バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。
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目次
遺伝子編集作物の規制の流れ
ソフィアウッズ・インスティテュートでは2014年からこの話題に関心があり、その都度ブログの情報を更新してきました。
不安は未だ解消されないまま、日本の状況は次第に悪化しているように感じています。
2014年1月23日
遺伝子解析技術が進歩したことで、従来の品種改良を効率的に行うことが可能になったという論文が、Scientific America に発表された。
2015年1月
Cell Pressに、北海道大学が
「遺伝子組換え(genome engineering)でない、
遺伝子編集(genome editing)作物を認めるための
新たな法的枠組みが必要だ」
とする論文を発表。つまり、「遺伝子編集作物を法的に容認して欲しい」と訴えたわけです。
2016年4月14日
Nature(ネイチャー)誌が「遺伝子編集マッシュルームを米国は規制しない」と報道。
米国農務省(USDA)は、作物自体の遺伝子を編集するだけなので、規制する理由がないと説明しています。米国では、白マッシュルームから随時、遺伝子編集を解禁していくと発表しています。
規制対象ではないので、食品表示義務も課されません。消費者が遺伝子編集作物かどうかを判別することはできません。そもそも米国には遺伝子組換え作物についても表示義務がないので、当然の対応なのかもしれません。
2018年7月6日
米国FDA(食品医薬品局)は、遺伝子編集によってβカロテンを強化したゴールデン・ライス(GR2Eライス、βカロテンの色が黄色なので)を「安全」と認定。
ゴールデン・ライスに含まれているβカロテンの量は微量であるため、栄養価は通常の米と相違はないというのが理由です。
2018年7月25日
EUの欧州司法裁判所(The European Court of Justice)は以下の判決を下しました。
遺伝子編集作物は遺伝子組換え作物である
そのため、遺伝子編集作物や遺伝子編集食品を使った加工品に対して、遺伝子組換食品と同じ規制の対象とすることが発表されました。EUでは、遺伝子組換原料を全体の0.9%以上使用している加工食品は、それを表示しなければならないため、遺伝子編集食品を微量にも使用したいたら、それを開示しなくてはならないということです。
2020年
日本政府は、遺伝子編集されたトマトの栽培と販売を許可しました。
2021年9月から既に市場に出回っています。
2021年
京都大学と近畿大学が共同で開発した、遺伝子編集技術を用いて造ったトラフグとマダイを厚生労働省が食品として年末に承認。
2018年のEUの決定を受けて、日本でも規制が強化されるかと期待していたのに、大きく裏切られる方向に世の中は動いているようです。
遺伝子組換え作物と遺伝子編集作物の違いから見ていきましょう。
遺伝子“組換え”作物
遺伝子“組換え”作物は、異種の遺伝子を組み入れて造る作物です。
例えば、大豆や小麦の遺伝子に、害虫を殺す毒をもったバクテリアの毒の遺伝子(BT)を組み入れることで、害虫に強い大豆や小麦を作ってきたのが、遺伝子組み換え技術です。
自然界では決して起こることのない、植物の遺伝子と菌の遺伝子の融合を人為的に可能にする技術です。
自然界では起こり得ない不自然な作物であることから、その安全性について、様々な議論が起こり、日本やEUでは食品表示規制の対象となっています。
遺伝子“編集”作物
遺伝子“編集”作物は、ひとつの作物の遺伝子のスイッチをオン/オフすることで造られます。
作物を自然交配させることなく、より好ましい遺伝子のスイッチをオンにし、好ましくない遺伝子のスイッチをオフにすることで造られる作物です。
例えば、
- 実を甘くする遺伝子を全てオンにする
- より実が赤くなる遺伝子をオンにする
- 苦味を発する遺伝子をオフにする
などなど・・
植え付け前に好ましい遺伝子のみをオンにして、好ましくない遺伝子をオフにすることで、無駄なく全て理想的な作物を収穫することを可能にします。
少なくとも、異種の遺伝子の不自然な組み入れではなく、個体の遺伝子のオンオフを編集するだけであるから安全だという主張です。今まで何年もかかっていた自然交配による品種改良を効率よく時短で高確率で行うことを可能にしただけだと主張しています。
ペットの交配からの示唆
例えば、ペットとして飼われている犬も、人間の勝手な美醜の基準で交配が行われてきました。
その結果
- 遺伝的(先天的)に脊髄に異常をもった犬種(ペキニーズ等)
- 肺や心臓の弱い犬種(ブルドッグ等)
- 自然分娩できないような骨盤になってしまっている犬種(ゴールデンレトリバー等)
が誕生するに至っています。
人間の勝手な欲望が犬種全体において起こした危機です。自然には起こりえなかった交配かもしれないのです。
その姿が“可愛い”のかもしれませんが、そのことで、先天的な病気をもった種(しゅ)を生んだ人間の罪は深いように思います。
変異グリアジンからの示唆
同様に、現在の小麦アレルギーや小麦グルテンによる病気の原因物質と考えられている変異グリアジンは、1970年代のアメリカで行われた、粒が大きく背の高い、風で倒れない強い小麦を作りたいという善意の品種改良によって、発生した変異タンパク質が起源となっている可能性が最近の研究で示唆されています。
日本でも、米国からの輸入小麦が一般的になった世代(1970年代生まれ以降)が生んだ子供に小麦アレルギーが多く発症していることは偶然ではないように思われます。
不自然な食品は本当に安全なのか
人間のエゴを満たすために、
- ある特定の栄養素や味覚のみを強調した
- 天然では起こり難い
- 自然のバランスではない栄養バランス
に造られた作物は、その特定の機能だけを強調して宣伝すれば確かに売れるのかもしれません。
でも、そのことで、犬の交配の様に、小麦のグリアジンの様に、先天的に問題をもった野菜や果物を生んでしまっている可能性は否定できないように思います。
人為的に遺伝子を操作・編集することで、人間にとって解明されていないことの多い仕組みに対して、取り返しのつかない悪影響を生じさせてしまっている可能性は無ではないのはないでしょうか。
人為的に、ある栄養素だけを増やすよう遺伝子“編集”された機能性食品は、これからもっと増えてくることでしょう。
存在全体を考える食のあり方が益々大切になってくるように思います。
機能性強化食品とは遺伝子編集食品のこと
冒頭の日本の名だたる大学の研究者が遺伝子編集作物を推進していることからも、日本がUSDAの判断に続く可能性は非常に高いと懸念します。
表示義務だけは課してほしいものです。
2015年4月に食品表示の規制が変更になり、食品の機能について記載することが可能になりました。
でも、これは、任意の記載であり、義務表示ではありません。
しかも、これは、「機能を強化していることを強調して宣伝しても良いよ」という、機能強化食品を後押しする国の方針であり、「これは遺伝子編集で機能強化しました」という表示をしなければいけないという規制ではありません。
例えば、
「このトマトは、がん予防になるリコピンを
通常よりも2倍含んでいます!」
と宣伝しても良いというだけで、
「このトマトは遺伝子を編集したことによって
リコピンを2倍にしています」
とは書かなくても良いのです。
自然に任せた食品は幻想なのか?
マイケル・ポーランが『もはや“ナチュラル”に何の意味もないのか』の中で書いているように、私達が口にしているもので、人間の手が関わっていないものは、もはや存在しないということを思えば、
「自然にまかせた」「天然」「ナチュラル」
という言葉は多くの矛盾を含んでいるのかもしれません。
それでも、組換えであれ、編集であれ、遺伝子に手を付けるのは「不自然」だと、私の直感が言います。だから、EUもまた、それは「不自然だ」「規制すべきものだ」と判決したのだと思います。
あなたは、どう思われますか?
これからも、機能性強化食品を買い続けますか?
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参考文献:
- “Creating Tastier and Healthier Fruits and Veggies with a Modern Alternative to GMOs“
“Towards social acceptance of plant breeding by genome editing“,Motoko Araki, Tetsuya Ishii, Office of Health and Safety, Hokkaido University, Sapporo 060-0808, Hokkaido, Japan - “Gene-edited CRISPR mushroom escapes US regulation – A fungus engineered with the CRISPR–Cas9 technique can be cultivated and sold without further oversight”, Emily Waltz, Nature, 14 April 2016
- ”Gene editing is GM, says European Court”, Paul Rincon, Science editor, BBC News website, 25 July 2018
- “RE: Biotechnology Notification File No. BNF 000158“, U.S. Food and Drug Administration
ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング