妊娠中のマタニティブルーを薬以外で予防・改善する方法

2025/04/08/

バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。

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多くの人にとって妊娠期間は、とてもわくわくする嬉しい希望に満ちた期間です。

一方で、妊娠中に不安になったり、出産後にうつになったりすることもまた、世界の女性に共通して起こる現象です。

ハーバード大学病院のステファニー・コリヤー医師によれば、妊婦の5人にひとりは、妊娠中あるいは出産後に不安障害になっているとのことです。

今回は、いわゆる「マタニティブルー」と呼ばれる、出産に関係して起こる不安症やうつ症状を出産の「前」と「後」の2回に分けて、それぞれの予防法と起きてしまった時の対処法についてお伝えします。

1回目の今回は、出産の「前」、妊娠中に起こる症状を予防する方法、そして、万が一、気分が大きく落ち込んだ時に、適切に対処する方法をお伝えします。

少しでも気分の落ち込みが現れたら、すぐに対応することが薬に頼らずに過ごすためにとても重要です。

なお、裏付けとなる研究論文は最後に参考文献として一覧にしています。

妊娠中にホルモンのバランスが変化していくことで、自分でも予期しなかった感情がわいてきたり、気分のムラ、つわり、倦怠感などが起こります。

流産を経験したことがあったり、基礎疾患があれば、不安や心配は更に大きくなることでしょう。

また、出産後の友人たちとの付き合い方や、これからの仕事のこと、家庭のこと、赤ちゃんの健康のこと、出産そのものへの不安など、心配の種は尽きません。

でも、こうした不安や心配が起こるのは、あなたがおかしいからではありません。あなたがヒトである以上、普通のことです。誰にでも起こりうることです。

こうした心配や不安があるのは、普通のことですが、時に、その不安が大きくなりすぎて心の健康を害してしまうことがあります。

妊娠中のどの時期においても大きな不安に襲われる可能性がありますが、ホルモンが変化し始める妊娠初期に不安障害が起こることが多いようです。

全般性不安障害の一般的な症状には次のようなものがあります。

  • 絶え間のない不安/心配
  • 落ち着きのなさ
  • 筋肉の緊張
  • いらだち
  • 恐怖心
  • 集中力の欠如
  • 不眠
  • など

医師や周囲が言った何気ない言葉によって、強迫性思考が生まれることもあります。

強迫性思考とは、「~しなければならない」「~ができないわたしは母親失格」などのあなた自身を追い詰める思考です。

そうした思考に支配されると、例えば、次のような症状が現れることがあります。

  • 心拍数の上昇
  • 呼吸困難
  • パニック発作
  • など

そのことによって日常生活や人間関係、仕事上のパフォーマンスに支障が起こることもあります。

妊娠中や産後の不安障害については、うつ病ほど研究されていませんが、重度の不安は、母親と胎児の両方に、次のようなリスクを高めることが示唆されています。

  • 早産
  • 低体重児
  • 未熟児
  • 新生児の頭囲の小ささ (脳の大きさに関連)
  • など

だから、ちょっとした気分の落ち込みでも、気がついたら早めに対処することが望ましいんです。

でも、妊婦の不安障害の診断のために世界中で使われている「エジンバラ産後うつ病質問票(EPDS)」と「全般性不安障害7項目尺度(GAD-7)」は、不安症の診断には適していても、不安症になる予兆を発見することには適していないとコリヤー先生はおっしゃっています。

  1. エジンバラ産後うつ病質問票(EPDS)・・・イギリスの精神科医ジョン・コックス医師が1987年に発表し、世界中で使用されている10項目の質問票
  2. 全般性不安障害7項目尺度(GAD-7)・・・症状の軽重の評価に使用される尺度。21点中15点以上で重度、10点以上で中度と判定。

あなたが我慢したり、自分の気持ちを否定していたら、症状がひどくなるまで医者には見抜けないということです。

だから、不安になるあなたの気持ちを早めに認めて受け入れることが重要です。

欧米の諺ですが

神は自ら助くる者を助く
(神様は、自ら助かろうと努力する人を助ける)

と、いうことなんだと思います。

抗不安剤の胎児に対する安全性に関する情報がほとんどないため、妊婦さんに抗不安薬が処方されることはありません

その代わりに、医療機関を受診すると、次のような抗うつ薬が処方されます。

不安の状態が大きい場合には、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)と呼ばれる抗うつ剤が、妊娠中および出産後のうつ病や不安に処方されるのが一般的です。

しかし、コリヤー先生によれば、妊婦によるSSRIの使用が胎児の先天性奇形のリスクを増加させることとの関連性はないと思われるものの、新生児に次のような症状が一時的に現れることがあると述べています。

  • 神経質
  • 震え
  • 泣き方の異常
  • 授乳困難
  • など

ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、主にGABAの神経伝達を亢進することで催眠・鎮静作用を持ち、脳の活動を抑えることで抗不安作用や抗けいれん作用を表す薬です。

これまでに妊婦によるロラゼパム(アティバン)やアルプラゾラム(ザナックス)などのベンゾジアゼピン系睡眠薬の使用が、胎児の口唇裂と口蓋裂のリスクを増加させる可能性が示唆されてきました。

コリヤー先生によれば、これらの薬を単独で使用する場合には、リスクの増加はないものの、抗うつ薬と併用することによってリスクが増加するので併用はNGとのことです。

ただし、ベンゾジアゼピン系の薬には依存性や脳機能への影響など母体への副作用が大きいため使用については、よくよく主治医の先生と相談することが重要です。

認知行動療法は、非現実的な不安や心配、あるいは行動を乗り越えることに焦点が当てられている心理療法です。

周産期(出産直前、出産中、出産後)のうつ症状の改善に有望であることが示されています。

こうしてみると、妊娠中に不安があるからと、おいそれと病院を受診して気安く薬を飲むことには大きな不安と心配が残ります。

飲んだら飲んだで、新しい心配と不安でいっぱいになりそうです。

もちろん現在既に症状が重く、ご自身だけでなくお腹の赤ちゃんまで危険になるほどであれば薬に頼ることも必要かもしれません。

でも、まだそこまでに至っていないものの、不安や心配が頭を離れないのであれば、まずは自宅でできる次のことから取り掛かってはいかがでしょうか。

ヘルスコーチとしては、お薬を必要とするような状態になる前に、あなたと赤ちゃんの両方を安全に守るために、不安が起きたできるだけ早い段階で、ナチュラルな方法で取り組んで欲しいと願います。

もしあなたの目の前に不安で震えている小さな女の子がいたら、あなたならどうしますか?

大したことではないと無視しますか?

「自分でなんとかしなさい」とその子に言いますか?

言わないと思います・・

その小さな女の子に話しかけるように、この子にしてあげるように、ご自身に優しくしてください。

まず、あなたがしなければならないことは、ネット検索して不安な気持ちを煽ることではなく、不安な気持ちや心配ごとを信頼できる人に打ち明けて相談することです。

それはご家族かもしれませんし、お友達かもしれません。または産婦人科の先生かもしれませんし、同じ妊婦さん同士かもしれません。地域の子育て支援のカウンセラーかもしれません。ヘルスコーチも聞く耳をもっていますよ。

あなたの不安な気持ちを否定したり、「大した問題ではない」と軽視したりしない人、しっかりとあなたの不安と向きあってくれる人をみつけてください。

多くの不安は、話をすること、話を聴いてもらうことで小さくしていくことができます。

重要なことは、ひとりで抱えないことです。

一日の終わりに心置きなく不安や心配ごとを考えても良い時間をあらかじめ決め、30分間だけご自分の不安に集中できる時間を確保しましょう。

日中、不安や心配ごとが生じた時、心配や不安はその時間に考えれば良い、「後で考えれば良い」と思うことで、心配ごとを抱え続けなくて済みます。

心配や不安が生じた時に「それは後で考える」と、自分に繰り返し言い聞かせ、思考を中断する訓練をしましょう。

マッサージかもしれませんし、エステに行くことかもしれませんし、ヨガやピラティスのクラスに参加することかもしれません。お風呂に長い時間入っていることかもしれません。

あなたにとってリラックスできる方法をみつけて実践しましょう。

妊娠中も運動していいんですよ。運動は、ストレス解消や気分を改善する効果をもつホルモンの分泌を促してくれます。

それに、東北大学の研究によって、妊娠中の母親が運動をすると、胎盤からスーパーオキサイドジスムターゼ3(SOD3)というホルモンが分泌され、胎児が出生後に糖尿病や肥満症になるリスクを予防することが明らかにされています。

高脂質の食事をする傾向にある妊婦さんは、悪阻(つわり)が重症になりやすいことやお腹の中の赤ちゃんが糖尿病になるリスクが高まることが分っています。でも、妊娠中に運動すると、その害を赤ちゃんに影響させずに済むことも明らかにされています。

もちろん、早産のリスクがあったり、妊娠合併症がある場合には医師に相談の上、指示に従ってくださいね。

良質な睡眠を確保してください。

妊婦さんが十分な睡眠を得ることで不安な気持ちを落ち着かせることができるだけでなく、お腹の中の赤ちゃんにとっても良いことが起こります。

時計遺伝子は、すべての細胞ひとつひとつの中に存在していて、体内のホルモンは時間遺伝子の働きによって、ほぼ24時間サイクルのリズムを刻んで分泌されています。

睡眠ホルモンのメラトニンも時間遺伝子による分泌サイクルがあり、睡眠と覚醒のリズムを生みます。その濃度の変化を赤ちゃんは胎盤を通して感じることができ、胎児はまだ体内時計をもっていませんが昼と夜を認識できていることが分っています。

この時、母親の睡眠が乱れ、メラトニンが適切なリズムで分泌されないと、成長段階の胎児の体内で、時間遺伝子によって働く臓器の成長と発達に影響が起こると考えられています。

24時間明るい場所で飼育した妊娠マウスを用いた実験では、胎児の成長が遅くなることが確認されています。また、出生後に、長期間にわたりコルチゾールの血中濃度が非常に高い状態が続くことが分っています。コルチゾールは、血糖値や免疫機能、情緒調節や認知機能に大きな影響をもつホルモンです。

ヒトでも同じことが起こるのではないかと考えられています。

だから、妊娠中にお母さんが規則正しいリズムで、十分な良質な睡眠を得ることで、胎児の成長だけでなく、誕生後の健康的な成長や病気予防になると考えられています。

反対に、妊娠中に夜勤や時差ぼけを経験する仕事についている女性、例えば看護師や国際線の客室乗務員などでは、低体重児の出産、早産、流産の頻度が高いという報告もあります。

ですから、ストレッチをしたり、アロマの香りを炊いたりなど、就寝前に心を落ち着かせるためのルーティンを作りましょう。

妊婦さん用の枕などもあります。

もしパートナーのいびきや寝返りや生活時間が異なるなどで、途中覚醒してしまうような場合には、一時的に別々の部屋で眠ることも話し合ってください。

静かな場所で、ただ心穏やかに目をつむって、あなたの呼吸だけに意識を向ける時間を確保しましょう。

心配なことや不安に思うことをすべて書き出してください。その不安や心配を解決するにはどうしたらよいのかについても、さまざまなアイデアを書き出してみましょう。

後日、読み返すことで、あなたの不安や心配と客観的に冷静に向き合うことができます。また、良い解決策がみつかるかもしれません。

>>『産後のマタニティブルー

なお、マタニティブルーに限らず、一般的なうつの症状の予防や改善、不安症の予防や改善に良いとされる食事やライフスタイル、逆にうつや不安症になりやすい心を作ってしまう食品などについて、過去に執筆した記事は『うつ』のページをご確認ください。

妊娠中の健康をナチュラルにサポートする方法については、次の記事をご参照ください。

また、不妊症の改善のための食事については『不妊症』をご参照ください。

ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス

今回の記事が、妊活中や妊娠中で不安や心配でいっぱいになっているあなたの心の少しの安心になっていたら嬉しいです。

今回ご紹介したことすべてをいっぺんにやらなくても大丈夫です。何かひとつからでも、今、できることからやってみてくださいね。

そして、もし、おひとりで取り組むことに不安や難しさを感じるのでしたら、ヘルスコーチと、一度、話をしてみませんか?

公認ホリスティック・ヘルスコーチは、食事だけでなく、あなたを取り巻く様々なこと(環境、仕事、家族、人間関係など)を考慮して、プログラムに反映させ、あなたが、なりたいあなたになれるようコーチングを提供します。

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参考文献:

ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング