バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。
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目次
ヴィーガンは人道的な生き方か
統合食養学(ホリスティック栄養学)を学び始めてからヴィーガンとよばれる動物性の製品や食品を生活の中からいっさい排除している人達と知り合う機会が多くなりました。
ヴィーガン思想(ヴィーガニズム)の根底には、健康志向だけでなく、動物愛護の理念が非常に強くあります。そのため、ヴィーガンは、動物を食べないということだけでなく、動物から搾取したもの全て、例えば、毛皮、革製品、絹なども生活の中から排除します。
私は、ヴィーガンではありません。
というか、ひとりひとりの自由意思を尊重する統合食養学の理念に基づいて考え、生活をしています。そのため、ヴィーガン思想に対してもひとそれぞれの価値観として受け入れています。
しかし、”厳格”なヴィーガンと自称する人たちと話をしていて、時々違和感を覚えることがあります。
それは、次の様に強く主張する人に出会ったときです。
「動物を食べない私は、人道的な生き方をしている」
「人道的に生きたいのならヴィーガンになりなさい」
植物の命に価値はないのか?
統合食養学を学んでいた時にも、ヴィーガンのクラスメイトと議論になったことがあります。
「植物にも命はある。命あるものを頂いて生きる私たち人間は、例え、動物を食べることを止めたとしても、植物の命を奪っていることに違いはない。
命に優劣はない。動物の命は植物の命よりも尊いとは思わない。単に人間の能力不足で植物の声が聞こえないからと言って、植物が悲鳴をあげていないと誰が言えるのだろうか。
全ての食べ物の前で人間は謙虚になるべきではないのか。野菜を食べながら自分は人道的だと胸を張るのは違うだろう。」
これが私の主張です。
私の意見に賛同あるいは理解を示すクラスメイトもいれば、「それは自分が肉を食べたいための言い訳だろう」と言うクラスメイトもいました。
そう言われた時には、何を言っても分かり合えない宗教問題に突入したように感じました。それ以上の議論が不毛に感じ脱力しました。
今回は、既成概念を覆す2つの記事がニューヨークタイムズ誌に掲載されていましたので和訳要約してお伝えします。
植物は聞くことも触られたことを感じることも話すこともできる
NATALIE ANGIER/ナタリー・アンジール
December 21, 2009, New York Times
植物には意思がある?
多くの研究者が植物科学を探求すればするほど、植物が驚愕に満ちている存在だと感じられてきます。もし、あなたにとっての「倫理的/人道的な食事」の定義が、「感情のない植物のみを食べる」「感情のある動物はいっさい食べない」ということを意味しているのであれば、食品の選択肢を見直す必要がありそうです。
植物生物学者は、研究対象(植物)について話をする時、自動詞を使います。まるで、植物に意志があるかのようにです。
「トマト、芽キャベツ、そして他の植物も、自分の置かれている環境に対して、活発にそして敏感に反応し、様々な方法で、彼等を取り巻く環境とコミュニケーションをとっています。
例えば、赤色光や赤外線が自分の葉に当たる割合を“分析する”ことで、近くにいる光合成をする競合相手の存在を感知し、他の方向へ伸びていきます。
彼等の根は、地中にある根域/根圏に参加し、異文化交流や微生物取引を行っています。植物は、光や土の栄養素などの資源を“探し廻り”、厳しい場所やチャンスを“見通し”ます。」
植物は静物ではありません
「植物は、静物でも無意志でもありません」
と、ベルリン大学の生物学研究所のモニカ・ヒルカー博士は言います。
「彼等は触られた感覚に反応します。異なる光の波長を感知します。化学的シグナルに耳を傾けます。彼等は(化学的シグナルを使って)話をすることもできます。触覚、視覚、聴覚、会話など、私たちが動物にしかないと考えている感覚と知覚能力があるのです。」
植物は、脅威から走って逃げることはできませんが、地に足を着けて立つことができます。
植物は化学兵器を使う
「捕食をかわすのが上手ですよ。」
と、カリフォルニア大学リバーサイド校の遺伝学者リンダ・ウォリング博士は言います。
「虫がそうした防衛網を破ることは稀です。葉をちょっとかじると、植物の表面にある特殊な細胞が、捕食者が嫌がる物質を分泌したり、ネバネバ液を分泌して捕食者を捕えたりします。植物のDNAの中の遺伝物質が活性化し、化学兵器戦争を始めます。植物バージョンの免疫反応です。テルペン、アルカロイド、フェノール類。さあ、お退きなさい!とね。」
「時々、その素早さに驚かされます」
と、ペンシルバニア州立大学のコンスェロ・デモラレス博士は言います。デモラレス博士と彼女の同僚は、植物の機械的な反応時間を計測する実験をしたところ、青虫が葉を食べ始めてから20分弱で植物は空気から炭素を吸収し、防衛物質を一から生成してしまうのだそうです。
「虫の咀嚼に対する反応として植物が生成する物質は、叫びに等しいほどの激しい化学物質です。
この化学物質は空気伝達され、青虫を食べるトンボのようなより大きな昆虫を呼び寄せるだけでなく、青虫に感染する寄生微生物や細菌を呼び寄せていることが観察されています。また、その叫びは、近くの同種の植物にも伝わり、彼らが防衛体制に入ることを促します。」
植物は虫を誘導する
他にも研究者の多くが、植物の中には、虫が葉に卵を産みつけたことを感知することができ、即座に、孵化の脅威を取り除くよう動き出すものがあると言います。
例えば、まるで新種の腫瘍のような突起を葉一面に発生させ、卵を落とそうとしたり、殺卵液を分泌し卵を死滅させたり、上で述べたようなSOSを叫ぶのです。
米国科学アカデミー(the National Academy of Sciences)で、ヒルカー博士達が発表した内容によれば、モンシロチョウの雌は、芽キャベツに卵を産み落とす時、分泌液で卵を葉に接着させるのだそうです。
でも、芽キャベツには、分泌液に含まれているシアン化ベンジルを感知する能力があり、感知すると葉に含まれる化学物質の構成を素早く変化させ、肉食の雌のスズメバチに合図を送ります。すると、雌のスズメバチは、自分の卵をモンシロチョウの卵の中に産みつけるのだそうです。モンシロチョウの卵は、スズメバチの胎児の栄養となり、芽キャベツの問題は解消されます。
原典:
- “Sorry, Vegans: Brussels Sprouts Like to Live, Too.”, NATALIE ANGIER, December 21, 2009, New York Times
- “How Plants Defend Themselves”, Natalie Angier, April/May 2013, Mother Earth News
- “How plants defend themselves“, HHMI the University of North Carolina of Chapel Hill
ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス
意志のない植物にしては、かなり非道な?方法ではありませんか?
動けない分、自己防衛の仕方が強烈にならざるをえないのかもしれませんが、まるで映画『エイリアン』の世界です。
自ら動かずとも生き延びることができるよう、化学物質などを使って、周りの生き物のサブリミナルに(無意識や潜在意識に)働きかけ、動けるものを動かす能力を持っている、超能力級に頭脳的な存在だと言えませんか。
- 動けるのか動けないのか
- 人間が聞こえる声を発することができるのかできないのか
- 人間の顔に近い表情があるのかないのか
それだけで、動物は食べたらかわいそうだけど、植物は食べても構わないと考えるのは、人間の想像力の欠如のように感じます。
ましてやヒトと同じような表情や行動をする動物がより優れていると考えるのは、生物の中で人間が一番優秀だとする、非常に傲慢な価値観の表れのように私には感じます。
動物であれ植物であれ、ヒトであれ、万物の創造主の前では、皆平等に等しい命なのではないでしょうか。
そして、他の命を頂かなくては生きていけないという罪深いヒトの本質を受け入れ、全ての食べ物に対して謙虚でありたいと、やっぱり私は思います。
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