善玉コレステロールは実は”善”じゃない!

2019/07/01/

バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。

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コレステロールは、ワックス状の淡黄色の脂肪です。

タンパク質と結合して、血液と混ざりやすい「リポタンパク質」と呼ばれる小さな粒子となって血管の中を移動します。

コレステロールは「悪いもの」だと認識している人が多いようですが、コレステロールは次を造るときになくてはならない材料です。

  • 細胞膜
  • 各種ホルモン
  • ビタミンD
  • など

だから、コレステロールをゼロにすることは、必ずしも健康的ではありません。

血液中のコレステロールには4種類ほどあります。でも、メディアで耳にしたり、健康診断などであなたが目にするのは、次の2つではないでしょうか。

善玉コレステロールは、正しくは高密度リポタンパク質=HDLコレステロールと呼ばれるものです。

HDLコレステロールが「善玉」と呼ばれようになったのは、“一部の” HDLコレステロールが、細胞や血流や動脈壁から不要になったり余分なコレステロールを集めて肝臓へ送る働きをしていることが分ったからです。

余分なコレステロールは肝臓で無害な粒子に分解されます。

体内の余分で不要なコレステロール、つまりゴミを肝臓に運ぶ働きをすることから欧米では、善玉コレステロールをゴミ収集車なんて呼ぶ人もいます。

一方で、悪玉コレステロールは、低密度リポタンパク質=LDLコレステロールと呼ばれます。

LDLコレステロールは、コレステロールを細胞に運ぶ役割を担っています。

過剰な” LDLコレステロールは、動脈壁に蓄積し、プラークの形成を引き起こします。プラークの蓄積が心臓や脳への血流を阻害すると、心臓発作や脳卒中を引き起こす可能性があることから、LDLコレステロールは「悪玉」と呼ばれるようになったのです。

でも、先に説明した通り、あなたの細胞にはコレステロールが必要です。細胞膜も神経膜もホルモンもビタミンもコレステロールが無くては造られません。だから、LDLコレステロールは、決して「悪玉」なんかではないんです。彼らがいないければ、あなたは生命維持ができません。

ただし、先に述べたように、コレステロールを運ぶLDL(悪玉)ばかりが増えると、動脈を塞ぐプラークの形成が促され、心筋梗塞などのリスクが高まります。そのため、悪玉コレステロールが増えすぎないように注意することはとても重要です。

LDLコレステロール値を70 mg/dL未満に下げることで、心臓発作、脳卒中、その他の心血管疾患のリスクを大幅に低減できることが多くの研究によって裏付けられています。

数十年前の観察研究で、善玉コレステロール値が高い人は、心血管疾患を発症するリスクが低いことが示されたことから、善玉コレステロールを増やすことが心疾患予防と改善になると長いこと信じられてきました。

善玉コレステロールは多い方が良いと考えられるようになっていったのです。

しかし、その後、善玉コレステロールを増やす作用のある薬剤の中の5種類を用いて、善玉コレステロール値の低い患者を対象に大規模臨床試験が行われ、善玉コレステロールに関する科学的理解が進歩しました。

これらの薬剤は、確実に善玉コレステロール値を上昇させましたが、残念なことに、心筋梗塞、脳卒中、動脈硬化によるその他の合併症の予防には役立ちませんでした

例えば、HDLコレステロール値を上昇させる5つの薬のひとつ(コレステロールエステル転送タンパク質CETP阻害薬)は、善玉コレステロールを最大で60%も増やしましたが、心臓発作、脳卒中、動脈硬化のリスクを低下させることはありませんでした。

今では、多くの心臓専門医は、善玉コレステロールは心臓病を予防する「善玉」ではなく、むしろ「傍観者」的な役割を担っていると考えています。

善玉コレステロールは、心臓病や脳卒中のリスクを低減するためにほとんど、あるいは全く影響を与えないのです。

研究者たちは、善玉コレステロールの機能と役割は、今まで考えられてきたよりも複雑であることを発見しました。

また、HDLコレステロールは単一の粒子ではなく、様々な形や大きさの粒子の集合体です。そのため、形や大きさにはさまざまなものがあり、小、中、大の3種類があります。

球形のものもあれば、ドーナツ型のものもあります。この多様性は、すべてのHDLコレステロールが同じように働くわけではないことを意味しています。

実際に、余分なコレステロールの回収能力に優れたものもあれば、劣るものがあります

中でも、免疫細胞が造るミエロペルオキシダーゼ(MPO)という酸化物質と結びついたものは、機能不全に陥っており、コレステロールの回収能力が欠如していることが明らかにされています。

更に、コレステロールを肝臓から血流へと逆流させてしまう”善玉”コレステロールもあることが明らかにされています。

今では、重要なのはコレステロールを回収する回収車の数(善玉コレステロールの量)ではなく、その回収能力ではないかと考えられるようになっています。

悪玉コレステロールは量を減らすことで、心臓発作や脳卒中やその他の心血管疾患のリスクを大幅に低減できますが、善玉コレステロールの量を増やしても同様の効果は得られません。

善玉(HDL)コレステロールを増やしても心疾患の予後は改善しないのです。

また、2022年に『JAMA Cardiology(JAMA 心臓病学)』誌に掲載された研究は、冠動脈疾患のある人のうち、HDLコレステロールが非常に高い人(80 mg/dL以上)も非常に低い人(30 mg/dL以下)と心臓病で死亡する確率がほぼ同じであることを明らかにしています。

善玉コレステロールは、ただ、増やせばよいのではなく、回収能力の高い種類を増やす必要があるのです。

そして、先ほどご紹介した5つの薬剤は、間違った種類の善玉コレステロールを増加させていたために、心疾患の予防に効果を示すことができなかったのではないかと考えれています。

ハーバード大学付属ブリガム・アンド・ウィメンズ病院の心臓専門医、スティーブン・ウィヴィオット博士は次のように述べています。

「善玉コレステロール値の高さは、
健康的な食事や定期的な運動といった行動
密接に関連しています」

同じくハーバード大学付属ブリガム・アンド・ウィメンズ病院の予防心臓病学部長のホルヘ・プラツキー医師は、更に、次のように述べています。

健康的な植物性食品中心の食事を摂り、定期的に運動すると、
善玉コレステロールの量は多少増加します。悪玉コレステロールは減少します。

その結果、心臓発作や脳卒中のリスクが低下します。

健康的な植物性食品中心の食事と定期的な運動による
心臓血管系の病気リスクの低下は
善玉コレステロールのわずかな増加によるのではなく、
悪玉コレステロールの減少による結果です」

プルツキー医師は、HDLコレステロール値に惑わされず、LDLコレステロール値に焦点を当てることを勧めています。

1. コレステロールの酸化を予防する

抗酸化物質(ポリフェノール)のひとつ、アントシアニンの中に多く含まれているPON-1(パラオキシナーゼ-1)と呼ばれる抗酸化成分が、脂質酸化を防止することが明らかにされています。

アントシアニンを豊富に含むフルーツには、次のようなベリー類があります。

コレステロールの蓄積や動脈硬化、高血圧などを指摘されたことがある人は、努めて上記したベリー類を食事に加えることをお勧めします。

お薬を飲むよりもずっと美味しくて楽しい方法ではないでしょうか。

今までに、コレステロールについて執筆した記事は『コレステロール』をご確認ください。

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参考文献:

ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング