熱中症になりにくい体を作る方法|熱中症になりやすい人と熱中症を起こしやすい薬

2022/06/30/

バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。

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熱中症の季節本番

早々に梅雨があけ、熱中症が心配になる季節になりましたね。

あなたも私もヒトは、恒温動物です。体温が一定になるように造られています。冬、気温が低くなっても、夏、気温が高くなっても、あなたの体温は変わりません。

それには、基礎代謝が大きく関わっています

代謝・・それはつまり、体内でエネルギーが燃えることです。燃えることによって熱が作られます。体温を一定に保つために、冬はエネルギーが多く燃え基礎代謝があがります。一方で、夏はエネルギーが燃えないように基礎代謝が下がるようにできています。

この代謝の切り替えが体内で上手くできないと、熱が体内にこもって熱中症になったり、熱が不足して冷え症になったりします。

この代謝の切り替えには腸内細菌が大きく関わっていることも近年の研究によって明らかにされています。そして、代謝の切り替えだけでなく、汗をかくことによっても体表温度を下げる仕組みが人体には備わっています。

熱中症には種類がある

熱中症と一言で表現されることが多いですが、熱中症には軽度から重度まで段階別に種類分けされています。

軽度から重度の順は次の通りです。

  1. 熱失神
  2. 熱けいれん
  3. 熱疲労(熱バテ)
  4. 熱射病(日射病)

熱中症の重症度の見分け方

それぞれの症状は明らかに異なりますが、始まりはどれも同じです

  1. 力が入らなくなり
  2. 突然汗が吹き出し
  3. めまいが起きます

熱中症の初期段階、熱中症の兆候が表れた時点で対処することによって、その後の重症化を防ぐことが可能になります。

がまんしないこと過信しないことが重要です。

熱中症の重症度別症状

1. 熱失神

次の現象によって、脳への血流が減少して脳が酸欠になることで起こる一過性の失神です。

  1. 汗を大量にかいたことで起きた、脱水
  2. 暑さで血管が広がったことで起きた、血圧の低下

熱失神の症状

  • 顔面蒼白
  • めまい
  • 数秒間の失神
  • 頻脈/脈拍が不安定になる

2. 熱けいれん

汗を大量にかいた後、塩分の補給をせずに水分だけを補給していると起こる筋肉のけいれんです。

汗に含まれているナトリウムなどのミネラルは、筋肉の収縮や拡張に欠かせない栄養素です。大量の汗と共に体の外へ排出されてしまうと、筋肉が上手く動かなくなり、筋肉痛やけいれんが生じます。

熱けいれんの症状

  • 筋肉痛
  • 筋肉けいれん
  • 手足のつり

余談:東京オリンピックのボランティアをしていた時には、お水と一緒に塩のタブレットが配給されていましたよ。

3. 熱疲労

体内の水分が不足して、熱が体内にこもることで起こります。

汗を大量にかいた後の水分補給不足だけでなく、汗をかかなかったとしても水分補給を定期的に行わなかっただけで起こることがあります。

熱射病の前兆と考えられている症状で、直ぐに病院へ行く必要があります

熱疲労の症状

  • 喉の渇き
  • 全身の倦怠感/疲労感
  • 頭痛
  • めまい
  • 吐き気
  • 集中力・判断力の低下
  • 興奮状態
  • 体温上昇(高熱)
  • 昏睡

4. 熱射病/日射病

熱疲労が重症化して起こります。

体温が40℃近くまで上がり、完全に脱水しているので汗が止まり、血液が凝固を始めます。血流が止まるので、全身の臓器に障害が起き、意識障害やショック状態に陥り、死に至ることもあります

熱射病の症状

  • 高熱(40℃以上)
  • 発汗がない
  • 頻脈
  • 血圧上昇
  • 意識障害(呼びかけに反応しない)
  • 多臓器不全
  • 中枢神経障害
  • 昏睡

熱射病の症状が起きたら、応急処置によって症状が一旦回復した場合でも、必ず病院を受診してください。臓器損傷などが起きている可能性があるからです。

熱中症になりやすい人

次の疾患を持っている人

  • 心疾患
  • 肥満(メタボ)
  • 熱中症にかかったことがある人・・・一度、熱中症になったことがある人は、繰り返すと言われています。

体調不良がある人

  • 下痢
  • 発熱
  • 寝不足
  • 疲労

など

上手く発汗できない人

  • 無汗症の人
  • 甲状腺機能低下症の人
  • 乳幼児
  • 高齢者

熱中症が起こりやすい環境/条件

運動など身体的な活動を伴わなくても、気温と湿度の両方が高い環境で起こりやすくなります。

  • 梅雨明けの時期
  • 気温の急激な変化・・・前日比だけでなく、旅行などで気温の低い土地から気温の高い土地へ数時間で移動した時などにも起きることがあります。
  • アスファルトの上
  • 休暇明け
  • 飲酒後・・・アルコールの様々な作用によって体温調節ができなくなります。
  • カフェイン・・・利尿作用と、心拍を上げ深部体温を上昇させる作用があります。

熱中症リスクを高める医薬品

医薬品の中には、体温調節機能を鈍くしてしまう作用があるものがあります。しかし、だからと言って、医師から処方されている薬を自己判断で止めることはしないでくださいね

次の薬を服用している人は、熱中症にかかりやすいことを自覚して、無理をせずしっかり準備と予防対策をするように心がけてください。

  • 抗ヒスタミン剤(アレルギー薬)・・・脱水症状を起こす作用があります。
  • 風邪薬/咳止め薬・・・抗ヒスタミン成分を含んでいる場合があります。カフェインを含んでいる場合があります。
  • 利尿剤・・・脱水作用があります。
  • βブロッカー(降圧剤)・・・心拍に影響をもっているため
  • ベンゾジアゼピン系剤(睡眠薬・抗不安薬・精神安定剤)・・・脱水作用があり、心拍と呼吸を遅くする作用があります。
  • 抗精神薬・・・脱水作用があります。
  • レボチロキシン(甲状腺薬)・・・体内温度を上昇させる作用があります。
  • アンフェタミン系剤(ADHD薬など)・・・代謝を高める作用があるため、体温を上げてしまいます。

薬の作用については『あなたが痩せないのはその薬が原因かもしれません』も併せてご確認ください。

熱中症の兆候が表れた時の対処法

マイルドなめまいや熱けいれんが起こることは珍しくありません。本当にマイルドな場合に限りますが、自分で対処できます。

熱中症の兆候に気がついたら次の行動をしてくださいね。

日陰に移動する

太陽の光を避けて、涼しい場所に移動してください。あるいは、空調が効いた屋内に移動しましょう。

上着などの衣類を脱いで涼しい状態になってください。

水またはスポーツドリンクを飲む

「喉が渇いたな」と思った時には、もう既に脱水症状が起き始めている可能性があると言われます。そのため、小まめな水分補給が重要です。

水分補給は、熱中症予防になるだけではありません。水分補給の大切さについては『おしっこの白濁』もご参照ください。

大量の汗をかいたのでなければ、普通の「水」を飲むようにしましょう。普通の水、軟水で十分です。

スポーツドリンクには、通常よりも多くの塩分が含まれていますから、大量の汗をかいていないのにスポーツドリンクを飲むことはお勧めできません。

運動などによって大量の汗をかいた場合には、「スポーツドリンク」が便利です。汗で失ったナトリウムなどが補えるよう、ミネラル成分が配合されています。

しかし、塩のタブレットを摂るのであれば、普通の水を飲むようにしてください。スポーツドリンクと一緒に飲むと塩分過多になり返って体調を悪くしてしまいます。

上述したような熱中症の兆候が現れた時には、「経口補水液」を飲んでください。経口補水液には、塩分だけでなく腸内吸収を促進させるために糖分も含まれています。あなたの体液と同じ濃度に配合されていますので、即効性に期待できます。

ただし、熱中症の兆候がないのに経口補水液を飲むことはお勧めできません。塩分と糖分の余剰摂取になりかねませんので、普通の水を飲むようにしましょう。

体を冷やす

水でタオルやスポンジを濡らし、首すじや脇の下、腿のつけねなどを冷やしてください。これらの部位には大きな血管が通っているため、効率よく体内を冷やすことができます。

症状がひどい時には、保冷剤や冷えたペットボトルをそのまま脇の下や腿のつけねに押し当ててください。

休憩する

活動を続けずに一旦中断し、座って、あるいは、横になって休みましょう。そうすることによって、あなたの体温調節機能が回復してきます。

もし状態が改善しないようであれば、必ず病院を受診してくださいね。

2001~2015年までに熱中症も認知症もなかった同じプロファイルの約28万人と比較し、同期間に初めて熱中症と診断され、診断時に認知症ではなかった20歳以上の約7万人を2018年末まで追跡調査した研究は、熱中症が認知症リスクの上昇と関連があることを明らかにしています。

また、ラットを用いた実験では、熱射病を起こしたラットに認知機能障害が起こること、そして、脳の海馬に次の変化が観察されたことが報告されています。

  • 顕著な神経損傷
  • 不可逆的な神経変性
  • アポトーシス
  • アミロイド斑の蓄積

熱中症によって、後年に認知症になるリスクが高まるのだとしたら、なおさら予防したいものですね。

熱中症予防のために日々できること

熱中症にかかりにくい体を作ることが大切です。そのためには次のようなことを意識して過ごすことが重要です。

  • 規則正しい生活(十分な睡眠)
  • バランスのとれた食事(ビタミン&ミネラル豊富な食事)
  • 水分補給(カフェインやアルコール飲料ではなく水)
  • 胃腸の不調改善(腸内環境改善・胃の不快感改善)
  • 適切な体重の維持

こうした耳にタコができるくらい繰り返し言われていることが、体内の循環をスムーズにする体の基礎を造ってくれます。

特に、夏の暑い日の外出日の前日は、次の対策が熱中症予防に有効です。

  • お酒を飲まない
  • 十分な睡眠をとる
  • 十分な休息をとる

そして、当日は、しっかりと食事をし、十分な水分補給をして外出することです。もちろん、マイボトルなど水分補給できるものを持参しておくと安心です。

最近では小型扇風機を持っている人をよく見かけます。私は扇子派です。どちらにしても風があると多少の涼がとれるので、そうした準備も忘れずに。

ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス

夏には夏のお野菜と果物を

統合食養学(ホリスティック栄養学)は、季節と共に生きること食べることを推奨します。夏に育つ野菜や果物には、自らを紫外線から守る成分(抗酸化物質)が多く含まれています。

また、夏の熱や熱による乾燥から自らを守るために水分を多く含んでいるだけでなく、あなたの体内で熱を作らないどころか、熱を取ってくれます。

そうしたお野菜や果物を食べることで、あなたもその恩恵を受けることができます。内側から紫外線から体を守り、水分補給し、体内に熱がこもることを予防できます。

夏のホリスティックなライフスタイルについては『夏には夏のデトックス』をご参照くださいね。

季節を感じて生活する

夏も冬もいつも一定の快適な温度に保たれた室内で過ごすのではなく、夏は夏の暑さを感じて、冬は冬の寒さを感じて過ごす方が、季節に伴って変化する体内の代謝をスムーズに移行させることが可能になります。

もちろん、猛暑日に何時間も外にいることを勧めているわけではありませんし、暑さに耐えてがまんすることを勧めているわけでもありません。

ただ環境からの刺激(気温変化)によって体内の代謝は変化するのですから、季節が感じられない環境で1日中毎日過ごすのではなく、十分な予防をしつつ、外出して季節を感じる生活をする方が返って健康的なのです。

身土不二です。

ソフィアウッズ・インスティテュートのマインド・ボディ・メディシン講座セルフドクターコースでは、あなたが食を通してご自身の主治医(セルフドクター)になるために、必要な知識とスキルを教えています。

腸内環境と体温調節の詳しい関係についても、学べますよ。

新学期は、毎年3月と9月です。講座でお会いしましょう。

あるいは、ヘルスコーチと、一度、話をしてみませんか?

公認ホリスティック・ヘルスコーチは、食事だけでなく、あなたを取り巻く様々なこと(環境、仕事、家族、人間関係など)を考慮して、プログラムに反映させ、あなたが、なりたいあなたになれるようコーチングを提供します。

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参考文献

ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング