レモングラスの一般的なイメージとはちょっと違う意外な本当の効能と使い方

2020/07/16/

バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。

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レモングラスの原産国はインド

レモングラスというハーブをご存知ですか?

タイ料理に良く使われているレモンに似た香のハーブとして知っている方も多いのではないかと思います。

私は、レモングラスは東南アジアを中心としたタイ原産のハーブなのだと思っていました。でも、レモングラスはインドが原産で、熱帯から亜熱帯地域に広く栽培されているイネ科の雑草(茅:カヤ)であること、主にお料理や薬草として用いられているのもインドのレモングラスであることを最近知りました。

確かに、原産国インドの伝統医療アーユルヴェーダでは、伝染病や発熱の解熱剤や鎮静剤、そして殺虫剤として古くから用いられている薬草です。

また、イギリスの薬草学(アロマテラピー)にも、レモングラスが用いられていることが腑に落ちた瞬間です(笑、長いことインドは英国の植民地でしたから。。)

そして今回調べていくうちに、レモングラスは、アジアだけでなく、中南米やアフリカでも薬草として伝統医療の中で用いられてきたことを知りました。そしてその効能を検証したいくつかの研究報告を見つけたのです。

(裏付けとなる研究論文は最後に参考文献として一覧にしています)

育ったのがインドの東か西かでレモングラスの機能が異なる

インド原産のレモングラスは、西インド産と東インド産に大きく分かれます。

  • 東インド産: Cymbopogon flexuosus Stapf(別名コーチンまたはマラバーグラス)
  • 西インド産: Cymbopogon citratus Stapf

『ハーブ:索引付き書誌1971-1980 温帯地域の選ばれたハーブと芳香性および薬用植物に関する科学文献」(“Herbs: An Indexed Bibliography 1971-1980. The Scientific Literature on Selected Herbs, and Aromatic and Medicinal Plants of the Temperate Zone”)という若干古い書物によれば、

  • 西インド・レモングラスには抗菌作用があり、その精油は中枢神経系抑制薬としての効能があること
  • 東インド・レモングラスの精油には、抗真菌作用があり、揮発性油にすると農薬としての効果を持つこと

が記載されていました。また、レモングラスの中でも、

  • Cymbopogon nardus(香水ガヤ、シトロネラグラス)が、アロマオイルとして用いられる種類
  • Cymbopogon martinii(パルマローザ)が、抗菌剤として用いられる種類

とのことです。

レモングラスにも様々な種類があり、それぞれ個性が違うんですね!

とは言え、レモングラスは総じて、伝統医療の中では、メディカル・プラント(薬用植物)として虫除け剤や芳香剤として用いられ、その精油(エッセンシャルオイル)は、抗菌剤、風邪薬、夏バテ回復、利尿剤、消化不良の改善、吐き気を抑える、頭痛薬、リウマチ薬、筋肉のケイレンの緩和薬として用いられてきたようです。

レモングラスをお料理に使うには

お料理と相性が良いのは西インド・レモングラスなのだそうです。

レモングラスの旬は、5月~9月

日本ではお料理用の乾燥ハーブになっているレモングラスをよく目にしますが、特別なお店に行かない限り、なかなか生のフレッシュなレモングラスに出会うことがありませんね。

生のレモングラスは、葉だけでなく、根の部分も食べられます。

フレッシュな葉

主に、飲料の香りづけに使います。

香を引き出すよう少し揉んだり、切り込みを入れてから使います。

  • 水に入れて、フレーバーウォーター
  • アルコール飲料に爽やかさを加えたい時
  • 生の葉に直接お湯を注いで作るハーブティは、乾燥葉を使った時よりも香がかなり強くなるそうです。

フレッシュな葉の根元

主に、魚介類や肉類の臭み消しに使います。

ふっくらとした茎状になっている葉の根本は、固い外側をむいて、内側の柔らかい部分だけを使います。

細かくみじん切りにして(すりおろしてもOK)柑橘類などと一緒に魚介肉類のソースにしたり、マリネ液に混ぜて使います。

乾燥葉

主に、

  • スープの香辛料
  • ハーブティの茶葉

として使います。

タンスやクローゼットにつるして消臭剤や防虫剤として使ったりすることが多いですが、その効果を検証した研究報告を見つけることはできませんでした。

とはいえ、私はレモングラスとラベンダーなどタンスの中に入れていますけどね(笑)

エッセンシャルオイル(精油)の成分

レモングラスの、レモンに似ている香は、シトラールと呼ばれる成分によるもので、ゲラニアール(シトラールA)とネラル(シトラールB)があります。

西インド・レモングラスの精油には、15種類の成分が含まれていることが報告されていますが、そのうち

  • ゲラニアール(シトラールA)が48.18%
  • ネラル(シトラールB)が34.37%

と、約80%以上が、シトラールで占められている精油であることが判明しています。

また、シトラールの含有量は、どこの地域のレモングラスでも、茎よりも葉から採ったエッセンシャルオイルに多く含まれているとのことでした。

レモングラスの精油を購入する際は、西インド・レモングラスの葉から抽出したものを選ぶとよさそうですね。

ここから先は、レモングラスのエッセンシャルオイル(精油)の効能と使い方についてお伝えします。

レモングラスのエッセンシャルオイル(精油)の機能

特に記載がない場合は、全て西インド・レモングラスの精油を用いた研究です。

1.リラックス/リフレッシュ効果

柑橘系レモンの強い香りによって、気分のリフレッシュ効果があると言われています。確かに、爽快な香りがして、爽やかな気分になります。

そのことで、抗うつ作用があると書かれているネット上の記事も多いのですが、残念なことにメディカルプランツ(薬草)の成分の精神疾患への効果を調べている研究では、レモングラスの抗うつ作用は検証されていません。

しかし

  • 心疾患予防となるまでの強さはないものの、血管を弛緩させる効果があることを報告している研究
  • 神経のケイレンを鎮静する効果があることを報告している研究

がありましたので、リラックス効果はあるのではないでしょうか。

ストレスを感じているような時に、入浴剤として用いたり、手作りのバスボムに混ぜるなどして活用すると良いと思います。

2.がん予防効果/抗がん作用

大腸がん

マウスを使った動物実験ですが、西インド・レモングラスのエタノール抽出成分が、結腸癌を誘発する発がん物質であるアゾキシメタンを与えられたマウスのDNA異常と異常陰窩巣(ACF)の形成を抑制したことが報告されています。

註: 異常陰窩巣(ACF)は、ポリープよりも前に発生する結腸および直腸の内壁表面にみられることのある異常な管状の腺の集合体のこと。

アゾキシメタン投与の2週間後に、マウスの体重1kgあたり0.5gのレモングラス抽出成分を12週間投与し続けた結果です。

前立腺がん

こちらは試験管試験の結果ですが、西インド・レモングラスの精油が前立腺細胞株LNCaPとPC-3、および膠芽腫細胞株SF-767とSF-763に最も効果を示したことが報告されています。

この精油の効果は、シトラールそのものの効果と統計的に同等だったことも報告されています。

肺がん

こちらも試験管試験の結果ですが、肺がん細胞株A549とH1975 に対してアポートーシスを促進させたことを報告している研究がありました。

免疫力アップによる抗腫瘍作用

レモングラスの精油だけでなく、多糖類(ポリサッカライド)について調べている研究がありました。

肉腫180(S180)細胞を移植されたマウスの腹腔内にレモングラスの多糖類(ポリサッカライド)を1日に体重1kgに対して30-200 mg、7日間投与しています。

註:肉腫(サルコーマ)とは、全身の骨や軟部組織(脂肪、筋肉、神経など)で発生する悪性腫瘍の総称

レモングラスの多糖類は、S180腫瘍の増殖を有意に抑制し、抑制率は14.8〜37.8%だったそうです。しかし、S180細胞を死滅させることはなかったそうです。

レモングラスの多糖類は、多く投与すればするほど、マウスの免疫力を改善したことが報告されています。1日に体重1kgあたり200mg投与した際、胸腺と脾臓の指標がそれぞれ21.9と91.9%増加したそうです。

そのことから、研究者は、レモングラスの多糖類は、細胞に対する毒性ではなく、免疫力を高めることによって腫瘍の増殖を抑制しているのではないかと述べています。

3.抗生物質作用/抗炎症作用

黄色ブドウ球菌

ICU(集中治療室)にいる新生児に対して、レモングラスの精油が抗生物質のバンコマイシンと同じ治療効果を示したとのことです。

バンコマイシンは腎毒性がある抗生物質なので、レモングラスの精油で代用できるなら安心ですね。

カンジダアルビカンス、カンジダトロピカリス、クロコウジカビ

精油をディフーズさせた時に最もカンジダ菌に対する殺菌作用を示したと報告されています。精油の量をふやすほど効果が高くなったとのことです。

また、マウスの体重1kgあたり10mgの精油を経口摂取させた際、抗炎症薬ジクロフェナクと同様の効果を示したとのこと。こちらも用量が増えるほど効果が高くなったそうです。

耳に浮腫を生じさせたマウスに精油を塗布(5~10μリットル)すると、強力な抗炎症効果が示されたことが報告されています。

真菌(水虫)

真菌とは、カビのことですが、中でも糸状菌といわれるカビの種類によって皮膚真菌症が起こります。

皮膚真菌症を起こす代表的な3つの真菌、犬小胞子菌白癬菌石膏状小胞子菌に対するレモングラスのエッセンシャルオイルの効果を検証した研究がありました。ちなみに白癬菌は水虫菌です。

検証した他の精油と比較しても、レモングラスの精油には、とても強い抗真菌作用が観察されたとのことです。

ただし、レモングラスの精油は刺激性が強いため、直接、足や指に塗らないでください。キャリアオイルあるいは無水アルコールなどに混ぜて2%以下に希釈した後に使用するようにしてください。

レモングラスの消臭効果?

なお、レモングラスの消臭効果について記載しているネット記事がありますが、Pub Medに消臭効果についての研究報告はありませんでした。

そのためレモングラスの消臭効果は不明ですが、もしレモングラスに消臭効果があるとしたら、それは臭いを発生する菌を殺してくれるからではないかと思います。つまり、菌由来ではない臭いは消せないかもしれないと思います。

虫除け効果はないが、虫を介した感染症予防になる

また、一般的に言われている虫除け効果については、衣類の防虫効果に関する研究報告は見つけることはできませんでした。

また、蚊などのヒトを刺す虫に対しての防虫効果は、とても弱いか効果がないという報告の方が多く、どちらかというと、虫に刺された後のバクテリアやウィルス感染に対して、感染症予防になるという研究報告の方が多いです。

4.神経変性疾患の予防/治療

西インド・レモングラスの多糖類(ポリサッカライド)を用いた研究です。炎症性神経疾患への効果について検証したものです。

さまざまな炎症誘発性メディエーター(NO、ROSおよびIL1β、TNFα、IL6、NF-κBサイトカイン)の過剰産生を誘発するリポ多糖(LPS)の産生を阻害したことが報告されています。

10μg/mLで、一酸化窒素の産生を抑制し、12.5μg/mLでリポ多糖を誘発するROSの過剰産生を抑制したそうです。

神経細胞とともに、脳や脊髄に無数に存在して、脳神経に栄養の供給や神経伝達物質の伝達をする、グリア細胞とも呼ばれるU87細胞(神経膠細胞:しんけいこうさいぼう)を大幅に増殖させたことが報告されています。

そのことから、研究者は、レモングラスの多糖類が、神経炎症を原因とする神経変性疾患の予防と治療に有効となる可能性について言及しています。

レモングラスの精油を使用する時の注意点

  • とても刺激が強いので直接お肌に塗布しない。
  • ディフューザーなどで噴霧して吸い込む際に、呼吸器官に炎症が起きることがある。
  • 流産を引き起こす可能性があるので、妊婦は使用しない。
  • 安全性が確認されていないので、授乳中の女性も避ける。

ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス

ちなみに私は夏場、水筒に水を入れて持ち歩いているのですが、その中には必ずレモングラスを入れておきます。

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参考文献:

ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング