
バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。
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目次
女性の5人にひとりは経験者
膀胱炎は、成人女性の5人にひとりは罹ったことがあると言われているくらい、女性に多い疾患です。
おしっこの通り道の、膀胱、尿道、腎盂・尿管と、男性の前立腺は、その名の通り「尿路」と呼ばれます。そして、この尿路に細菌やウイルスが感染して起こる感染症は、全て「尿路感染症」です。
- 膀胱で起これば「膀胱炎」
- 尿道で起これば「尿道炎」
- 腎盂で起これば「腎盂腎炎」
これ全部が「尿路感染症」です。
私は膀胱炎を通り越して、腎盂腎炎になったことがあります。
ドイツで働いていた時なので、家族も近くにおらず、かなり不安の中で過ごしましたが、あの時の体中の、特に腰の痛みは今でも忘れません。
膀胱炎の原因

膀胱炎のほとんどは、おしっこの出口(尿道の入口)から病原菌が侵入して、膀胱の内側を覆っている粘膜層に感染することで発症します。
男性よりも女性に膀胱炎が多い理由は、尿道の短さが原因しています。
尿路感染症の80~90%は、大腸菌によって起こされています。
病原菌が入り込みやすい状況
尿道から病原菌が入り込みやすくなる状況としては次のことが考えれられます。
- おトイレの我慢し過ぎ
- 水分不足
- 下痢/便秘
- 性行為
尿は体に溜まった菌や有害物質を洗い流してくれる役割をもっています。そのため、おしっこの量を減らしてしまうような水分不足や脱水状態は、菌が完全に洗い流されず、体内に残る可能性を高めます。
同様に、おトイレを我慢し過ぎると、菌が長い間排泄されないまま膀胱内に留まることになるため、繁殖する機会を与えてしまいます。
また、性行為の際には、パートナーに爪を切る・手を洗うなど、気をつけてもらうことで再発を予防できます。

菌が繁殖しやすい状況
入り込んだ菌が繁殖してしまう大きな原因のひとつは、免疫力の低下です。
そのため、次の様な状態の時に、上のような状況が重なると膀胱炎が発症しやすくなります。
- ストレス
- 睡眠不足
- 体力低下
- 疲労
- 風邪/病気
- など
膀胱炎の症状
一般的に次のような症状が現れます。
- 排尿痛・・・排尿時、排尿後に痛みを感じる
- 残尿感・・・おしっこがまだ残っている感じがする
- 頻尿・・・・トイレに行ったばかりなのに、すぐに行きたくなる
- 白濁尿・・・尿が白く濁っている
- 血尿・・・・おしっこに血が混じっている
これに加えて、高熱や腰に痛みなどあれば、腎盂腎炎を発症している可能性が高いため、早急に病院を受診する必要があります。
尿道にも共生細菌(マイクロバイオータ)がいる

従来の医学では、尿道に共生細菌がいるとは考えられてきませんでした。尿道は無菌だと医学部では学びます。
しかし、今では腸内には共生菌が住んでいることを誰でも知っています。そして、腸内だけでなく、皮膚の上や様々な体の場所に共生菌が住んでいることも知られてきています。
最新の高度な検出技術とDNAの解析技術によって、従来では検出できない程の極めて小さな細菌も発見することができるようになり、尿道が無菌だという認識が間違いであることが示めされました。
つまり、無菌のところに病原菌が入り込んで病気が起こるのではなく、共生細菌が住んでいるところへ病原菌が入り込み、その善玉・悪玉のバランスが崩れることによって、病気が起こることが判ったのです。
尿道に棲んでいるマイクロバイオータ(共生細菌)の種類、その顔ぶれの変化と、特定の病気との関係を調査する科学的調査が多く行われています。
女性の尿道に多い共生細菌

女性の尿道に最も多い菌は、乳酸菌です。
その他にも次のような菌が存在しています。
- ビフィズス菌
- 連鎖状球菌
- ブドウ球菌
- アエロコッカス菌
- ガードネレラ菌
- など
年齢と共にこれらの尿道細菌の顔ぶれは変わっていきます。
膀胱を健康に保つナチュラルレメディ
膀胱炎を繰り返す女性は少なくありません。もし食事やライフスタイルを変えることで少しでも膀胱炎の予防になるのなら、どれだけ多くの女性が助かることでしょうか。
今回は、膀胱炎の予防や改善に効果が示されている食品についてご紹介します。
発酵食品

先ほど、女性の尿道に乳酸菌が多いことをお伝えしましたが、尿路感染症の治療に発酵食品などのプロバイオティクスを食べることに効果があるかを調べた研究は、残念ながら、今のところありません。
でも、乳酸菌を用いたプロバイオティクスに尿路感染症の予防効果があることを示唆する研究は複数あります。
尿路感染症の再発を繰り返している女性100名を次の2つのグループに分け、抗生物質による治療を行った後、5日間毎日それぞれのカプセルを服用してもらい、その後、6日めからは週1回の服用を10週間続けた効果を比較しています。
- 乳酸菌カプセルを服用するグループ
- 偽薬を服用するグループ
偽薬を服用したグループでは、約27%の女性が尿路感染症を再発しましたが、乳酸菌カプセルを服用したグループでは、約15%の再発に留まったと報告されています。
その他、論文のメタ分析を行った研究によっても、乳酸菌に予防効果があることが示されています。
緑茶

尿路感染症の80%~90%が大腸菌によって起こっていることから、大腸菌に属する80種類の菌株を用いて、緑茶による殺菌効果を検証した研究があります。
研究では、緑茶のカテキン濃度を、0、2.5、3.0、3.5、4.0mg/mlの5段階として、検証が行われています。
結果、4.0mg/mlのカテキン濃度の緑茶が、大腸菌の増殖を99%阻止したこと、2.5mg/mlの濃度の緑茶でも増殖を40%阻止できることが示されました。
緑茶に含まれるさまざまなカテキンのうち、最も抗菌作用が高いのがエピガロカテキン(EGC)とエピガロカテキンがレート(EGCG)ですが、EGCは高濃度でヒトの尿中に排泄されることが分かっています。
今回、EGCを含む緑茶カテキンが大腸菌に対して抗菌作用があることが示されたこと、EGCは高濃度で尿中に排泄されることから、緑茶を習慣的に飲むことが大腸菌による尿路感染症の予防になるのではないかと研究者は述べています。
深蒸し煎茶葉8gを熱湯150mlで60秒間浸出
宇治田原製茶場さんのホームページによれば、深蒸し煎茶葉8gを熱湯150mlで60秒間浸出したお茶には、カテキン類が399.6mg/100ml含まれていたとのことでした。
1mlにすると、3.996mgです。ほぼ、4mg/mlです。
つまり、深蒸し煎茶8gに、熱湯150ml を注ぎ、60秒おいてから湯呑に注いで飲んだら良さそうです。
しかし、飲んだお茶は、胃や腸での消化分解や肝臓や腎臓での代謝などを受けた後におしっこになるので、飲んだものがそのままおしっこになるわけではないので、膀胱炎の改善にどれくらいの濃さで飲まないと効果があるのかは分かりません。とはいえ、他の飲料を飲むくらいなら、緑茶を飲んだ方が良いとは言えそうです。
クロレラ

サンクロレラ研究所が行った研究では、急性膀胱炎を繰り返す女性10名を対象にクロレラを摂取してもらったところ、再発が予防されたことを報告しています。
クロレラは、サプリメントとしての印象が強いと思いますが、クロレラは淡水に育つ緑藻の一種で、そのままで食品なんです。
クロレラの詳しい機能については『クロレラ』をご参照ください。
トウモロコシの髭

トウモロコシを食べる時に捨ててしまうことが多いトウモロコシの髭が尿路感染症の予防に良いことが示されています。
トウモロコシの髭には、カリウムやサポニンなど利尿作用がある成分が含まれていることが知られています。その作用によって排尿量と頻度が増えることで尿路感染症の予防効果があると考えられています。
その他にも、トウモロコシの髭には、フラボノイドやアラントインと呼ばれる炎症を抑える作用を持つ成分が含まれています。
トウモロコシの髭の使い方は次の通りです。
- 新鮮なトウモロコシから髭をとる
- 洗浄する
- 直射日光を避けて広げて乾燥させる
- 使いやすい長さに切ったり、粉末にする
乾燥させたものをお茶にして飲んだり、粉末をそのまま服用することができます。
ただし、利尿剤などの医薬品を服用している人は試さないでくださいね。
治療したのに消えない痛みの原因

尿路感染症の治療後も骨盤の痛みや頻尿が続くことがあります。特に、再発を繰り返す人で顕著です。
その原因は不明でしたが、2024年3月、米国デューク大学の研究によって、次のようなメカニズムが解明されました。
- 尿路感染症が起こるたびに、細菌が付着した細胞が剥がれ落ちる
- 細胞が剥がれることで、周辺の神経組織が破壊される。
- 破壊された神経細胞の再生と、損傷した膀胱の細胞の修復プログラムが作動する。
- 修復の過程でマスト細胞が神経成長因子を放出し、感覚神経が活性化する。
- 感覚神経が活性化することで痛みや炎症の調節に関与する神経ペプチドSPが放出され、神経が過敏になる。
病原菌に感染すると、病原菌と戦う免疫細胞が炎症を起こすだけでなく、尿路の神経細胞や周辺細胞まで破壊されてしまうとは驚きです。
尿路から病原菌がいなくなっても(治療が完了した後でも)、神経や細胞は破壊されたままですから、完全に修復されるまで痛みが続くのは当然なのかもしれません。
戦争が終わったらそれで終わりではなく、壊された街の復旧が必要になるのと同じですね。そして戦争が繰り返されれば、復旧には、より長い時間が必要になることも理解できます。
膀胱炎などの尿路感染症の治療が完了した後にも続く痛みは、体内で修復が行われているサインだったんですね。体ががんばっている証拠ですから、今まで以上に体に優しくしてあげてくださいね。
ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス

膀胱炎を繰り返してしまうという人は、今回ご紹介した方法を試してみてくださいね。
そしてもしおひとりで取り組むことに不安や難しさを感じるのでしたら、ヘルスコーチと、一度、話をしてみませんか?
公認ホリスティック・ヘルスコーチは、食事だけでなく、あなたを取り巻く様々なこと(環境、仕事、家族、人間関係など)を考慮して、プログラムに反映させ、あなたが、なりたいあなたになれるようコーチングを提供します。
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参考文献:
- “Bladder bacterial diversity differs in continent and incontinent women: a cross-sectional study”, Travis K Price, Huaiying Lin, Xiang Gao, Krystal J Thomas-White, Evann E Hilt, Elizabeth R Mueller, Alan J Wolfe, Qunfeng Dong Linda Brubaker, Am J Obstet Gynecol, 2020 Nov;223(5):729.e1-729.e10. doi: 10.1016/j.ajog.2020.04.033. Epub 2020 May 5
- “Use of Lactobacillus spp. to prevent recurrent urinary tract infections in females”, Qin Xiang Ng, Christina Peters, Nandini Venkatanarayanan, Yan Yih Goh, Collin Yih Xian Ho, Wee-Song Yeo, Review, Med Hypotheses, 2018 May;114:49-54. doi: 10.1016/j.mehy.2018.03.001. Epub 2018 Mar 5
- “Randomized, placebo-controlled phase 2 trial of a Lactobacillus crispatus probiotic given intravaginally for prevention of recurrent urinary tract infection”, Ann E Stapleton, Melissa Au-Yeung, Thomas M Hooton, David N Fredricks, Pacita L Roberts, Christopher A Czaja, Yuliya Yarova-Yarovaya, Tina Fiedler, Marsha Cox, Walter E Stamm, Clinical Trial Clin Infect Dis, 2011 May;52(10):1212-7. doi: 10.1093/cid/cir183. Epub 2011 Apr 14
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- 「再発性尿路感染症、治療後も続く痛みの原因を解明か」、2024年03月14日、メディカルトリビューン
ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング