メディカルハーブ|自然療法薬としてのオレガノとオレガノ精油の機能と使い方

2020/04/13/

バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。

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オレガノは、イタリア料理や地中海料理によく使われるハーブなので、きっとあなたもよく知っている味です。

オレガノは、ワイルド・マジョラムとも呼ばれる、しそ科のハーブです。

スイート・マジョラムやポット・マジョラムとは親戚です。そのため、よく間違われることが多いようですが、異なるハーブです。

オレガノは、6月から8月頃に可愛らしいピンク色の花を咲かせます。オレガノの和名は、花ハッカです。

お料理に使われるオレガノの葉は、4月から10月頃が旬です。ただ、青臭さを除くために乾燥させてから、お料理に使うことが多いハーブです。

私もトマトソースをイタリアンに仕上げたい時には、必ず乾燥させたオレガノの葉を使います。

オレガノは、お料理に使われるだけでなく、古代ギリシャの時代から薬として用いられてきたメディカル・ハーブです。

特に、オレガノの精油は、今でも、自然療法の風邪薬や、消化不良などの胃腸薬として用いられています。

今回は、オレガノ、特にオレガノの精油に含まれている成分(チモールやカルバクロール)のメディカル作用について、伝統的なものから現代科学で研究が進められていることがらまでお伝えします。

新型コロナウィルスの予防や重篤化予防に役立つ可能性もあるハーブなんですよ。

伝統的には、次の不調や症状の改善のためのナチュラル・レメディ(自然療法薬)として用いられてきました。

なお、裏付けとなる研究論文は、最後に参考文献として一覧にしています。

1. 消化不良の改善

オレガノには、胃腸の調子を整えて消化を促す作用があると考えられています。

そして、食べ過ぎによる胃もたれの改善には、オレガノのハーブティが用いられます。

マウスの研究では、TNBS(トリニトロベンゼンスルホン酸)によって起こされた大腸炎の症状や消化器官の炎症が、オレガノ精油の抗炎症作用によって改善に導びかれたことが報告されています。

2. 筋肉・関節のこわばりの解消

オレガノ精油が次の症状を改善すると考えられていて、入浴剤として用いられます。

  • 筋肉のけいれん
  • 筋肉痛
  • 関節のこわばり
  • など

3. 生理痛の緩和

オレガノが生理痛の緩和に効果があると考えられています。

実際、試験管試験では、オレガノから抽出した3つのフラボン(ルテオリン・グルコシド、ルテオリン・グルクロニド、アピゲニン・グルクロニド)がエストロゲン様の活性を示したことが報告されていてます。

具体的には、オレガノ1gは、21~7,409ngの17β-エストラジオールと等価の作用があることが示されています。

そのため、オレガノには生理痛を緩和する作用があると考えられますが、エストロゲン様の作用があると考えられるため、妊娠中の女性は避ける方が安全です。

4. 疲労回復・発汗作用

心身の疲労回復に効果があると考えられています。

抗ウイルス・抗真菌・抗菌作用

科学的な多くの研究によって、オレガノの精油には抗ウイルス作用や抗真菌作用だけでなく、抗菌作用があることが広く認識されています。

オレガノがどのタイプのウイルスに効くのかについてお話する前にウイルスの種類について整理しておきます。

ウイルスはその構造から「エンベロープ」のあるものとないものに分けられます。エンベロープ(封筒)とは、脂質でできた二重の膜のことです。

(1)エンベロープ・ウイルス

エンベロープ・ウイルスは、脂質の二重膜(エンベロープ)に覆われたウイルスのことです。

アルコールで不活化できます。新型コロナが流行っていた時には、アルコール消毒しましたね~

代表的なウイルスは、次のとおりです。

  • 新型コロナウイルス
  • インフルエンザウイルス
  • ヘルペスウイルス
  • 風疹ウイルス
  • B型肝炎・C型肝炎ウイルス
  • エイズ(HIV)ウイルス
  • など

(2)ノンエンベロープ・ウイルス

ノンエンベロープ・ウイルスは、脂質の二重膜をもっていないウイルスで、 一般的には、アルコールで不活化できないウイルスです。次亜塩素酸などを用いて不活化します。

代表的なノンエンベロープウイルスは次のとおりです。

  • ノロウイルス
  • ロタウイルス
  • ポリオウイルス
  • アデノウイルス
  • など

ノロウイルスはアルコールで不活化できません。次亜塩素酸水を用いてくださいね。

ちなみに次亜塩素酸水によって不活化できるウイルスや菌は次のとおりです。

一般社団法人 機能水研究振興財団「機能水とは」から転載

2. 抗エンベロープウイルス作用

オレガノに代表されるシソ科の植物の抗ウイルス効果が試験管試験によって調査され、シソ科の植物の精油には、エンベロープ・ウイルスに対する顕著な抗ウィルス作用があることが示されました。

ウイルスのライフサイクルの初期段階(感染初期)に、これらの精油を使用することで、最も効果を示したと報告されています。

動物を用いた研究においても、シソ科の代表的な精油がウィルス性疾患の予防と治療に役立つ可能性を示しています。

この研究で用いられたシソ科植物は、オレガノの他、タイム、ミント、バジル、セージ、セイボリー、ローズマリー、レモンバームなどです。

更に、HIVウィルスの寿命に関係した主要な酵素に効果を示し、薬剤耐性がある場合にも効果がありました。

新型コロナウイルス感染による重症化予防にHIV治療薬が効いたという報告があることから、シソ科であるオレガノの精油がコロナウイルス予防に役立つと考えられます。

また、新型コロナが流行し始めた頃、アルコールが品切れとなり、その代用品として次亜塩素酸水(殺菌電解水)が用いられましたが、口に入れるものの殺菌なら、次亜塩素酸水よりもオレガノ精油を使う方がずっと安全です。

3. 室内環境の殺菌

次の病原菌に対するオレガノ精油の効果を検証した研究があります。

  • 病原菌|大腸菌、ネズミチフス菌、エルシニア・エンテロコリチカ、黄色ブドウ球菌、リステリア菌、大便連鎖球菌
  • 環境細菌|セレウス菌、アルスロバクタープロトフォルミエ、シュードモナス・フラギ
  • カビ菌類|ケトミウム球菌、 ペニシリウム・クリソゲナム、クラドスポリウム、 葉上生息菌、アスペルギルス・フミガータス

希釈しないままの精油も、希釈後の精油も非常に強い抗菌作用を示しました。

また、ディフューザーを用いた場合と直接塗布した場合の効果には差があったものの、両方共に抗菌作用が確認されています。

また、細胞実験(試験管試験)では、ディフューザーを用いる際、24時間後においてもヒトの肺細胞のDNAにダメージは見られませんでした。

つまり、オレガノ精油が混ざった空気を24時間吸い続けても、肺に有害な作用が起こらない可能性を意味します。

研究者は、オレガノ精油には、安全な室内環境の汚染除去剤、広域抗菌剤としての可能性があると述べています。

4. 食品の防腐剤

食品添加物に対する消費者の意識の高まりから、天然の代替品に関する研究が進められています。

オレガノ抽出液と精油は、その抗酸化作用と抗菌作用によって、天然の食品防腐剤・保存料として有力な候補と考えられています。

オレガノには、胃腸を炎症から守る作用があることから、防腐剤としてだけでなく、胃腸にも良い添加物として注目されています。

オレガノ精油の防腐(酸化防止と変色防止)効果を、鶏肉を使って検証した研究があります。

生のままと加熱した骨なし・皮なしの鶏むね肉を次の5つの方法で処理し酸素透過性バッグに包装して、冷蔵室(4℃)で7日間保管した後の防腐効果を調べています。

  1. 何も使用しない
  2. 100 ppmオレガノ精油
  3. 300 ppmオレガノ精油
  4. 400 ppmオレガノ精油
  5. 5 ppmのブチル化ヒドロキシアニソール(BHA、一般的に酸化防止剤として使用される食品添加物)

加熱の方法は、生肉を酸素不透過性真空バッグに入れ、芯部温度が75℃になるまで調理した後、室温まで冷まし、酸素透過性バッグに再包装しています。

100〜400 ppm濃度のオレガノ精油が、いずれも、脂質とタンパク質の酸化を大幅に削減させ、生肉と加熱肉の両方で変色を減少させたことが報告されています。

ただし、400 ppmのオレガノ精油が最も高い効果を示しました。

更に、加熱肉では、オレガノ精油で処理することによって、ヘキサナールと呼ばれる主要なアルデヒド(毒性のある物質)の発生が大幅に減少しました。

研究者は、次のように述べています。

鶏肉の天然の防腐剤(酸化防止剤&発色剤)として
オレガノ精油が優れた候補となる

5. 家畜の抗生物質の代用

牛や豚の病気治療のためだけでなく、脂肪を増やし成長を促すために、飼料に抗生物質を混ぜることが一般的な畜産業界で行われています。

しかし近年、抗生物質を成長促進剤として用いることを規制・禁止する国も増えています。

理由は、抗生物質を投与された動物を食べることで、ヒトの体内に抗生物質が取り込まれ、体内で耐性菌が発生するリスクを避けるためです。

日本ではまだそうした取り組みは行われていませんが、ここ数年グラス・フェッド(牧草のみで飼育)と記載のある肉類や抗生物質を使用せずに飼育したとする豚肉や鶏肉や卵や乳製品などを見かけるようになりました。

腸管毒素原性大腸菌(ETEC、E.Coli)に感染した子豚の成長と腸内環境への効果について、次の成分と抗生物質とを比較した研究があります。

30頭の子豚は、次の6つのグループに分けられました。

  1. 感染なし+生理食塩水(CON)
  2. ETEC感染+治療なし(ETEC)
  3. ETEC感染+抗生物質(AT)
  4. ETEC感染+安息香酸 + 乳酸菌(AB)
  5. ETEC感染+安息香酸 + オレガノ精油(AO)
  6. ETEC感染+安息香酸 + 乳酸菌 + オレガノ精油(ABO)

4.~6.のグループはそれぞれ次の成分を含む飼料を22日間与えられます。その後、1.のグループを除く全てのグループに病原性大腸菌(ETEC)が経口投与され、26日間の経過観察が行われました。

  • A・・・安息香酸(殺菌・防カビ剤):3,000μg/ t
  • B・・・バチルス・コアギュランス(乳酸菌):400μg/ t
  • O・・・オレガノ精油:400μg/ t

その結果が次のように報告されています。

  • グループ5&6・・・オレガノ精油を混ぜた食事をしていたグループでは、病原菌による成長鈍化と下痢の発生率が有意に少なかった
  • グループ4~6・・・病原菌による血清中の炎症性物質サイトカインとサイトカイン誘発物質の発生が有意に抑制された
  • グループ6・・・腸粘膜を造る遺伝子がオンになり、また、サイトカインを誘発する空腸粘膜の遺伝子がオフになったことで空腸および盲腸の常在菌の状態が改善された

研究者は、次のように述べています。

安息香酸、乳酸菌、そしてオレガノ精油を混合した飼料を用いることで、
抗生物質を使用しなくても、子豚を病原菌から守りつつ
腸内環境を健全に保つことができる

とはいえ、ソフィアウッズ・インスティテュートとしては、安息香酸も使って欲しくないですけどね・・・

また、牛と豚の呼吸器疾患にもオレガノ精油が効いたという報告があります。

抗がん作用/抗糖尿病作用

植物由来のフェノール化合物(ポリフェノールなど)の抗酸化作用は、もうよく知られています。

オレガノ精油が、強力な抗酸化剤、抗炎症剤、抗糖尿病剤および、がん抑制剤になることを示す証拠が近年、増え続けています。

食事、調味料、ハーブ茶として、どのくらいの濃度であれば、がん予防として有効なのかを調べた研究がありました。ただし、試験管試験、細胞実験です。ヒトを対象とした研究ではありませんので、目安くらいに考えておいてくださいね。

結論としては、調査した全ての要因評価で、100 μg/ml の濃度が適切だったと報告されています。がん細胞のグルタチオンを枯渇させ、酸化還元を妨害し、がん細胞死を促したと報告されています。

そこで、少し計算してみました。

精油は、20滴で約1mlと言われています。1滴で約0.05 mlということです。

まず、1滴のオレガノ精油が何グラムなのかを計算するにあたり、オレガノ精油の主成分のカルバクロールの密度(977.2 mg/ml )を用いると、オレガノ精油 1ml は、977.2 mg となります。1滴48.86mg

重いですね!

100μg/ml の濃度にするには、約5リットルの水に1滴程度ということになります。

むちゃくちゃ薄いんじゃないかと思うのですが、これは、細胞に直接塗布した場合の濃度なので、食事から摂る場合には、どれだけ消化吸収されるのかなど考慮する必要があります。

まぁ、普通にお料理に使う程度で多すぎることはなさそうです。じゃあどれだけ多く食べたら良いのか、食べて良いのか、それは臨床研究を待たなければなりませんね。

2. 胃がん抑制への期待

細胞試験(試験管試験)では、オレガノ精油が、ヒト胃がん細胞株(AGS)に対して、次の効果を示したことが報告されています。

  • コロニー形成特性の低下と転移能力の低下による増殖の阻害
  • がん細胞の成長阻害
  • がん細胞のミトコンドリアを阻害しアポトーシスを誘発

研究者は、オレガノ精油の胃がんの代替療法薬としての可能性に言及しています。

3. 乳がん抑制への期待

乳がんに対するオレガノ精油の抗腫瘍効果を、試験管試験とマウスを用いた動物実験で検証した研究があります。

MCF-7(ヒト乳腺がん)細胞を用いた試験管試験と、マウスに凍結乾燥させたオレガノを食事の0.3%と3%の2つの濃度で与え、その後、発がん性物質を投与し、その14週間後に解剖して乳腺腫瘍を摘出し、組織病理学および免疫組織化学による分析が行われています。

通常食を食べたマウスと比較して、次の効果が示されました。

  • 腫瘍罹患率・・・55.5%抑制
  • 腫瘍発生率・・・44%抑制
  • 腫瘍体積・・・44.5%抑制

腫瘍細胞の分析では、次の変化が観察されました。

  • 腫瘍マーカー(Ki67、VEGFR-2、CD24、EpCAM)の減少
  • アポトーシスに不可欠な酵素(カスパーゼ-3)の増加

通常食を食べたマウスと比較して、次の効果が示されました。

  • 腫瘍の潜伏期間・・・12.5日延長
  • 腫瘍マーカー(Bcl-2、VEGFR-2、CD24、EpCAM)の減少
  • アポトーシスに不可欠な酵素(カスパーゼ-3)の増加

0.3%のグループと3%のグループの両方において、次の変化が観察されています。

  • 病理組織分析・・・高悪性がん/低悪性がんの比率が有意に低下
  • MCF-7(ヒト乳腺がん)細胞の生存と増殖が減少

冒頭でオレガノにはエストロゲン様の作用があることをお伝えしましたが、この結果から、オレガノには、エストロゲン調節作用があると考えられますね。

造血器悪性腫瘍の急性骨髄性白血病(AML)は、予後があまり芳しくない、治療の選択肢が限られている病気です。

血液中には赤血球、白血球、血小板などの血液細胞がありますが、骨の内部にある骨髄で、血液細胞の素となる造血幹細胞が増殖しながら分化(専門特化)して造られます。

急性骨髄性白血病は、この、血液が造られる過程で、未熟な血液細胞である骨髄芽球に何らかの遺伝子異常が起こり、がん化細胞(白血病細胞)が無制限に増殖する病気です。

細胞試験(試験管試験)ではありますが、次のハーブの白血病への抗腫瘍作用について調べた研究がありました。

  • 野ばら(ローズヒップ)の葉
  • 沙棘(さじー)の葉
  • ガーデンセージ
  • オレガノ

それぞれから、水またはエタノールで抽出した成分が次の効果を示したことが報告されています。

  • 急性骨髄性白血病細胞の成長を抑制
  • 白血病細胞の生存率を低下
  • 低濃度のビタミンD3と併せて投与すると、造血幹細胞の正常な分化能力が改善

更に、ビタミンD3とオレガノなどとの組み合わせは、正常なヒト末梢血単核細胞には、わずかな影響しか与えなかったことが示されています。

細胞試験の段階ですから、医療として用いるのには、まだまだ道のりは長いです。でも、家庭の薬箱として、がん予防や生活習慣病の予防として、日々の食事に取り入れたり、ライフタイルとしてオレガノ精油を活用する理由としては、十分ではないでしょうか。

オレガノの利用法

オレガノを楽しく無理なく日常生活の中に取り入れる方法として、お料理に使うことをお勧めします。

  • お料理のフレーバーとして(トマトソースやお肉料理に)
  • パンに練り込んでオレガノブレッド
  • サラダ
  • ハーブビネガー(酢に漬け込む)
  • ハーブオイル(オリーブオイルに漬け込む)
  • ハーブティ(直接熱湯を注ぐ)
  • お料理の香りづけ
  • お料理の防腐剤

精油はお料理に使う以外には、入浴剤やお部屋のフレグランスとしてもいかがでしょうか。

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参考文献:

ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング