バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。
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目次
サイエンス誌『ネイチャー』に2016年12月に掲載された研究論文をご紹介します。
アルツハイマー病のマウスを使った研究ですが、脳波のひとつ、ガンマ(γ)波の振動の同調を脳内で回復させると、脳内に蓄積されていたアミロイドβタンパク質が除去されたと報告されています。
アミロイドβタンパク質は、脳内に蓄積するとアルツハイマー病を発病させると言われている物質です。つまり、脳内に溜まったゴミですね。(詳しくは、『アルツハイマー病・認知症(1)予防と改善』をご参照ください。)
ヒトにおいてもアミロイドβタンパク質の蓄積だけでなく、アルツハイマー病患者の脳では神経回路の「ガンマ振動」が弱くなっていることが既に観察されています。
今回の研究によって、アミロイドβタンパクの蓄積とガンマ波に関連があることが明らかにされたわけです。
(裏付けとなっている論文は最後に参考文献として掲載しています。)
脳波
脳内では、神経回路を介して電気的振動が生じています。こうした脳のリズムは、「脳波」として知られていますが、周波数(振動数)によって5種類に分類されています。
デルタ波 (0.5~4Hz)
周波が一番遅い(周波数が少ない)脳波です。夢をみていない深い眠りの時に、体や脳をメンテナンスしている時に発生します。
シータ波 (4~8Hz)
眠りに落ちる直前のような状態、深く落ち着いた状態の時に発生します。瞑想時に発生することも知られており、ヒーリング効果があると言われている脳波です。
私達が活動を始めると6~12Hzの顕著な定在波として発生します。
アルファ波 (8~12Hz)
心も体もリラックスしている時や、心穏やかに何かに集中している時に発生します。記憶力がよくなるとか、集中力がアップするといった効果があると言われている脳波です。
ベータ波 (12~30Hz)
仕事や家事など日常の活動をしている時に発生します。緊張したり、イライラしたりといった、ネガティブな感情が生じる時にも発生します。
ガンマ波 (30Hz以上)
私達が行動している時に発生します。意識と深い関わりがあって、知覚した情報を統合するために必要だと考えられています。
ガンマ波
脳内情報の統合
例えば、私達が物を見た時、その情報は後頭部でいったん処理されます。その後、物体の色、動き、形などに分類され、それぞれ大脳の別々の部位で更なる情報処理が行われます。
この時、情報処理を行っている大脳の各部位のガンマ波が同期すると、各部位で処理された情報が統合されるのです。そのため、会話などをスムーズに行うことができるのです。
例えば、統合失調症の患者さんの脳では、ガンマ波の発生に異常が生じていることが判っています。(だから、会話が成り立たない。)
高次精神機能(予知や超能力など)に関与?
ガンマ波は、高次精神機能(予知や超能力など)に関与しているとも言われています。でも、そのメカニズムはまだ明らかにはなっていません。
メタ認知(ワーキングメモリ)機能に関与
近年、ガンマ波の領域に高域と低域の2種類の帯域が存在することがマウスを使った実験で示され、多くの研究者がその機能分担について議論するようになってきているようです。
例えば、私達は行動するときに、起こした行動が正しいか間違っているかをモニターしていて、必要があれば行動を修正します。こうした脳の機能は「意識」あるいは、心理学用語で「メタ認知」と呼ばれています。
間違いに気付いて行動を意識的に修正する、いわゆる“お手つき”試行では、高周波のガンマ波の同期が時間的、空間的にシフトすることが観察されており、ヒト特有のメタ認知(ワーキングメモリ)機能には、高周波のガンマ波の同期が、極めて重要な役割を果たしていることが実証されています。
ガンマ波とシータ波
ガンマ波が観測される時には、シータ波が基本波として観測されることが報告されています。これらの周波数帯域の結合が、脳の高次機能に関連している可能性が考えられています。
では、私達は何をしたら、ガンマ波を強くすることができるのでしょうか。
ガンマ波を発生・強化させるには
1.刺激豊かな環境に暮らす
マウスを使った研究ですが、隔離環境で育ったマウスよりも豊かな環境で育ったマウスは、ガンマ波が強いことが報告されています。
豊かな環境で飼育されたマウスの脳内では、ガンマ波の振幅が大きくなり、特に右脳のガンマ波の振幅が左脳に比べてより大きくなり、かつ、左右の脳のガンマ波のリズムが同期することが明らかにされています。
記憶力と学習力が向上
豊かな環境で飼育すると、記憶や学習に関わり、特に脳が学習するときの本質であるシナプスの可塑性が起きてガンマ波が顕著に変化することが示唆されました。
その時、右側のシナプス密度が左側に比べ明らかに高くなっていたそうです。ヒトでは、言語中枢が左脳にあるなど、脳に機能的な左右差がありますが、この発見は、そうした仕組みを解明する手掛かりになると期待されています。
アルツハイマー病予防となる、アミロイドβタンパク質の脳内の蓄積を解消してくれるガンマ波を強くして、かつ各部位のガンマ波を同期させるためには、刺激豊かな環境で生活することが有効のようです。
若い時の環境が重要
特に、この研究は、人間であれば思春期にあたる若いマウスを用いていたことから、アルツハイマー病が発症しやすくなる老齢になってからではなく、10代20代の頃から豊かな刺激のある環境で過ごすことがとっても大切だということではないかと考えられています。
2年以上の継続が必要
更に同じ研究者による別の実験で、飼育環境による脳波変化は短期間では起こらず、3週間以上の豊かな環境での慢性的な経験が必要であることが報告されています。
マウスの3週間は、単純計算でヒトの約2年にあたります。
逆に言えば、2年以上部屋の中にひきこもってばかりいたり、誰とも会話をしないという時間が続くと、ガンマ波は弱くなると考えられないでしょうか。危険ですね。
生活に刺激を加えるには
- 新しいことにチャレンジ
- 知らない街に旅行
- 知らない人と会話
- 博物館や美術館にでかける
- 自然や動物とふれあう
- 子供と遊ぶ
- 日々のルーテインを壊す
こうしたことが良さそうですね。それも2年以上続けることが大切です。
2.瞑想
シータ波が発生するとき、海馬の一部でガンマ波が同時に発生するということに注目します。
シータ波は、瞑想を行うことで発生させることができる脳波です。
瞑想を日々の習慣にすることで、シータ波とガンマ波を発生させ、脳内のアミロイドβタンパク質の蓄積を防止できるのではないかと期待します。
瞑想には様々な効能があることが、既に、科学的な研究論文によって報告されていますが、邪念だけでなく(笑)、アミロイドβタンパク質の除去にも効果があるのなら嬉しいです。
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参考文献:
- “Gamma frequency entrainment attenuates amyloid load and modifies microglia”, Hannah F. Iaccarino, et al, Nature 540, 230–235 (08 December 2016) doi:10.1038/nature20587
Received 22 February 2016 Accepted 02 November 2016 Published online 07 December 2016 - “動物は「高周波ガンマ波」でワーキングメモリを読み出している?”、理研脳科学総合研究センター RIKEN-MIT神経回路遺伝学研究センター利根川進研究室等、2014/04/25
- “思春期に刺激の多い環境で過ごすと脳の左右差と協調リズムが出現 -ラットで左右にある海馬の脳波を同時計測、ガンマ波の大きな変化発見”, 平瀬肇, 脳科学総合研究センター 神経グリア回路研究チーム, 理化学研究所, 2013年4月4日
- “海馬-嗅内皮質間の同期性は記憶を意識的な行動へ変換する過程に重要 -「メタ認知」を支える神経回路メカニズムをマウスで立証“, 理化学研究所, 脳科学総合研究センター理研-MIT神経回路遺伝学研究センター, 2014年4月25日
ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング