翻訳シリーズ|野菜と果物はあなたを殺そうとしている

2014/09/30/

バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。

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過日、マイケル・ポーラン氏によって推薦されていたベラスケス=マノフ氏の論文が、非常に面白かったので、和訳しました。

運動の後にビタミン剤を飲まない方が良い理由など、新しい研究による面白い話でいっぱいです。

原著: MOISES VELASQUEZ-MANOFF 2014年7月17日

皆さんは、きっと適度な運動をして、ちゃんとした食事を心がけていることでしょう。体内の酸化を予防する抗酸化作用が高いと言われるスーパーフードや、ナッツ、フルーツ、野菜などを好んで食べていることでしょう。また、DNAの損傷によるがんの発症や認知症を予防すると言われるサプリメントも飲んでいるかもしれません。

老化による病気を回避できるというのは、素晴らしいことです。

一方で、抗酸化作用(アンチエイジング作用)があると謳われているサプリメントには効果がないという証拠が、多くの臨床研究によって蓄積されています。

野菜やフルーツの抗酸化物質はあなたのためではない

もちろん自然食品の野菜やフルーツには、抗酸化作用があります。でも、彼等は、あなたを酸化ストレスから守ってくれているわけではありません。野菜やフルーツがあなたに健康効果をもたらす理由は真逆です。彼等は、あなたの体にストレスを与えているのです。

野菜やフルーツがもつ殺虫・殺菌作用や草食動物から逃れるための物質によって、ストレスはもたらされます。

例えば、スパイスの辛味やタンニンの渋み、芽キャベツの臭みなどです。それらは、抗バクテリア作用、抗カビ作用など、植物の世界における防衛機能です。

こうした植物の自衛のための微量毒が、適切な量であれば、あなたの健康に寄与するのです。

同様に、健康にとって有害だと思われる様々なものごとも、適度であれば、あなたの健康を強化します。

「酸化を促進させる物質は、常に破壊的だと考えるのは、あまりに短絡的単純思考で、ほぼ間違っているに等しい。酸化物質は、あなたの細胞へストレスの存在を最初に教えるメッセンジャーです。それほど悪いものではありません。」

と、メリーランド州の国立心臓・肺・血液研究所(National Heart, Lung, and Blood Institute)の分子医療センター長トーレン・フィンケル博士は言います。

うむを言わせないほどの科学のうねりが

「健康は、ヒトと植物と環境が関わることによって生まれる
副産物に過ぎない」

と、いう驚くほどホリスティックな絵を見せています。

植物が、病原菌や草食動物、日照りや乾燥から身を守るために備えたサバイバルの仕組みが、あなたの健康にとっても良い効果を副次的にもつことになったという意味です。

活性酸素分子(ROS)犯人説

20世紀半ば、医学が感染症を消滅させると、科学者は老化と関係のある生活習慣病などの変性疾患に注意を向け始めます。彼等の関心は、「活性酸素分子(ROS)」と呼ばれる分子群に注がれます。

この不安定な物質は、DNAを損傷させる可能性がありました。ROS(活性酸素分子)が引き起こす酸化ストレスと生活習慣病(変性疾患)、例えば、がんや心疾患などとの関連性が示唆されてきました。

一方で、細胞のエネルギー工場であるミトコンドリアは、ROS(活性酸素分子)を常に発生させています。生活習慣病は、あなた自身の通常の代謝機能が創り出したものだと言うことなのでしょうか。細胞内のミトコンドリアが、エネルギーを燃やす時にうっかり毒素を排出してしまうために、本体の寿命を縮めているということなのでしょうか。

奇妙なことですが、とにかく、活性酸素分子(ROS)犯人説は有力な仮説でした。

ROS(活性酸素分子)である過酸化水素は、細胞から核をひきちぎり、破壊してしまうことが、ネズミとミミズを使った実験で示されています。もしその細胞がDNAなら、かなり問題です。

でも、あなたは、体内でグルタチオン分子などの抗酸化物質を造ることができ、ROS(活性酸素分子)による酸化恐怖と戦えるようになっています。グルタチオン分子は、ROS(活性酸素分子)に反応して産生され、大切な細胞組織が酸化物質に破壊される前に、中和してしまいます。

これは、ビタミン豊富な野菜やフルーツをいつも食べている人ほど、そして、血中のビタミンEとビタミンCの濃度が高い人ほど健康的であることを意味しています。

細胞だけを用いた試験管試験では、ビタミンが強力な抗酸化力を示したため、老化と病気のROS(活性酸素分子)犯人説の信ぴょう性が高まりました。酸化物質を抗酸化薬で中和させてしまえば、老化を遅らせることができると考えられるようになり、サプリメント業界は、今や米国で23兆円市場となっています。

でも、ROS(活性酸素分子)が、本当にそんなに有害なら、あなた(核生物)の細胞の基礎構造は、なぜ10億年もの間変わらず、進化の過程で活性酸素の問題を解決してこなかったのだろうかと、数人の科学者が疑問に思い始めました。(註:ミトコンドリアが活性酸素を排出し続けているのはなぜだと、いうこと)

活性酸素分子を多く発生させる運動をする人ほど寿命が延びる

同じ頃、科学者達は、運動をし、カロリーを制限された動物の寿命が延びることを発見しました。両方ともROS(活性酸素分子)を上昇させる活動です。

ROS(活性酸素分子)犯人説が正しいとすれば、運動して断食をしている動物は、若死にしなければなりません。しかし、寿命が延びたのです。

スイス連邦技術研究所のエネルギーと代謝の研究者であるミヒャエル・リストゥ博士は、こうした矛盾は、もはや無視できるレベルではないと考え、有害なはずのROS(活性酸素分子)を中和させたら、ミミズの寿命が短くなったことを踏まえ、ヒトを対象に同様の実験を試みました。

39名の男性ボランティアに数週間、運動を続けてもらい、参加者の半数には運動後、ビタミンのサプリメントを飲んでもらいました。2009年に発表された結果は、エクササイズ哲学の分野で未だに語り継がれています。

  • 大量のビタミンCとEのサプリメントを運動後に飲んだボランティアは、運動によるメリットを得ることができませんでした。
  • 筋肉は大きくならず、代謝の健全性指標のインシュリン感受性も改善せず、体内で生成される天然の抗酸化物質グルタチオンも増えませんでした。

運動は、細胞内でのエネルギー燃焼を加速させます。

もしジョギングの後、筋肉の中を見ることができれば、細胞燃焼炉であるミトコンドリアから、危険なROS(活性酸素分子)の排気ガスが過剰に排出されているのを見ることができるでしょう。でも、しばらくすると、ROS(活性酸素分子)が自然に消えてなくなることにも気づくでしょう。代りに天然の抗酸化物質が溢れてくるのを目撃するでしょう。

なぜなら、運動後、筋肉細胞は、酸化ストレスに反応して自前の抗酸化物質を大量生産するからです。前日の運動による酸化ストレスに対処するために、抗酸化物質が増産され、更に、他の酸化危機からも守ってくれるのです。

ROS(活性酸素分子)犯人説とは逆に、リストゥ博士は、運動による酸化ストレスの存在をミトコンドリアと細胞に知らせる重要な役割をROS(活性酸素分子)が担っていることを発見したのです。

ミトホルミシス

リストゥ博士は、健康を向上させるために必要なことは、ROS(活性酸素分子)を中和することではなく、増やすことだと結論づけています。適度なROS(活性酸素分子)は、自前の抗酸化物質を体内で増加させ、インシュリン感受性を向上させ、免疫力を向上させる可能性があるのです。

リストゥ博士は、これを「ミトホルミシス」と名付けました。

「ミト」はミトコンドリアの「ミト」、「ホルミシス」は毒物学の域下増進効果のことです。一般的に毒だと認識されているものに、適量、晒されることで、逆に健康が改善するということを意味しています。例えば、発がん性があると言われているX線も、微量であれば、多くの昆虫の寿命を延ばす効果があることが判っています。

ホルミシス

ホルミシスは、運動を例にすると分かりやすいかもしれません。

重すぎるウエイトを持ち上げたり、長く走りすぎると、筋肉組織は損傷され、腱を痛めてしまいやすくなります。しかし、適度のウエイトを挙げたり、週に2-3回走る程度であれば、骨と筋肉は強化され、骨のミネラル結合と骨密度は向上します。

リストゥ博士は、ビタミンのサプリメント剤が、酸化ストレス後に起きる健康増進プロセスを阻害することを実験を通して観察しています。

ROS(活性酸素分子)によるメッセージを細胞が認知する前に、サプリメントが中和してしまうからだと考えられます。ビタミンは、酸化ストレス後に起こるはずの肉体の強化といった適応反応を阻害してしまうのです。抗酸化物質を補給することで、逆に、肉体を弱体化させてしまうことになります。

ビタミンは健康には不可欠です。そしてサプリメントは、ビタミン不足に陥っている人には有効に働きます。ビタミンCはコラーゲンの生成に必要な成分ですから、ビタミンCが不足すると、コラーゲンの異常によって起こる壊血病の原因となります。

ビタミンの役割は抗酸化作用ではない

つまり、ビタミンの主要な役割は、抗酸化作用ではないのかもしれません。野菜やフルーツに含まれる抗酸化物質は、あなたの健康にとってのメリットではないのかもしれないのです。

老齢国立研究所の神経科学研究室長のマーク・マットソン博士は、植物特有の化学物質、フィトケミカルが、如何に私たちの細胞に影響を与えているかについて、何年にもわたり研究を続けています。

この分野で長く想定されてきた仮説は、ビタミン同様、フィトケミカルは、直接的な抗酸化物質であるということです。

しかし、マットソン博士のグループは、運動と同様にフィトケミカルは、直接的にではなく、間接的に、結果としてあなたの体を強化するストレス源であることを突き止めました。

バイオ農薬と摂食抑制物質

植物は、静的な人生を送ります。彼等は病原体や寄生体や草食動物に対して、移動するという反応はできません。動き回る生命体や熱や乾燥など、環境から受ける多くの脅威に対応するために、進化の過程で驚くべきほど多様な、自己防衛の化学物質をその身の内に生んできました

あなたは植物が持つ兵器をいくつかよく知っています。

タバコの葉に含まれるニコチンは、昆虫の食べる速度を遅くします。豆に含まれるレシチンは、防虫剤の役割をします。ガーリックの旨味成分であるアリシンは、強力な抗菌物質です。

こうした「摂食抑制物質は、ヒトを含め、植物を食べる動物をあきらめさせるために進化してきた物質です。

マットソン博士のグループは、こうした植物の自前の「バイオ農薬」は、ヒトにとってホルミシスのようなストレス源として働くのだと言います。あなたの体は、それらを微量毒と認識し、古代からのデトックス作用を起動させ、分解し、排出します。

例えば、生のブロッコリー・スプラウツは、他のアブラナ科の野菜と同様に、スルフォラファンと呼ばれる摂食抑制物質を持っています。スルフォラファンは酸化物質ですから、ROS(酸化物質)は危険だという考えに沿えば、食べない方が良いのです。でも、スルフォラファンを多く含む野菜を食べることで、酸化ストレスが軽減されることは、研究によって既に証明されています。

スルフォラファンが、血液中に取り込まれると、それが刺激となって、細胞からNrf2と呼ばれるタンパク質が分泌されます。このタンパク質は、老化の「主調整者」と呼ばれているもので、約200を超す遺伝子を活性化します。その遺伝子の中には、抗酸化物質や酵素を生成したり、毒や重金属のデトックス代謝を行うもの、腫瘍を抑制するもの等、私達の健康にとって重要な働きをするものが含まれています。

この謙虚な摂食抑制物質にディナーで出会うと、あなたの体は、環境からだけでなく、体内で発生する毒や酸化物質、免疫への脅威など、健康に害を及ぼす様々な挑戦に対して立ち向かう準備を整えるのです。つまり、あなたの遺伝子をちょっとだけ逆なですることで、スルフォラファンは、あなたの病気への抵抗力を高めてくれていると考えられます。

Ⅱ型糖尿病の研究では、ブロッコリー・スプラウツの粉末が中性脂肪を低下させたことが報告されています。中性脂肪の高値は、心疾患や脳卒中のリスクを上昇させます。異常に高い中性脂肪値を低下させれば病気の予防ができると考えられています。

他の研究では、ブロッコリー・スプラウツの粉末を食べた被験者の上気道の酸化ストレスが軽減されたことが報告されています。自前の抗酸化物質が体内で産生させたことによると考えられ、喘息の症状の緩和に効果があると考えられるようになりました。

カウチポテト問題

がんや認知症では、常に、酸化物質の体内増加が観察されています。

しかし、酸化物質は、こうした病気の真の原因ではないかもしれません。マットソン博士によれば、主要な機能の不全は、たぶん、もっと早いうちに、自前の抗酸化物質を体内で十分に産生することができなくなり、また、細胞間の調整機能が働かなくなってしまったことに起因しているのではないかと述べています。

マットソン博士は、これを「カウチ・ポテト問題」と呼んでいます。(註:カウチはソファーのこと。ソファーに寝転がっているだけで動かず、ポテトチップスのようなジャンクフードばかり食べて過ごしている人を指す米国のスラング)

定期的なホルミシス的ストレス、例えば、運動や菜食など、が不足し、植物の摂食抑制物質の摂り込みが欠如したことで、「細胞が自己満足に陥っている状態」です。「本質的な自己防衛機能が停止している状態」のため、基礎代謝はほとんど効率的に働いていません。インスリン抵抗性(註:インスリンに体が反応しなくなる状態)が生じ、酸化物質に対する抵抗力が失われていきます。本来働くべき機能が何も機能しなくなり、こうした機能不全が積み重なって、生活習慣病のリスクが高まると考えられます。

この研究が暗黙に伝えていることは、欧米的食生活への断罪です。

精製/精白された食品は、単にカロリーが高いということだけでなく、植物のもつ「挑戦的なシグナル」を失っています。そうしたシグナルがあるからこそ、あなたの体は、挑戦に立ち向かう準備をし、それが病気予防につながるのです。

セノホルミシス

一方で、あなたの体が植物のホルミシス的シグナルを受けとる能力は、受け身的でも防衛的でもなく、プロアクティブ(能動的)であるという考えが存在しています。あなたは、バイオ農薬から自己防衛しているのではなく、植物のストレスレベルを感知しているのだと言う考えです。

ハーバード大学のディヴィッド・シンクレア博士のグループは、それを「セノホルミシス(xenohormesis)」と呼びます。他者のストレスから利益を得るという意味です。

多くの植物栄養素は、菌から人間に至るまで、ほとんどの真核生物の寿命に対して、同じような細胞反応を起こします。

コオロギを使ったNrf2タンパク質に関する長年の研究は、このタンパク質を活性化することで、例えば、デトックス、抗酸化物質の産生、臓器炎症のコントロール、腫瘍の抑制など、健康機能に関係している数百以上の遺伝子のスイッチをオンにできることを示しました。

シンクレア博士は、サーチュインと呼ばれる健康に関係した古代のタンパク質の研究もしています。サーチュインは、運動によって起動しますが、他にも、レスベラトールと呼ばれるブドウの皮などに含まれている分子によっても起動します。

「これらの自然に存在する分子が、
ちょうど良い痛さで私達の体をつねることで、
驚くほど多因子的利益をもたらすという事実は、
偶然と言うには、良く出来過ぎている。」

と、シンクレア博士はいいます。

植物のストレスを感知する能力

こうした物質は、必ずしもすべてが摂食抑制物質ではありません。植物は、日照りや紫外線などの環境ストレスに晒された時にもストレス物質を分泌します。

植物が造るストレス物資は、草食動物がその自然環境で暮らす上での重要な情報をもたらしてくれているのかもしれません。この植物からのシグナルを察知できる能力をもった草食動物は、進化の過程において競争優位であったに違いありません。厳しい環境に対して準備することが可能となるからです。

菌類によるストレスを感じて育ったブドウの蔓(つる)は、レスベラトールを分泌して感染しないように自己防衛します。そのブドウで作られたワインを飲む時、タンニンや他の成分の混じり具合によって、あなたの細胞はそのブドウが育った厳しい環境を察知し、自己防衛反応を準備することで、生活習慣病に対する抵抗力をつけるのだと考えられています。

農薬や十分な水やり等によって植物をストレスから守ってきた現代の農業は、セノホルミシスの弱い野菜やフルーツを育てていると言えるでしょう。

「私はストレスに晒された野菜を買います」

と、シンクレア博士は言います。

セノホルミシスは、地中海地域の料理がなぜ健康に良いのかを説明する一因だと言う人もいます。オリーブ、オリーブオイル、様々なナッツなど、暑くて乾燥したストレスの多い環境で育つ食品が多く使われています。生き残りに苦労してきた植物を食べることで、あなた自身もタフになれると考えられています。

コロラド大学アンシャッツ・メディカル・キャンパスの内分泌科医であるフィリップ・フーパー博士は、植物と動物の関係は大抵シンボリックで、コミュニケーションは双方向だと言います。

植物は、バイオケミカル誘導を通して、動物とコミュニケーションとります。

例えば、花を咲かせる植物は、受粉のために蜂などの昆虫の気を惹く競争をしています。コーヒーの木は、カフェインを使うことで、この受粉競争で優位に立とうとします。カフェインは、受粉動物の脳内神経ニューロンを刺激し、脳の深いところの記憶にコーヒーの木の居場所を刻み込みます。バイオケミカル(生化学物質)による“つねり”が、受粉動物が、特定のコーヒーの木に再び戻ってくる可能性を高めるのです。

動物と植物のダンスには、真の中立主義が存在している
「植物と私たちは、一蓮托生」

と、フ-パー博士は言います。

植物も動物もホリスティックな存在

ただ、セノホルミシスは、説得力のある学説ですが、まだ証明されてはいません。

ビタミンから食物繊維まで、様々なダイエット法が流行っては廃れるのを目撃してきた、シンガポール国立大学の生物学者であり抗酸化物質の専門家であるバリー・ハリウェル博士は、ホルミシスとセノホルミシスは、もっともらしいが、確証がないと言います。

多くの研究が野菜やフルーツをたくさん食べる人のライフスタイルは、全般的に健康的だということを示していますが、こうした人々は、もともとジャンクフードをあまり食べませんから、ただそれだけでも健康によいと言えます。

また、個別の化学物質を独立して考えることには問題があるとハリウェル博士は考えています。

「(西洋)薬学ではそうしたアプローチは有効でしょう。
でも、栄養素についてはまったく有効ではありません。

いかなる食物栄養素も単独では、
野菜やフルーツのもつ健康へのメリットを説明できません

多様であることが有効です。」

単純な細胞や培養組織を使った試験管での結果を、複雑な人体の治療的提言としてどのように翻訳できるのか、多くの場合、不透明であると言います。コントロールされた環境下の遺伝子的に同じ細胞や組織では機能したとしても、人体で機能するとは限りません。

特に、レスベラトールを用いたヒトを対象とした研究では、正反対の結果が報告されています。

「適量」の見極めも課題です。隔離された遺伝子と実験対象である特定遺伝子の変異との相互作用の見極めも課題です。相互作用は、通常、ひとつの分子のみを使って観察が行われますが、生の野菜やフルーツは、多くの分子の集合体です。

あなたは、多くの分子に同時に晒されており、そのことで効果を得ているのかもしれません。

腸内のマイクロバイオータ(共生細菌)に関する研究は、確実に、そうした絵を更に複雑なものにすることでしょう。あなたの腸内の常在菌は、食物栄養素を食べ発酵させることで、そのメリットを還元してくれているのです。

そして、全ての結果が示している自明の理は、「自然は、錠剤からは得られない」と、いうことです。

健康は遺伝子だけで決まらない

セノホルミシスの研究は、あなたは、遺伝的遺産の恩恵だけを得ているわけではないということを示しています。遺伝子は重要です。でも、健康は適切な遺伝子が、適切な時に、適切な数だけ、発現することに大きく依存しています。

もし、あなたのゲノム(遺伝子情報)がピアノだったら、遺伝子は鍵盤です。健康は、あなたが奏でる曲です。ホルミシスのストレスが私達を強くしてくれるという研究は、あなたがどんな曲を弾くべきかのヒントを与えてくれます。

体調を定期的な運動で維持すること、そして、加工を最小限に抑えた食品や野菜中心の食事によって、細胞の酸化ストレス反応経路を断続的に刺激し続けることです。

健康維持のためには、厳しいことを避けた方が良いという従来の考えは、こうした事実とは矛盾してきます。

ある種の困難は、健康には必要なことだったのです。

なぜなら、健康は、私達のゲノムがもっている設計図だけの結果ではなく、
もっと広い世界との関係によって造られるものだからです。

抵抗力は、遺伝しません。外部環境からの刺激によって養われるものです。そして、そうした刺激は、たまたま、植物の中にある、ちょっとした毒だったり、酸化ストレス物質だったりするのです。

原典:“Fruits and Vegetables Are Trying to Kill You” JULY 17, 2014、MOISES VELASQUEZ-MANOFF

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