「海藻食文化日本」に参加してきました

2024/07/06/

バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。

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こういうことが私にはしばしば起こります。セレンディピティだと思っています。

例えば、海外の食品に関する研究論文を読んで、そこで研究されているまだ見たことも食べたことのない食品などに興味をもち、ブログ記事にしたくて調べているような時、その食品にふいに出会うということです。

今回も、海外で注目されている海藻について調べていた時、このイベントの案内が目に入りました。あまりにタイムリーで、海藻の専門家がいらっしゃるのなら、ついでに調べている海藻のこともお伺いできるかもしれないと思い、参加することにしました。

イベントでのお話の内容とヘルスコーチとしてのわたしの感想を交えてお伝えします。

渋谷ヒカリエの8階では、「うまみ」に関する展示も行われています。

9月15日まで開催されています。

大阪の昆布出汁文化を伝え繋ぐ活動をつづけている「こんぶ土居」の4代目店主の土居純一さんと、海藻の研究と栽培や新しい食べ方を提案する合同会社シーベジタブルの友廣裕一さんから、日本の多様な海藻食文化と海藻を育む海の環境についてお話がありました。

土居さんの昆布を使ったお料理がふるまわれました。

右側は、昆布とジャガイモの煮物。左側は、出汁をとった後の昆布を使ったキンピラです。

どちらも旨味が効いていて、とても美味しかったです。

データが記録されている期間を通して、今まで、国内の昆布の年間収穫量/消費量は平均して約3万トンあったものの、平成後半から令和に入り、約1.2万トンにまで減少していることが紹介されました。最も多かった昭和初期には7万トンもの昆布の国内収穫量/消費量あったそうです。

しかしそれほど収穫量が減っても、私たち消費者にとって昆布が不足しているという認識がないのは、それほど日本人が昆布を使わなくなり、旨味調味料や化学調味料を利用する消費者が増えたからではないかとのことでした。

化学調味料を用いることで、旨味は再現できたとしても、本物の昆布でとった出汁に含まれているさまざまなミネラルは、化学調味料には含まれていません。

特に問題なのは、ヨウ素だと指摘されていました。

海藻を食べる習慣のない海外では、ヨウ素欠乏になる人が多いため、塩や水にヨウ素を添加している国が多いものの、日本では食品にヨウ素を添加することは認められていません。なぜならば、日本人は伝統的に海藻を食べてきたので、わざわざ添加しなくてもヨウ素欠乏になる人がいないどころか、ヨウ素過剰になる心配があったからです。

しかし、近年、海藻を食べる人や昆布で出汁をとる人が少なくなり、ヨウ素欠乏になっている人が増えているのではないかとのことでした。

確かに、ヘルスコーチをしている私の周辺でも、甲状腺機能低下症をおもちの方は増えています。ヨウ素の詳しい機能については『ヨウ素』をご確認ください。

昆布の収穫量が減っていると書きましたが、減っているのは天然昆布の収穫量で、養殖の収穫量は横ばいなのだそうです。

天然の昆布は成長に2年かかるため、2年ごとにしか収穫ができません。

養殖昆布の中にも、昆布の成長に合わせて2年かけて育てられているものがあるようです。天然昆布と2年養殖昆布の栄養価に大きな違いはないそうです。

しかし、さまざまな技術開発によって成長を早め、1年で収穫できる1年養殖昆布が市場の98%を占めているそうです。特に、真昆布はほぼ1年養殖昆布ばかりになってしまったとのこと。

知りませんでした。かなりショックです。

天然昆布の収穫量の減少は、温暖化の責任だとする意見もあるものの、中国では養殖昆布の生産量が拡大していることを鑑みると、温暖化だけが、日本近海での収穫量の減少の原因ではないのではないかとのことです。

日本の問題のひとつとして、浄水技術の高度化を指摘されていました。

下水の浄化が高度になり、非常にきれいな水が川に戻されるようになったことで、海藻の成長にとって必要な栄養素まで失われてしまっていることが指摘されていました。実際、下水の浄化水準を引き下げた兵庫県の近海では、近年、海藻の収穫量が増加しているとのことでした。

また、中国の昆布の養殖現場で使用されている海水は、泥水のように汚い水だということも紹介されました。中国産の昆布は、なんだか他のものも含まれていそうで怖いですね・・。

昆布の収穫量が激減した理由として、ウニや小魚による食害が最も大きいとのことです。

海底が「海枯れ」という状態、海の砂漠化が各地で起こっていることが大きな問題だとのことでした。

対策として、昆布の生息域を網で囲ったりしているところもあるようです。

海底で育てるとウニに食べられてしまうのなら、海面で育てられないかと考え、昆布の海面での養殖をしているシーベジタブルさんの取り組みなどが紹介されました。

海の環境の改善や食の多様性にとって海藻には大きな可能性があると信じて取り組まれているとのことでした。

土居さんと友廣さんの両方から、昆布や海苔に含まれているタンパク質の量は、大豆よりも多いのだということ、だから、大豆よりも海藻の方が優れたタンパク源であると語られました。

確かに、乾燥大豆100gのタンパク質は33.4gで、焼きのりは41gで、焼きのり100gの方が多くのタンパク質をもっています。

しかし、だからと言って、海藻類を主なタンパク源にすると考えるのは短絡的だとヘルスコーチとしては言わざるを得ません。なぜなら、ほぼすべての海藻類には、多量のナトリウムが含まれているからです。海藻を主なタンパク源にしたら腎臓と血管をやられる人が続出します。例えば、焼きのり100gには530mgのナトリウムが含まれています。大豆はたったの4mgです。

また、海藻のヨウ素含有量も半端ないので、海藻を主なタンパク源としたのなら、確実にヨウ素過剰になり健康被害が出ます。

大豆やナッツ類からだけでは補いきれない植物性タンパク源の補足的な選択肢のひとつとしてということであれば、あり得ます。あるいは、海藻からタンパク質だけを抽出して何か別の加工食品を造るというのなら、タンパク源になり得ると思います。

しかし、そのままで大豆に代わるタンパク源にするということには、かなり無理があると言わざるを得ません。

石坂シェフによる解説をお伺いしながら、海藻の食べ比べが行われました。

彼の熱い熱い「海藻愛」について語られました(笑)

海藻の将来的な食材としての可能性は無限大であると感じられているとのことです。

あおさのり以外は、塩蔵品を水で戻したままの生の状態です。

ミリンは、噛むと粘り気がある海藻でした。あおさのりは「海のトリュフ」と海外のシェフから賞賛されたと説明がありましたが、確かに香りが芳醇で離れた場所からも香りがしました。トサカノリは他の海藻よりも塩味があるように感じました。ひじきの若芽は初めて食べましたが、コリコリとした触感が楽しかったです。

また、あおさ海苔からとった出汁と麹で造ったというあおさ海苔醤油は、旨味が強く、とても美味しかったです。醤油というよりはドレッシングですね。何にでも使えそうです。ただやはり塩味が強く感じられました。

左側がトサカノリからとった出汁、右側が昆布からとった出汁です。

昆布出汁はとても旨味が強く昆布をストレートに感じられるものでした。

トサカノリの出汁には、トサカノリの赤色がほんのり移っているのが分ります。こちらは燻製の香ばしい風味があり、とても美味しかったのですが、やはり非常に塩味が強く、同じテーブルになった参加者の方々も「塩が強い」と口々に言っていました。

気になったので食品成分表を調べてみると、特に、トサカノリのナトリウム含有量が他の海藻と比べてものすごく高いわけではないようです。であれば、塩抜きの加減によるものでしょうか、それとも石坂シェフの味の好みの問題でしょうか・・。

また、燻製の風味もトサカノリ本来のものではなく、燻製したものを使ったことが後に分かり、結局、トサカノリそのもので出汁をとったらどんな味になるのか、分らなかったのは残念に感じました。

うがった見方をすれば、そのままでは美味しくないので燻製したものを使い、そのままでは旨味が薄いため塩を多く使用しているとも考えられます。本当のところはどうなんでしょうか。トサカノリ本来の、食品としての力を知りたいと思いました。

こちらも驚くほど美味しかったです。

石坂シェフのご説明では、チーズを少し入れることで旨味を足しているとのことでした。

わたしの演繹的思考から導き出した結論から言うと、「トサカノリに含まれる旨味成分は少なく、特徴的な味もほぼない」のではないかということです。言い換えれば、自己主張が少ないので、どんな風にも(燻製にしたり、チーズと合わせたり、揚げ物にしたり)使える便利な海藻だということなのかもしれません。

そんなトサカノリをこんなに美味しく調理できる石坂シェフの腕前は、とてもすごいのだということは、よくわかりましたし、トサカノリそのものを購入して、自分で調理してみたいという気持ちにもなりました。

会場からはさまざまな質問が出されました。養殖技術について、環境とのかかわり方についてなどです。

海藻の酸処理とは、養殖の海藻が病原菌に感染しないよう酸性の液体に浸したのち、再び海に戻す作業のことです。

これは、「海藻の農薬」とも呼ばれる作業で、海藻に残留する可能性があるだけでなく、海洋汚染の一つの原因と考えられているものです。

また、酸処理が行われた海では、あおさが採れなくなってしまうのだそうです。

そのため、土居さんのお店では、この酸処理を施されていない海藻のみを取り扱っているとのことでした。ちなみに「大地を守る会」さんの海藻も無酸処理のものです。

これは私からお伺いさせていただいた質問です。

ダルスとは、海外で注目され、北海道大学でも研究が進められている紅藻の一種なのですが、まだまだ日本での流通も認知度も低いため、今後のダルスの日本での可能性についてご意見をお伺いしました。

石坂シェフも友廣さんも「ダルスは美味しくない」「なぜ海外でベーコンの味がすると言われているのか不思議」とのことでした。

石坂シェフは「ダルスにもさまざまな種類があり、収穫地もさまざまなので、もしかしたらベーコンの味がするダルスもあるのかもしれないが、自分が食べたものは全然違った」と補足してくださいました。

友廣さんは、ダルスに対して非常にネガティブで残念なリアクションでした。海外で、あれほど注目され北海道大学もがんばっているダルスの日本での将来性が、彼が活用の幅を広げたいと述べた1500種の中に入っていないのはなぜなのか不思議に思いました(笑)

2024年8月4日の北海道新聞の記事『海藻「ダルス」活用模索・コンブ養殖の厄介者・血糖値抑える糖質生成』を読んで、上に記載した、わたしが不思議に思っていたことの謎が解明されました。

友廣社長のシーベジタブル社は昆布養殖を主にされているのですが、ダルスって昆布養殖にとって厄介者だったんですね・・。だから、ダルスについてあんなに全否定的だったんですね(笑)。石坂シェフは、シーベジタブルの社員ですから、やはりダルスを褒めることはできなかったのかもしれません。

それにしても、そうした主観的な感情で、ダルスの客観的な価値まで否定する姿勢は、かなり残念です。

紅藻のふのりが売られていましたので、お土産に購入しました。

ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス

どちらにしても、今回のイベントに参加したことで、知らなかったさまざまな事柄を知ることができ、また、ダルスの味?についてもなんとなくイメージすることができたので、とても満足です。

ダルスについての記事は、8月に公開する予定です。

公認ホリスティック・ヘルスコーチは、食事だけでなく、あなたを取り巻く様々なこと(環境、仕事、家族、人間関係など)を考慮して、プログラムに反映させ、あなたが、なりたいあなたになれるようコーチングを提供します。

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