お風呂は本当に健康的なのか?

2019/09/03/

バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。

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海外のお風呂事情

毎日お風呂に入っていますか?

あなたが日本人なら、たぶん大抵の人は、「はい」と答えるのではないでしょうか。

それに夏は汗で、冬は寒さで、入らない理由はありませんね(笑

でも、何と、ハーバード大学医学部のロバート・シュマーリング医師によれば、米国では約66%、オーストラリアでは約80%の人達しか、毎日シャワーを浴びたりお風呂に入ったりしないんですって!

でも、私が米国に住んでいた時のルームメイト達(いずれも米国人)は皆、毎朝シャワーを浴びてましたけどねぇ。

中国では人口の半分の人達、つまり約7億人が週に2回くらいしかお風呂に入らないのだそうです。

海外ではお風呂は健康と結びつけられていない

諸外国は日本とは夏の暑さや湿度が違いますし、インフラ整備の違いもお風呂に入る頻度の違いに反映されているように思います。

ただ、シュマーリング医師によれば、国によってお風呂を使う頻度に大きな違いがあるのは、シャワーを浴びたりお風呂に入ることが「習慣」だったり「社会通念上の常識」だったりするためで、「健康」と結び付けて考えられていないからではないかと述べています。

米国で子供が毎日お風呂に入らない医学的な理由?

もっと面白いことに、米国人が毎日シャワーを浴びたりお風呂にはいったりし始めるのは、思春期に入ってからなのだそうです。子供の時には、お風呂は毎日入らないそうです。

子供こそ、外で遊んだり、食べ物をこぼしたり、顔中で食べたりするのですから、毎日、お風呂で丸洗いが必要だと思うのですが、米国では違うようです。

私が米国に住み始めたのは、まさしく思春期、ティーンエイジャーの時でしたが、そういえば、ホームステイ先の娘さん(当時5歳)が、「今日は髪を洗う日だ」と言っているのを聞いたことがあります。その時、「え?毎日洗わないの?」と思ったことを思い出しました。

でも、それにはちゃんと医学的な理由があったようです。

それは後程・・。

お風呂やシャワーを使うのは誰のため?

米国人は他者への配慮のため

シュマーリング医師によれば、多くの米国人は、

  • 体臭が気になるから
  • 目が覚めるから
  • 運動を毎日しているから

と、いう理由でシャワーやお風呂を使うそうです。 お風呂に入ることが健康だから入ると考えているわけではないと、述べています。

確かに欧米人は、「出かける前」に、「人に会う前」に、身だしなみとして、社会的・社交的な配慮からお風呂に入ります。自分の心と体のためというよりも、社会的な体裁のため、他人のためにお風呂に入っているようですね。

日本人は自分の健康のため

でも、日本人は、「1日の終わり」に、その日の汚れや疲れを落とすために、体を清潔にして、心地よく眠るためにお風呂に入ります。

言ってみれば、自分の心と体のためにお風呂に入っていると言えます。

お風呂/シャワーは体臭解消に有効

シュマーリング医師は、体臭は、プライベートな人間関係やビジネス上の立場などを危うくしてしまうので、体臭の解消のためにお風呂に入るのは合理的だと述べています。

でも、体臭や不衛生さがどこまで許容されるかは、国によって文化によって異なり、それをどこまで徹底的にやるかも、大抵の場合、TVや雑誌やネット上のコマーシャルや宣伝によって影響を受けているとも言っています。

確かに、米国人は神経質なくらい体臭を気にしてデオドラントなど良く宣伝しています。が、欧州人、少なくとも私が暮らしていた時代のドイツでは、あまり体臭を気にかける人が多くないように思われました。ドイツの夏の地下鉄は非常に苦痛な空間でした(笑)

そういえば、しばらく前にフェイスブックで、ロンドンに住むアメリカ人の元同僚がこんな写真をシェアしていました。ロンドン市長からのメッセージとして記載されています。

大見出しには
「常に水を持ち歩いてください」
と書かれているのですが、その下の文章が強烈です。

「ロンドンは夏です。それは、ハムを16年くらい冷蔵庫に入れっぱなしにしておいたような臭いが地下鉄ですることを意味します。

— 中略  —

デオドラントをつけてください。あなたには自分の臭いが分からないかもしれませんが、他の全員が分かります。あなたは死ぬほど強烈に臭いです。」

かなりストレートで辛辣な発言ですね。日本で東京都知事がこんな看板を出したら辞任騒ぎになりそうです。

毎日のシャワー/お風呂が健康的という証拠はない?

話を戻すと、シュマーリング医師によれば

「体臭という公害の解消以外に、
毎日のシャワーやお風呂がより健康的だという証拠はない」

脂性肌だったり汗っかきだったり、他に頻繁にお風呂に入らなければならない理由がなければ、

週に数回
3分から4分くらいの短いシャワーやお風呂で
多くの人達にとって十分

と、シュマーリング医師は述べています。

なぜ毎日のお風呂/シャワーが必要ないのか

健康的なお肌は、皮脂層と良い共生細菌たちに覆われて守られています。

私達を覆っている良い共生細菌たちは、私達の免疫システムの一部です。彼等は、他の微生物(バクテリア)や土やホコリ、その他環境変化から適度に刺激を受けることで、強くなります。

1. 洗い過ぎ

洗いすぎることで、天然のお肌バリアを肌からはがしてしまうことになります。

頻繁なシャワーやお風呂は、私達の皮膚の免疫システムが正常に働く妨げになります。その結果、乾燥肌になり、かゆみや肌荒れが起きます。乾燥してひび割れたお肌から、悪いバクテリアやアレルゲンが入り込み、炎症やアレルギー反応を起こします。

こうした理由から、米国の小児科医や皮膚科医は、子供が毎日お風呂に入ることを勧めないのだそうです。

日本の子供にアレルギーが増えているのは、過剰な洗浄も問題のひとつなのかもしれませんね。

2. 熱すぎるお湯

熱すぎるお風呂は皮脂を失わせ、お肌の上の共生細菌たちを激減させ、お肌バリアを壊す原因となるとシュマーリング医師は言います。

熱いお風呂が好きな方は、お風呂上りにはしっかり保湿して、お肌の乾燥に要注意ですね。

3. 殺菌作用のある洗剤(石鹸・シャンプー・ボディソープ等)

殺菌作用のある洗剤は、殺「菌」というくらいですから、天然のお肌バリアの良い共生細「菌」達も殺してしまいます。

殺菌作用のある洗剤の殺菌効果を生み出している成分は、実は、農薬です。

その中でも、科学的に安全性も洗浄効果も証明できなかった、19の農薬成分は 2017年9月から日米欧で使用禁止になっています。そして、普通の石鹸で水洗いするだけで十分だと、FDA(米国医薬品局)は3年前に発表しています。詳しくは『かなり怖いパーソナルケア製品の成分』をご確認ください。

お肌のバリア機能の一部である共生細菌のバランスが壊れれば、より極悪な耐性菌ばかりが皮膚の上に残ることとなります。

また、殺菌作用を謳っていないシャンプーや石鹸でも、次の様な成分が、アレルギーの原因となることもあります。

  • 石油系オイル
  • 香料
  • 他の添加物(化学物質)

液体洗剤の場合、腐敗や劣化を防止するために、安息香酸のように発がん性が懸念されるものやホルモンバランスを乱す作用のある薬品が使用されていることが問題です。

でも、まぁ、これらは、お風呂やシャワーの問題というよりも洗剤の問題ですね・・・

毎日のシャワーやお風呂に健康効果は本当にないの?

お肌の健康という面を考えたら、シュマーリング医師の言うように

  • 殺菌効果を謳った洗剤はお勧めしませんし
  • あまり熱すぎるお湯は、お勧めしません

お肌の健康という面だけでなく、心臓への負担ということを考えても、熱すぎる湯舟に長時間浸かっているようなお風呂の入り方は心配です。

日本人のお風呂への認識は異なる

シュマーリング医師の言い分もよく理解できますが、日本人の私達は、お風呂は単に体を綺麗にするだけの場所じゃないことを知っています。

適切な温度のお湯は、私達の体の疲れだけでなく、心の疲れも流してくれることを知っています。

心がほっこりします。温かいお湯に浸かっていると、心がゆる~くなってきます。

キムタク(木村拓哉さん)は、どんなに仕事で深夜になっても、必ずお風呂に入ってから就寝するようにしているそうです。そうするとどんなに睡眠時間が短くても疲れが翌日に残らないのだそうです。

栄養も老廃物も、血行の流れにのって私達の体を巡ります。

だから、1日の終わりに、体に溜まった疲労物質を血流と共に流してしまうことは理に適っているのです。

だから、戦国武将たちは、温泉に傷の治癒、湯治に行ったんですよね。

シュマーリング医師は、「体臭という公害の解消以外に毎日のシャワーやお風呂が、より健康的だという証拠はない」と言いますけど、それは、欧米人式にお風呂やシャワーを使ったらの話なのではないでしょうか。

日本式お風呂の科学的効果

そこで、日本式お風呂の健康効果を科学的に調べた研究はないか検索してみました。でも、これといった論文を見つけることはできませんでした。入浴剤メーカーや銭湯組合のようなところが、それぞれお風呂の健康効果についてホームページに掲載していたことをまとめると次のような効果が、お風呂にはあるようです。

  • 温熱効果: 温められることで血管が拡張して、老廃物や疲労物質の除去がスムーズに行われ、疲労回復。血行促進でコリを解消
  • 水圧効果: 成人の体表面積にかかる水圧は1トン以上となることから、特に脚への圧でムクミ解消
  • 浮力効果: 浮力によって体重が10分の1になるため、関節や筋肉の緊張緩和→脳の緊張緩和→心の緊張緩和

でも、それを客観的に科学的に証明・裏付けた論文などは、掲載してくれていませんでした。例えば、次の事柄などを客観的に検証した実験の論文は見つけられませんでした。

  • 温めることで確かに血行は促進するでしょうが、それによってどれくらい疲労物質が血中から減少するのか
  • 確かに1トンの水圧はかかるでしょうが、それによってどれくらいムクミが解消されるのか
  • 確かに浮力によって体重は10分の1になるでしょうが、そのことによって脳や心の緊張がどれくらい緩和されるのか

大手入浴剤メーカーに問い合わせもしましたが、返答すらいただけませんでした。

また、湯舟に浸かると、ウォーキングを30分したのと同じくらいのカロリー消費量になるとか、エネルギー代謝が上がるといったお風呂のダイエット効果について記載しているブログや記事が多くあるものの、そこに、その主張を裏付ける研究論文を見つけることはできませんでした。

証拠がないんです!

入浴と運動の健康増進効果の比較

いろいろ探して見つけたのが、2011年に発表された論文です。

裏付けとなっている研究論文は、最後に参考文献として一覧にしています。

心拍数の増加率がほぼ同じになる次の2つの活動による効果を比較しています。

  • 41℃のお風呂に10 分入浴した場合
  • 200m走を走った場合

1.お風呂は心臓への負担の少なく血行改善

入浴と運動の心臓への影響には、次のような違いが判明しました。

  • 上の血圧(収縮期血圧)は、200m走の方が、入浴するよりも上昇
  • 下の血圧(拡張期血圧)は、200m走で高くなり、入浴で低下
  • 皮膚血流は、入浴のみで有意に増加

つまり、お風呂は血管を拡張させ、運動に比べて心臓へ負担の少ない血流改善となることを示しています。

2. お風呂で痩せるは嘘

入浴後の組織代謝には次の様な変化が確認されています。

  • 静脈血のpO2(血漿中の酸素の分圧)が顕著に増加
  • pCO2(血漿中の二酸化炭素の分圧)が低下(酸素が取り込まれて二酸化炭素が排出された)
  • 乳酸とピルビン酸に変化なし(筋肉でのエネルギー代謝は行われていない)

つまり、お風呂に入っても糖や脂肪が燃焼して減ることはない、つまり、「お風呂で痩せる」「お風呂のダイエット効果」は嘘だということになります。

ただ、酸素と二酸化炭素の循環促進によって、疲労回復にはなるということを示しています。

運動直後の体の反応には次のような変化が確認されています。

  • 静脈血の pO2が低下して、pCO2が増加(酸素が消費され二酸化炭素が発生)
  • 乳酸とピルビン酸が増加(筋肉で糖代謝が行われた)15分後には解消

一時的な酸素量の低下と乳酸の増加によって、ミトコンドリアが増え、呼吸酵素が増加することで、運動は長期的な基礎代謝の改善になる太りにくい体を作る)と、述べています。

痩せるなら、やっぱり運動の方が効果的ということですね。

3.免疫機能の向上には疑問

血液は、血球成分と血漿成分に分けることができます。

お風呂と運動の両方とも、血球成分の特に白血球の数が短時間で大きく増減/変動したそうです。このことは、血液中の血球成分と血漿成分が、血流促進によってよく混ざり合ったことを示唆しているため、入浴と運動は免疫機能を改善すると言われているけれども、それは単に、血液成分がよく混ざり合っただけのことかもしれないと、研究者は述べています。

また、血管内のプラークの原因となる悪玉コレステロールは、次の通り増加したものの、15 分後にはかなり回復したため、心配するほどのことではないとのことです。

  • 入浴で2∼3%増
  • 200m走で3∼6%増

とはいえ、悪玉コレステロール値やドロドロ血をお医者様から注意されている人は熱いお風呂は要注意です。

4.その他の血液成分に変化なし

お風呂と運動の両方で、次の値には、まったく変化なかったそうです。

  • 尿酸値
  • 血糖値
  • 窒素酸化物(NOx):一酸化窒素は筋肉を動かすことで発生し、血管を柔らかくする効果があることが報告されている

ただし、この研究は、200m走もお風呂も1回づつで比較しているので、継続した場合や、長距離走だった場合などについて、検証が必要だと研究者は述べています。

日本式のお風呂には疲労回復効果がある

お伝えしてきた諸々を総合すると、日本式のお風呂は、体臭を解消するだけでなく、健康効果、少なくとも疲労回復効果があるということではないでしょうか。

シュマーリング医師がおっしゃっていること

  • 洗い過ぎない
  • 熱すぎないお湯
  • 殺菌効果を謳った洗剤を使わない

に留意しながら、ぬるめのお湯につかるのであれば、(子供も)毎日お風呂に浸かった方が、やっぱり健康に良いように思いました。

ただし、太らない体を作ったり、痩せたいのであれば、お風呂にはあまり効果なさそうです。

さて、あなたはお風呂とどんな風に付き合いますか?(笑)

ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス

適切な体型を維持したいのであれば、やっぱり運動と食事をメインにすることが必要ですね。

様々なダイエット法を試したのにリバウンドを繰り返してしまう、あるいは、ひとりでがんばることに不安を感じるという人もいらっしゃるかもしれませんね。

空腹を我慢したりカロリー計算したりしなくても、適切な体重を維持することは可能です。

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参考文献

ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング