
バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。
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目次
み~んな知っている?
タバコが体に悪いことは、もうどなたも知っていることだと思います。
でも、ほとんどの人は、タバコ1本でどれくらい寿命が縮むかを考えたことはないのではないでしょうか。
タバコを吸う人は、「そんなこと考えたくもない」って感じかもしれませんね(笑)
電子タバコの登場で、周囲に気兼ねすることなく喫煙を楽しめるようになったことで、減少傾向にあった喫煙者数が近年また増えているような印象をもっています。
イギリスの『英国医師研究』による2001年までの男性の50年間の追跡調査と『英国ミリオン・ウィメン研究』による2011年までの女性の追跡調査のデータ解析から、喫煙と寿命との関係が明らかにされていました。
紙タバコだけでなく電子タバコも含まれます。
なお、裏付けとなる研究論文は、最後に参考文献として一覧にしています。
タバコ1本あたりの喪失寿命

タバコ1本吸うごとに失われる寿命は、次の通りでした。
- 男性・・・17分(1箱20本とすると、1箱あたり 5.7時間)
- 女性・・・22分(1箱20本とすると、1箱あたり 7.3時間)
1日一箱ずつ吸っていると仮定すると、男性は1週間で約40時間、女性は約51時間の寿命を失います。つまり、男性は1週間で1日半、女性は2日の寿命を減らすことになります。1年にすると男性は2か月半、女性は4か月の寿命を失います。
1. 10年早く老ける
研究者は、「喫煙者は、喫煙による疾患で過ごす年数と同じ年数の寿命を失う」と述べ、更に次のようにも述べています。
60歳の喫煙者の健康状態は、
非喫煙者の70歳の健康状態に相当する
10年も早く老ける!!
喫煙によってリスクが高まる疾患

では、喫煙によって起こる疾患にはどんなものがあるでしょうか。
肺がん
を思い浮かべる人が多いと思いますが、そんなベタな話じゃありません。
1. WHO基準のレベルA1
確かに世界保健機構(WHO)は、タバコを「レベルA1」の発がん性物質に分類しています。このクラスには、ヒ素やダイオキシンも含まれ、タバコはヒ素やダイオキシンと同じくらい確実にがんを起こす物質だということを意味します。
でも、それは、肺のがんのことだけじゃありません。
2. 米国基準のレベル1
アメリカの『公衆衛生総監報告書(A Report of the Surgeon General)』では、喫煙と疾患などとの因果関係を4段階で評価していて、喫煙と「因果関係を推定するのに十分な科学的証拠がある疾患」がレベル1なのですが、そのレベル1と評価された疾患は次の通りです。

こんなにあるんですよ。
肺や呼吸器系の疾患だけでなく、3大死因と呼ばれる「がん、心疾患(心筋梗塞)、脳血管疾患(脳卒中)」の3つ全てが含まれています。がんに至っては、ほとんどすべての部位のがんと喫煙は関係しています。
婦人科系の疾患が含まれていることも驚きます。
喫煙者の死亡原因

また、3つの大規模コホート研究のデータを統合して、日本における喫煙に関連する死亡率の人口寄与率(PAF)を推定した調査は次のように報告しています。
- がんで死亡した男性の61%、女性の31%が喫煙に起因
- 虚血性心疾患・脳卒中で死亡した男性の23%、女性の51%が喫煙に起因
- 慢性閉塞性肺疾患・肺炎で死亡した男性の11%、女性の13%が喫煙に起因
直ぐに死ねればいいんだけど
喫煙によって病気になったとしても、長く苦しまずにピンピンコロリと死ねれば良いのですが、どうも喫煙者には、その選択肢もあまりないようです。
岐阜県にある中部国際医療センターの麻酔・疼痛・侵襲制御センター緩和ケアセンター長の杉山陽子医師は、第44回日本疼痛学会(2022年12月2~3日)のシンポジウムで、タバコを吸わない人と比べて、タバコを吸う人は痛みを強く感じやすく、オピオイド系の強い鎮痛剤を過剰に使用する傾向があると指摘しています。
よほど痛いんでしょうね。

2020年8月までに発表された約30万人を対象とした複数の研究のメタ分析では、現在喫煙している人は、腰痛、膝関節痛、肩の痛みなどが3か月以上続く慢性筋骨格痛リスクが、1.23倍になると報告しています。
また、イタリアで実施された2年間の追跡調査では、喫煙が帯状疱疹後神経痛の持続と強さの予測因子のひとつであることを示しています。
喫煙者の帯状疱疹は、タバコを吸わない人と比べて2倍も長く続き、より痛いということです。
喫煙本数を減らせばリスクは低下するのか?
じゃぁ、本数を減らせばいいんでしょうか。
アメリカの疾病予防管理センターが行った研究では、タバコを吸わない人と比べると、1日1本の喫煙でも、心筋梗塞や脳卒中などの重篤な循環器疾患のリスクが急激に高くなることが示されています。
グラフからは、喫煙による害は、受動喫煙や1日1~2本など少量でも急激に上昇することが判ります。

臨床検査によるデータは、たとえ少量の曝露であっても、血小板凝集を有意かつ急速に増加させ、その他の動脈および血行動態の変化を引き起こすことを示しています。
悲しいことに、受動喫煙であっても、冠動脈疾患のリスクが1.3倍(30%増)になってしまうことが示されています。
でも、5本を超えるとその上昇率が逓減(ていげん)されていくことが分かります。
- 1日5本・・・1.5倍
- 1日1箱(20本)・・・1.8倍
つまり、1本の段階で既に大きなリスクになっているので、1本吸うなら20本吸うのと変わらないってことですね。言い換えれば、たばこは20本を5本に減らしたところで、大したリスクの低下はないことになります。
禁煙をする以外にリスクを下げる手段はないのです。
タバコを吸わない人と肺がんとの関係
タバコを吸ったことがなくても肺がんになることがあります。実は、全肺がんの約25%、つまり4人にひとりは、タバコを吸ったことがありません。
1. 受動喫煙は主な原因ではない可能性
タバコを吸ったことがない人が肺線がんになる原因について、受動喫煙と大気汚染の2つの要因による影響を検証した研究があります。
日本人を含む東アジアの人口で、肺腺がんを発症したタバコを吸ったことのない人では、がん細胞の増殖を促す作用のあるEGFR遺伝子とTP53遺伝子に変異が多く見つかりました。
一方で、受動喫煙は関連していないことが明らかにされています。タバコを吸ったことのない人が肺がんを発症する主要な原因のひとつとして、大気汚染が示されています。
2. タバコを吸ったことのない人の寿命
大阪国際がんセンターが、がん診断時の喫煙の経験の有無と生存率を分析した結果は次の通りでした。
がんと診断された時点で喫煙している人と比較して、がんと診断された時点でタバコを吸ったことのない人では、寿命が次のように長いことが示されています。
- 死亡リスク・・・18%低い
- 生存期間・・・1.90年延長
同じがんの同じステージでも、タバコを吸わないだけで、約2年も生存年数が長くなるんです。
タバコを吸ったことがあると完全アウトなのか?

上でご紹介した大阪国際がんセンターが、がん診断時の喫煙の経験の有無と生存率を分析した結果は次の通りでした。
1. がんが発見される3年以上前に禁煙した人
がんと診断された時点で喫煙していた人と比べて、がんと診断された時点からさかのぼって3年以上前に禁煙した人では、次のメリットが確認されています。
- 死亡リスク・・・16%低い
- 生存期間・・・1.77年延長
2. がんが発見される3年前以内に禁煙した人
がんと診断された時点で喫煙していた人と比べて、がんと診断された時点からさかのぼって3年以内に禁煙をしていた人では、次のメリットが確認されました。
- 死亡リスク・・・11%低い
- 5年生存率・・・2.2~2.9%高い
- 生存期間・・・1.07年延長
研究者は、がんと診断されてから直ぐに禁煙した人は、3年以内に禁煙した人と結果が類似している可能性があるので、がんと診断された後で直ぐに禁煙をすれば、死亡リスクや生存年数を伸ばすことができる可能性があると述べています。
禁煙するのに遅すぎることはない、
今からでも禁煙する価値はある
でも、そうお伝えすると、「がんになってから禁煙しても遅くないなら、がんになるまで禁煙しない」と言い出す人もいるかもしれませんね。
禁煙に最適なタイミング
英国ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)のアルコール・タバコ研究グループのサラ・ジャクソン博士は、データの分析結果を踏まえ、次のように述べています。
「禁煙時の年齢に関係なく、喫煙を続けた場合よりも平均寿命は確実に長くなりますが、年齢を重ねるにつれて、禁煙しても取り戻せないほど少しずつ寿命は失われていきます。ただし、20代か30代前半までの早い時期に禁煙した人の平均寿命は、喫煙未経験者と同等に近付く傾向があります。」
また、グローバル心血管リスクコンソーシアム(The Global Cardiovascular Risk Consortium)が2025年3月に発表した心疾患による死亡リスクとの関係を調査した研究によれば、55歳~60歳未満での禁煙は、死亡のない生存年数の増加と最も関連していたとのことです。
さて、あなたはタバコを吸い続けますか?
電子タバコだからの問題
副流煙を気にしなくてよくなったことから、電子タバコに用いられる添加物に有害なものが含まれる割合が増加していることが問題視されています。
電子タバコ使用者で、発熱、嘔吐、下痢、呼吸困難、喀血の症状があり、胸部X線とCTスキャンによって、両肺に斑状の硬化像が認められた事例が報告されています。
また、フレーバーがついた電子タバコが若年層に人気になっているようですが、タバコメーカーは、特に人工甘味料を自社製品の嗜好性と訴求力を高めるために使用しています。残念ながら、現行の規制では、電子タバコを含むタバコ製品への人工甘味料の含有量には制限が設けられていません。
病原性大腸菌の増殖を促し、大腸と小腸の細胞を死滅させることが明らかにされているネオテームと呼ばれる高強度の人工甘味料が、検査対象となった電子タバコ73製品のうち57製品から検出されています。つまり電子タバコ製品の約80%に含まれていることになります。そして、その含有量は、ミントキャンディの4.6倍でした。
あなたの腸内には、あなたの免疫機能などさまざまな体内機能に関係している腸内細菌が棲んでいます。そこに病原菌が増殖し、住処である腸内細胞まで奪われたとしたら、上でお伝えした体中の病気リスクが上昇することは、明らかに納得できる結末と言えます。
ネオテームは、次に分類されるすべてのタバコ製品で検出されています。
- 一般的な使い捨て製品
- ニコチンゼロ製品
- ニコチン製品
人工甘味料については『人工甘味料』をご参照ください。
わたしの父の話

わたしの父はヘビースモーカーでした。1日に1カートン(10箱)くらい平気で吸ってしまうくらいの。(だから、わたしは十分に副流煙を浴びて育ちました、笑)
わたしが大学留学をしていたアメリカのコロラド州では、80年代後半、既に、州全体が禁煙に制定されていました。許可された場所以外の公共の場での喫煙の禁止です。もちろん、当時のアメリカの航空会社の機内は既に禁煙が原則になっていました。
禁煙できなければ、飛行機にも乗れないし、コロラド州で過ごすことは難しいという現実を父に伝え、卒業式に出席したいなら禁煙。禁煙したくないなら卒業式には出席させない。と、どちらかを選ぶよう迫りました。
すると父は、すっぱりとタバコを止め、わたしの卒業式に出席するという選択肢を選んでくれました。当時、父は50代。
その後亡くなるまでの30数年間、一本もタバコは吸っていないと父は言っていました。そうなんです。あれほどのヘビースモーカーだった父は、86歳まで生きたのです。当時の日本人男性の平均寿命よりも長く生きました。
先ほど「喫煙者は、喫煙による疾患で過ごす年数と同じ年数の寿命を失う」という研究者の言葉を紹介しましたが、父は禁煙後60代で心筋梗塞を起こし、その後も心筋梗塞、脳梗塞、前立腺がんなど、亡くなるまでさまざまな病気と縁がありました。つまり、約20年間くらいタバコが原因と思われる病気と共に過ごしたわけです。
それと同じ年数、20年も寿命を縮めてしまった可能性があると考えると残念でなりません。20年あれば、めでたく100歳を超え、ひ孫の顔も見られたでしょう。
とはいえ、1日10箱吸っていた人が50代で禁煙しても80過ぎまで生きたのですから、禁煙するのに遅いということはありません。
ちなみに、高校を卒業するまで父の副流煙のシャワーを浴びて育ったわたしですが、60歳を超えた現在のところ、健康診断で指摘される項目はありません。
ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス

もしおひとりで取り組むことに不安や難しさを感じるのでしたら、ヘルスコーチと、一度、話をしてみませんか?
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参考文献
- “The price of a cigarette: 20 minutes of life?”, Jackson, S.E., Jarvis, M.J. and West, R., (2025), Addiction, 120: 810-812., https://doi.org/10.1111/add.16757
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- “Population attributable fraction of mortality associated with tobacco smoking in Japan: a pooled analysis of three large-scale cohort studies.”, Katanoda K, Marugame T, Saika K, Satoh H, Tajima K, Suzuki T, Tamakoshi A, Tsugane S, Sobue T., J Epidemiol. 2008;18(6):251-64. doi: 10.2188/jea.je2007429. Epub 2008 Dec 9. PMID: 19075498; PMCID: PMC4771610.
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ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング