危険な妊娠合併症を予防できる簡単な方法

2022/02/01/

バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。

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妊婦と赤ちゃんに重篤なリスクをもたらす妊娠合併症が、処方箋を必要としない薬局で手に入るお薬で、比較的安全に予防できることが、2021年9月、米国予防医学作業部会から発表されました。

今回はその声明の内容と日本での扱いについてお伝えします。

(裏付けとなる研究論文は最後に参考文献として一覧にしています)

子癇前症(しかんぜんしょう) とは

子癇前症(しかんぜんしょう)は、妊娠中に高血圧と過剰なタンパク尿を引き起こす危険な合併症です。妊娠中毒症などとも呼ばれているものです。通常、妊娠後期から出産直後に発生します。

子癇前症は、妊婦に

  • 腎機能障害
  • 肝機能障害
  • 血栓
  • 肺水腫
  • 視覚障害
  • 頭痛
  • 脳卒中など

を起こすことがあり、死に至ることもある疾患です。

また、妊婦が子癇前症を発症すると、胎児に栄養や酸素を供給することが難しくなり、早産や未熟児出産となるリスクが高まります。母親と胎児の両方の罹患率と死亡率に関与している合併症です。

子癇前症は先進国の妊娠の約4%(25人にひとり)に起こり、早産の約6%は子癇前症が原因で、医療行為として促された早産の約19%に及ぶ(5人にひとり)と報告されています。

子癇前症を発症する可能性がより高い妊婦

子癇前症は突然発生することがありますので、必ずしも危険因子をもっていなくても、安心材料にはなりません。

でも、次の事柄に該当する妊婦は子癇前症を発症する確率がより高くなります。

  • 多胎妊娠(双子や三つ子など)
  • 35歳以上
  • BMIが30超
  • 慢性高血圧(妊娠前)
  • 糖尿病(I型&II型)
  • 腎臓病
  • 自己免疫疾患

子癇前症を発症させ易い環境要因

また、次の様な場合にも発症リスクが高まります。

  • 栄養不良または栄養偏重
  • 慢性的な高ストレス
  • 子癇前症の罹患歴のある家族がいる
  • 初産

2014年の米国予防医学作業部会(USPSTF)の推奨

2014年にUSPSTFは、子癇前症の発症リスクの高い妊婦に対して、低用量アスピリンを投与することを推奨する声明を発表しました。

通常は、アスピリンは出産予定日から12週間以内(妊娠28週以降)の投与が禁忌とされている薬です。

多くの医療機関も推奨

が同様の推奨を発表しました。

日本においても、日本産科婦人科学会日本産婦人科医会による「産婦人科診療ガイドライン産科編2017」で,妊娠高血圧腎症(子癇前症)の再発リスクが高い女性に対しては次回妊娠時に低用量アスピリン服用を考慮することが推奨されました。

2021年の米国予防医学作業部会(USPSTF)の声明

USPSTFは、2021年9月、新たに、低用量のアスピリンを服用することで子癇前症を予防できる可能性があるとの声明を出しました。2014年の推奨以降の妊婦と胎児(新生児)の追跡調査を行った結果を反映した声明となっていました。

追跡調査では、アスピリンが

  • 妊婦、胎児、新生児の合併症を軽減できるか
  • 妊娠中の低用量アスピリンの安全性
  • 出血の状態(アスピリンには抗血液凝固作用がある)

が検討されています。アスピリンについては『アスピリンの意外な利用法とアスピリンの鎮痛成分を含む食品とアレルギー』をご参照ください。

低用量アスピリンとプラセボ(偽薬)を用いたランダム臨床試験の結果

  • 子癇前症の発症
  • 早産(妊娠37週前の出産)
  • 未熟児出産(胎児の成長不良)
  • 子癇前症による胎児および新生児の死亡

のいずれにおいても、低用量アスピリンのグループで有意に減少したことが報告されています。

また、アスピリンが出産における出血に問題を起こすかの調査においては、アスピリン群とプラセボ群との比較において、

  • 出産後の母体出血
  • 胎児の脳出血
  • 胎盤の子宮壁からの早期分離

など

に有意な差は生じなかったと報告されています。

基礎疾患に加え次の要因の2つ以上に該当する場合

基礎疾患に加え、次の要因の2つ以上に該当する場合は医師の指導の下、低用量アスピリンの服用が推奨されています。なお、アスピリンにアレルギーを持っている人は除外されます。

妊娠中に低用量アスピリンが処方される可能性のある人

  • 初産
  • 肥満(BMI 35以上)
  • 母親・姉妹に子癇前症を発症した家族がいる
  • 35歳以上
  • 体外受精(IVF)を受けたことがある
  • 在胎週数に満たない未熟児出産
  • 以前のお産が難産だった

適切な投与時期と量

医師の指導の下

  • 妊娠12週後に(20週より前に)開始し、出産まで継続
  • 毎日、低用量(81mg)のアスピリンを処方

低用量アスピリンの有効投与量は60〜150 mg/日で医師が妊婦の状態により判断します。

日本の「産婦人科診療ガイドライン産科編2020」

低用量アスピリン投与(81~100mg/日程度)は、

抗リン脂質抗体症候群

妊娠 28 週以降はその必要性を

  • 血栓(既往を含む)の有無
  • 検査値(aPL 高値陽性または複数陽性,蛇毒法 LA 陽性等)
  • 既往産科異常の内容
  • 重症度や発症時期
  • 各施設の状況

により十分検討した上で 妊娠 36 週まで投与することが推奨されている。低用量(80mg/日程度)であれば,母児の出血のリスクは低いものの、分娩の 1~2 週間前には中止が望ましいと記載されています。

慢性高血圧合併妊娠

妊娠高血圧腎症の予防のために妊娠 12 週以降、分娩までの低用量アスピリン投与(81mg/日)を推奨しており、母児への利益が胎児への有害作用の可能性を上回ると、しています。

ソフィアウッズ・インスティテュートができること

赤ちゃんにまで影響を与えてしまう複雑な合併症を市販薬のアスピリンで予防できることは、ひとつの安心材料です。

でも、アスピリンが出産後期に飲んではいけないお薬であることに変わりはありません。アスピリンを飲まずに済むのであれば、それが最も安全で安心です。

特に、今回紹介したリスク因子をもっている女性は、今からでも食事やライフスタイルを改善することで、合併症を予防し、妊娠後期に不要なお薬を飲まずに済ませるかもしれません。

もちろん、妊娠は複雑ですから、そうした努力ではどうにもならないことも起こりえます。

しかし、統合食養学のヘルスコーチとしては、何もしないよりも、まずは食事とライフスタイルを見直すことから始めることをお勧めします

今回ご紹介したリスク因子をもっている妊婦さんは、まずは産婦人科のお医者様からアスピリンの利用の可能性について詳しくお話をお伺いしてはどうでしょうか。その上で、ヘルスコーチと共に安全な出産の準備をしましょう。

アスピリンは簡単に手に入るお薬です。でも、決して自己判断で飲むことがないようにお願いします。

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参考文献

ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング