バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。
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目次
ある日突然、今まで美味しく食べていたものが、全部同じ味に感じられたらどうしますか?
全部、ぼやっとした味に感じられたり、みんなが美味しいと言っているのに、あなたにはとても不味く感じられたり、食べたものから金属の味がしたらどうしますか?
マッシュポテトが錆びた釘のような味がしたり、普通の水から金属の味がしたり、みなが美味しそうに食べているヨーグルトから悪臭を感じたり、味がしないはずの水がものずごく不味く感じたり・・・。
これ全部、味覚障害/味覚低下の特徴的な症状です。味覚障害が起こると、味がまったく感じられなくなったり、とても薄く感じられたり、口の中に金属のような苦味が感じられたりします。
こんなことが突然起きたら、誰でも不安になりますね。
まずは客観的に確認する
そんな時は、慌てずに周囲の人、例えばご家族やお友だちに同じものを飲食してもらって、その食品が本当に不味いのか、あなたの味覚に問題があるのかを客観的に確認してみましょう。
本当に不味いのかもしれませんからね(笑)
食事が美味しくなければ、食べる気力や食欲が失われます。そんな状態が続けば栄養不良にもなるし、体重が減って免疫力や体力も減退します。それだけでなく、軽度のうつを発症してしまう人もいます。
不味いものを食べたいと思う人は、いませんからね・・。
味覚障害/味覚低下の原因
味覚障害/味覚低下が起こる原因には、次のようなさまざまな疾患が関係しています。
- 急性ウイルス性疾患
- 亜鉛欠乏症
- 甲状腺機能低下症
- 外傷性脳損傷
- 肝疾患
- アレルギー性鼻炎
- 医薬品
などです。
急性ウイルス性疾患
急性ウイルス性疾患では、新型コロナウイルス感染症のパンデミック中、感染した多くの人が嗅覚と味覚を失ったことが記憶に新しいですね。
回復後においても数か月にわたって、味覚や嗅覚が戻らなかった人や、今でも味覚が回復しないままの人もいらっしゃるようです。ただ幸いなことに、多くの人の味覚と嗅覚は、病気の快復と共に正常に戻っています。
急性ウイルス性疾患回復後においても味覚が戻らない原因のひとつとして、亜鉛欠乏が部分的に関係しているのではないかと考えられています。
亜鉛欠乏症
亜鉛と味覚との間に関連性があることが多くの研究によって明らかにされています。亜鉛は、味と匂いの知覚に関与する重要な微量栄養素です。
そのため、亜鉛が欠乏すると、味覚の受容体が正常に機能しなくなり、その結果、味覚が歪むことがあります。
亜鉛の詳しい機能については『亜鉛』をご確認ください。
甲状腺機能低下症
甲状腺の機能低下で起こる甲状腺機能低下症は、味覚に大きな影響を及ぼし、甘い食べ物や塩辛い食べ物を「変な味」と認識するようになることが知られています。
理由は、甲状腺ホルモンのひとつT3の活性が低くなると、味覚と嗅覚に異常や減退が起こるからです。また、甲状腺ホルモンの活性には、亜鉛も関与しているため、甲状腺機能低下症で味覚異常が起こることには、亜鉛不足が関係している可能性が指摘されています。
幸いなことに、この味覚障害も一時的なもので、甲状腺ホルモンの数値が正常に戻れば自然に治ります。
ただし、甲状腺ホルモン薬を服用している場合には、ホルモン値が正常になっても、薬の影響によって味覚異常が残ることがあります。
プライベートヘルスコーチングプログラムから得られた知見
実は、甲状腺機能低下症と味覚異常について、私はかなり以前から経験的な観察によって知っていました。プライベートヘルスコーチングプログラムを受けてくださるクライアントさんの多くに、腸内環境の改善や免疫力向上のために、ご家庭で作って食べていただくことをお勧めしている食品があるのですが、甲状腺機能低下症のクライアントさんたちだけは、いつもこう言うのです。
「作ったけれども不味くて食べられない」
初めて甲状腺機能低下症のクライアントさんを担当した時には、甲状腺機能低下症で味覚異常が起こることを知りませんでしたから、かなり困惑しました。一般的にはかなり美味しい食べ物で、私自身も毎日食べているものだからです。
それを「不味くて食べられない」というのは、いつも決まって甲状腺機能低下症のクライアントさんだと気づいた時に、病気と味覚に関係性があることを確信しました。
その後は、この食べ物を食べた時の感想によって、甲状腺機能低下の兆候を判別できるのではないかと考えるようになり、その食品を「不味い」という講座の生徒さんやお友だちには、もれなく甲状腺の検査を勧めています。
その後、甲状腺機能低下症で実際に味覚異常が起こることを知り、観察からの自らの演繹力の正しさにちょっと嬉しくなると共に、深く納得した次第です。
味覚異常を起こしやすい医薬品
味覚変化や味覚異常を起こすことが報告されている薬は、案外多いんですよ。次のカテゴリーに含まれている薬の一部が味覚異常を起こすことが報告されています。
- 甲状腺機能低下症治療薬
- スタチン類(コレステロール低下薬)|金属味や苦味などの味覚変化
- 抗精神病薬|苦味や異常な味覚変化
- 抗生物質|金属味などの味覚の変化
- ACE阻害剤(降圧剤)
- 抗発作薬|金属味や炭酸味
- 抗うつ薬(三環系や一部のSSRI)|少し鈍い苦味を伴う味覚変化
- 抗不整脈薬
- 片頭痛薬
- カルシウムチャネル遮断薬(降圧剤・狭心症薬)
- 免疫抑制剤
- 化学療法薬(抗がん剤)
ただし、上記したカテゴリーの薬の全てが味覚異常を起こすわけでも、服用している人の全てに味覚異常が起こるわけでもありません。味覚異常を起こさない薬もあれば、同じ薬を服用しても味覚異常を起こさない人もいます。
上記の薬の服用を始めてから3か月以内に味覚変化を自覚した時には、お医者様や薬剤師さんに相談してください。特に、3か月経っても味覚に変化がないのであれば、お薬を変更する必要はないと私は思いますが、ご心配なら、やはりお医者様や薬剤師さんにご相談くださいね。
味覚が正常に戻るまでの対処法
多くの味覚異常は一時的なもので、ベースとなる疾患が回復することで正常に戻ります。しかし、その間、少しでも食事を美味しく食べられるように、次の対処法を試してみてはいかがでしょうか。
スプーンやフォークや食器を変える
スプーンやフォークの素材を金属製のものから、プラスチック製や木製やシリコン製のものに変更しましょう。そうすることで、金属味を軽減させることに役立ちます。
器やお皿やカップも同様です。金属製のものや磁器製のものは、金属味を強くする可能性があるため、プラスチックや木製のものに変更することをお勧めします。
プラスチック製品はリサイクルして使いましょう。また、木製のものは、間伐材でできたものにすると環境保全につながるためお勧めです。シリコン製のものは、シリコン自体の臭いが気になるかもしれませんので、慎重に選んでくださいね。
口をすすぐ
食事前と就寝前に、塩と重曹溶液(それぞれ小さじ半分ずつを白湯1カップに溶かす)で、口をすすぎます。口の中の不快な味覚のリセットに役立ちます。
キャンディを活用する
レモンやオレンジなどの柑橘系のフレーバーや、ペパーミントや甘草などのフレーバーのキャンディは、苦味や金属味を相殺してくれます。
「お口直し」に食事の途中で時々舐めるようにすると、食事を美味しく楽しめる可能性が高くなります。
香りを楽しむ
今のあなたが心地よいと感じる香りがする食品やお料理を選んで食べましょう。
冷やしてから食べる
温かい食べ物やお料理は、香りが強く感じられるものが多いので、常温か冷たいお料理を選ぶようにすると、感じる匂いが少ないため、味が気にならなくなる可能性は高いです。
また、味覚異常が起きている時には、冷たい食べ物や冷凍の食品が美味しく感じることが多いようですから、冷やしてから食べることも効果的です。
ただし、抗がん剤の中には、冷たさに対して過敏にさせる作用があるものがあるので、そうした薬を服用している場合には、薬剤師さんに確認の上、冷たいものは避けた方が良いでしょう。
牛肉を避ける
牛肉を食べると、金属味が強く口の中に残ることがあります。
そのため、タンパク質は植物性のもの(大豆や豆類、ナッツ類など)か、鶏肉や魚を選択すると良いでしょう。
味をマスキングする
ハーブやスパイス、柑橘類を用いることで、味をマスキングできることがあります。
例えば、
- お肉をフルーツジュースやワインやフルーツ酢などでマリネしてから使う
- ハーブとスパイスを用いてあなたが美味しいと感じるソースを作って、お肉料理やお野菜と一緒に食べる
- サラダドレッシングにフルーツの果汁を用いる
などです。
例えば、ペパーミントを使ったお肉料理用のソースの作り方は『ミントソース』をご覧ください。
貝類・シーズ(種)類を食べる
貝類やシーズ(種)類には、亜鉛が豊富に含まれています。亜鉛を豊富に含む食品を食事に加えることで、亜鉛欠乏で起きているかもしれない味覚変化や異常を正常に戻すことができる可能性があります。
サプリメントよりも食品から摂ることで、体内吸収率を高めることができます。
亜鉛を豊富に含む食品の詳細については『亜鉛の多い食品』をご参照ください。
抗がん剤を服用している人
抗がん剤セッションの1~2時間前からセッション後、最大3時間は、食事をしないようにしましょう。
ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス
多くの人にとって、味覚障害は、一時的な症状で、ベースとなる疾患が治れば、味覚障害も正常に戻ります。
ですから、味覚に変化が生じた時には放置せずに、病気の可能性を考慮してお医者様に相談して検査を受けるか、何かしらの医薬品を服用している人は、まずは、薬剤師さんなどに相談してくださいね。
もしおひとりで取り組むことに不安や難しさを感じるのでしたら、ヘルスコーチと、一度、話をしてみませんか?
公認ホリスティック・ヘルスコーチは、食事だけでなく、あなたを取り巻く様々なこと(環境、仕事、家族、人間関係など)を考慮して、プログラムに反映させ、あなたが、なりたいあなたになれるようコーチングを提供します。
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参考文献:
- “Hypogeusia as an adverse reaction of phenytoin”, Christian R Baumann, Peter M Ott,1 and Adrian M Siegel, Br J Clin Pharmacol. 2004 Dec; 58(6): 678–679, doi: 10.1111/j.1365-2125.2004.02217.x, PMCID: PMC1884645, PMID: 15563368
- “Dysgeusia Successfully Treated With Sertraline”, Yoshito Mizoguchi, M.D., Akira Monji, M.D., and Shigeto Yamada, M.D, 1 Apr 2012, https://doi.org/10.1176/appi.neuropsych.11040095
- “Mirtazapine Therapy for Dysgeusia in an Elderly Patient”, Kalpana P. Padala, M.D., Cheryl K. Hinners, M.D., and Prasad R. Padala, M.D., Prim Care Companion J Clin Psychiatry. 2006; 8(3): 178–180, doi: 10.4088/pcc.v08n0310b, PMCID: PMC1540398, PMID: 16912823
ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング