バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。
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目次
カラギーナンとは
カラギーナンは、様々な種類の海藻に含まれる多糖類です。そのゲル状の粘性によって、食品添加物の安定剤や増粘剤として何十年も用いられてきたものです。
次のような権威的な機関によって「一般的に安全だと認識されている(GRAS)」と、されている物質です。
- 米国食品医薬品局(FDA)
- 世界保健機関(WHO)食品添加物合同専門家委員会(JECFA)
- 欧州食品安全機関(EFSA)
なお、今回参照した裏付けとなる研究論文は、最後に参考文献として一覧にしています。
カラギーナンの安全性評価
これらの機関がカラギーナンを「安全だと認識されている」と評価した裏付けとなった、動物実験によって明らかにされているカラギーナンの特性は次の通りです。
- 低pHの胃酸や消化管内の微生物叢(腸内細菌)によってほとんど消化分解されず、そのまま便として排出される
- カラギーナンの分子は重く、またタンパク質と結合すると安定する構造から、ほとんど吸収も代謝もされない
- 他の栄養素の吸収を阻害することはほとんどない
- 食事に占める割合が5%以内であれば、カラギーナンを慢性的に摂取し続けても、下痢や軟便になること以外の有毒症状を誘発しない、また、腸潰瘍を起こさない
- 免疫毒性はあるが、食品添加物として使用する程度では問題がない。なぜならば、食品中のタンパク質と結合した状態で摂取した場合、臓器組織病理学、臨床化学、血液学、標的臓器毒性などにおいて毒性の報告はない。タンパク質と結合させず飲料水に混ぜただけで摂取した時に免疫毒性が発生したと考えられる。
「一般的に安全だと認識されている」としていますが、「下痢や軟便になること以外の有毒症状を誘発しない」ということは、下痢や軟便はあったということですし、また、タンパク質と結合した状態で食べれば問題ないとしていますが、「タンパク質と結合しない状態では免疫毒性がある」ということです。
本当に安全なんでしょうか?
ヒトへの安全性
数年前に、ヒトへの安全性に疑問を呈する研究発表がなされ、その安全性について今尚、議論が続いています。
2018年に発表された論文『カラギーナン論争の再考:私たちは食品中のカラギーナンの消化の結果と安全性を本当に理解していますか?』は、現在のカラギーナンに対する安全性評価には3つの問題があるとしています。
- 一般大衆を対象としたカラギーナンの影響に関する情報(疫学研究)がほとんど存在しない
- カラギーナンの物理化学的特性、消化タンパク質分解への影響、腸内微生物叢、および炎症との関連性について、ヒトにおいて完全には解明されていない(ほぼ全ての研究が試験管試験あるいは動物実験)
- 高齢者やIBD患者への影響に関する臨床研究がほとんど存在しない
今までも、動物のみを対象とした検証によって安全とされ、何年も使用され続けた後で、実は安全でなかったと判明した食品添加物がたくさんあります。ですから、ヒトで検証されていない限り、完全に安心・安全な物質とは言えないと感じます。
ペットフードの中のカラギーナン
動物飼料に使用される添加物および製品または物質について議論する欧州食品安全機関(EFSA)パネルは、『ペットおよびその他の非食用動物の飼料添加物としてのカラギーナンの安全性と有効性』という2022年4月に発表された報告書の中で、
「欧州食品安全機関(EFSA)は、
カラギーナンの安全性について結論づける立場にない」
と、述べています。
あれ?
欧州食品安全機関(EFSA)は、ヒトの食品添加物として、カラギーナンは「一般に安全と認識されている」という立場じゃなかったでしたっけ?
一般的に安全だと認識されている
Generally recognized as safe (一般的に安全だと認識されている)の「recognized(認識されている)」という言葉のニュアンスの問題です。
これは、「一般的に安全だと認識している」というだけの意味です。
つまり、米国FDAも、WHOも、EUのEFSAも、カラギーナンが確実に安全だとは、一言も言っていないのです。
ペットフードとしても安全だと言い切れないのであれば、ヒトへの安全性については、尚更、安心できないと感じます。
ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス
統合食養学の公認ヘルスコーチとしては、心から安心してカラギーナンと付き合うためには、ヒトを対象とした信頼のおける今後の研究成果を待ちたいと思います。
しかし、現実的には、カラギーナンが普通に様々な食品に使われている現状と折り合いをつけていかなくてはなりません。
「少量・たまに・たまたま」なら神経質にならない
完全に安全だと分るまでは、できるだけ避けた方が良いでしょう。
でも、たまに、少量、カラギーナンが含まれている加工食品を口にすることで、直ぐに大きな健康被害が起こるとは考えにくいです。そのため、たまに、少量、たまたま、カラギーナンが含まれている加工食品を食べたとしても、あまり神経質になる必要は無いと考えます。
止めた方が良い食べ方
ただし、カラギーナンが使用されている特定の加工食品を長期にわたって食べ続けること、一度に大量に食べることは止めた方が良いでしょう。
そして、カラギーナンが使用されている飲料は、止めておいた方が良さそうです。
カラギーナンを避けた方が良い人
そしてもちろん、IBDや胃腸に課題を抱えている人は、念のため、積極的に避けておく方が安心です。
全てはこれからの研究成果次第
今後、上記で指摘された3点について、明確な情報が蓄積・分析・評価され、本当にヒトにとって安全な物質であることが証明されれば、安心です。
それが分かるまでは、あまり神経質にならずに、でも、賢く避けていくことが安心で良いのではないかと思います。
ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス
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参考文献:
- “Food additive carrageenan: Part I: A critical review of carrageenan in vitro studies, potential pitfalls, and implications for human health and safety”, James M McKim, Crit Rev Toxicol, 2014 Mar;44(3):211-43. doi: 10.3109/10408444.2013.861797. Epub 2014 Jan 24, PMID: 24456237
- “Food additive carrageenan: Part II: A critical review of carrageenan in vivo safety studies”, Myra L Weiner, Crit Rev Toxicol, 2014 Mar;44(3):244-69. doi: 10.3109/10408444.2013.861798. Epub 2014 Jan 28, PMID: 24467586
- “Revisiting the carrageenan controversy: do we really understand the digestive fate and safety of carrageenan in our foods?”, Shlomit David, Carmit Shani Levi, Lulu Fahoum, Yael Ungar, Esther G Meyron-Holtz, Avi Shpigelman, Uri Lesmes, Food Funct, 2018 Mar 1;9(3):1344-1352. doi: 10.1039/c7fo01721a. Epub 2018 Feb 22, PMID: 29469913
- “Comment on ‘Revisiting the carrageenan controversy: do we really understand the digestive fate and safety of carrageenan in our foods?’ by S. David, C. S. Levi, L. Fahoum, Y. Ungar, E. G. Meyron-Holtz, A. Shpigelman and U. Lesmes, Food Funct”, Myra L Weiner, James M McKim, 2018, 9, 1344-1352, Food Funct, 2019 Mar 20;10(3):1760-1762. doi: 10.1039/c8fo01282b, PMID: 30794268
- “Safety and efficacy of a feed additive consisting of carrageenan for pets and other non-food-producing animals (Marinalg International)“, EFSA Panel on Additives and Products or Substances used in Animal Feed (FEEDAP), Vasileios Bampidis, Giovanna Azimonti, Maria de Lourdes Bastos, Henrik Christensen, Birgit Dusemund, Mojca Fašmon Durjava, Maryline Kouba, Marta López-Alonso, Secundino López Puente, Francesca Marcon, Baltasar Mayo, Alena Pechová, Mariana Petkova, Fernando Ramos, Yolanda Sanz, Roberto Edoardo Villa, Ruud Woutersen, Paul Brantom, Kettil Svensson, Rosella Brozzi, Jaume Galobart, Lucilla Gregoretti, Gloria López-Gálvez, Konstantinos Sofianidis, Maria Vittoria Vettori, Matteo Lorenzo Innocenti, EFSA J, 2022 Apr 29;20(4):e07285. doi: 10.2903/j.efsa.2022.7285. eCollection 2022 Apr, PMID: 35505787, PMCID: PMC9053139
ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング