
バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。
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目次
糖尿病の人は果物を避けるべき!?
いまだに糖尿病の人は果物を食べてはいけないと信じている人がいます。
でも、そんなことはありません。
糖尿病の人でも果物を避ける必要はない
これは、もう10年以上も前から明らかにされている医学的な真実です。なのに今でも、「糖尿病の人は果物を食べない方が良い」などという誤ったアドバイスを目に耳にします。
たぶん、それは、2023年に発表された「果糖生存危機仮説」による影響ではないかと思われます。
1. 果糖生存危機仮説
果糖生存危機仮説とは、2023年にコロラド大学のジョンソン博士が米国肥満学会の機関誌『Obesity』に発表した仮説です。
フルーツに含まれている果糖は、ブドウ糖とは異なり、ほぼ全てが肝臓で代謝されることから、満腹感を感じられないだけでなく、果糖を過剰に摂取すると、体が「飢餓状態に陥った」と誤認してしまい、生存のために脂肪を蓄積し、食欲を増進させてしまうという仮説です。
2. 果糖とフルーツは同じではない
『専門家が消えて欲しいと願う食事に関する10の迷信』でもお伝えしましたが、ハーバード大学のブリガム・アンド・ウィメンズ病院の栄養・ウェルネスサービスマネージャーの、管理栄養士でもあり認定糖尿病ケア・教育スペシャリストでもあるナンシー・オリベイラ氏が、果物と血糖値の関係についてあらためて説明していましたので、和訳要約してお伝えします。
なお、裏付けとなる資料や論文は、最後に参考文献として一覧にしています。

フルーツは基本的な楽しみ
I型糖尿病、II型糖尿病、あるいは妊娠糖尿病と診断されたからといって、季節のフルーツを食べる基本的な楽しみを諦める必要はありません。
果物を丸ごと食べることは、糖尿病の人にとっての良い食生活に含まれる、重要な要素です。
フルーツが血糖値に与える影響

甘く熟した果物を食べても、ケーキや食パン、キャンディといった甘い加工食品を食べた時と同じような影響は体には起こりません。
果物に含まれる糖分は、果糖だけではありません。また、保護膜となる食物繊維と水分に包まれており、さらに抗酸化ポリフェノール、ビタミン、ミネラルといった健康的な成分に包まれています。
食物繊維は、糖が血液中に取り込まれるのを緩やかにし、血糖値の上昇と下降を緩やかにします。
2023年5月に『Frontiers in Endocrinology(内分泌学フロンティア)』誌に掲載された、糖尿病患者を対象に行われた19件のランダム化比較試験のメタアナリシスは、生の果物とドライフルーツの両方を適度に丸ごと食べることで空腹時血糖値が有意に低下することを示しています。
研究者は、次のようにも述べています。
「総エネルギー摂取量を変えることなく、
糖尿病患者がより多くの果物を摂取することを推奨します。」
一方で、フルーツジュース、フルーツドリンクやソーダ、フルーツクッキーなど、糖をたっぷりと添加された食品や飲料は、食物繊維がほとんど、あるいは全く含まれないため、血糖値を急上昇させます。
フルーツに対するあなたの血糖値反応
果物に対する血糖値反応は人によって異なります。
1. 血糖値の見える化が必要

オリベイラ氏は、糖尿病患者に持続血糖測定器(CGM)を使用して、特定の果物を食べた後の血糖値反応をモニタリングすることを推奨しています。
持続血糖測定器(CGM)は、皮膚にセンサーを装着し、スマホなどをかざすだけで血糖値を連続的に測定し、血糖値の変動パターンを「見える化」する医療機器です。
CGMをお使いではない場合は、果物を食べた1~2時間後に、従来の血糖測定器を使用して血糖値を測定し、記録してください。
2. 食べ合わせも重要

オリベイラ氏は、次のようにも説明しています。
「果物に対する反応は人によって異なりますが、
果物を何と一緒に食べるかによっても異なります」
例えば、果物とシリアルを一緒に食べるよりも、果物とナッツを一緒に食べることで血糖値の急上昇を抑えられる可能性は高くなります。
果物を糖尿病患者の食事に取り入れても良いですか?
果物は、糖尿病患者のための、バランスの取れた食事に間違いなく取り入れることができます。
観察研究は因果関係を証明するものではありませんが、『栄養学レビュー(Nutrition Reviews)』誌に掲載された、観察研究のシステマティックレビューとメタアナリシスは、次の事実を明らかにしています。
果物を多く食べる糖尿病患者は、
心血管疾患やその他のあらゆる原因による死亡リスクが低い
GI値よりもバイオ個性の方が重要
オリベイラ氏は、果物のグリセミック指数(GI値)やグリセミック負荷(GL値)にあまりこだわらない方が良いと述べています。
「果物の量や付け合わせの食品によって、血糖値の反応は変化します。
そのため、個別の食品のGIに着目するのはあまり実用的な方法ではありません」
血糖値測定器で、あなた自身の体の反応を確認する方が良いです。
わたしたちは、ひとりひとり異なります。あなたの体の反応は、あなた固有のものです。それがバイオ個性です。
血糖値の急上昇を防ぐ最適な果物
果物はどれも栄養価が高く食物繊維が豊富です。そして、加工されていない(あるいは加工が最小限の)炭水化物の源です。
どんな果物も、適度に食べれば問題ありません。
1. 糖尿病に最適な果物?
そして、つまり果物は、糖尿病患者にとって最適な食品です。

そして、特に次の果物には糖質があまり多くありません。
- ベリー類
- クレメンタイン(オレンジ、柑橘類)
- キウイフルーツ
米国糖尿病協会は、特にベリー類と柑橘類を推奨しています。
2. 冷凍フルーツ?
オリベイラ氏はまた、甘味が追加されていない冷凍フルーツも推奨しています。

「果物が丸ごと食べられるので良い選択肢になります」
白砂糖や人工甘味料が添加されていないものを選びましょう。
3. ドライフルーツ?

