【限定公開】許すメリット許さないデメリット|許しに和解は必要ない

2024/06/11/

バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。

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「いつも敵を許しなさい。
なぜなら、許されることほど敵をイラつかせることはないのだから。」

と、オスカー・ワイルドは、言いました。

敵への復讐を込めて行うこのタイプの「許し」は、イメージ的には、高い次元から敵を侮辱し見下す感じの「許し」です。受動的攻撃性とでもいえるでしょうか(笑)

一方先日、ハーバード大学から届いたニュースレターには、「他者を許すことは、自分の利益になる」こと、そして、そこには科学的な根拠があることが説明されていました。

いくら自分の利益になると言われても、なかなか許すことが難しいもの・こと・ひとがいるのが現実です。ただ、許すことに目に見えない魂の癒しのような定性的な(測ることができない)メリットがあるというのではなく、科学的で客観的な定量化(測ること)ができるメリットがあるという内容が面白いと思いましたので、和訳要約することにしました。

「情けは他人(ひと)のためならず」
(誰かに優しくすることは、自分のためになる)

という諺がありますが、この「情け」には、他者を許すことも含まれると、ハーバード大学の専門家はおっしゃっています。

「誰かを許すことは、もっと利己的な視点で考えることができます。」

つまり、他者を許すことは、他者よりも、あなた自身の利益になるということです。

パートナーや友人との口論や家族間の誤解で、苦々しい思いや怒りや恨みを持ち続けると、あなたの魂に悪いだけでなく、あなたの体を病気にする可能性があり、この影響は、あなたを陥れた同僚や浮気をした配偶者など、より許しがたい行為に対しても当てはまると言います。

「許す」という非常に人間らしい行為が、あなたの不安な気持ちや気分の落ち込みを軽減し、精神的なウェルビーイングを高めることが、これまでもいくつかの研究によって示されてきました。

そして、今回、ハーバード大学の新しい研究は、「許す」という行為に身体的な効果があることを裏付けています。例えば

  • ストレスを軽減
  • 睡眠を改善
  • 血圧や心拍数を下げる

ハーバード大学T.H.チャン公衆衛生大学院の「健康、スピリチュアリティと宗教のイニシアチブ」の共同ディレクターで、この新しい研究の共同研究者であるタイラー・ヴァンダーウィール博士は、次のようにおしゃっています。

「許すということは、あなたへの加害を認識すること、そして、そこからあなたを解放することを意味します。許しは、あなたを傷つけた人たちから、あなたを解放してくれます。

その許しが適切であれば、許しは人間関係の修復につながり、あなたに幸福、満足感、社会的な支援をもたらします。実際、許すことがあなたの健康改善につながるという証拠があります。」

許すことが困難な取り組みであることに比べて、許しの定義は驚くほど単純です。

ヴァンダーウィール博士は、「許す」ことを次のように定義しています。

「あなたを傷つけた人に対する悪意を善意に置き換えること」

「言うは易し、行うは難し」の典型的な定義ですね(笑)

一方で、許しが意味しないことは、もう少し心に寄り添ってくれます。

ハーバード大学医学部心理学科の講師クレイグ・マルキン博士は次のようにおっしゃっています。

「許すということは、あなたが受けた傷を容認することではありません。ましてや、あなたがそのことを忘れることを意味しているものでもありません。許すことは、言い訳でも、弁解でも、恩赦でもありません

「許します」と言うのは簡単ですが、それだけで、あなたの中の感情が変わるわけではありません。私たちは経験したことに悲しみ、起こったことに怒りを感じます。

「許した」という状態は、「起こったことは、もう終わったことなのだ」と受け入れた状態のことです。」

罪が大きければ大きいほど、許すことが難しくなるのは疑う余地もありません。精神的・身体的な虐待・暴力は、ずっと過去を乗り越えることを難しくさせます。暴力を行った人との関係を修復した方が良いと言われても、暴力を受けた当事者にとってそれは不可能に近いことです。

だからこそ、「許し」には、加害者との和解は必ずしも含まれないのです。

ヴァンダーウィール博士は次のようにもおっしゃっています。

「相手を許したり、相手の幸せを祈ったりすることは、人間関係を修復しなくてもできます。正義感をもちながら、犯罪者を許すことができるのと同じです。許すことと正当な怒りは、両立させることができるものです。」

2023年4月にハーバード大学の学会で発表したヴァンダーウィール博士の研究は、対人関係の問題を経験したことのある、5か国の成人約4,600人を対象に行われたものでした。

参加者を無作為に2つのグループに分け、ひとつのグループにだけ、自立学習型の許しの練習帳が渡されました。

練習帳には、参加者が傷ついた時の気持ちを思い出し、その上で加害者に共感するテクニックを教えることを目的とした記述式の演習問題が詰め込まれていました。

例えば、参加者は、自分を傷つけた人の人物像と、その人が何をしたのかを描写するよう求められます。次に、その出来事を、加害者を非難することなく、また、被害者の立場からではなく、傍観者の視点で描写することが求められます。

加害者と被害者の両方の考え方を採用するこの種の「席替え」式訓練は、

「現実には起こらないことですが、
気づきに溢れたプロセスの提供となりえます。」

と、ヴァンダーウィール博士は説明しています。

2週間後、練習帳を受け取らなかったグループの参加者と比べて、演習を行った参加者で、うつや不安の症状が少なかったことが報告されています。

「シンプルで自立的な練習帳で、人々の許す能力を向上させることができるのなら、心の健康にも影響があるだろうと考え、その効果がかなり大きいことを発見しました。」

一方で、許せないでいることは、あなたが考える以上に体に負担をかけます。

 「許せないという状態に陥ると、血圧が上昇します。論理的に考えれば、その状態が解消しないまま時間が経過すれば、非常に基本的な方法で、あなたの心臓に影響が現れます。大問題になる可能性だってあります。」

つまり、許せないままでいると、心疾患リスクが上昇し、最悪の場合、心不全や心臓発作などにつながるかもしれないということです。

健康的な食事や運動をしているのにも関わらず、血圧が常に高めという人は、もしかしたら、心に何かしら許せないものを持ち続けていたりしませんか?

敵意にとらわれていると、精神的にも苦しむことがあります。

復讐に満ちた空想と濃縮した熟考を特徴とするネガティブな思考ループが起こり、そのことが精神疾患のひきがねとなることもあります。

マルキン博士はそれを「泡立つ」と表現しています。

また、マルキン博士は次のようにおっしゃっています。

「許せないでいると、あなたは修復の機会と、
修復によって得られるより深い絆を失うことにもなります。」

確かに、「喧嘩するほど仲が良い」という言葉がある通り、喧嘩と仲直りを繰り返すことで、その人間関係は次第に深く強くなっていくものだとすれば、仲直りする機会がなければ、その関係はそこで終わりです。

あなたを傷つけた加害者を許すことはとても難しいものです。でも、もし悪いことをしたのがあなた自身だったらどうしたら良いのでしょうか。

ヴァンダーウィール博士は、2020年に共著出版した書籍『Frontiers in Psychology』の中で次のように語っています。

「『わたしを赦します』と言うのは少し奇妙に感じるかもしれません。でも、それは努力する価値のあることです。他者を許すことと同様に、自己を許すことは、うつ症状を含む心理的な苦痛を軽減します。

そして、自分への許しを始めるにあたり、あなたがどれほどひどいことをしていたとしても、あなたは、あなた自身との人間関係の中にあることを認める必要があります。それは、敬意と思いやりに値する関係です。」

「あなたは、あなた自身との人間関係の中にある」とは、自分に対しても、他者に対するのと同じように、ある一定の敬意と寛容さをもって対応しなければならないということを意味しています。自己嫌悪していると、自分に対して容赦のない否定や非難をしがちですが、他者に言わないような言葉や態度は、自分自身にも言ってもしてもいけないということです。

『スピリチュアル・ケア』誌に掲載された2022年の研究は、自分を許すことを「許しの概念の第二次局面」と呼び、自己を許すための誠実な努力には、次の3つの要素が含まれていなければならないと指摘しています。

  1. 反省
  2. 謝罪
  3. 償い

このプロセスを経て初めて、あなたは自尊心/自己肯定感を取り戻すことができます。

真の自己赦免には、まず自己の過ちを認める必要があります。
自分が悪いということを認める行為を通して、
そこから真に善いことが生じると信じてください。」

と、ヴァンダーウィール博士はおしゃっています。

また、マルキン博士は、罪悪感と自己非難だけでは限界があり、あなた自身を許すことで、他者を許せるようになると、おっしゃっています。

「自分を責める悪循環に陥っていると、人間関係について行動を起こすことができなくなります。罪悪感や羞恥心で穴だらけになったあなたの感情は、シャットダウンしてしまいます。自分を許せれば、行動を起こせるようになり、是正措置さえも講じることができるようになります。でも、自虐ループにはまってしまえば、それは不可能です。」

大好きな米語の古い諺に

「Love like you have never been hurt
(傷ついたことが無いかのように愛しなさい)」

というものがあります。

過去に傷ついたことがあると、なかなか無防備に誰かを愛することができなくなります。相手を疑いやすくなったり、自分を守るために心を開けなくなったり、素直な気持ちが伝えられなくなります。

そのことの弊害をマルキン博士はおっしゃっているのではないでしょうか。だから、過ちを犯した/上手くできなかった/失敗した/誰かを傷つけた自分を許すことは、これからの人間関係を幸せなものにするためにも必要なことなのです。

許すという行為を簡単にできる人がいます。許すのが生まれながらに得意な特定の気質や性格タイプを持っている人はいますが、許すことは誰にでも学ぶことができるとヴァンダーウィール博士はおっしゃいます。

「許すことは、誰にでも開かれた選択です。
許せない人はいないと私は思っています。許すことは、学べるスキルです。」

また、マルキン博士は、次のようにおっしゃっています。

「他者を許す最も簡単な方法は、何があなたを傷つけたのかを本人(暴力あるいは虐待の加害者を除く)に伝えることです。

それには、無防備なあなたを見せる必要があります。実行が難しく感じられるかもしれませんが、怒ったり、悲しんだり、傷ついたりするよりもはるかに生産的です。

そして、常に素直な気持ちだけを伝えてください。彼らを非難したら、彼らは守りに入り心を開けなくなってしまいます。そこであなたが諦めたら、関係修復の機会はありません。」

ソフィアウッズ・インスティテュートが少し補足すると、あなたが傷ついたことを相手に伝える際に重要なことは、常に一人称の「私は」で話すことです。二人称の「あなたは」で始まる話は、大抵、その後に相手を非難し責める言葉が続きます。でも、「私は」で話し始めたら、あなたが傷ついたこと、感じたこと(悲しかった、腹が立ったなど)あなたの気持ちを、相手を責めずに伝えることができるはずです。

「許し」をあなたの生活の中に組み込む方法について、マルキン博士とヴァンダーウィール博士は、次の方法を提案しています。

時間をかけて、あなたに何が起こったのか、そして、その後に起きた影響について書面に記述します。ただし、加害者に見せてはいけません。

この文書は、あなただけのものです。あなたの素の感情を処理するためのものです。

「検閲したり省略したりせずに記載してください。
これは、あなたが経験したことを、思いやりの心をもって見るためのものです。
あなたの心を仕切りなおすのに役に立ちます。」

と、マルキン博士はおっしゃっています。

「許すという行為は、古くからあるものですから、参考になる事例を探してみましょう。許しに関する過去の事例を読むことは、インスピレーションを与えてくれるものだと私は思います。その際、ストーリーの構造に目を向けることをお勧めします。」

と、ヴァンダーウィール博士はおっしゃっています。

ただ、わたし個人的には「美談」を読んだところで、誰かを許せるようになるものでもないように思われ、ヴァンダーウィール博士には申し訳ないのですが、このご提案については、かなり疑問をもっています(笑)

許しのコスパ(許すメリットとデメリット)を天秤にかけてください。

許すことのメリットは、前述した通りです。睡眠の質が向上し、心疾患リスクやうつを回避し、関係修復の機会となる可能性です。

許さないことのデメリットは、作家のマラシー・マッコートがかつて言ったように、

「恨みを抱くことは、毒をあなたが飲んで、
相手が死ぬことを望むようなもの」

日本にも「人を呪わば、穴二つ」という諺があります。

ここで言う「穴」とは、墓穴(はかあな)のことです。誰かを呪い殺そうとすると、その人物だけでなく、あなた自身も墓穴に入ることになるという意味です。

以前、『許せない人を許す方法』というブログ記事を執筆しましたが、その中で、許すとは、

「もう傷ついた気持ちを持ち続けないと決めること」

と書きました。

専門家がおっしゃっている通り、あなたを傷つけた人と和解する必要も、その人を好きになる必要もありません。ただ、傷ついたという気持ちを、あなたが手放すだけで良いのです。

ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス

もしおひとりで取り組むことに不安や難しさを感じるのでしたら、ヘルスコーチと、一度、話をしてみませんか?

公認ホリスティック・ヘルスコーチは、食事だけでなく、あなたを取り巻く様々なこと(環境、仕事、家族、人間関係など)を考慮して、プログラムに反映させ、あなたが、なりたいあなたになれるようコーチングを提供します。

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参考文献

ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング