バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。
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目次
偽論文探偵との対談
科学誌などに掲載された論文の中からフェイク論文(偽論文)を探し出し、公表している科学探偵のひとりとの対談が、2022年8月の科学誌『ネイチャー』に、掲載されていました。
内容を読んで、なるほど!と納得することがありましたので翻訳することにしました。
筆者:Holly Else
04 August 2022
偽論文大量製造工場ペーパーミル
スムート・クライドという偽名で活動してきた研究論文の真偽探偵は、何年にも渡り、研究の不正行為の証拠を明らかにしてきました。他の科学探偵と共に、ペーパーミル製品の可能性がある何百もの論文/記事にフラグを立ててきました。
ペーパーミルは、履歴書に論文を掲載する必要のある研究者が購入する、フェイク(偽)科学論文を大量生産する会社の総称です。
訳者補足:ペーパーミルは、元来、製紙工場を意味する言葉です。
出版社は疑わしい論文の多くを撤回し、ペーパーミルによって造られた論文の、ジャーナル誌での受け入れを停止する措置を講じてきました。しかし、問題は続いています。
クライドは、学術研究の仕事の傍らで捜査を行っている研究者の 1 人にすぎません。研究の真偽アナリストのエリザベス・ビックや分子腫瘍学者のジェニファー・バイアンなど、自らの主張に記名することを選択する人もいますが、クライドを含め、タイガーBB8やモーティとして知られる探偵など、偽名で活動することを選ぶ人もいます。今日までは。
今年の初め、800 を超える疑わしい化学の論文を製造したペーパーミルを解説した、『リサーチ・クスエア(Research Square)』のプレプリント(出版前の前刷り)記事には、クライドの電子メール・アドレスが記載されていました。
プレプリントの著者は、ニュージーランドのパーマストン・ノースにあるマッセイ大学を退官した心理学者、デイヴィッド・ビムラーでした。
クライドとビムラーが同一人物であることを確認した後、当『ネイチャー(Nature)』誌は、彼自身にペーパーミル、偽名、インターネット捜査について話を伺いました。
ペーパーミルと偽科学(フェイクサイエンス)の何があなたをこの仕事に駆り立てるのですか?
この現象の存在に気づいた時のことを覚えています。初めは珍しさでした。それが次第にわくわくするものになりました。クロスワードパズルやジグソーパズルを解くのと同じような知的な刺激を受けます。ペーパーミルの新しい筋の通った絵が現れるたびに、ジグソーパズルのピースをはめ合わせていくようなものです。
これは科学に貢献するひとつの方法です。十分に根拠のある科学論文を発表することは前向きで確実な貢献です。でも、ジャンク(劣悪)な科学論文を排除することも貢献です。
なぜ偽名を使うのですか?
ミステリアスなのが好きなんです。
私は、科学の批評は、己の足で立つことができなくてはいけない、質問者が所有している資格や実績に依るべきではないと、感じています。だから、その意味で匿名でいることはとても役に立ちます。
奇妙な化学や奇妙な数学や奇妙な生物学について語れるほどの私の資格は何かと誰かに聞かれたら、それはインターネットだと、答えたいですね。私は引退した美術史研究家かもしれませんし、スキルを磨く新しい方法を探している引退したスパイかもしれません。私の実際の資格が問題になるべきではありません。
なぜ「スムート・クライド」なのですか?
これは、「ポルノ名」ジェネレーター(生成器)からできたものです。初めて飼ったペットの名前と住んでいる通りの名前から偽名を生成してくれるものです。他の匿名探偵たちは、からかって私の本当の名がデイヴィッド・ビムラーだと信じてくれません。
ペーパーミルに関する最新の発見について教えてください
かなり非典型的なものです。先端化学と応用医療の架空のクロスオーバーに関する論文が非常に多いことに気づき驚きました。ペーパーミルは、その分野で約 1,000 の論文を発表していると私は推察していますが、そのうちのいくつかはアクセスしやすいジャーナル誌には掲載されていませんでした。
これらの論文はすべて、有機金属構造体 (MOF)が、がん細胞を死滅させたり、内臓炎症の抑制などに適用できると主張していました。確かに、MOF にはいくつかの素晴らしい物理的特性があるので、人々がMOFに熱狂する理由があなたにも理解できるのではないでしょうか。
しかし、その物質が医療特性を持っているという主張には、かなり無理があります。それにも関わらず、それらのジャーナル誌は、MOFについての何百もの論文を受け入れているのです。
最初に疑念を抱いた理由は何ですか?
私は、PubPeer (出版後の査読サイト) で他者が「変だ」とフラグを立てたものを確認するために、流し読みをしていました。これは何人かの著者に質問をしていたメキシコの結晶学者、シルヴァン・ベルネス(Sylvain Bernès)の功績であることをお伝えしておきますが、短期間に続けて発表された論文群の中に、互いに類似したいくつかの論文があることに気づいたのです。
その後、同じジャーナル誌(に掲載された論文)を探し回ることで、かなり簡単に更なる事例を見つけることができました。特に、製造ラインの時短のために、インチキ参考文献を使用していることが判った後は、雪だるま式でした。
インチキ参考文献ですか?
その論文群は、該当する引用とは無関係な参考文献を含め、参考文献をリサイクルしていたのです。私は無関係な参考文献一覧を用いている論文を検索することができるのですが、これは、ペーパーミルと関係している論文を更に見つける非常に生産的な方法になりました。
科学者が知名度を高めるために、自分自身を引用したり、科学者同士で引用し合ったりしていると聞いたことはありますが、これらの疑わしい引用の新しさは何ですか?
これらの引用ネットワークは、中央ブローカーによって仲介されています。自分が引用している論文の執筆者達を知る必要がないのです。
ネットワークに登録すると、どの論文をあなたの論文の中で引用すべきかをブローカーが教えてくれます。すると、交換に、あなたの論文は、あなたが聞いたこともない誰かによって引用されるのです。そして、結晶学のペーパーミルが、こうしたネットワークのひとつまで運営していたことも判明しました。
今後のプランは何ですか?
私が検討していることは他にもいくつかあります。
世の中からペーパーミルが無くなることはありません。私の捜査を効率化することで、次のレベルに上がる方法を見つけることができれば幸いです。でもそれは、プランというよりは、野望ですね。
- 原典:“What makes an undercover science sleuth tick? Fake-paper detective speaks out”, Holly Else, Nature, NEWS Q&A, 04 August 2022
- 補足情報:Bimler, D. et al. Preprint at Research Square https://doi.org/10.21203/rs.3.rs-1537438/v1 (2022).
ソフィアウッズ・インスティテュートが思うこと
今回、この対談記事を読んで私が「なるほど、そうだったのか!」と思ったのは、ある米国の医師が運営している食物科学に関する情報発信サイトがあるのですが、そこに掲載されている記事や配信ビデオで引用されている論文の内容と、参考文献として掲載されている論文の内容が一致しないことが多く、と、いうか、ほとんど全ての配信がそうなので、ずっと不思議に思っていました。
私は前職で研究員をしていましたので、習慣的にどんなに説得力がある情報でも、シェアする前に必ず裏どりをします。
彼が参考文献としてリストアップしている論文をひとつひとつ検索して、彼の記事の内容と照らし合わせていくと、動画や記事で発表している内容が見当たらなかったり、まったく無関係な論文がリストの中に掲載されていることがほとんどです。
例えば、1つの配信記事/動画の中には、裏付けのある情報と参考文献と一致しない情報が巧みに混ぜられていて、多くの研究論文(架空のものも含め)を参照しているため、一見/一聞だけでは、とても説得力があります。
複数のライターを抱えているようなのでライターの不正に彼が気がつかないのか、彼は査読をしないのか・・等々、疑問に思っていました。
最近ではもう彼の情報を読む/観るのを止めてしまったのですが(だって存在しない論文を探し回るのはとても大変ですから。「悪魔の証明」ですね、笑)今回のこのネイチャーの記事を読んで、「なるほど、そういうことか」と納得しました。やっぱり鵜呑みにしなくて良かった!と、自分を誉めています(笑)
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