
バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。
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目次
統合食養学はホールフードを勧める
統合食養学(Integrative Nutrition)は、古代ローマのホリスティック哲学に沿って現代科学の知見を反映させた新しい栄養学です。
1. ホリスティック哲学
ホリスティック哲学による「ホリスティック」の定義には、次の2つがあります。
- 全体はそれを構成する部分お総和よりも価値がある
- 個体は孤立して存在しているのではなく環境全てとつながっている
この哲学を栄養学としてのアプローチに展開すると、次のようになります。
2. 統合食養学のホリスティック・アプローチ

- 食事は、ミクロ栄養素ではなくホールフードを食べる
- 季節の食べもの、地産の食べものを食べる
ミクロ栄養素とは、ビタミンやミネラルやポリフェノールといった食品を構成する成分(一部分)のことです。一方、ホールフードとは、丸々そのまま、皮ごと、種ごと、葉ごと、根ごと食べる自然食品のことです。
もちろん、食べられない皮や種を無理に食べる必要はありませんが、例えば、大根や人参の皮はむかずに調理します。もし皮をむくような場合でも、後で、皮もちゃんと他のお料理に使います。
穀類、豆類、シーズ類、ナッツ類なども、薄皮がついたまま食べます。お米なら白米ではなく玄米、小麦なら白小麦でなく全粒粉を食べることになります。
お料理の見栄えや食感を良くするために取り除かれてしまう部分には、ビタミンやミネラル、抗酸化物質のポリフェノールやフラボノイド、食物繊維が豊富に含まれています。
自然食品はできるだけホールのまま食べる方があなたの体にとって価値があるのです。
ホールフードで食べるなら自然栽培
皮ごと全部食べるので、その皮に残留農薬があったら心配です。だから、自然食品は農薬や化学肥料を用いた通常栽培のものではなく、有機栽培や自然栽培のものを選ぶことが重要になります。
農林水産省は、国産の農作物の残留農薬の検出結果をホームページで公表していますが、残留農薬が検出されている農作物は非常に多いです。
皮をむくことのできないフルーツや葉物野菜からも残留農薬が検出されています。
ちなみに、有機栽培は、無農薬ではありません。有機肥料と有機農薬を用いた栽培法ですから、無農薬ではありません。一方、自然栽培は農薬も肥料も用いずに栽培する栽培法です。
ホールフードで食事をするためには、残留農薬の心配のない食品を選ぶことも大切です。
玄米に関する誤解と注意点

今回は、ホールフードから、穀類、特に、玄米についてお伝えします。
玄米に限らず、他の穀類や豆類、ナッツ類やシーズ類など、発芽する種(たね)を食べる際には、これからお伝えすることを知っておいてくださいね。
【誤解1】ヌカがあると栄養素が取り出せない
玄米はヌカに覆われているため、中の栄養素が取り出せないとおっしゃる人が時々いらっしゃいます。
確かに、ヌカを取り除いている白米と比べたらブドウ糖を摂り出すのは難いかもしれません。しかし、まったく取り出せないわけではありませんし、白米と比べてブドウ糖が取り出し難いための利点もあります。
(1)栄養素はヌカに多く含まれている
玄米に含まれているビタミンとミネラルの量は、白米の3倍~10倍です。ビタミンとミネラルの多くが、白米にするために取り除かれるヌカに含まれているからです。
玄米はヌカに覆われているから、白米よりも栄養価が高いのです。また、ヌカには食物繊維も豊富に含まれています。
そのヌカを取り除いてしまえば、ヌカ以外の部分に含まれているブドウ糖は摂り出しやすくなるかもしれませんが、肝心のビタミンとミネラル、そして、食物繊維は失われます。結果、血糖値が急上昇し、体内を酸性に傾け、脂肪としての蓄積を促すこととなります。
玄米に含まれている食物繊維はブドウ糖の吸収を穏やかにし、ミネラルは体内が酸性に傾くことを予防し、ビタミンはブドウ糖の代謝を促すため脂肪として蓄積されることを抑えます。
(2)加熱で植物の細胞壁は壊れる
植物の細胞には細胞壁があります。これは動物の細胞にはないものです。この細胞壁があるため、植物性食品の栄養素は、動物性食品と比べて取り出し難いのは事実です。
しかし植物の細胞壁は、加熱によって壊すことができます。
植物性の食品はなんであれ、加熱して食べれば栄養素を摂り出しやすくなります。玄米を生で食べる人はいらっしゃらないでしょうから、玄米の栄養素が取り出し難いということはありません。

(3)歯は何のためにある
食べものを飲み込むように食べる人もいらっしゃいますが、普通の人は、口の中で歯でよく噛んでから飲み込みます。
歯でよく噛むことで、更に細胞壁を細かく粉砕でき、ヌカの中に含まれている栄養素も十分に取り出すことができます。
(4)噛み応えがあると消化吸収力アップ
口の中でしっかりと食べ物を噛み続けることで、唾液が出ます。
唾液にはアミラーゼと呼ばれる消化酵素が含まれています。アミラーゼによって、ご飯のデンプンはブドウ糖に変換されます。
白米もしっかりと噛んで食べなければ、十分にブドウ糖にはなりません。
更に、噛む刺激によって、胃の消化酵素の分泌が促されます。胃の消化酵素ペプシンは、塩酸よりも強い酸性の消化酵素です。その後、十二指腸からも胆のうからも肝臓からも消化酵素や代謝酵素が分泌され、小腸で栄養素が吸収されます。
つまり、白米のように柔らかすぎる食べものよりも、玄米のように噛み応えのある食べもの方が、消化酵素や代謝酵素の働きを刺激し、栄養の消化吸収に効果があるといえます。
【誤解2】圧力鍋で炊けば浸水の必要なし

玄米は一晩ほど浸水させてから炊くのが伝統的な方法です。それにはちゃんとした理由があるのですが、単に、白米よりも硬い食感の玄米を柔らかく美味しく食べる工夫のひとつだと思っている人がいらっしゃいます。
そのため、圧力鍋を使えば玄米も柔らかくモチもちになるので、浸水の必要はないと考える人もいらっしゃるようです。
確かに、圧力鍋で炊くと玄米も柔らかくモチもちになります。でも、食感だけが玄米を浸水させる理由ではありません。
(1)マクロビオティクスが圧力鍋を勧める理由
マクロビオティクスでは、玄米を圧力鍋で炊くことを勧めます。
マクロビオティクスは、東洋医学の陰陽道から派生した新しい陰陽道に基づく食事法で、そこには調理法なども含まれます。マクロビオティクスでは、体を陽性に導くことを善としています。
マクロビオティクスでは、畑の作物は陰性、海の作物は陽性と考えます。また、圧力鍋での調理は陽性、土鍋や電気炊飯器による調理は陰性と考えられています。(ただし、土鍋も時間をかけてゆっくり炊けば陽性になります。)
そのため、陰性の玄米を陽性に導く方法として、圧力鍋での調理を勧めるのです。
柔らかくすることが主な理由ではありません。
(2)ABA(アブシジン酸)を抜く

玄米に限らず、発芽する能力のある種(たね)には、アブシジン酸(ABA)とよばれる成分が含まれています。
ABAは植物ホルモンの一種で、植物の発芽を調節しているだけでなく、動物に捕食されることを防ぐための毒としての働きもしています。そのため、ABAは発芽毒とも呼ばれます。
動物の細胞内で生命維持にとって不可欠な存在である、ミトコンドリアに対して毒性を持っています。
ABAは水溶性のため、玄米などを浸水することで抜くことができます。また、ABAは発芽毒ですから、発芽してしまえば無毒化します。
「発芽」といっても本当に芽が出てしまえば「スプラウツ」という別の食品になってしまいます。ここでいう発芽とは、浸水させてから数時間後に玄米から小さな細かい泡がでてきた状態のことを指します。
つまり「発芽玄米」とは、ABAを無毒化した玄米のことです。
また、加熱乾燥させると発芽機能が失われます。
自然乾燥の玄米は生きていますから、まだ発芽する能力をもっています。一方、加熱乾燥すると玄米自体が死に発芽能力も失われるため、ABAが機能しません。
浸水が面倒な人は、発芽玄米か加熱乾燥させた玄米を選ぶと良いでしょう。
【誤解3】フィチン酸がミネラル吸収を阻害する

玄米など、ヌカや薄皮がついたままのシーズ類、豆類、穀類、ナッツ類などには、「フィチン」と呼ばれるフィチン酸とミネラルイオンが結合した成分が含まれています。
フィチン酸が結合しやすいミネラルは、主に、鉄分と亜鉛です。カルシウムとマグネシウムにも若干結合します。
そのことから、「玄米を食べるとミネラル(鉄分や亜鉛)が小腸で吸収されなくなる」というデマが根強くネット上に存在しています。
(1)玄米に含まれているのはフィチン
上で述べたように、玄米に含まれているのは、フィチンです。フィチン酸イオンではありません。
玄米のフィチン酸は、既にミネラルと結合して、フィチンという状態で玄米の中に存在しています。そのため、体内の他のミネラルと結合するようなことはありませんし、小腸での吸収に影響することもありません
【誤解4】フィチン酸は無い方が良い

上記の誤解から、フィチン酸はミネラルを奪う悪者であるかのような更なる誤解が生じているようです。
(1)フィチン酸は大腸がんを予防する
全粒穀類(玄米など)が大腸がん予防になるのは、食物繊維の効果だとよく耳にします。
確かに、食物繊維は腸内の有害物質を吸着して排泄を促し、腸内に長く留まることを阻止する働きをしています。また、食物繊維は腸内の善玉菌の餌となり、善玉菌が大腸がんを予防する物質を造るための材料になっています。
しかし、玄米などが大腸がん予防になる理由は、それだけではありません。
フィチン酸の働きも大きいのです。フィチン酸は抗酸化物質で、特に、大腸内の酸化を防止ししています。
大腸だけでなく、他の臓器の酸化も予防していることから、全身的ながん予防効果があると考えられています。
玄米を発芽させるもうひとつの利点
玄米は、発芽させるとABAが無毒化されるだけでなく、次の変化が起こることが報告されています。
- 栄養成分の増加
- 栄養素の体内吸収率の上昇
- 新しい有効成分の発生
例えば、発芽玄米の γアミノ酪酸(GABA)の含有量は、白米や発芽前の玄米の数倍になると考えられています。
GABAは、神経伝達物質として働くアミノ酸です。血圧や精神を安定させる効果があると言われています。
玄米食で高齢者の認知症、無気力、骨指標が改善

島根大学生理学講座は、島根県在住の高齢者(65〜85歳)44人を対象に、超高静水圧処理玄米の摂取が認知機能、メンタルヘルス、骨の状態に及ぼす影響を検討するランダム化比較試験を実施し、その結果を2025年9月に発表しました。
超高静水圧処理玄米とは、水に浸した玄米に6000気圧という超高水圧を加えて加工した玄米のことです。この処理によって、玄米の栄養素が消化・吸収されやすい形に変化し、炊飯時間が短縮されます。
参加者は次の2つのグループにランダムに分けられ、12か月間追跡調査されました。
- 1日に白米を200g食べるグループ
- 1日に玄米と白米を100gずつ食べるグループ
その結果、白米グループと比較して、玄米と白米のグループでは、認知機能、意欲、骨密度が有意に高くなったことが示されています。
研究者は次のように述べています。
「超高静水圧処理玄米には、神経保護作用や骨代謝改善作用を持つとされる
ミネラル、食物繊維、脂質、γオリザノール、GABA、フェルラ酸などが
豊富に含まれており、
これらの相乗効果が今回の結果をもたらしたと考えられ、
認知、意欲、骨の健康を総合的に支える食事介入となる可能性が示された」
ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス

「超高静水圧処理玄米」という製品を購入することもできるとは思いますが、結局は、浸水した玄米を圧力鍋で炊けば十分ではないかと思います。
もしおひとりで取り組むことに不安や難しさを感じるのでしたら、ヘルスコーチと、一度、話をしてみませんか?
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参考文献
- “Grate Grains”, Institute for Integrative Nutirition
- 「栄養学 – からだの生理と栄養」、香川靖男、女子栄養大学栄養学教授
- “Dissecting Anti-Nutrients: The Good and Bad of Phytic Acid”
- “Functional benefits of ultra-high hydrostatic pressurized brown rice on cognition, apathy, and bone health in older adults: A 12-month randomized controlled trial.”, Matsuzaki K, Yano S, Kuroda Y, Nakahata H, Matsuda T, Kinoshita H, Yoshino K, Shido O, Kishi H, Hashimoto M., Exp Ther Med. 2025 Aug 11;30(4):192. doi: 10.3892/etm.2025.12942. PMID: 40901038; PMCID: PMC12400291
ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング