
バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。
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目次
長寿ビタミン
長寿ビタミンをご存知でしょうか
カリフォルニア大学バークレー校の名誉教授ブルース・N・エイムズ博士が、ご自身の『トリアージ理論』の中で、「長寿ビタミン」と提唱したことをきっかけに、近年、注目を集めている抗酸化作用や抗炎症作用をもつ含硫アミノ酸のことです。
正式には、「エルゴチオネイン」と呼ばれる成分です。
ちなみにトリアージ理論とは、人体を含む自然界は、長期的な健康よりも現在の短期的な生存を優先するように機能しているという理論です。
1. エルゴチオネイン
エルゴチオネインは、主に菌類によって造られます。
今のところ、ヒトはエルゴチオネインを体内で合成することはできないと考えられています。腸内細菌の中に合成できるものがいる可能性を示唆する研究もありますが、まだ希望的観測の域を出ません。
つまり、ヒトは、エルゴチオネインを含む食品を食べなくてはなりません。
今回は、主に、エルゴチオネインについて詳しく網羅的に説明している米国のペンシルベニア州立大学による論文を基に和訳要約してお伝えします。
なお、裏付けとなる研究論文は最後に参考文献として一覧にしていますが、文中で引用している個々の研究の詳細については、ペンシルベニア州立大学の論文の索引をご参照ください。
エルゴチオネインの生体利用

エルゴチオネインを高濃度で含む食品を用いた研究は、エルゴチオネインが体内で次のような挙動をすることを明らかにしました。
1. トランスポーターの存在
ヒトを含むすべての哺乳類は、エルゴチオネインを運ぶ特異的なタンパク質(トランスポーター)をもっています。
エルゴチオネインを運ぶトランスポータータンパク質は、肝臓、骨髄、腎臓、小腸、小脳、肺に存在していることが判明しています。
いずれも生命維持にとって重要な臓器です。つまりそれだけ、ヒトの体はエルゴチオネインを必要としているということです。
2. 体内活用率
実際に食品中のエルゴチオネインの、ヒトの体内での活用率は非常に高いことが判っています。
エルゴチオネインを含む食品を食べた1~2時間後に赤血球中のエルゴチオネイン濃度は上昇し、エルゴチオネインは臓器に蓄積していきます。
3. エルゴチオネイン濃度
エルゴチオネインを含む食品を食べる量が多い人ほど、血液中のエルゴチオネインの濃度が高く、特に、エルゴチオネインは赤血球の中に高濃度で存在しています。
また、エルゴチオネイン濃度とグルタチオン濃度には、高い相関関係があることも判明しています。ちなみに、グルタチオンは肝臓で造られるがん細胞も殺せる強力な抗酸化物質です。
エルゴチオネインを多く含む食品
文部科学省の食品成分表にエルゴチオネインの登録がありませんので、食品中の含有量を調査したさまざまな研究論文の数値を単純平均して表を作成しました。
エルゴチオネインは、次の食品に多く含まれています。

ポルチーニとタモギダケには破格の量が含まれています。そのため、その2つを除いてグラフにしたのが右側の表です。
1. エキゾチックなキノコ類
これらの研究は海外で行われたものなので、「エキゾチックなキノコ類」とは、「椎茸、舞茸、エノキ茸、エリンギなど」のことです。日本人にとっては「普通のキノコ」です(笑)
すべての「エキゾチックなキノコ類」には、統計的に有意な量のエルゴチオネインが含まれていて、みな同じくらいの量を含んでいたと報告されています。
また、キノコ類の乾燥重量では平均して1グラム中0.4~2.0 mgのエルゴチオネインが含まれていると報告されています。
2. ボタンマッシュルーム

一方で、海外で一般的なボタンマッシュルームのエルゴチオネインの含有量はキノコ類の中で最も少なく、特に白いボタンマッシュルームは、茶色よりも少ないことが報告されています。
他の研究でも、アジア諸国で一般的に消費されているシイタケ、ヒラタケ、マイタケ、エリンギと比較して、ヨーロッパやアメリカ諸国で主に消費されているボタンマッシュルームやポルタベラのエルゴチオネイン含有量はかなり低いことが報告されています。
3. 鶏肉・鶏卵
鶏肉や鶏卵にもエルゴチオネインは含まれていますが、キノコ類と比較するとわずかな量です。
また、健康的な野菜の代表選手として名前が挙がることの多いほうれん草、ブロッコリー、ケールなどにも、ほとんどエルゴチオネインが含まれていないことが示されています。
エルゴチオネインの機能
エイムズ博士によれば、エルゴチオネインには老化に伴う慢性疾患の予防と改善に寄与する複数の機能があり、食事から摂るエルゴチオネインの量が不足すると、潜在的かつ累積的に健康を損ない、寿命を縮める可能性があるとのことです。

エルゴチオネインを大量に含む食品、特にキノコ、との関係を調べた研究はたくさんありますが、エルゴチオネインそのものを用いたヒトを対象とする研究はほとんどありません。
そのため、次の効果がエルゴチオネインだけの効果とは言い切れませんし、キノコ全般の効果と言い換えても良いと思いますが、統合食養学のヘルスコーチとしては、どんな栄養素もサプリメントからではなく、食事をして欲しいので好都合な情報です。
1. 全がん予防
疫学観察研究の包括的なシステマティックレビューとメタアナリシスは、キノコを食べる量が多いほど全てのがんのリスクが低下し、生存率が向上する可能性を示しています。
特に、キノコを食べる量と最も有意な相関が認められたのは、乳がんでした。
女性はキノコをたくさん食べたいですね!
2. 生活習慣病予防・改善

他の疫学的調査では、キノコを食べる量は、メタボなどの慢性疾患リスクの低下と関係していることが示されています。
プラセボと(偽薬)比較して、粉末キノコを8gまたは16g摂取したグループの「食後トリグリセリド反応」が鈍化したことが報告されています。
食後トリグリセリド反応とは、食事から摂った中性脂肪(トリグリセリド)が、分解されないまま長時間血液中に留まってしまう症状のことで、「食後高脂血症」とも呼ばれます。
その状態に陥ることをキノコの粉末が抑制したことを示した研究です。
また、約2万人を対象とした前向きコホート研究では、キノコを食べる量が多いほど高尿酸血症の発症率が低下することが明らかにされ、高血圧の予防に重要な役割を果たす可能性が示されています。痛風の予防や改善にもなりますね。
3. 長寿

前向き研究のメタアナリシスでは、キノコを食べる量が多いほど、全死亡リスクの低下と関連していることを明らかにしています。
スウェーデンで行われた健康志向の食生活をしている3,200人の成人男女を対象とする平均21.4年間の追跡調査の縦断的メタボロミクス研究では、血漿中のエルゴチオネイン濃度が心血管疾患リスクと死亡率の低下と最も強く関連していることを明らかにしています。
また、日本で実施された別のメタボロミクス研究では、高齢の入院患者のうち、虚弱でない人と比較して、虚弱な人の血液中のエルゴチオネイン濃度が明らかに低いことが明らかにされました。
2010年のWHOのデータを用いたその後の研究では、エルゴチオネインを多く含む食品を食べる量が多いほど、総死亡率、並びに、神経疾患による死亡率が低くなること、そして、長生きすることが実証されています。
研究者は、次のように述べています。
「人間の食事におけるエルゴチオネインの摂取量が制限されると、
老化に伴う慢性疾患の発症率増加や平均寿命の短縮につながる可能性がある」
エルゴチオネインを不足させないことが大切なんですね
4. 認知症予防・改善

ノルウェーで実施された研究では、キノコを食べる量が高齢者の認知能力の向上と関連していることが明らかにされています。
他の研究においても、血漿中のエルゴチオネインの濃度の低下は、認知障害、アルツハイマー病、パーキンソン病などの神経変性疾患リスクの上昇と関連付けられています。
なお、エルゴチオネイン濃度と高い相関関係にあるグルタチオンもまた神経変性疾患の発症と関連している強力な抗酸化物質です。
九州大学は、研究開始時点で認知症を発症していない65歳以上の久山町研究に参加した日本人高齢者を対象に、血清エルゴチオネイン濃度と認知症との関連を前向きに11.2年間追跡調査した結果を2025年9月に発表しています。
血液中のエルゴチオネイン濃度の高い順に4つのグループに分け認知症の発症率を比較したところ、血清エルゴチオネイン濃度が最も低い第1グループ(0.410μmol/L未満)と比較して、他のグループの発症リスクは次のとおりでした。
- 第2グループ(0.410~0.692μmol/L)・・・0.89倍(11%低下)
- 第3グループ(0.693~1.229μmol/L)・・・0.69倍(31%低下)
- 第4グループ(1.229μmol/L超)・・・0.54倍(46%低下)
エルゴチオネイン濃度が高くなるほど、認知症リスクが低下することが分ります。
さまざまなタイプの認知症においても同様の結果が得られています。
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