ドライフルーツは、大さじ2杯から1/4カップ程度の少量であれば問題ありません。
ドライフルーツの詳しい健康情報は『ドライフルーツ』をご確認ください。
こちらも人工甘味料や白砂糖、香料や着色料が添加されていないものを選びましょう。
4. 缶詰のフルーツ?
缶詰のフルーツは加工され食物繊維や栄養素をあまり含んでいないため、お勧めできません。
特に、シロップ漬けのものは避けましょう。
また、「無糖」と書かれているものには人工甘味料が含まれている可能性が高いため、裏の原材料表を必ず確認し、人工甘味料が使用されていないことを確認しましょう。
カロリーゼロで血糖値を上げないという健康的なイメージをもたれがちな人工甘味料ですが、その問題点については『人工甘味料』をご確認ください。
血糖値をコントロールするフルーツの食べ方

オリベイラ氏は次のように話します。
「私は患者に、果物を一度に食べ過ぎないよう注意しています。
丸ごとの果物を1日に3食食べて欲しいのですが、
1日を通して少しずつ食べるようにアドバイスしています。」
1. 適度な量とは?
適度に食べることが重要です。
いくら果物が健康的な食べものとはいえ、食べ過ぎはよくありません。
特に、糖尿病患の人は、果物の食べ過ぎには注意する必要があります。
1食分のフルーツとは、次の量を目安にしてくださいね。
- ほとんどのフルーツ・・・カップ1杯、または、中くらいのサイズ1個
- バナナやマンゴー・・・1/2カップ
2. 丸ごと食べる
オリベイラ氏の言葉の中で大切なのは、「丸ごとの果物」というところです。
「丸ごとの果物」とは、皮が食べられるフルーツは皮ごと食べることを意味します。
例えば、リンゴやぶどうは皮ごと、ミカンなら白い筋や房ごと食べます。
つまり、他の自然食品と同じように果物もホールフードを食べることが大切なんです。
もちろん、メロンやスイカの皮まで無理に食べる必要はありません。
3. 季節を食べる
フルーツを選ぶ際には、その季節の果物を食べるようにしましょう。
果糖生存危機仮説の中で、ジョンソン博士は、果糖に対する体内の反応が特殊になっている理由を次のように説明しています。
「本来の果物は、秋の短い間だけ実り、動物が冬に備えて体脂肪を蓄えるために食べていた食べものです。人間が季節を問わずに果物を栽培し、一年中食べるようになった結果が肥満や生活習慣病です」
もしこの仮説が正しいとすれば、季節の果物をほどほどに食べることで多くの問題は解決されます。秋や冬に実る果物を春や夏に食べない。春や夏に実る果物を秋や冬に食べない。あなたが原始人だった時のように季節と共に、季節の食材のみで過ごせば、体内の仕組みと現代人の生活との矛盾を解消することができるのではないでしょうか。
それに、人間は恒温動物です。寒い冬でも体温を一定に維持するために冬になると代謝が上がります。カロリー燃焼が上昇します。ジョンソン博士が前提としている冬眠する動物とは異なります。
だから、例え、果糖の代謝が特殊であったとしても、あなたが季節と共に暮らしていれば、果物を多少食べたくらいで、心配する必要はありません。
4. 一緒に食べると良い食品

食物繊維、タンパク質、脂肪を含む食品と果物を組み合わせると、消化が遅くなるため、血糖値の急上昇を防ぐ効果が期待できます。
例えば、次のような組み合わせです。
- リンゴにピーナッツバター
- オレンジとアーモンド
- 無花果とチーズ
- など

ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス

なお、今までに執筆した糖尿病に関連した記事は『糖尿病』でご覧いただけます。また、フルーツと健康との関係については『フルーツ』をご確認ください。
もしおひとりで取り組むことに不安や難しさを感じるのでしたら、ヘルスコーチと、一度、話をしてみませんか?
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参考文献
- “The fructose survival hypothesis as a mechanism for unifying the various obesity hypotheses.”, Johnson RJ, Sánchez-Lozada LG, Lanaspa MA., Obesity (Silver Spring). 2024 Jan;32(1):12-22. doi: 10.1002/oby.23920. Epub 2023 Oct 17. PMID: 37846155.
- “Blood sugar–friendly fruits if you have diabetes”, Rachael Moeller Gorman, July 14, 2025, Harvard Health Publishing, Harvard Medical School
- “Effect of fruit on glucose control in diabetes mellitus: a meta-analysis of nineteen randomized controlled trials.”, Ren Y, Sun S, Su Y, Ying C, Luo H., Front Endocrinol (Lausanne). 2023 May 5;14:1174545. doi: 10.3389/fendo.2023.1174545. PMID: 37214237; PMCID: PMC10198260.
- “Fruit and Vegetable Consumption and Risk of All-Cause and Cause-Specific Mortality in Individuals With Type 2 Diabetes: A Systematic Review and Dose–Response Meta-analysis of Prospective Cohort Studies”, Faezeh Geravand, Mohsen Montazer, Seyed Mohammad Mousavi, Leila Azadbakht, Nutrition Reviews, Volume 83, Issue 8, August 2025, Pages 1450–1461, https://doi.org/10.1093/nutrit/nuaf013
ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング


