バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。
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カロテノイドは植物色素
カロテノイドは、植物、藻類、光合成細菌などによって合成される750以上の天然色素です。私たちは、そのうちの40~50種類を野菜や果物から得ています。
食品から得られるカロテノイドの代表選手は次の6つです。
- α-カロテン
- β-カロテン
- β-クリプトキサンチン
- リコピン
- ルテイン
- ゼアキサンチン
ここでは、6つのカロテノイドのうち、βカロテンについてお伝えしていきます。
カロテノイド全体としての機能については、『食卓を虹色にするだけで様々な病気を予防改善するカロテノイドの力』をご確認ください。
目次
βカロテンの色
β-カロテンは、植物の色素のひとつです。β-カロテンの色はオレンジ色と黄色です。
ニンジンやカボチャなど、オレンジ色や黄色の野菜や果物に豊富に含まれています。なお、ほうれん草にもβ-カロテンが豊富に含まれていますが、ほうれん草の緑色の色素クロロフィルによって、黄色とオレンジ色が隠されてしまっているだけです。
β-カロテンは、プロビタミンAカロテノイドです。
食事からのβ-カロテンが、体内で1μgのレチノールになるために必要な量は12μgです。しかし、β-カロテンをサプリメントで摂る場合には、2μgでレチノール1μgになることが確認されています。
特に、定期的なアルコール摂取によって、β-カロテンのレチノールへの変換が阻害されるという証拠がいくつか存在しています。
安全性
また、β-カロテンは、光過敏症(赤血球生成性プロトポルフィリン症)の治療に高用量(1日最大180mg)が使用されますが、毒性の副作用は起きていません。
ビタミンAの体内貯蔵量が多いと、ビタミンAへの変換が減少します。このことが、β-カロテンを大量に服用してもビタミンA毒性の発生が現在までに報告されていない理由だと考えられています。
免疫機能改善
いくつかの臨床試験で、プロビタミンAカロテノイドが免疫機能のいくつかのバイオマーカーを改善することが明らかにされています。
心臓血管疾患との関係
サプリメントの効果に確証なし
カロテノイド豊富な果物や野菜を大量に食べることで心血管疾患リスクが低下する可能性があることを示唆する観察研究の結果とは異なり、1日に20~50mgのβ-カロテンのサプリメントを用いた4つのランダム化対照試験では、心血管疾患の予防効果は確認できませんでした。
これらのランダム化対照試験の結果に基づき米国予防保健サービス特別委員会は、β-カロテンのサプリメントが健康な成人の心血管疾患の予防となることを裏付ける証拠はないと結論づけています。
サプリメントで死亡率上昇の可能性
さらに、12件の無作為化プラセボ対照試験のメタ分析は、β-カロテンのサプリメントで心血管疾患による死亡率が増加することを明らかにしています。
β-カロテン豊富な食品を食べることは心血管疾患リスクを低下させるが、
β-カロテンのサプリメントが同様の効果をもつという証拠はない。
サプリメントで予防改善効果消滅
冠状動脈性心疾患がありHDL(善玉)コレステロール濃度が低い160人の患者を対象とした3年間のランダム化対照試験では、シンバスタチンと一緒にナイアシン(ビタミンB5)を服用すると、善玉コレステロールを増やし、冠状動脈狭窄の進行を抑制し、心筋梗塞や脳卒中などが起こる頻度が減少することが示されています。しかし、そこにβカロテンのサプリメントを毎日25mg加えると、効果が消滅する可能性が示されています。
ただし、冠状動脈性心疾患または糖尿病をもつ男女2万人以上を対象に行われた大規模なランダム化対照試験では、ナイアシンを服用せず、シンバスタチンとβカロテン20mgを毎日5年間服用しても心臓保護効果が失われないことが報告されています。
しかし、なぜそうした作用が起こるのかについてはまだ判っていません。そのため、スタチンなどのコレステロール低下薬を服用している人は、β-カロテンのサプリメントによる服用には注意が必要です。
総カロテノイドとしての関係については『カロテノイド|心臓血管疾患』をご確認ください。
乳がんとの関係
12件の前向きコホート研究のメタ分析では、β-カロテンの摂取量が1日5mg増えるごとに乳がんリスクが5%減少することが示唆されています。
データの一貫性を調整した、大規模な前向きコホート研究8件の統合分析では、β-カロテンの血中濃度が最も低いグループと比較して、最も高いグループでは、乳がんリスクが17%低いことが示されています。
看護師健康調査(NHS)と看護師健康調査2(NHSII)の症例対照研究でも、血中のβ-カロテンの濃度が高いほど、乳がんリスクが18%低下することが示されています。
さらなる分析によって、乳がんの種類によっては、β-カロテンの血中濃度による効果が異なることが示されています。
- β-カロテンの血中濃度が高くなるほど、エストロゲン受容体陰性(ER-)乳がんリスクが低くなる
- β-カロテンの血中濃度とエストロゲン受容体陽性(ER+)乳がんリスクとの相関なし
同様の結果が、多施設共同の大規模な「欧州がんと栄養に関する前向き調査(EPIC)」研究における症例対照研究からも報告されています。
総カロテノイドとしての関係については『カロテノイド|乳がん』をご確認ください。
肺がんとの関係
肺がんの発症リスクとβ-カロテンのサプリメントの効果は、大規模な無作為化プラセボ対照試験で調査されています。
フィンランド|喫煙者の男性29,000人以上を対象に、1日あたり20mgのβ-カロテンのサプリメントと/または50mgのα-トコフェロール(ビタミンE)のサプリメント効果が評価されました。
米国|喫煙者、元喫煙者、職業上アスベスト暴露歴がある男女18,314 人を対象に、1日あたり30mgのβ-カロテンのサプリメントと25,000 IUのレチノールのサプリメントの効果が評価されました。
サプリメントでリスク上昇
結果、β-カロテンのサプリメントを摂取したグループの肺がんリスクが
- フィンランド・・・6年後に16%増加
- 米国・・・4年後に28%増加
更に、加齢黄斑変性症治療のために、5年間にわたる抗酸化ビタミンとミネラルのサプリメントの効果を評価した多施設共同ランダム化二重盲検プラセボ対照試験(AREDS2)は、β-カロテンのサプリメントの服用によって、非喫煙者と比較して元喫煙者の肺がんリスクがほぼ2倍になることを明らかにしています。
喫煙者を含む高リスク集団を対象に行われた4件のランダム化比較試験のメタ分析は、β-カロテンのサプリメント(単独またはレチノールとの併用)を3.7~12年間使い続けると、肺がんリスクが20倍になることを明らかにしています。
また、2件のランダム化比較試験によって、高用量のβ-カロテンのサプリメントの服用に関連した肺がんリスクは、アルコール摂取量が多い人でより上昇することが分かっています。
なお、米国の男性医師22,071人(うち喫煙者11%)を対象に行われた研究では、1日おきにβ-カロテンのサプリメント50mgを摂取したグループでは、12年後においても肺がんリスクの上昇はありませんでした。
米国予防サービス特別委員会は、高用量のβ-カロテンのサプリメントを使用するリスクは、潜在的な利点を上回るとし、特に喫煙者やその他の高リスク集団が、サプリメントでβ-カロテンを摂取することを推奨していません。
ただ、β-カロテンのサプリメントの摂取が肺がんリスクをなぜ増加させるのかの理由はまだ明らかではありません。
総カロテノイドとしての関係については『カロテノイド|肺がん』をご確認ください。
膀胱がんとの関係
β-カロテンの血中濃度が高いほど、膀胱がんリスクが低下することが示唆されています。
総カロテノイドとの関係については『カロテノイド|膀胱がん』をご確認ください。
大腸がんとの関係
「欧州がんと栄養に関する前向き調査(EPIC)」研究の症例対照研究は、β-カロテンを食べる量が最も多いグループで大腸がんリスクが31%低いことを明らかにしています。
総カロテノイドとしての関係については『カロテノイド|大腸がん』をご確認ください。
骨粗鬆症との関係
食事から摂る場合
「前向きフラミンガム骨粗鬆症研究」に参加した603人の4年間のデータを分析した結果、β-カロテンを食事から食べる量が多いほど、男性の大腿骨近位部の骨密度が高くなることが明らかにされています。
63,257人の男女を10年間追跡調査した大規模な前向き研究「シンガポール中国人健康調査」では、食事からのβ-カロテンの摂取量が多いほど、男性の大腿骨頸部骨折リスクが低くなることを報告しています。ただし、女性では関連性が確認できなかったと報告しています。
「ヨーロッパのがんと栄養に関する前向き調査 – ノーフォークコホート」の横断分析によって、食事からのβ-カロテンの摂取量と女性のかかとの骨密度が関連していることが判明しています。
サプリメントで摂る場合
ここで紹介した骨粗鬆症や骨折の予防との関係を発見した研究は、食事からのカロテノイドの摂取量を調査したものです。そのため、サプリメントからカロテノイドを摂取した場合にも高齢者の骨量減少を防止し、骨粗鬆症リスクを低下させるかは、現時点では不明です。
また、サプリメントによる高用量のビタミンA(レチノール)の摂取が骨の健康へ悪影響となることが明らかにされていることに注意する必要があります。
総カロテノイドとしての関係については『カロテノイド|骨粗鬆症』をご確認ください。
加齢黄斑変性症(AMD)との関係
「加齢性眼疾患研究(AREDS)」では、次の栄養素を合わせてサプリメントで5年間服用し続けると、進行性AMDの発症リスクが25%減少したことが示されています。
- β-カロテン・・・1日15mg
- ビタミンC・・・1日500mg
- ビタミンE・・・1日400IU
- 亜鉛・・・1日80mg
- 銅・・・1日2mg
しかし、網膜にはβ-カロテンが存在しないことからか、β-カロテンのみのサプリメントを用いた研究では、いずれも、AMDの予防や改善効果は示されませんでした。
カロテノダミア(高カロテン血症)
1日あたり30mg以上の高用量のβ-カロテンのサプリメントの服用、または、カロテン豊富な食品を大量に食べることで、「カロテノダミア」として知られる皮膚の黄色変色が生じることが分かっています。
ただし、これは健康上の問題とは考えられておらず、β-カロテンのサプリメントを止めるか、カロテン豊富な食品を減らすことで解消します。
妊婦と授乳婦
ビタミンAとは異なり、妊婦がβ-カロテン豊富な食品を大量に食べても先天性欠損症のリスクが上昇しないことが示されています。
ただし、妊娠中と授乳中の高用量のβ-カロテンのサプリメントの安全性は十分に研究されていません。そのため、β-カロテンを食事で制限する理由はありませんが、1日3mg(1,500RAE、5,000IU)を超えるサプリメントの服用は、止めた方が良いでしょう。
サプリメント
β-カロテンは、マルチビタミンのサプリメントの、ビタミンA成分として含まれていることが多いです。視覚的な健康を促進すると謳っている市販のサプリメントに含まれていることもあります。
通常、ソフトジェルカプセルの形状で、次のいずれかを含んでいます。
- 合成β-カロテン
- 天然 β-カロテン(主に藻類由来)
サプリメントから摂るβ-カロテンの体内利用率は、食品から摂るβ-カロテンよりもかなり高く、レチノール1μgとして利用するためには、食品からは12μg必要なところ、サプリメントからは2μgで十分です。
また、サプリメントのβ-カロテンの含有量は、μgではなく、国際単位(IU)で記載されることが多いことも特徴です。
カロテノイド同士の相互作用
代謝研究では、β-カロテンを高用量で摂取すると、ルテインとリコピンの吸収を阻害する可能性が示唆されています。
β-カロテンを多く含む食品
下は、フルーツだけをβカロテン当量で表示した表です。
ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス
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参考文献
- “Carotenoids”, Micronutrient Information Center, Linus Pauling Institute
- “Carotenoids: Dietary Sources, Extraction, Encapsulation, Bioavailability, and Health Benefits-A Review of Recent Advancements”, Saini RK, Prasad P, Lokesh V, Shang X, Shin J, Keum YS, Lee JH, Antioxidants (Basel). 2022 Apr 18;11(4):795. doi: 10.3390/antiox11040795. PMID: 35453480; PMCID: PMC9025559.
ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング