バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。
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目次
2016年の疑念が2018年確証に
2016年3月16日のサイエンス誌『ネイチャー』のオンライン版に掲載された評論『アルツハイマー病の感染の可能性を巡る議論』について、当時、ソフィアウッズ・インスティテュートのブログ記事でも紹介しました。
その時、ネイチャーの編集者が、「今はまだ可能性が議論されているだけであり、検証が待たれる」としたことについて、マウスの実験結果の報告がありましたので、改めて紹介します。
なお、2016年に執筆したブログ記事は、下にそのまま掲載していますので、ご参考までご覧ください。
どちらの報告書についても原文を最後に参考文献として掲載にしています。
2018年|神経変性疾患が感染する確証
2018年12月13日発表の論文より
神経変性疾患の顕著な特徴の1つである粘着性タンパク質は、
特定の条件下でヒトからヒトへ感染する可能性があり、
伝染した人の脳に新たな損傷を生じることがある
との仮説を裏付ける神経科学的証拠が提示されました。神経変性疾患は、アルツハイマー病やパーキンソン病などの脳神経系の疾患です。
クロイチェルヤコブ病に感染して死亡した患者の脳から採取した成長ホルモン(2016年のブログ記事参照)を再検証した結果、アミロイドβタンパク質(Aβ40、Aβ42)とタウタンパク質が相当な濃度含まれていたと報告しています。
そして、アミロイドβタンパク質の前駆体と考えられている物質をマウスの脳内に移植すると、アミロイドβタンパク質とアミロイド血管障害が発症することを確認したと報告しています。
つまり、アルツハイマー病のマウスの脳内の成分(粘着性タンパク質)を、健常マウスの脳に移植すると、健常マウスがアルツハイマー病を発症したということです。
神経変性疾患に関係する粘着性タンパク質は感染する可能性があるとの確証が得られたと研究者は述べています。
ヒトにおいても同様に、アルツハイマー病のヒトの脳の粘着性タンパク質によって、健常者がアルツハイマー病を発症する可能性が高いと報告しています。
特定の内科的&外科的手順によってのみ感染
粘性タンパク質は、特定の内科的、外科的手順によってのみ、ヒトからヒトに伝播するリスクがあることをこの研究は示しています。つまり、
アルツハイマー病に特有な粘着性タンパク質は、
アルツハイマー病患者に接触しただけではうつりません。
そのため、生活の中で、アルツハイマー病患者の脳の粘性タンパク質に触れることがない人間社会で、アルツハイマー病の伝染が実際に起こる可能性は低いとしています。
しかし、ある特定の状況下において、ヒトでも伝染が起こっていることを示す症例が2016年に報告されている(下のブログ参照)ことから、手術を受ける場合は、不安ですね。
2016年|アルツハイマー病は感染するのか?
2016年の議論の経緯と詳細について、以下に掲載します。
2016年3月16日のサイエンス誌『ネイチャー』のオンライン版にひとつの評論が掲載され、その内容に驚きましたので、要約してお伝えします。
2016年3月24日
『Can you CATCH Alzheimer’s?(アルツハイマー病は感染するのか?)』という2015年1月の研究論文は、神経変性疾患(アルツハイマー病やパーキンソン病など)が実は感染する病気かもしれないという事例を報告し、その直後から現在まで、多くの検証研究や調査が行われています。
ロンドンにある英国国立プリオン病クリニック(National Prion Clinic)の所長で、その論文の筆者ジョン・コリンジ神経学博士と病理研究者達は、成長ホルモンの投与を受けた4名の脳の検死を行っていました。
汚染された成長ホルモンの投与
1958年から1985年までの間、成長不良の治療のために、世界中で約3万人の子供が成長ホルモンの投与・注射を受けています。投与に使用された成長ホルモンは、亡くなった人の脳下垂体から抽出したものが使用されていました。日本でも行われています。
抽出した成長ホルモンの中には、クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)に罹っていた人から採取し、異常なプリオン蛋白に汚染されていたものがあったことが後に判明しています。
2012年現在の統計では、成長ホルモンの投与を受けた人のうち、既に226名が汚染された成長ホルモンによって死亡しているとのことです。
異常プリオン蛋白が脳に沈着すると脳神経細胞の機能が障害を受け脳がスポンジ状になり死亡します。プリオンの感染から異常プリオン蛋白が発生し病気を発症するまでには長い年月がかかります。しかし、一旦、異常プリオン蛋白が発生すると進行は早く、多くの人が40代で死に至る病気です。
コリンジ博士による検死対象の4名も40代から50代で死亡していました。
アルツハイマー病のプラークを発見
コリンジ博士達を驚かせたのは、異常プリオン蛋白による脳へのダメージではなく、彼等の脳にアルツハイマー病患者特有の白っぽいプラークが点在していたことでした。
まだ40代から50代の4名全員の脳でこれらのプラークが発見されたということは、成長ホルモンが投与された時に、プリオン蛋白といっしょに、アルツハイマー病の原因物質であるアミロイドβ蛋白の“種”もうつされてしまっていた可能性をコリンジ博士達は疑いました。
もしこの疑惑が正しければ、手術や輸血や臓器移植などの医療行為によって、アルツハイマー病の原因物質であるアミロイドβ蛋白の“種”が人から人へ感染する危険性を意味します。
これが、アルツハイマー病がうつる可能性を示唆した最初の事例となりました。
世界中の専門研究機関が一斉に確認を開始
この事例報告を受けて、米国の疾病対策センター(Centers for Disease Control and Prevention)と国立保健研究機構、フランスのピティエ=サルペトリエール病院(Pitié-Salpêtrière Hospital)が、保管している大量のデータベースの確認作業を開始しました。
結果は、まだ報告されていません。
スイスのチューリッヒ大学病院内の国立プリオン病研究センター(National Prion Diseases Reference Center)は、スイスとオーストリアのプリオン病患者7名の脳の検査を行い、アミロイドβ蛋白のプラークを発見したと報告しています。
また、日本の金沢大学の附属病院副病院長である山田正仁教授は16名の患者の脳を検査した結果、アミロイドβ蛋白のプラークを発見したと報告しています。
疫学研究では因果関係を証明できない
しかし、こうした疫学研究は、状況証拠を積み上げることはできても、アミロイドβ蛋白が注射や手術によって感染すると証明することはできません。
なぜなら、対象者の脳には、初めからアミロイドβ蛋白の“種”が存在したのかもしれませんし、ライフスタイルや食生活による影響や、病歴などによる影響を排除することができないからです。
アミロイドβ蛋白の“種”の姿
現在の科学では、アミロイドβ蛋白の“種”がどのような形をしているのかすら判明していないので、そもそも、見つけることができません。アミロイドβ蛋白として発現した後にのみ発見が可能なのです。
ただ、2013年に発表された論文では、アミロイドβ蛋白には、3D(立体)構造が異なるいくつかの種類があり、アルツハイマー病の進行度合いに違いを生じさせていることが報告されています。
こうした研究が進み、形や構造が判明すれば、脳ドッグなどで早い段階で“種”を発見し処置できるようになる可能性があるそうです。
アミロイド蛋白は通常の方法では洗浄できない
アミロイド蛋白は、接着剤の様に手術器具に貼りつき、通常の洗浄・殺菌方法では洗い落とすことができないそうです。
特殊な方法が必要です。
もし、本当に、アミロイドβ蛋白の“種”が、人から人へ感染するのだとしたら、せめて、その形が判明するまでは、手術器具は全て特殊な方法で洗浄するか、使い捨てにするかにしてほしいものです。
日本では、手に持てるような器具は全て使い捨てだと思うのですが、大規模な手術装置や器械などは、使い捨てができないので、脳の手術に使用するものは、慎重に整備して欲しいと願います。
アルツハイマー病は接触しても感染しない
繰り返しますが、
輸血や手術や臓器移植など、
相手の蛋白質を自分の細胞内に取り込むような行為が
行われなければ感染しない
と、研究者達は述べています。
ネイチャーの編集者も「あくまでも可能性が、現在、調査されている」ということを認識し、むやみにパニックに陥って、アルツハイマー病の方々への差別等につながらないように、冷静に対応してほしいと書いています。
この感染を予防するために、私たちが個人でできることはあまりないように思います。
あなたができること
ソフィアウッズ・インスティテュートではアルツハイマー病と認知症の予防のための食事とライフスタイルについてシリーズで記事を公開しています。
ご参考までご覧ください。
- 『アルツハイマー病と認知症(1)症状と予防・改善のための食事法』
- 『アルツハイマー病と認知症(2)予防と改善のための食事法』
- 『アルツハイマー病と認知症(3)予防と改善のための食事法』
- 『アルツハイマー病と認知症(4)予防と改善のライフスタイル』
ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス
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参考文献:
- “Transmission of amyloid-β protein pathology from cadaveric pituitary growth hormone“, Silvia A. Purro, Mark A. Farrow, Jacqueline Linehan, Tamsin Nazari, David X. Thomas, Zhicheng Chen, David Mengel, Takashi Saito, Takaomi Saido, Peter Rudge, Sebastian Brandner, Dominic M. Walsh & John Collinge, 13 December 2018, Nature volume 564, pages415–419 (2018)
- “The red-hot debate about transmissible Alzheimer’s“,Alison Abbott, NATURE, 16 March 2016
- プリオン病(1)クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)、公益財団法人 難病医学研究財団/難病情報センター
ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング