バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。
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目次
動物は家族の一員
さまざまな動物と家族の一員として一緒に暮らしている人はとても多いのではないでしょうか。
その中でも、人気を二分するのが、猫と犬ですね。
わたしは、犬は嫌いではありませんが、どっち?と訊かれたら、猫の方が好きです。
東京のマンションでは動物と一緒に住むことができませんが、実家には子供の頃から13年前まで、常に猫や犬、主に猫、がいました。拾ってきた子、居ついた野良、その野良の子、そして、アメリカから一緒に引き揚げてきた子など・・。
13年前に21歳まで生きた子が死んでからは、高齢になった両親は他の動物を飼おうとしなかったため、その子が最後の猫になりました。
動物と暮らす健康への影響
最近、動物と一緒に暮らす健康への影響について報告する研究が多く発表されています。
犬と暮らしている人やご家庭が多いせいか、犬とヒトに関するデータが最も豊富です。犬以外の動物とのデータは乏しいですが、無いわけではありません。
特に、抱きしめたり撫でたりすることのできるモフモフ系の動物と暮らす効果には、その動物でなければならない特別な理由を除いて、一緒に暮らす効果にそれほど大きな違いはないと、個人的には思っています。
今回は、そんな、動物と一緒に暮らすと起こる健康への副作用についてお伝えします。
なお、裏付けとなる研究論文は最後に参考文献として一覧にしています。
心臓血管の健康維持/心臓血管疾患予防効果
動物と暮らしていない人と比べて、動物と暮らしている人(特に犬)は、心血管疾患を発症するリスクが低いことが報告されています。
チェコ共和国の聖アン大学病院は、ブルノ市在住の健康な1,769人(男性44.3%、女性55.7%、平均年齢25~64歳)を2013年から5年ごとに2030年までの追跡調査を実施し、犬と一緒に暮らすことと心血管健康(CVH)スコアとの関係を調査しています。
対象者が暮らしている動物の内訳は次の通りでした。
- 犬・・・24.3%
- その他の動物・・・17.9%
合計で、全体の約42%の人が動物と暮らしていました。
なお、CVHスコアとは、米国心臓協会(AHA)による心臓の次の7つの健康指標「Life’s Simple7(人生のシンプル7)」を、それぞれ0点(不良)、1点(普通)、2点(最適)で採点し合計したものです。
- BMI
- 食事
- 身体活動度
- 喫煙状況
- 血圧
- 血糖値
- 総コレステロール値
動物と暮らしている人で良い結果
動物と暮らしていない人と比べて、動物と暮らしている人は、次の項目で良い成績となりました。
- 身体活動
- 食事
- 血糖値
特に、他の動物と暮らしている人と比較して、犬と暮らしている人は食事と身体活動のスコアが最適であったことが示されている一方で、犬と暮らしている人は喫煙傾向が高く、それが、心血管疾患リスクを上げていることも示されています。
犬と暮らしている喫煙者は、せっかくの健康効果をチャラにしてしまっていますね・・。
研究者は、次の様に述べています。
「犬と暮らしている人は、
喫煙を除き、
身体活動度と食事内容が良好である割合が高く、
それが心臓と血管の健康につながっていると考えられる。また、犬と暮らすと散歩などで
定期的に外出して身体を動かしたり、犬と遊ぶようになる。
他の研究では、犬と暮らすことで、
心血管リスク因子である社会的孤立感や精神的な健康状態の改善につながる
ことも示されている」
認知症予防
国立環境研究所は、東京都大田区住民基本台帳から2016年6月1日時点で要支援または要介護認定を受けていない65~84歳の区民を層化ランダム抽出し、1万1,194人を4年間追跡調査し、犬や猫と暮らすことと認知症の関連を調査した結果を2023年10月に発表しました。
残念なことに、猫と暮らしている人と暮らしていない人との間には、認知症予防や発症に関する有意な差はみられなかったことが報告されています。
一方で、犬と暮らすことには、次のメリットがあることが示されました。
犬と暮らすだけで認知症予防
犬と暮らしていない(非犬飼育で)運動習慣がない人と比較して、認知症リスクに次の違いがありました。
- 「非犬飼育+運動習慣あり」・・・31%低下
- 「犬飼育+運動習慣なし」・・・11%低下
- 「犬飼育+運動習慣あり」・・・63%低下
運動をしなくても犬と暮らすだけで、11%も認知症が予防できることが示されています。しかし、犬と暮らさなくても、運動習慣があれば、31%も認知症を予防できることも示されていて、認知症予防には、犬よりも運動習慣の方が効果が高いということでもありますね。
もちろん、犬と暮らして運動するのが一番、予防効果が高いのですが(笑)
社会的なつながりよりも効果
また、犬と暮らしていない(非犬飼育で)社会的に孤立している人と比較すると、次の違いがありました。
- 「非犬飼育+社会的孤立なし」・・・44%低下
- 「犬飼育+社会的孤立あり」・・・57%低下
- 「犬飼育+社会的孤立なし」・・・59%低下
こちらも、犬と暮らさなくても社会的なつながり(地域コミュニティに参加したり、友達付き合い)を持っていれば、44%の認知症予防になることが分ります。ただ、社会的に孤立していても、犬と暮らすだけで、認知症が57%も予防できることも示されています。
社会的なつながりよりも、犬と暮らすことの方が認知症予防になるということですね。
認知症予防効果としては、次の順番のようですね。
運動習慣 > 犬 > 社会的なつながり
犬と肥満
これまでの研究で、犬の肥満は、保護者の肥満と関連することが報告されています。
過食傾向や贅沢な食事好きの保護者は、犬にも過剰な食べ物を与え、運動嫌いな保護者は、犬の散歩もあまり行わないなど、保護者の健康行動(運動や食事)が、犬に影響していることが要因だと考えられています。
この保護者の行動傾向は、一緒に暮らす動物の健康に影響するだけでなく、一緒に暮らす家族にも影響することが想像できます。不健康な食事が好きな親や保護者は、不健康な食事を子供に与えがちです。家族みんな肥満体型というグループを街でよく見かけるようになりましたが、関連があるように思います。
犬と糖尿病
スウェーデンのアップサラ大学(Uppsala University)は、次のペアを約6年間追跡したコホート研究の結果を報告しています。
- 犬と保護者・・・20万8,980組
- 猫と保護者・・・12万3,566組
その結果、次の関連性が明らかになりました。
- II型糖尿病を発症した保護者の犬がII型糖尿病を発症するリスク・・・28%高い
- II型糖尿病を発症した犬の保護者がII型糖尿病を発症するリスク・・・38%高い
II型糖尿病とは、生活習慣(不健康な食事と運動不足)によって起こる糖尿病です。II型糖尿病を発症するようなあなたの生活習慣が、あなたと一緒に暮らす動物の健康まで蝕むことが示されたのです。
一方で、猫と保護者の糖尿病との間に関連性は見られないことも示されています。
研究者は、猫よりも犬の方が保護者とライフスタイルを共有する確率が高いからではないかと述べています。
全死亡リスクの低下
動物と暮らしていない人と比較し、動物と一緒に暮らす人の全死亡リスクが、26%も有意に低くなることが示されています。
日本の国立環境研究所は、オーストラリアの大規模調査「世帯・所得・労働の動向調査(HILDA)」のデータを追跡し、2018年のデータから1万5,735人(平均年齢46.1歳、女性53%、男性47%)のデータを4年間追跡し、2022年の全国死亡統計(National Death Index)とマッチングさせ、全死亡リスクとの関連性を分析しています。
対象者のうち訳は次の通りです。
- 動物と同居・・・9,525人(60.5%)
- 動物なし・・・6,210人(39.5%)
動物の種類は次の通りです。
- 犬・・・6,898人(43.8%)
- 猫・・・3,717人(23.6%)
- 鳥・・・1,532人(9.7%)
- 魚・・・1,203人(7.7%)
- その他・・・1,028人(6.5%)
動物と暮らしていない人と比較し、何等かの動物と暮らしている人の全死亡リスクは、平均して0.74(0.59~0.93)倍と26%も有意に低かったことが示されています。
動物の種類別の効果
動物の種類別では、次の通りでした。
- 犬・・・0.77(0.59~0.99)倍
- 猫・・・0.77(0.56~1.05)倍
- 鳥・・・0.69(0.40~1.22)倍
- 魚・・・0.68(0.30~1.54)倍
- その他・・・0.80(0.33~1.93)倍
平均すると猫も犬と同じくらいですが、リスクのバラツキを考慮すると、1.0倍を下回るのは犬と暮らしている人だけですね。
とはいえ、犬以外の動物と一緒に暮らすことでも死亡リスクが低下するかもしれないことも示されているのは、嬉しいですね。(というか、サンプル数が犬よりもかなり少ないので、その分、データにばらつきがあるのは仕方がないことです。)
子供のアレルギー予防
「一緒に暮らしている動物のせいで子供がアレルギーになるのではないか」と心配する親・保護者がいらっしゃるようですが、その逆ですよ!
既に、動物と一緒に暮らすことで、子供の呼吸器アレルギーが予防できることは、いくつもの研究で示されています。
そして、食物アレルギーまで予防できる可能性が、福島県立医科大学医学部小児科が環境省の「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」のデータを用いて行った解析によって示されています。
対象となった6万6,215人のうち、動物を暮らしている子供の割合は次の通りです。
- 胎児期に動物(室内飼育・外飼育の犬、猫、ハムスター、亀、鳥など)・・・1万4,306人(21.6%)
- 幼児期初期に室内で犬・・・6,933人(10.5%)
- 幼児期初期に室内で猫・・・5,092人(7.7%)
3歳までのアレルギー予防効果
解析の結果、胎児期または幼児期初期に犬または猫と室内で一緒に暮らすことで3歳までに食物アレルギーを発症するリスクが次のように低下することが明らかにされています。
- 胎児期の犬の室内飼育・・・0.86(0.78〜0.93)倍
- 胎児期の猫の室内飼育・・・0.84(0.75〜0.93)倍
- 幼児期初期の犬の室内飼育・・・0.87(0.80〜0.94)倍
- 幼児期初期の猫の室内飼育・・・0.87(0.78〜0.95)倍
食品別の予防効果
食品ごとの3歳までの食物アレルギー発症と動物との関係では、次のことが示されています。
- 卵アレルギー・・・胎児期と幼児期初期の犬または猫の室内飼育で低下
- 牛乳アレルギー・・・胎児期と幼児期初期の犬の室内飼育、または、幼児期初期の犬の外飼育で低下
- 小麦アレルギー・・・胎児期と幼児期初期の猫の室内飼育で低下
- 大豆アレルギー・・・幼児期初期の猫の室内飼育で低下
- ナッツ類アレルギー・・・幼児期初期の犬の室内飼育で低下
ただし、子供のアレルギー発症の原因となるリスク要因には、母親の妊娠中の抗生物質の摂取や幼児期の抗生物質の投与などもあるため、犬や猫と暮らしたからといって、完全に子供の食物アレルギーを予防できるわけではありません。
とはいえ、発症のリスクを少しでも低く抑えられるのなら、妊娠中から犬や猫と暮らし始めることを検討する価値はありそうです。
精神状態の安定/メンタルヘルスの維持
子供のウェルビーイング
麻布大学ヒトと動物の共生科学センターは、東京都医学総合研究所の「思春期の健康・発達コホート研究(東京Teen Cohort:TTC)」の参加者2,584人の子供のデータを用いて、動物と暮らす経験とウエルビーイングの状態(心と体が幸せな状態)との関係について解析を行っています。
ウエルビーイングの状態は、5項目の質問表を用いて過去2週間の幸福度について参加者が0~5点で評価をしたものをスコア化して評価しています。
解析の結果、ウエルビーイングの度合いは、10歳の時と比べて12歳になると低下することが明らかになりました。
しかし、犬と暮らしていない子供と比べて、犬と暮らしている子供(252人、9.9%)では、低下の度合いが少なかったことが示されています。猫では違いは現れませんでした。
研究者は、犬とヒトは、視線を介してオキシトシンの分泌を互いに促す作用があるからではないかと述べています。
オキシトシンは、スキンシップなどによって分泌され、不安や緊張の軽減、ストレスの解消、整腸機能、痛みの緩和などの効果を有するホルモンで、絆の形成や信頼に関係しているホルモンです。
大人の燃え尽き症候群予防
ハンガリーの国立ペーチ大学が2022年9月1日~11月1日に放射線科医と放射線技師を対象に行ったバーンアウト(燃え尽き症候群)に関するオンライン調査が2024年11月に発表されました。
その結果、自宅でペットを飼っている人のうち、燃え尽き症候群の兆候があったのはわずか8.7%でした。
猫か犬かについては、いくつかの潜在的な要因によって、猫よりも犬を飼う方が感情的疲労と燃え尽き症候群を予防する力が高いことが示されています。
研究者は、その理由を次のように説明しています。
「犬との仲間意識や友情は相互作用的で、社交的であることが多いため、
感情的な健康を高め、精神の快適さとサポートの源となる。
また、散歩に連れていくなどの定期的な運動など、犬の世話をすることは、
規則正しい生活リズムを生み、そのことが毎日の目的意識に貢献し、
日常生活の単調さや変化の欠如に関連する燃え尽き症候群を
軽減している可能性がある。」
猫好きから一言言わせてもらうと、犬は決して嫌いではありませんが、犬と一緒にいても一向に癒されません(笑)だから、犬か猫か、ではなく、どっちがより好きかで燃え尽き予防効果が人によって異なるのではないかと思うのですが、どうなのでしょうか・・・。
ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス
統合食養学は、体を満たす前に、まず心を満たすことが最も大切なことだと考える新しい栄養学です。
動物と暮らすことは、心を効果的に満たすひとつの方法です。そして、今回のお伝えした多くの研究が、動物によって心が満たされることが、いかに体の健康にとって大きな影響をもっているかを示しているように思います。
心と体はつながっています。あなたはホリスティックな存在なのです。
公認統合食養(ホリスティック)ヘルスコーチは、食事だけでなく、あなたを取り巻く様々なこと(環境、仕事、家族、人間関係など)を考慮して、プログラムに反映させ、あなたが、なりたいあなたになれるようコーチングを提供します。
もしおひとりで取り組むことに不安や難しさを感じるのでしたら、ヘルスコーチと、一度、話をしてみませんか?
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参考文献
- “Dog Ownership and Cardiovascular Health: Results From the Kardiovize 2030 Project”, Andrea Maugeri, Jose R. Medina-Inojosa, Sarka Kunzova, Antonella Agodi, Manlio Vinciguerra, Francisco Lopez-Jimenez, Volume 3, Issue 3, p268-275, September 2019, Mayo Clinic Proceedings
- “Dog, cat, bird, fish, and other pet ownership and mortality: Evidence from the HILDA cohort.”, Taniguchi Y, Ikeuchi T, Yong J., PLoS One. 2024 Aug 14;19(8):e0305546., doi: 10.1371/journal.pone.0305546. PMID: 39141654; PMCID: PMC11324118.
- “The shared risk of diabetes between dog and cat owners and their pets: register based cohort study.”, Delicano RA, Hammar U, Egenvall A, Westgarth C, Mubanga M, Byberg L, Fall T, Kennedy B., BMJ. 2020 Dec 10;371:m4337., doi: 10.1136/bmj.m4337. PMID: 33303475; PMCID: PMC7726310.
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