バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。
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目次
ビタミンB群という言葉を耳にしたことがある人は多いでしょう。B”群”というくらいですから、ビタミンBにはたくさんの種類があります。
今回は、そのビタミンB群のひとつ、ナイアシンについてお伝えします。
ナイアシンの食事摂取基準(2020)
ナイアシンは、食品から直接得られるだけでなく、アミノ酸の一種トリプトファンから体内でも合成され、トリプトファン60mgがナイアシン1mgになると推計されます。そのため、食品に含まれているトリプトファンの量も考慮して、ナイアシン当量として表示されることが一般的です。
次の数値はナイアシン当量(トリプトファンから変換される推定量を含む)の基準です。
- 女性|必要量:9~10mg、推奨量:11~12mg、限界量:250mg
- 男性|必要量:12~13mg、推奨量:14~15mg、限界量:300~350mg
ナイアシンは小腸から吸収されます。日本で一般的に食べられている食品中のナイアシンの利用効率は約60%と推定されています。
ナイアシンの性質
ナイアシンは、ビタミンB3とも呼ばれる、水溶性ビタミンです。
化合物としては、ニコチン酸とニコチン酸アミドやニコチン酸アミドリボシドなどがあり、その総称がナイアシンです。
ニコチン酸は、たばこに含まれているニコチンと名前が似ていますが、まったく異なる物質です。
ナイアシンは、体内で生命維持に欠かせないニコチンアミド補酵素(NAD)を作るために使用されます。
ナイアシンは生命維持に不可欠
生物エネルギー(元気)の大部分は、細胞間の電子の移動(酸化還元反応)によって生まれます。
NAD(ニコチン酸アミド補酵素)には、酸化型のNAD+ と還元型の NADH(還元型NAD)があります。NAD+ と NADH は、あなたの体の元気の素 ATP から P(リン酸)を受け取って、NADP(NADリン酸)+ や NADPH(還元型NADP)になったり、戻ったりを繰り返して、リサイクルされています。
NADの大半は、細胞の酸化剤として電子を受け取る役割をしています。一方、NADPの大半は、細胞の還元剤として電子を提供する役割をしています。
体内にある400以上の酵素は、電子の授受(酸化還元反応)によって機能しているので、NADやNADPのサポートが不可欠です。
つまり、ナイアシンは、すべての生命体にとってなくてはならない成分なんです。
ニコチンアミド補酵素(NAD)の役割
NAD とNADP には、異なる役割があります。
NAD
細胞の酸化剤として電子を受け取る役割をしているNADは、次の栄養素などを分解して、エネルギーを生成する際に活躍します。
- 炭水化物
- 脂肪
- タンパク質
- アルコール
二日酔い予防や改善にナイアシン豊富な食べ物が良いと言われる理由です。
NADP
細胞の還元剤として電子を提供する役割をしているNADPは、次の機能にとって不可欠な存在です。
- 脂肪酸の合成
- ステロイド(コレステロール、胆汁酸、ステロイドホルモンなど)の合成
- 他の高分子の構成要素などの合成
- 解毒と抗酸化システムの構成要素の再生
両方の総合力として
NADとNADPは共に手を携えて、次の役割を果たしています。
- エネルギー(元気の素)を造る
- コレステロールを一定に保つ
- 皮膚の健康維持(お肌を炎症や外部刺激などから守る)
- 脳機能の維持向上
ニコチンアミド補酵素(NAD)のサポート機能
NADは、酵素の触媒作用を助けることで、次の機能を間接的にサポートしています。
- ストレス応答
- 細胞シグナル伝達
- ゲノムの完全性の維持
- DNA修復
- 転写制御、アポトーシス
- 細胞分化
- 抗ウイルス防御
つまり、がん予防や老化予防に関係する機能をサポートしているんです。
1. サーチュインの活性化
老化した細胞に働きかけ、DNAを修復し細胞を若返らせてくれるサーチュインと呼ばれるタンパク質は、ヒトに7種類あることが確認されていますが、サーチュインはNADに依存している酵素のひとつです。
サーチュインは、エネルギーを感知して調節でき、加齢に伴う疾患(心血管疾患、がん、認知症、関節炎など)の発症を遅らせる上で重要な役割を果たしていると考えられています。
そうしたことから、世の中では「サーチュイン」に注目が集まっていますが、ナイアシンがなければ、サーチュインはあなたの老化を遅らせたり、健康寿命を延ばしたりできないってことです。
2. 体内のカルシウム調節
体内のカルシウムの量は、カルシウムシグナル伝達という細胞間コミュニケーションによって一定に保たれています。細胞内に一時的にカルシウムを流入させたり、細胞内の貯蔵庫からカルシウムを放出したりして調節しています。
このカルシウムシグナル伝達を使ってカルシウムを調節している主要な酵素(CD38とCD157)は、NAD+ファミリーの一員です。
そして、このカルシウムシグナル伝達は、次のプロセスに関与しています。
- 神経伝達
- すい臓のβ細胞からのインスリン放出
- 筋細胞の収縮
- 免疫T細胞の活性化
また、サーチュインの活性によっても、カルシウムの流入がコントロールされていることが分かっています。
3. 細胞のスイッチを入れる作動薬
さまざまな体内機能に関与し、ほぼすべての細胞に存在する「P2Y」と呼ばれる受容体があります。
NADとNADPは、このP2Y受容体と結合することによって、各細胞のスイッチを入れて(細胞を起動させて)います。
例えば、自律神経によって管理されている内臓の働きは、あなたの意志で止めたり動かしたりすることはできません。でも、内臓の平滑筋の神経接合部にあるP2Y受容体とNADがくっつくと、内臓の働きを落ち着かせられることが判明しています。
つまり、ナイアシンは、自律神経の働きを乱すような高ストレスの状況で、体に起こるストレス反応を鎮める働きをしてくれているのです。
また、細胞の外では、NAD+は、炎症性サイトカインのように作用し、免疫細胞を活性化させることが判明しています。例えば、免疫細胞(顆粒球)のP2Y受容体とNAD+がくっつくと、スーパーオキシド(活性酸素の一種で殺菌作用がある)の産生が刺激されます。
さまざまな病気にかかりにくくなるということです。
ナイアシン欠乏症の症状
ナイアシン欠乏症の最も一般的な症状は、3つの「D」と呼ばれます。
- 日光過敏性皮膚炎(solar irritating Dermatitis)・・・皮膚疾患
- 下痢(Diarrhea)・・・消化器疾患
- 認知症(Dementia)・・・神経疾患
重度のナイアシン欠乏症の後期段階を「ペラグラ」と呼びます。「ペラグラ」とは、荒れた肌を意味するイタリア語の「ペッレ・アグラ」に由来しています。
そして、欠乏症がそのまま放置されると、4つめの「D」、死(Death)が起こります。
3つのDの症状
最初の3つのDの具体的な症状は次の通りです。
- 日光過敏性皮膚炎・・・日光にさらされた場所が厚く、鱗状になり、濃い色素沈着の発疹が対称的に発生する
- 消化器症状・・・口と舌の炎症(舌が真っ赤になる)、嘔吐、便秘、腹痛、最終的に下痢
- 神経症状・・・頭痛、無関心、疲労、うつ、意識障害、記憶喪失など
ただし、この3つの症状のすべてが現れるわけではありません。症状の現れ方は人によって異なり、例えば、皮膚症状がないナイアシン欠乏症の人もいます。
ただ、消化器系の疾患と下痢が起こると、栄養素の吸収が損なわれるため、改善が難しくなります。
ナイアシン欠乏症が起こる原因
ナイアシンが欠乏あるいは不足する原因には、病気や医薬品による影響もありますが、偏食など食生活に起因することが多いです。
1. 栄養失調
ナイアシン欠乏症は栄養失調と関連して起こることが多いです。
特に、アミノ酸のトリプトファンなど、NADの材料となる成分を含む食事が不十分なことが原因ではないかと考えられています。トリプトファンを多く含む食品は『トリプトファン』をご確認ください。
例えば、次のような食生活の人にしばしば観察されます。
- ホームレス
- 神経性食欲不振の人
- 極端な食事制限をしている人
- トウモロコシを主食にして動物性タンパク質が少ない食事をしている人
最後の項目は日本人には少ないかもしれませんね。
また、他のビタミンB群や一部の微量ミネラルが不足しても、ナイアシン欠乏症が悪化します。
2. グルタミン不足
グルタミンは、トリプトファンとニコチン酸をNAD+ に変換(合成)するために必要な栄養素です。そのため、グルタミンが不足してもナイアシン欠乏症が起こります。
グルタミンは体内でグルタミン酸から作られるアミノ酸です。また、グルタミン酸を多く含む食品はナイアシンを多く含む食品と類似しています。
3. 消化器の病気
腸内におけるナイアシンの吸収不良を起こす疾患には、次のようなものがあります。
- クローン病
- 巨大十二指腸
など
そのほか、次の疾患によってもナイアシン欠乏が起こります。
- ハートナップ病|トリプトファンの吸収不全を引き起こす遺伝性疾患
- カルチノイド症候群|カルチノイド腫瘍は、トリプトファンをナイアシン合成ではなく、セロトニン合成のために利用してしまう
- 腎臓疾患(透析患者)
- がん
- HIV/AIDS
- アルコール依存症|慢性的なアルコール摂取によって、食事からのナイアシン吸収を減少させ、トリプトファンのNAD変換を妨げます
4. 医薬品
トリプトファンが体内でナイアシンに合成される経路を妨害することが知られている医薬品は次の通りです。
- 免疫抑制薬(アザチオプリン/イムラン、6-メルカプトプリン)
- 抗がん剤(5-フルオロウラシル/5-FU/アドルシル)
- パーキンソン病薬(レボドパ/カルビドパ、シネメット)
- 抗結核薬イソニアジド|長期服用によってナイアシン欠乏症が起こる
体内合成ができなくなるので、食事から直接ナイアシンを摂る必要が生じるため、不足しやすくなると考えられています。
言い換えれば、上記したお薬を服用している人は、意識してナイアシン豊富な食品を食べることで欠乏症を予防できます。
欠乏症の治療
世界保健機関(WHO)は、ナイアシン欠乏症の人のナイアシンの補給には「ニコチン酸アミド」のサプリメントを用いることを推奨しています。
「ニコチン酸」のサプリメントでは、大量摂取で紅潮が起こることがあるからです。ニコチン酸の副作用については、後述する「ニコチン酸のサプリメント」の項をご確認ください。
治療ガイドラインでは、次の用法と用量のどちらかで3~4週間摂取することを推奨しています。
- 経口投与・・・1日300mgを分割して投与
- 静脈投与・・・1日100mgを分割して投与
また、ビタミンB群の複合体製剤の投与が推奨されています。(なぜビタミンB群の複合体投与が必要なのかについては、『ビタミンB群』をご参照ください。)
ナイアシンを多く含む食品
ナイアシンを不足させないためには、サプリメントからではなく食事をしてほしいとヘルスコーチとして願います。それが一番安心で安全な方法だからです。
生鮮食品中のナイアシンは、主にNADやNADPの形で存在しています。
食品を加熱調理したり加工する過程でNADとNADPは分解されて、次の成分になります。
- 動物性食品・・・ニコチン酸アミド
- 植物性食品・・・ニコチン酸
生で食べる場合には、消化器官で分解されて、動物性のものも植物性のものもニコチン酸アミドになります。
ただし、食品によって分解率/消化率や吸収率が異なります。日本で一般的に食べられている食事中のナイアシンの利用効率は約60%と推定されています。
トウモロコシを主食にする場合
熟したトウモロコシには、かなりの量のナイアシンが含まれていますが、それはヒトが栄養として利用できない形のものです。でも、熟す前の未熟なトウモロコシには、ヒトが利用できる形のナイアシンが含まれています。
メキシコなどトウモロコシを主食にしている地域では、伝統的にトウモロコシを調理前に石灰(酸化カルシウム)溶液(=アルカリ溶液)に浸し、そのまま加熱調理します。そうすることでナイアシンが生体利用可能な状態になることが明らかにされています。
米や小麦ではなく、トウモロコシを主食にする場合には、必要なひと手間、伝統の知恵ですね。
女性ホルモン剤による影響
エストロゲン製剤とエストロゲンを含む女性ホルモン剤は、アミノ酸トリプトファンをナイアシンの合成に優先的に使用させることが知られています。
その結果、ナイアシンが不足する可能性は低くなります。
一方で、同じようにトリプトファンを必要とする幸せホルモンのセロトニンの合成が不足する可能性があり、うつ症状が現れやすくなることが報告されています。
がんとの関係
I型糖尿病との関係
循環器疾患予防との関係
循環器疾患治療との関係
遺伝性疾患との関係
統合失調症との関係
サプリメントの安全性と危険性
ニコチン酸のサプリメント/医療法補助剤
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ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス
ナイアシンの認知度や人気度は一般的には高くないと思われるので、むやみにサプリメントを服用したいと考える人も少ないのではないかと思います。
しかし、血圧が高めだったり、高コレステロールが気になる人にとっては、魅力的なサプリメントに映るかもしれません。
今回、ご紹介してきた通り、ナイアシンのサプリメントにはある一定の医療効果が認められているからこそ、副作用も大きく、重篤なものもあります。
まずは、ナイアシンを豊富に含む食品を多く食卓に並べることから始めませんか?あなたは1日に3食は食べるのです。その食事を変えることから始めましょう。
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