夏なのになぜか気分が落ち込む?夏季SADかもしれません

2023/07/25/

バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。

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夏は楽しい季節?

エラ・フィッツジェラルドの「サマータイム」の歌詞

 “Summertime, and the living is easy.”
(夏になると、毎日がゆったりとする)

のように、私達は、なんとなく夏にのんびりとしたイメージや楽しいイメージをもっています。そして、その到来を待ちつつ1年を過ごします。

季節性のうつ

でも、楽しみであるはずの休暇、海や山で元気に遊ぶはずの夏に、気分が著しく落ち込む人が少なくありません。

一般的に、うつ症状は、季節とは無関係に、死別や離婚やその他のストレスによって引き起こされます。

でも、中には、季節性気分障害 – Seasonal Affective Disorder – 略して、「SAD(悲しい)」と呼ばれる、特定の季節にだけ現れる、うつ症状があります。

自殺者が最も多いのは冬じゃない

一般的なSADは、日照時間が短くなる晩秋から寒い冬に起きます。

「ウインターブルー」なんて言葉もありますね。なお、冬季SADの改善法については『ウインターブルース』をご覧ください。

実際、多くの人が、クリスマス時期に自殺者が最も多くなると思っています。

でも、厚生労働省の自殺者統計を見る限り、12月~1月の自殺者は、実は、他の月と比較して特に多いわけではないのです。

自殺者が最も多くなるのは、3月と5月です。

「5月病」なんて言葉もあるくらいですから、この数字、日本の学期末と新学期、年度末と新年度に関係があるように見えますが、でも、9月新年度/新学期の米国でも自殺者が最も多いのは4月なんです。

この自殺の傾向は、新しい環境への適応ストレスによるというよりも、今では、春の訪れ、暖かくなる季節の訪れが原因しているのではないかと考えられています。

そして、季節性気分障害(SAD)をもっている人の約2%が、暑い季節、夏の到来と共に、うつの症状が現れることも明らかになっています。

季節性があるのは良いこと?

ハーバード大学医学部臨床精神科の助教授で医師のケン・ダックワース先生は

「季節性があるということは、実際には良い面もあります。
その季節になると心が沈むという自覚があるのなら、
その前に対策することができるからです。」

と、おっしゃっています。

確かに、いつ悪化するかわからない一般のうつよりも、悪化する時期が予測できるSADは、対処しやすいのかもしれません。でも、発症しないのが一番良いのですけどね・・。

夏季SADの症状

一般的なうつ症状と同様に、SADも男性よりも女性に多い疾患です。

次のような変化が目立つようになったら、うつになりかけているか、既に、うつ状態になっている可能性があります。

  • イライラ
  • 不安
  • 食欲の変化
  • 元気を失う
  • 集中力の低下
  • 睡眠時間の変化

ただし、上記した症状が全て一度に起こる分けではありません。

この症状の中で、冬季SADと夏季SADが大きく異なる点は、食欲と睡眠のパターンです。

「一般的なうつの症状では、睡眠も食欲も減退し、体重が減ります。
しかし、夏季SADの場合、17時間以上も眠ったり、
食欲が増進して、体重が増加したりします。」

と、ダックワース先生は説明しています。

冬季SADは一般的なうつの症状と同じですが、夏に食欲と睡眠のどちらかに大きな変化を感じたら、夏季SADを疑っても良いかもしれませんね。

夏季SADの原因に関する諸説

夏季SADが起こる原因には諸説あります。でも、決定的な理由を科学はまだ明らかにできていません。

今回は、いくつかある諸説の中で有力な仮説とその改善策をお伝えします。

日照時間は問題ではない

冬季SADのひきがねは、次第に短くなっていく日照時間です。体内時計のリズムを狂わせ、脳によるセロトニン代謝を減退させると考えられています。

しかし、夏は、日照時間は十分に長いので、夏季SADの原因は日照時間が問題とは考えられません。

では、何が夏季SADの原因なのでしょうか?

生活リズムの乱れ

規則正しい生活パターンを維持することがうつ症状をマネージする上で重要であることは知られています。

この観点から考えると、夏は、長期休暇などによって、そのパターンが崩れやすい環境にあると言えます。

夜更かし・朝寝坊が続いているのなら、まずそこから改善してみると良いでしょう。朝陽を浴びることは、うつ予防にも改善にも効果があります。

セルフケア不足

また、夏休みになって、子供や家族と過ごす時間が長くなり、楽しく嬉しい一方で、自分時間の確保ができなくなっていることが心の負担になることもあります。

もしそうであれば、1日あるいは週のスケジュールを見直して、頼れるサービスや親や友人は上手に活用し、夏休み前までのあなたの生活パターンやリズムが回復できるよう工夫してみましょう。

詳しくは『自分を優先させると家族が幸せになる』をご覧になってくださいね。

耐えがたい暑さ

蒸し暑い気温によって、暑さそのものが大きなストレスになります。イライラが増すこともあります。

暑さを毎日長時間に渡って我慢することは、慢性的な高ストレスに晒されているのと同じです。我慢するストレスがうつ症状の引き金のひとつであることはよく知られている事実です。

電気代のことを考えると1日中冷房をつけっぱなしにすることに躊躇するかもしれませんが、涼しくしている公共施設などを上手く利用して、あまり、自宅で我慢し過ぎないことが大切です。

また、最近では、体感温度を下げる効果のある様々な製品がありますので、そうしたものを上手に活用するのもお勧めです。

体内炎症

体内の慢性的なマイルドな炎症、特に、脳神経の炎症によっても、うつが起こることが精神栄養学の研究によって示されています。

強い紫外線や高い気温などの外的な要因によって、免疫力が刺激され、既に体内にあるマイルドな慢性的な炎症を悪化させると考えられています。

体内の炎症は、肉食に偏った野菜や果物の少ない食事や、脂質・糖分・塩分の過多の食事によって引き起こされます

食事バランスを整え、抗炎症成分を豊富に含む、果物や野菜を意識して食べることが予防にも改善にも効果があります。特に、夏には夏の果物や熱帯地域で育つトロピカルフルーツなどがお勧めです。

運動不足

また、熱中症警報などによって多くの人が屋内に閉じこもりがちになります。その結果、運動不足になることも、気分が落ち込みやすくなる原因のひとつだと考えられています。

適度な運動が、うつ症状の改善と予防に効果があることも、既に明らかにされている事実です。

熱中症予防のためとはいえ、家に閉じこもってばかりいるのは止めましょう。激しい運動をする必要はありません。また、真昼にやる必要もありません。例えば、朝早い少しでも涼しい時間帯(東京だとなかなか朝も暑いですけどね・・)に、ゆっくりと近所を散歩するだけでも良いのです。

また、市民/区民プールで泳ぐのもお勧めです。近くの図書館へ出かけるのもお勧めです。

社交的なプレッシャー

冬は家でくつろぐことが多くなり、忘年会シーズンを除けば、それほどアウトドア活動へのお誘いも多くありません。でも、暖かくなると、バーベキューやパーティなどへのお誘いが増えてきます。

そうした社交的な集まりが苦手な人にとっては、これもストレスとなります。

特に、既に不安症傾向がある人にとって、社交的なお誘いはその不安を悪化させてる引き金にもなります。

社交的なお誘いは、3回に1回のペースで断っても人間関係にヒビが入ることはめったに無いという社会心理学の統計があります。なので、出かけることが憂鬱なのであれば、3回に1回、上手に断ってもいいんですよ。

ただし、堂々と断ることが重要です。英語に「Say “No” gracefully(率直に品格をもって「NO」と言え)」という言葉がありますが、まるであなたが悪いことをしたかのように断るのは、返って逆効果です。堂々ときっぱりと、でも、品位をもって断ることで、相手は「NO」を受け入れやすくなります。

不安症については『不安症の人の誤解されやすい行動』もご参照ください。

SNS

SNSを眺めていると、夏をエンジョイしなければいけないかのようなプレッシャーを感じるかもしれません。自分だけが楽しみから取り残されているかのような疎外感を感じるかもしれません。

SNSがあなたを落ち込ませたり、傷つけたりするきっかけを作るのなら、デジタルデトックスをしましょう。しばらくの間、SNSを観ない期間を作るのです。

あるいは、あなたの心に負担となるような投稿をしている人を「ミュート」にしてしまうという方法もあります。

自分の心は自分で守りましょう

何年か前に執筆した記事『自分を好きでいたいならSNSでやってはいけない7つの大罪』をご参考まで。

夏に大切な人を失った

夏に大切な人を失ったことがある人、あるいは、夏に大きな悲しい出来事に遭遇したことがある人は、その潜在的な記憶によって、夏季SADが起こることがあります。

これに関連した私事をお話すると・・。

私は子供の頃からずーーーっと水曜日が苦手でした。水曜日になると、明らかに体調が悪くなったり、気分が落ち込んだりして、体が重くて起き上がれないのです。その原因はずっと謎でした。単に、私はそういう体質なのだと納得していました。

大学生2年生の時、心理学の教授の研究助手をしていた時、やはり同じ教授の研究助手をしていた院生と雑談の中でお互いが育った家庭環境について話をすることがありました。話の流れで、私が3歳だった頃、毎週水曜日の夕方、母が近くの会社へ女性社員さん達に編み物を教えに行っていたことを話しました。その日は、母は私の就寝時間までに帰宅しませんでした。それが嫌で嫌で悲しくて悲しくて仕方が無かったという話をした時、その先輩が「きっとそれが君が水曜日に体調が悪くなる原因だよ」と言ったのです。

目の前の霧が一瞬で晴れたように感じました。

それ以来、水曜日に体調が悪くなることは無くなりました。

意識の上では結び付けて考えることのない何十年も前の記憶で、ヒトは無意識のうちに体調が悪くなれる生き物なんです。

重要なことはあなたの個性

「重要なことは、あなたの個性を理解することだ」

と、ダックワース先生はおっしゃっています。

夏季SADが起こる科学的な理由や原因は、今でも未知です。

でも、ダックワース先生がおっしゃるように、ご自身の個性を理解し、受け入れ、あなたに優しくいることが解決の一歩になるのではないかと、ヘルスコーチの私も思います。

ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス

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新学期は、毎年3月と9月です。

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では、講座でお会いしましょう。

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参考文献:

  • Summertime blues?“, Maureen Salamon, Executive Editor, Harvard Women’s Health Watch, July 1, 2022

ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング