【ヨウ素】生命維持と脳に不可欠な微量元素ヨウ素の機能と多く含む食品

バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。

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ヨウ素の食品摂取基準

成人1日あたり 推奨量130μg、限界量 3,000μg

  • 妊婦1日あたり 推奨量 240μg、限界量 2,000μg
  • 授乳婦1日あたり 推奨量 270μg、限界量 2,000μg

ヨウ素の性質

ヨウ素は、非金属の微量元素です。

地球上のヨウ素の大部分は海にあります。土の中のヨウ素の量は、地域によって大きく異なります。

ヨウ素の機能

ヨウ素は、ヒトの甲状腺ホルモンの合成に必要な成分です。そのため、甲状腺が正常に機能するために不可欠な栄養素です。

甲状腺は、血液中からヨウ素を取り込んで甲状腺ホルモンを造ります。甲状腺ホルモンは、成長や再生、代謝、生殖機能など、多くの生命維持に関わるプロセスに関与しています。

更に甲状腺ホルモンは、胎児と出生直後の新生児の中枢神経系の髄鞘形成にとっても重要な働きをしています。

ヨウ素欠乏

WHOは世界人口の30%以上(20億人)が、ヨウ素不足の状態にあると推測しています。

甲状腺肥大

ヨウ素が欠乏している分かりやすい兆候は、甲状腺の肥大です。

ヨウ素が欠乏すると、甲状腺が血液中のヨウ素を溜め込み始めてしまうため甲状腺が肥大します。その結果、ヨウ素欠乏が起こると、放射線誘発性甲状腺がんや甲状腺機能亢進症を起こしやすくなります。

ヨウ素不足の人が、急に1日に150~200μgのヨウ素を補給すると、甲状腺機能亢進症を発症することが判っています。そのため、ヨウ素不足を起こした後のヨウ素補給は慎重に行う必要があります。また、甲状腺機能亢進症はヨウ素欠乏症だとする専門家もいます。

また、ヨウ素が欠乏すると、次の様な疾患が起こります。

  • 精神遅滞
  • 甲状腺機能低下症
  • 甲状腺腫
  • 様々な成長異常や発達異常

など

ヨウ素欠乏は、どの年齢の人にも悪影響を及ぼしますが、成長段階の脳に最も大きな影響を与えます。世界で最も一般的な脳損傷の原因のひとつは、ヨウ素欠乏です。

胎児のヨウ素欠乏

母親のヨウ素欠乏によって胎児のヨウ素欠乏が起きます。最も深刻な場合には、胎児が先天性甲状腺機能低下症を起こします。更に重篤になると、回復不可能なクレチン病になります。誕生後において、

  • 低身長
  • 精神遅滞
  • 聴覚消失

が起こるのが特徴です。

新生児/乳児のヨウ素欠乏

死亡率が上昇することが報告されています。

また、脳の発達異常、知的障害を起こす可能性が高くなります。

幼児~未成年のヨウ素欠乏

この時期のヨウ素欠乏は、甲状腺腫を発生させることが多いです。特に、女子に多く起こります。また、ヨウ素欠乏ではない子供と比較して、学校の成績が悪かったり、低IQや学習障害の発症率が高いことが確認されています。

成人のヨウ素欠乏

成人では、甲状腺腫や甲状腺機能低下症になる可能性があります。脳機能への影響は未成年者よりも軽微になりますが、精神疾患を起こしやすくなります

大人の甲状腺機能低下症については『甲状腺機能低下症』をご参照ください。

妊婦&授乳婦のヨウ素欠乏

妊娠中や授乳中は、体内のヨウ素の需要が増加するため、欠乏しやすくなります。

妊娠中のヨウ素欠乏は、流産、死産などの発症率を高めます。胎児と新生児への影響については前述をご確認ください。

ヨウ素欠乏を起こしやすい人

偏食

次の様な偏食のある人は、ヨウ素が不足する危険性があります。

喫煙

近年、喫煙がヨウ素欠乏の状態を悪化させることが報告されています。

ヨウ素の体内利用を妨げる食品(ゴイトロゲン)

食品の中にはヨウ素の体内利用を妨げ、甲状腺ホルモンの生産を阻害する成分を含んでいるものがあります。そうした成分は、ゴイトロゲン(甲状腺腫誘発物質)と呼ばれています。

  • キャッサバ
  • キビ
  • アブラナ科の野菜
  • 大豆(大豆イソフラボンのゲニステインとダイゼイン)

などです。

キャッサバは、タピオカの原料です。キャッサバ芋のでんぷんを乾燥させたものがタピオカ粉です。タピオカ粉を水とこねて粒状にして茹でたものが、デザートとして用いられているタピオカです。

余談ですが、キャッサバ芋の青酸毒については『コーデックス国際シンポジウム|キャッサバの青酸毒』をご参照ください。

病気との関係

繊維嚢胞性乳腺症

繊維嚢胞性乳腺症は、片方または両方の乳房に、がんではないしこりや不快感がある症状です。エストロゲン過剰でかつヨウ素が欠乏すると繊維嚢胞性乳腺症の症状が起こり、ヨウ素を補充すると症状が消えることが報告されています。

繊維嚢胞性乳腺症の233人の女性を対象とした研究では、ヨウ素水溶液を毎日体重1kgあたり0.08mg、6~18ヶ月間服用すると、被験者の7割以上で痛みやその他の不快感が無くなったことが報告されています。

その他にも同様の研究がいくつかあり、ヨウ素の服用量が増えるほど、改善度合いが高くなっています。しかし、国の定める許容量を超えて服用することは危険ですから、自己判断せず医師に相談してくださいね。

甲状腺濾胞がん

ヨウ素不足だった人がヨウ素の摂取量を増やすと、甲状腺濾胞がんが減ったことが報告されています。しかし因果関係や理由はまだ判っていません。

甲状腺乳頭がん

ヨウ素不足だった人がヨウ素の摂取量を増やすと、甲状腺乳頭がんの発症率が高まることが観察されています。しかし因果関係や理由はまだ判っていません。

なお、甲状腺乳頭がんは甲状腺濾胞がんよりも侵攻性が弱く、予後も良いと言われています。

ヨウ素を多く含む食品

ヨウ素は圧倒的に海藻類に多く含まれています。(上図左下参照)

そのため、海藻類を除いて、ヨウ素の多い順に食品を並べてみました。

海産物に多く含まれている他、卵類や豚肉類、乳製品にも多く含まれています。ポテトチップスに多い理由はジャガイモです。じゃがいもにも微量ですがヨウ素が含まれています。

過剰摂取による副作用

自然食品を食べることでヨウ素を過剰摂取してしまうことは稀です。そのため急性中毒を起こすことは稀です。急性中毒は、1回に数グラムを摂取した場合にのみ起こりますので、サプリメントを服用することでも中毒は起こりにくいです。

急性ヨウ素中毒の症状は次の通りです。

  • 口、喉、胃の灼熱感
  • 発熱
  • 吐き気/嘔吐
  • 下痢
  • 頻脈
  • 昏睡

など

ヨウ素のサプリメントの注意点

多くのサプリメントには、ヨウ化カリウムが用いられています。ヨウ化カリウムの77%がヨウ素です。

ワーファリン(抗血液凝固剤)をヨウ素のサプリメントと一緒に服用すると、抗血液凝固作用が低下する可能性があります。

また、ヨウ化カリウムは、リチウムと一緒に服用すると、甲状腺機能低下症を発症する可能性があります。リチウムは次の様な食品に含まれているミネラルです。

  • 小魚(わかさぎ、いわし、等)
  • あさり、さくらえび
  • 海藻類
  • 全粒穀類(玄米や全粒粉など)
  • ごま、ピスタチオ
  • きくらげ

など

ヨウ素の過剰摂取になりやすい人

ヨウ素が十分に足りている人が、1日に1,700~1,800μgのヨウ素を追加摂取すると、甲状腺機能低下症が起こることが判っています。

また、次の疾患をもっている人は、通常の許容範囲の摂取量でも過剰摂取となり安全でないことがあります。

  • ヨード欠乏症
  • 結節性の甲状腺腫
  • 自己免疫疾患の甲状腺疾患(橋本病/バセドウ病)
  • 嚢胞性線維症の未成年者

医薬品との関係

次の薬を服用している人は、甲状腺機能に影響する可能性があります。もし甲状腺機能に関係する不調が起こった際には、お医者様にお薬を替えていただくなど、相談してみると良いでしょう。

  • アミオダロン(不整脈の予防薬)|ヨウ素を多く含んでいるので、甲状腺機能に影響する可能性
  • プロピオチオウラシル(PTU)/メチマゾール(甲状腺機能亢進症の薬)|甲状腺機能低下症のリスクを上昇させる可能性

ソフィアウッズ・インスティテュートができること

最近、甲状腺機能に問題を抱えている人が増えてきている印象をもっています。

講座の生徒さんの中には大抵一人以上が甲状腺機能低下症の方がいらっしゃいますし、現在までにプライベート・ヘルスコーチング・プログラムにお申込みくださったクライアントさんの8人にひとりは甲状腺に何等かの問題をもっていらっしゃいます。

クライアントさんの多くはヘルスコーチングプログラムを通して、体調の改善だけでなく、実際の数値の改善もされています。

甲状腺機能低下の食事は非常に複雑です。

もしおひとりで取り組むことに不安や難しさを感じていらっしゃるなら、ご相談ください。

公認ホリスティック・ヘルスコーチは、食事だけでなく、あなたを取り巻く様々なこと(環境、仕事、家族、人間関係など)を考慮して、プログラムに反映させ、あなたが、なりたいあなたになれるようコーチングを提供します。

ヘルスコーチと、一度、話をしてみませんか?

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あるいは、ソフィアウッズ・インスティテュートのマインド・ボディ・メディシン講座セルフドクターコースでは、あなたが食を通してご自身の主治医(セルフドクター)になるために、必要な知識とスキルを教えています。

新学期は、毎年3月と9月です。講座でお会いしましょう。

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参考文献:

  • Iodine“, Micronutrient Information Center, Linus Pauling Institute, Oregon State University

ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング