ハーバード大学病院の医師が教えるフルーツと血糖値の本当の話

2025/12/09/

バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。

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いまだに糖尿病の人は果物を食べてはいけないと信じている人がいます。

でも、そんなことはありません。

糖尿病の人でも果物を避ける必要はない

これは、もう10年以上も前から明らかにされている医学的な真実です。なのに今でも、「糖尿病の人は果物を食べない方が良い」などという誤ったアドバイスを目に耳にします。

たぶん、それは、2023年に発表された「果糖生存危機仮説」による影響ではないかと思われます。

果糖生存危機仮説とは、2023年にコロラド大学のジョンソン博士が米国肥満学会の機関誌『Obesity』に発表した仮説です。

フルーツに含まれている果糖は、ブドウ糖とは異なり、ほぼ全てが肝臓で代謝されることから、満腹感を感じられないだけでなく、果糖を過剰に摂取すると、体が「飢餓状態に陥った」と誤認してしまい、生存のために脂肪を蓄積し、食欲を増進させてしまうという仮説です。

専門家が消えて欲しいと願う食事に関する10の迷信』でもお伝えしましたが、今回は、ハーバード大学のブリガム・アンド・ウィメンズ病院の栄養・ウェルネスサービスマネージャーの、管理栄養士でもあり認定糖尿病ケア・教育スペシャリストでもあるナンシー・オリベイラ氏が、果物と血糖値の関係についてあらためて説明されていますので、和訳要約してお伝えします。

なお、裏付けとなる資料や論文は、最後に参考文献として一覧にしています。

I型糖尿病、II型糖尿病、あるいは妊娠糖尿病と診断されたからといって、季節のフルーツを食べる基本的な楽しみを諦める必要はありません。

果物を丸ごと食べることは、糖尿病の人にとっての良い食生活に含まれる、重要な要素です。

甘く熟した果物を食べても、ケーキや食パン、キャンディといった甘い加工食品を食べた時と同じような影響は体には起こりません

果物に含まれる糖分は、保護膜となる食物繊維と水分に包まれており、さらに抗酸化ポリフェノール、ビタミン、ミネラルといった健康的な成分に包まれています。

食物繊維は、糖が血液中に取り込まれるのを緩やかにし、血糖値の上昇と下降を緩やかにします。

2023年5月に『Frontiers in Endocrinology(内分泌学フロンティア)』誌に掲載された、糖尿病患者を対象に行われた19件のランダム化比較試験のメタアナリシスは、生の果物とドライフルーツの両方を適度に丸ごと食べることで空腹時血糖値が有意に低下することを示しています。

研究者は、次のようにも述べています。

「総エネルギー摂取量を変えることなく、
糖尿病患者がより多くの果物を摂取することを推奨します。」

一方で、フルーツジュース、フルーツドリンクやソーダ、フルーツクッキーなど、糖をたっぷりと添加された食品や飲料は、食物繊維がほとんど、あるいは全く含まれないため、血糖値を急上昇させます。

果物に対する血糖値反応は人によって異なります。

オリベイラ氏は、糖尿病患者に持続血糖測定器(CGM)を使用して、特定の果物を食べた後の血糖値反応をモニタリングすることを推奨しています。

持続血糖測定器(CGM)は、皮膚にセンサーを装着し、スマホなどをかざすだけで血糖値を連続的に測定し、血糖値の変動パターンを「見える化」する医療機器です。

CGMをお使いではない場合は、果物を食べた1~2時間後に、従来の血糖測定器を使用して血糖値を測定し、記録してください。

オリベイラ氏は、次のようにも説明しています。

「果物に対する反応は人によって異なりますが、
果物を何と一緒に食べるかによっても異なります」

例えば、果物とシリアルを一緒に食べるよりも、果物とナッツを一緒に食べることで血糖値の急上昇を抑えられる可能性は高くなります。

果物は、糖尿病患者のための、バランスの取れた食事に間違いなく取り入れることができます

観察研究は因果関係を証明するものではありませんが、『栄養学レビュー(Nutrition Reviews)』誌に掲載された、観察研究のシステマティックレビューとメタアナリシスは、次の事実を明らかにしています。

果物を多く食べる糖尿病患者は、
心血管疾患やその他のあらゆる原因による死亡リスクが低い

オリベイラ氏は、果物のグリセミック指数(GI値)やグリセミック負荷(GL値)にあまりこだわらない方が良いと述べています。

「果物の量や付け合わせの食品によって、血糖値の反応は変化します。
そのため、個別の食品のGIに着目するのはあまり実用的な方法ではありません

血糖値測定器で、あなた自身の体の反応を確認する方が良いです。

わたしたちは、ひとりひとり異なります。あなたの体の反応は、あなた固有のものです。それがバイオ個性です。

果物はどれも栄養価が高く食物繊維が豊富です。そして、加工されていない(あるいは加工が最小限の)炭水化物の源です。

どんな果物も、適度に食べれば問題ありません。

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