
バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。
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目次
ローズマリーは海のしずく

ローズマリーは地中海沿岸に自生していたハーブです。
小さな青い花をつけることから、「海のしずく」という意味のRosmarinus という属名がつけられています。
特に、季節に関係なく花をつけます。
また、季節に関係なく、いつも葉が緑なので、庭にローズマリーがあるとお料理にはとても便利です。
うちの庭のローズマリーです。

ローズマリーについて、2014年7月に「若返りのハーブ」として執筆しましたが、ローズマリーに含まれるロスマリン酸には、抗酸化作用があり、さまざまな研究が行われ、家庭の薬箱を超えて、ものすごい機能が次々に発表されていることから、あらためて、加筆することにしました。
なお、裏付けとなる研究論文は、最後に参考文献として一覧にしています。
ローズマリー精油の成分

ローズマリーには、ロスマリン酸が含まれているだけでなく、精油には次の成分が含まれています。
- 1,8シネオール
- カンファー
- αピネン
- βピネン
- ボルネオール
- 酢酸ボルニル
- β-カリオフィレン
- など
これら成分の含有比率は、抽出した時期や産地によって異なります。
ローズマリー精油の2タイプ
ローズマリー精油は、「1,8シネオール」と「カンファー」の含有割合によって次の2つのタイプに分類されます。
- シネオールタイプ|1.8シネオール・・35%以上、カンファー・・15%以下
- カンファ―タイプ|1.8シネオール・・35%以下、カンファー・・15%以上
1. がん予防効果
ここからお伝えするローズマリーを用いた研究の多くがまだ細胞実験(試験管試験)の段階です。そのため、ヒトが服用したり、外用したりすることで、実際に改善や治癒の効果があるかはまだ分かっていません。
でも、少なくとも予防効果は期待しても良いのではないかと思うのです。

ロスマリン酸以外にも、ローズマリー精油に含まれる次の成分の相乗効果によって抗がん作用(がん予防効果)が生じることが試験管試験で観察されています。
- αピネン
- βピネン
- 1.8シネオール
1)がん細胞を餓死させる
ローズマリーのロスマリン酸が、試験管試験と動物試験で、がん細胞のワールブルグ効果を抑制したことが報告されています。
この研究は胃がん(MKN45)細胞で行われましたが、ワ―ブルグ効果は多くのがん細胞で見られる現象ですから、他のがん細胞でも有効に働くのはないかと期待されています。
ワーブルグ効果とは
通常細胞は、有酸素の環境で酸素を利用して糖を代謝(糖/カロリーを燃焼)してエネルギーを造ります。有酸素運動が、カロリー消費に有効な理由のひとつです。
一方で、がん細胞は、発生時、血管とつながっておらず、また、周囲の細胞からの協力も得られないため、酸素の薄い環境で生き延びる必要があります。
低酸素環境でも生き延びられるよう、がん細胞は、酸素を必要としない代謝の仕組み(酸素を必要とせずに糖をエネルギーに変える仕組み)を生み出したと考えられています。
それが、ワールブルグ効果です。

この効果によって、低酸素環境下での解糖系の代謝でアデノシン三リン酸(ATP/元気の源)が造られます。
その過程で乳酸が発生し、乳酸はがん細胞の更なる栄養となります。(がん細胞が乳酸を活用する仕組みについては『乳酸シャトル』をご参照ください。)
このがん細胞が栄養を得る仕組みをローズマリーの成分が阻害することが試験管試験(細胞実験)と動物実験で確認されたのです。
繰り返しになりますが、これはヒトを対象とした臨床研究の結果ではありませんから、ローズマリーを食べたらがん細胞を餓死させることができるとは言えません。でも、がん予防効果は期待しても良いのではないでしょうか。
2)肺がん細胞の増殖抑制

ヒト非小細胞肺がん (NSCL CA549)細胞を用いた実験で、ローズマリー精油によって、がん細胞の生存と増殖に関係している次の成分が不活化あるいは阻害されたことが報告されています。
- Aktタンパク質
- エムトア(哺乳類ラパマイシン標的タンパク質)
- p70S6K(70-kDaリボソームS6キナーゼ)
- アポトーシス性タンパク質のポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)
また、ローズマリー精油の投与量に比例して、肺がん細胞(A549)の分芽増殖とクローン原性の生存率を減少させ、アポトーシス(細胞死)を促進したことも報告されています。
3)卵巣がん細胞の不活化

ローズマリー精油によって、次の2種類の卵巣がん細胞の90%以上が不活性化したことが報告されています。
- SKOV-3細胞・・・94%
- HO-8910細胞・・・90%
4)肝臓がん細胞を死滅
ローズマリー精油が肝臓がん細胞(Bel-7402)の90%を48時間以内に死滅させたことが報告されています。
5)皮膚がん予防
ローズマリーの精油と柑橘類の精油の混合油で、ヒト表皮角化細胞株のケラチノサイトを処理し、その後、紫外線(UVB)を照射する実験が行われました。
すると、ケラチノサイトに次の効果が観察されました。
- 細胞生存率が有意に上昇
- 細胞内のDNAダメージが微量
- リンパ球内の染色体異常が減少
つまり、紫外線を浴びる前にローズマリー精油と柑橘類の精油を皮膚に塗布することで、皮膚がんを予防できるかもしれません。
2. 日焼け予防効果

ローズマリーの精油と柑橘類の精油の混合油を服用した際の、ヒトの日焼け予防効果を調査した研究があります。
日焼けの測定には、最小紅斑量(MED)が用いられています。最小紅斑量とは、紫外線B波(UVB)皮膚に照射し、24時間後に皮膚に紅斑を生じさせるのに必要となる最小光線量のことです。
精油を飲まなかった被験者と比較し、250mg の精油を次の期間服用した被験者の最小紅斑量(MED)が、次の割合で増加したことが観察されています。
- 8週間服用・・・34%増
- 12週間服用・・・56%増
研究者は、柑橘類のフラボノイドと、ローズマリーのポリフェノールとジテルペン(レチノールなどの成分)の相乗効果によるのではないか、そして、飲んでも効果があることの証だと述べています。
ただ、精油をそれだけの量毎日3か月間も飲み続けるのは大変なことですし、かなり不自然な生活になりそうです。
統合食養学のヘルスコーチとしては、お食事の中にローズマリーと柑橘類を意識して使うようにすることで十分ではないかと思います。
3. 肌質改善効果
糖とタンパク質が加熱などで結合することで発生する終末糖化産物(AGE)の蓄積によってお肌老化が加速します。ローズマリーのロスマリン酸は、AGEから糖を取り除き、本来のタンパク質の機能を取り戻させる(脱糖化できる)ことができます。
40〜65歳の女性104人を52人ずつ次の2つのグループにランダムに分け、ランダム化二重盲検プラセボ対照試験が行われました。
- ローズマリー抽出物のカプセル
- 偽薬(プラセボ)
両方のグループ共に、12週間にわたり、食事の時に、次のスケジュールで服用しています。
- 第1~4週・・・1回2カプセルを1日3回服用
- 第5~8週・・・1回2カプセルを1日2回服用
- 第9~12週・・・1回1カプセルを1日2回服用
第8週間後の変化
8週間(2か月)後には、ローズマリー抽出物のカプセルを服用していたグループで次の改善が観察されました。
- 皮膚のくすみ・・・23% 改善
- ざらつき/質感の悪さ・・・26% 改善
- 紅斑・・・12% 改善
第12週間後の変化
12週間(3か月)後には、ローズマリー抽出物のカプセルを服用していたグループで次の改善が観察されました。
- 皮膚のくすみ・・・28% 改善
- ざらつき/質感の悪さ・・・30% 改善
- 紅斑・・・14% 改善
- 毛穴の大きさ・・・2% 改善
全体的な肌質の状態についても、ローズマリー抽出物のカプセルを服用していたグループでは平均改善率が8週間後の時点で14%、12週間後の時点で17%と有意に上昇したことが示されています。
4. 頭皮改善効果と毛量増加

ローズマリー精油には、頭皮改善と毛量増加効果があることが報告されています。
ローズマリー精油の成分による殺菌効果や血行促進効果による効果だと考えられています。
オーガニック系のシャンプーなどにローズマリー精油が配合されていることが多いのもうなづけます。
5. 認知機能の回復
乾燥ローズマリーの粉末を用いて、認知機能の回復効果を検証する実験が、28名の高齢者(平均75歳)を対象に、無作為プラセボ対照二重盲検反復測定交差試験が行われています。
無作為-プラセボ対照-二重盲検-反復測定-交差試験|被験者と試験官の双方において、先入観が入り込まないようにデザインされた実験が繰り返し実施された非常に信頼性の高い研究です。
偽薬と比較して、ローズマリー粉末に認知機能回復の効果があったと報告されています。
- ローズマリー粉末 750mg・・・最も高い有意な効果
- ローズマリー粉末 6,000mg・・・逆効果
過ぎたるは及ばざるがごとしなんですね~。
750mgの粉末(1g未満)で最も好ましい結果が現れたことから、毎日の食事に活用しやすいのがうれしいです。
ただし、今回の研究の被験者数が少ないことから、今後、更なる検証が必要だと研究者は述べています。
認知症・アルツハイマー病へのローズマリーの詳しい効果については『アルツハイマー病と認知症(4)予防と改善のライフスタイル』をご参照ください。
お料理に活用するには

ローズマリーは紫蘇科のハーブです。
地中海地域原産ですから、地中海料理に多く用いられています。そのため、オリーブオイルとの相性がよく、地中海料理に多く登場するお野菜(例えば、トマトや魚介類)などとの相性が良いです。
地中海地域人々が、他のヨーロッパの国々や北米の人々よりもがんの発症率が低い理由として、オリーブオイルの活用に加えて、レモンとローズマリーの活用だと考えられています。
ちなみに、ギリシャ人のがん発症率は、米国人の半分ほどです。
ローズマリーのお料理への活用方法は、『キッチンを薬局に|基本の15ハーブの効能と使い方(2)』もご確認ください。
ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス

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参考文献:
- “Anti-Warburg effect of rosmarinic acid via miR-155 in gastric cancer cells”, Han S, Yang S, Cai Z, Pan D, Li Z, Huang Z, Zhang P, Zhu H, Lei L, Wang W, Drug Des Devel Ther. 2015 May 19;9:2695-703. doi: 10.2147/DDDT.S82342. eCollection 2015.
- “Short-term study on the effects of rosemary on cognitive function in an elderly population”, Pengelly A, Snow J, Mills SY, Scholey A, Wesnes K, Butler LR, J Med Food. 2012 Jan;15(1):10-7. doi: 10.1089/jmf.2011.0005. Epub 2011 Aug 30.
- “Protective effects of citrus and rosemary extracts on UV-induced damage in skin cell model and human volunteers”, Pérez-Sánchez A, Barrajón-Catalán E, Caturla N, Castillo J, Benavente-García O, Alcaraz M, Micol V5, J Photochem Photobiol B. 2014 Jul 5;136:12-8. doi: 10.1016/j.jphotobiol.2014.04.007. Epub 2014 Apr 20.
- “Rosemary extract reduces Akt/mTOR/p70S6K activation and inhibits proliferation and survival of A549 human lung cancer cells”, Moore J, Megaly M, MacNeil AJ, Klentrou P, Tsiani E, Biomed Pharmacother. 2016 Oct;83:725-732. doi: 10.1016/j.biopha.2016.07.043. Epub 2016 Jul 29.
- “Chemical composition, anti-biofilm activity and potential cytotoxic effect on cancer cells of Rosmarinus officinalis L. essential oil from Tunisia”, Jardak M, Elloumi-Mseddi J, Aifa S, Mnif S, Lipids Health Dis. 2017 Oct 2;16(1):190. doi: 10.1186/s12944-017-0580-9.
- “Antibacterial activity and anticancer activity of Rosmarinus officinalis L. essential oil compared to that of its main components”, Wang W, Li N, Luo M, Zu Y, Efferth T, Molecules. 2012 Mar 5;17(3):2704-13. doi: 10.3390/molecules17032704.
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ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング