる薬
  • ARBs (アンジオテンシンII受容体阻害剤)|降圧剤
  • 利尿剤
  • ジゴキシン|心臓の収縮力を強める薬

など

日々の生活にサンザシのお茶やジュースを取り入れることで、お薬の量を減らすことが可能になるかもしれません。でも、それはあくまでもお医者様の同意があってからの話です。上記した医薬品を処方されている人は、サンザシを召し上がる前に必ずかかりつけのお医者様に相談してくださいね。くれぐれも自己判断はしないようにお願いします。

サンザシの副作用

アレルギー反応

他のメディカルハーブ(あるいは薬)と同様に、サンザシに対してアレルギー反応が起こることがあります。

  • 吐き気、胃の不快感、めまい、不眠、頭痛などの副作用が報告されています。
  • 特に、薬品と一緒に飲食した際に起こっていることが多いです。

そのため、上記した医薬品以外でも、何かの医薬品を服用している人は、少量から始めてください。

男性の遺伝子毒性の若干の可能性

サンザシには細胞毒性や遺伝毒性は一般的にはないものと考えられています。

マウスを用いた西洋サンザシの毒性を調べた研究では、マウスは3つのグループに分けられ、体重1kgあたりサンザシ抽出物を50mg、100mg、200mgのいずれかを7日間経口投与されます。

  • 白血球および骨髄細胞のDNAへの損傷を誘発しなかった
  • 全ての試験用量で小核多染性赤血球(PCE)の有意な上昇が観察された。
  • PCE /正染性赤血球(NCE)比は、有意な細胞毒性を示さなかった

このことから、サンザシの細胞毒性や遺伝毒性は一般的には無いものと考えて良いと思われます。

ただし、雄マウスの骨髄細胞で弱い染色体異常の誘発性や異数性作用が観察されたことから、研究者は、

長期または高用量の使用には、注意が必要かもしれないと述べています。

  • 小核試験|潜在的な遺伝毒性化合物の毒性学的スクリーニングで使用される試験
  • 多染性赤血球|骨髄から産生されて間もない、やや大型で青みの強い赤血球のこと。多染性赤血球の減少は骨髄で赤血球を作る能力が低下していることを意味する
  • PCE / NCE比|赤血球に対する生理的または毒性的な影響の指標

何事もほどほどに、過ぎたるは及ばざるがごとしですね。

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参考文献:

ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング