バナナの名脇役っぷりが徹底していて実力が逆にすごい

2020/01/21/

バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。

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昭和のエモイ果物バナナ

昭和の初め頃に台湾からもたらされ、珍しい美味しいフルーツとしてもてはやされたバナナ。今では、一気に庶民派となり、華やかさはないものの、デザートを飾るには欠かせない定番の名脇役となっています。

近年、バナナは実力をしっかり備えているフルーツだということが判明しました。

バナナの、主役には一歩及ばないものの、脇役として欠かすことのできない存在感について科学が示したことをお伝えします。今からあなたのバナナへの見方が変わるかもしれません。

今回は、バナナとの関係が報告されている病気について、巷の噂の真偽も含めお伝えし、最後に、バナナのデザートへの効果的な活用法について科学的に分析した研究をご紹介します。

(裏付けとなっている研究論文は、最後に参考文献として一覧にしています。)

バナナはフィトメディシンの素?

バナナの原産地国では、古くからバナナの皮を軽い火傷のシップ薬として家庭で用いていますが、その効能を検証した研究が2014年の『民族薬理学ジャーナル(the Journal of Ethnopharmacology)』に掲載されました。

民族薬理学ジャーナルによれば、バナナの果肉と皮には次の様な抗酸化物質とプロビタミンAの天然源となる成分が多く含まれているとのことです。

  • カロテノイド
  • フェノール
  • アミン化合物

そのため、フィトメディシン(植物由来の医薬品)または対症療法薬を開発する上で、有益な生物活性化合物原料として活用できる可能性があるとしています。

パーキンソン病/うつ病

民族薬理学ジャーナルは、バナナの カロテノイド、フェノール、アミン化合物 の活用として、具体的にパーキンソン病の治療に役に立つ可能性を挙げています。

伝統的な栄養素で見ても、バナナは、脳の健康とデトックスにとって不可欠な銅とマンガンを含んでいます。生のバナナには銅が1日の推奨量の約10%(0.09mg)、マンガンは約7%(0.26mg)含まれています。

米国FDA(食品医薬品局)は、10%以上含んでいる場合、「豊富」と表現できると定義していますので、銅は豊富に、マンガンはほどほどに含んでいると言えます。

それだけでなく、バナナには、ドーパミンの合成に関係するアミノ酸のチロシンとフェニルアラニンが含まれています

パーキンソン病は、ドーパミンが欠乏することでも起こります。ドーパミンは、快楽ホルモンと呼ばれる神経伝達物質で、体内と脳内で造られる天然の向精神薬です。適切に分泌されれば、私達が楽しいことをしたくなるように作用し、私達のやる気の源となるホルモンです。

バナナ1本の可食部の重量が約120gとすると、バナナ1本には約53mg のチロシンとフェニルアラニンが含まれていることになります。これは体重50kgの人が1日に必要とする量の約4%ととなり、10%に満たないため、決して豊富と言える量ではありませんが、役に立たないわけではありません。

民族薬理ジャーナルが指摘したカロテノイド、フェノール、アミン化合物に加えて、 上記した3つの側面(ビタミン、ミネラル、アミノ酸)からも、バナナはパーキンソン病治療にとって、主役ではないものの、欠かせない脇役となる可能性があります。

不眠症

バナナにはトリプトファンが含まれています。体重50kgの人の1日の推奨量の約6%のトリプトファンが1本のバナナに含まれています。(やはり10%には届きませんね、笑)

このアミノ酸は、セロトニンとよばれる神経伝達物質の材料となり、数時間後に睡眠ホルモンであるメラトニンに変換されます。セロトニンは幸せホルモンとも呼ばれるホルモンですから、うつ改善のお役にも立っていますね。

更に、トリプトファンは、炭水化物と一緒に摂ることで、優先的にセロトニンに合成されることが判っています。炭水化物の多いバナナは、それだけでセロトニン合成の有力な食品ということができます。

バナナは決して睡眠薬の代わりはしませんが、おやつにバナナを食べておくことで、幸福感が持続し睡眠が改善されるかもしれません。

抗がん作用への期待

バナナは黒く熟した方が抗がん作用が高くなると言う噂があります。

理由は、バナナは黒くなると、TNFアルファ(Tumor Necrosis Factor:腫瘍壊死因子 α)と呼ばれる物質が多くなるからだと言われています。

しかし、それは本当なのでしょうか。

TNFアルファは、このブログでも時々登場する、炎症を促進させるサイトカインのひとつで、体内で多くなり過ぎると危険な物質ですが、適量であれば、私達の体をサポートして、腸内の免疫細胞同士のコミュニケーションを助ける働きがあります。

具体的には、TNFアルファは、体内で炎症や感染が起きている場所に免疫細胞を誘導するシグナルを送り、腫瘍細胞の成長と転移を抑制し、アポトーシス(細胞死)を促すように働きます。つまり、TNFアルファは、神様がくれた自前の抗がん剤です。

だからと言って、TNFアルファをそのまま食べても、体内で消化分解もされず、TNFアルファのまま細胞に吸収され、上記したような働きをするとは、なかなか考えにくいです。

そのため、いろいろ調べていくと、バナナから発見された多糖類(ポリサッカライド)の「α-(1→6)-d-グルカン」と、いう名前なのか符号なのか分からないような名前の物質が、動物実験で免疫T細胞を増殖させ、マクロファージの貪食機能を促進し、次の物質を体内で増やし、免疫状態を改善したことが報告されていました。

  • CD3+T細胞レベル、CD4+/CD8+比、IL-6、IgG、IgM、溶血素抗体レベル
  • TNF-α

つまり、黒いバナナにTNFアルファが多いのではなく、増えるのは「α-(1→6)-d-グルカン」という多糖類です。その多糖類が、私達の体内で、TNFアルファを増やすということです。

更に、α-(1→6)-d-グルカンの免疫刺激活性は、臨床的免疫刺激薬であるβ-(1→3)-d-グルカンと類似していたそうです。つまり、バナナはヒトの体内においてもTNFαを増やす可能性があるということです。

ちなみに、私は黒く柔らかくなったバナナは、そのまま食べるよりもパンケーキやマフィンの生地に使う方が好きです。それにバナナブレッドなどは、黒く熟したバナナを使う方が香がよく立つように思います。

実際にヒトで効果が検証されるのは、もっと先のこととなると思いますが、黒くなったバナナを嫌ったり、捨てたりする必要がなくなったのは良いニュースですね。

抗炎症作用

更に調べていくと、バナナの花序(花)から抽出した物質が、TNFアルファを有意に減少させ、抗炎症作用を示したことから、創薬につなげられるのではないかという論文がありました。

面白いですね。

バナナの実はTNFアルファを増やし、花はTNFアルファを減らすなんて・・。

甲状腺機能低下症

上述した通りバナナには、アミノ酸のチロシンとフェノルアラニンが含まれています。チロシンとフェニルアラニンは、ドーパミンだけでなく、セロトニンやノルアドレナリンなどモノアミンと呼ばれる神経伝達物質の材料になるだけでなく、甲状腺ホルモン(T3)の材料でもあります。

甲状腺ホルモンは、脂肪を燃やし、健康的な髪や爪の成長に欠かせません。甲状腺ホルモンは、冷えやノボセとも関係していますし、脳を明晰にし、気持ちにパワフル感を生むことに関与しています。(甲状腺機能低下症については『甲状腺機能低下症|(1)こんな症状ありませんか?検査の見方と間違えられやすい病気』をご参照ください。)

もちろん、バナナは、カフェインの代わりにはなりませんし、エナジードリンクの代わりにもなりません。抗うつ剤の代わりになるわけでもありません。でも、バナナが良いホルモンの材料を持っていることは確かですから、私達の気分に影響していることは間違ありません。

つまり、バナナは、やはり主役ではないものの、必要不可欠な脇役として、私達の健康と幸せに関与してくれているのです。

甲状腺ホルモンが少なめな人は、おやつにバナナを!

糖尿病

バナナは、とても炭水化物の多いフルーツです。重量の約20%(1/5)は炭水化物です。そう考えると、糖尿病に良いというのは、矛盾しているように思われるかもしれません。でも、黒くなっていない普通のバナナのGI値は、実はそれほど高くないのです。

バナナのGI値は高くない

GI値は55以下であれば糖尿病の人も安全とされ、55-69が通常、70以上で高GI値となります。

バナナは熟成度によってGI値が変化しますが、シドニー大学のデータベースによれば、それでも42から62です。

糖尿病の人には、あまり熟したバナナはお勧めできませんが、普通の黄色いバナナなら、心配なく食べて構いません。

バナナのペクチン

バナナのGI値が低い理由のひとつが、バナナに含まれているペクチンと呼ばれる難消化性の食物繊維です。ペクチンは、ヒトの消化酵素では分解されず、腸内の微生物によって分解される物質です。

バナナ1本には、食物繊維が1日の推奨量の約8%ほど含まれています。やはり10%に惜しくも若干届きません(笑)また、バナナが熟すほど、ペクチンの量は減ります

忙しさや仕事の性質から、食事と食事の間が空いてしまいがちなクライアントさんに、私はバナナを持ち歩くことを勧めます。低血糖になることを避けられるだけでなく、太ることを気にせず安心して食べられるおやつになるからです。

緑のバナナの難消化性でんぷん

緑色のバナナには、消化酵素アミラーゼで加水分解されることのない難消化性でんぷんが含まれており、胃に長くとどまり、インスリン感受性を調整してくれることから、糖尿病のような代謝性疾患の改善に役立つと考えられています。

それを糖尿病予備軍あるいは糖尿病を既に発症している中年の男女113名を被験者とした実験で検証した研究がありました。24週間約半年間)緑色のバナナから抽出した難消化性澱粉40gを食事に加えたグループ(62名)と一般的な食事制限をしたグループ(51名)を比較しています。

緑色のバナナの難消化性澱粉を食べ続けたグループにおいて、HbA1c空腹時血糖値、血圧、体重、BMI、胴囲が有意に減少したことが報告されています。

と、言われても、なかなか熟していないバナナを日常的な食生活の中に組み入れるのは難しいように思います。南国地域では、緑色のバナナをお芋のように調理して主食として食べる国があるようですが・・。

IBS(過敏性大腸症候群)/下痢/リーキーガット

バナナを一度に大量に食べたことがある人はいらっしゃいますか?きっとその後、便通が非常に悪くなったのではありませんか?

そうなんです。一度にたくさんのバナナを食べると、便秘になります。

上記した通り、バナナに含まれるペクチンは、私達の消化酵素では分解されず、腸内細菌によってのみ分解されるので、腸内に長くとどまるのです。

そのため、ペクチンには、整腸作用やコレステロール低下作用などが報告されており、大腸がん予防の役割を担っているとも言われています。

逆に言えば、下痢しやすい人には、バナナがお勧めです。

実際、下痢を主訴とするIBS過敏性大腸症候群)の患者を対象にペクチンの効果を検証した研究がありました。

下痢を主訴とするIBSの患者87名を対象として、1日に24 gのペクチン粉末を6週間食べたグループ(46名)とプラセボ(偽薬)が与えられたグループ(41名)を比較しています。

6週間の治療の前後に、結腸微生物叢を検査し、便の頻度や形態の変化、症状の複合スコア、QOL(生活の質)のスコアが報告されています。

ペクチンを摂取していたグループでは、症状の複合スコアとQOLスコアが有意に改善しただけでなく、糞便中のビフィズス菌(善玉菌)が大幅に増強され、クロストリジウム属(悪玉菌)が減少したとのことです。

研究開始前には、下痢を主訴とするIBSの患者はいずれも、異常なIL-10 / IL-12比(免疫機能の状態を示す比率)を示したものの、ペクチンの単独投与だけで、正常化されたとのことです。プラセボを摂取したグループでは悪化は見られなかったものの改善もなかったとのこと。

研究者は、ペクチンは、IBS患者の腸内ビフィズス菌を特異的に刺激するプレビオティクス(善玉菌の餌)として作用し、臨床症状の緩和、結腸微生物叢のバランス、全身性炎症の緩和に効果的で、健康な腸の生態系を再構築する能力があり、IBSの治療薬になる可能性があると述べています。

バナナは低FODMAPs食品

「IBSにバナナ」と、言うと心配になるのがバナナの炭水化物ではないでしょうか。

IBSの典型的な症状を引き起こすことが報告されているのは、FODMAPs(Fermentable Oligosaccharides, Disaccharides, Monosaccharides and Polyols:発酵性オリゴ糖類、二糖類、単糖類と多価アルコール)と呼ばれる炭水化物が含まれている食品群です。

ご心配なく、バナナは低FODMAPs食品です。

バナナは、IBSの人達が安心して食べることのできるフルーツです。

バナナのレクチンは悪者ではありません

レクチンは、動物の体にも植物にも含まれているタンパク質で、細胞の周りにくっついている毛のような糖鎖を活用して細胞同士を結合させることのできる物質の総称です。

レクチンは、難消化性のため、多く食べ過ぎると腸壁にくっつきダメージを起こすことが知られています。腸壁へのダメージは、炎症自己免疫疾患肥満症腸炎を招くことにつながる可能性があります。

そして、リーキーガットの主な原因とされるグルテンは、レクチンの一種です。そのため、特にパレオ・ダイエットを行っている人達の間で、レクチンを避ける動きが顕著ですが、全てのレクチンが悪者なのではありません。

グルテンは全てレクチンですが、レクチンの全てが、グルテンではないのです。

そして、正しく調理することでレクチンによる影響を抑え、レクチンの健康効果を得ることもできるんですよ。詳しくは、『レクチンは、次のグルテン?本当に避けるべきものなのでしょうか?』をご覧ください。

HIV

バナナのレクチンが、試験管試験ですが、HIV-1の活動を抑制し、マクロファージの活動を刺激し、がんの成長を抑制することが報告されています。

心疾患

バナナと心疾患を関連づけて考える人はあまりいないように思いますが、バナナにはカリウムとマグネシウムが豊富です。バナナ1本(約120g)には、1日の推奨値の約19%、目標値の約15%のカリウム(432mg)と、推奨量の約12%のマグネシウム(38mg)が含まれています。

これらのミネラルは、十分に10%基準を満たしているので、堂々と「豊富」に含まれていると書けますね(笑)

これらのミネラルは、血圧を正常に保ち、心電図を正常にする働きがあります。

バナナをもっと生活の中に取り入れる方法

バナナの利用方法には、次の様なことが考えられます。

  1. 皮をむいてそのまま食べる
  2. スムージーに入れる
  3. バナナブレッド/マフィン/パンケーキを焼く
  4. バナナチップを造る(バナナをスライスして7時間ほど乾燥機/ディハイドレーターにかける)

バナナを砂糖の代用品にする

熟したバナナを乾燥させて粉末にしたものを、砂糖の代わりに使用してスポンジケーキとレイヤーケーキに使用することの実現可能性を検証した研究がありました。

スポンジケーキとレイヤーケーキの物理的、栄養的、視覚的な完成度を評価しています。

熟したバナナ粉を混ぜることで、生地に一貫性が高まり、スポンジケーキの膨張が抑制され、見た目にわずかに膨らみが小さくなり、若干硬くなることで食感も悪くなったそうです。

しかし、レイヤーケーキにすると、違いはあまり分からなくなったそうです。

栄養的には、食物繊維、ポリフェノール、抗酸化能が向上し、砂糖を使用するよりも栄養価は高まったとしています。

熟して黒くなったバナナは、ディハイドレーターなどで乾燥させた後、粉末にして保存しておき、お砂糖の代わりに使ってもよさそうですね。

ラテックス・アレルギーがある人は要注意

ラテックス・アレルギーがある場合、バナナに対してもアレルギー症状が現れる可能性があります。

ラテックスはゴムの木の樹液から造られます。

ゴムの木で発見されたタンパク質は、バナナだけでなく、アボカド、キウイフルーツ、パッションフルーツ、苺、トマト、栗などにも含まれていますので、ピリピリと口内を刺激したり、鼻水、目のかゆみ、くしゃみ、喘息などのアレルギー症状を引き起こす可能性があります。

ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス

さて、あなたのバナナへの見方は変わったでしょうか?

公認ホリスティック・ヘルスコーチは、食事だけでなく、あなたを取り巻く様々なこと(環境、仕事、家族、人間関係など)を考慮して、プログラムに反映させ、あなたが、なりたいあなたになれるようコーチングを提供します。

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新学期は、毎年3月と9月です。講座でお会いしましょう。

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参考文献:

ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング