バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。
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目次
運動した後のご飯は美味しい
適度な運動をした後は、ほどよくお腹が空いて食事がとっても美味しく感じられます。
運動した後のご飯って美味しいですよね!
だから、油断すると運動で消費した以上のエネルギー/カロリーを食事から摂ってしまいがちです。
そんな経験ありませんか?
それに、「運動するからこれくら食べても大丈夫」と運動前にたくさん食べてしまうという人もいるのでは?そして、運動後にもしっかり食べる・・・だから、痩せるために運動しているのに体重がなかなか減らない・・なんてことになっていたりすることも?
運動した後に食欲を失わせる方法があります
運動は運動でも、かなり激しい運動をすると、食欲を減退させる物質が体内で造られることが発見されました。
確かに、かなり激しい運動をした後は、直ぐには何も食べられない、食べたくないと感じたことはありませんか?そこまで運動したことが無いという人もいるかもしれませんが・・
この現象には、物理的な、生理学的な理由がちゃんとあることが発見されました。サイエンス誌『ネイチャー』に掲載されていましたので、和訳要約してお伝えします。
その物質はラクフェ(Lac-Phe)
夢の肥満改善薬になるかもしれないと期待されている、その物質は、ラクフェと命名されました。乳酸(Lactate、ラクテート)とフェニルアラニン(Phenylalanine)の複合体なので、ラクフェ(笑)。
乳酸は、ご存知の通り、運動後の副産物として発生する筋肉痛の原因物質です。そして、フェニルアラニンは必須アミノ酸のひとつ(タンパク質)です。
激しい運動によって、体内にカルノシンジペプチダーゼ2(CNDP2)という酵素が発生し、この酵素によって乳酸とフェニルアラニンが、免疫細胞と腸の上皮細胞で結合してラクフェになることが突き止められました。
ラクフェは血液中で増加し、体内を循環して食欲を減退させます。
現在まで研究対象となったマウスと競走馬とヒトで同様の効果が観察されています。
激しい運動の食欲抑制効果は男性のみ?
ただし、ヒトを対象とした臨床研究では、激しい運動後の食欲抑制効果は、男性には見られたものの、女性ではほとんど見られなかったことが示されています。
女性は激しい運動をした後でも普通に食べられるということでしょうか・・。本当でしょうか・・。私の体験とは違うような・・(笑)
ただこの結果については、その後のマウスを用いた実験では、オスのマウスのみが使用されているため、ラクフェの食欲抑制効果に本当に性差があるかについては、もっと多くの研究が必要だと研究者は述べています。
食欲抑制効果はメタボな場合のみ
激しい運動によって自前でラクフェを造る以外に、研究者はラクフェを合成し薬として、その食欲抑制効果を検証しています。
ラクフェの静脈投与の効果
研究者は、食事によって肥満症を発症したマウスに、体内で通常発生するよりも多くのラクフェを静脈投与したところ、その後、12時間に渡って食欲が抑制されたことを報告しています。
ラクフェは1時間ほどで体内を循環することが判っていますが、その効果が12時間も続くというのはすごいですね。
更に、食事性肥満のマウスにラクフェを10日間与え続けると、次の効果が観察されたことが報告されています。
- 食事量の減少
- 脂肪の減少
- 体重の減少
しかし、痩せたマウスでは食欲に変化は生じなかったそうです。
激しい運動をして自前でラクフェを毎回作らなくても、こうした化合物の投与によっても同様の効果が得られることが示されたことで、創薬の可能性が生まれました。
また、経口投与ではなく、静脈投与による研究が行われたということは、ラクフェは胃で分解されやすい物質、あるいは、腸で吸収されにくい物質なのかもしれません。ということは、サプリメント化されるのは難しいかもしれませんね。病院での極度な肥満症の改善薬として開発される可能性が高いと感じました。
乳酸とフェニルアラニン単独では効果なし
乳酸とフェニルアラニンは、どちらも単独では食欲に影響を与えることはなかったとのことです。
実験的にCNDP2酵素を造る遺伝子を欠損させたマウスでは、運動をしても乳酸とフェニルアラニンが結合できないので、結果、ラクフェは造られず、食欲が抑制されることも無かったことが報告されています。
更に、高脂肪食を与えられても、毎日激しい運動をしているマウスの体重は一定に推移したものの、CNDP2酵素を造れないマウスは、運動で消費したカロリー以上の量の食事を欲し体重が増加していったことが報告されています。
激しい運動をしているのに痩せない人は、CNDP2酵素に関する遺伝子がオフになっている可能性があるのかもしれませんね。
ラクフェは間接的に血糖値を改善
肥満のマウスにラクフェを継続的に投与すると、血糖値の改善が観察されました。
これは血糖値に対するラクフェの間接的な影響を示したもので、直接的にラクフェが血糖値を改善する機能をもっているかは、まだ、明らかではありません。
しかし、もしラクフェに血糖値を改善する(血液からブドウ糖を細胞に取り込む)機能があるとしたら、運動後の食欲に影響を持っているだけでなく、運動中の栄養消費にも関係していることになると研究者は述べています。
食事と運動と食欲に関係しているホルモン
ラクフェ以外にも、運動と食事による刺激で分泌される食欲に関係しているホルモンには、次のようなものがあります。
- 成長分化因子15|ミトコンドリアのストレスに反応して造られるホルモンで、脳を刺激し成長ホルモンの分泌を促します。
- ペプチド・チロシン-チロシン(ペプチドYY)|食物に反応して腸細胞から血液、腸、末梢組織へ放出される短いペプチドで、食欲を減らすように作用します。
- グルカゴン様ペプチド-1|消化管に入った炭水化物を認識して消化管粘膜上皮から分泌される消化管ホルモンで、膵臓に作用して、インスリン分泌を介し血糖値を低下させる作用があります。
これらの物質は、少なくとも 次の3つの異なる神経回路を通じて食欲に影響を与えます。
- 正常な身体機能を維持するためのエネルギー感知システム
- 生理学的なストレッサーに非常に敏感な満腹回路
- 報酬によって刺激される食欲経路
こうした様々なホルモンと運動と食事とラクフェとの相互作用を含め、ラクフェが作用する生理学的経路はまだ解明されていません。
ただ、ラクフェが肥満のマウスの食欲だけを抑制するということは、報酬経路に影響している可能性があるのではないかと研究者は考えているようです。
進化の過程における適応反応
激しい運動の後に食欲が抑制される仕組みが備わった理由として、人類進化論から説明を試みる科学者もいます。
進化の過程で、例えば、私達が類人猿かあるいはもっと前の動物だった時代、激しい運動をする時は、すなわち、生存を脅かすような出来事に直面している時だったはずです。例えば、肉食動物に襲われそうになって逃げている様な状況です。
そんな状況で「お腹が空いた」ことに気をとられている場合ではありませんし、エネルギー切れを起こしている場合でもありません。そのため、体は血液中の糖を素早く吸収してエネルギーに替え、更に、空腹を感じさせない仕組みを造ったのではないかという仮説です。
生存の危機に直面しているのであれば、ミトコンドリアにストレス反応が起こり、成長ホルモンの分泌が促され、生存の可能性を高めようとしていることにも説明がつきますね。
ソフィアウッズ・インスティテュートの感想
運動によって消費したエネルギーを取り戻すために、運動後の食欲が刺激されるのは当然のことだと、今まで思っていましたので、激しい運動をすればもっと食べたくなるはずだとも考えられます。
でも、激しい運動の後に食欲が無くなることも私達は体験的に知っているので、不思議な現象でした。
それが今回のラクフェの発見と進化論的な説明によって、すっきりと腑に落ちました。
生命の危機を感じるくらいの?激しい運動の後に食欲がなくなるのは、生き残るためだったんですね!
痩せすぎの人に食欲抑制効果が起きないのは、食欲抑制する方が返って生命の危機に陥る可能性が高いからなのかもしれません。
あらためて、体がやることには無駄はないと感心しました。
ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス
創薬には時間がかかる
ラクフェについては、これはまだ実験段階の研究ですから、ラクフェを肥満解消の薬として処方されたり、購入できるようになるまでには、まだまだ当分時間がかかります。
いつになるか分からない夢の薬を待つのは、現実的ではありませんし、だからと言って、怪しいやせ薬を飲むのは危険です。
免疫力と腸内環境を整える
少なくとも、激しい運動をすることでラクフェが造られ食欲が抑制されるのですから、運動後の過食を予防したい人は、運動強度を高めて激しい運動をすれば良いことになります。
免疫細胞と腸の上皮細胞でラクフェは造られますから、免疫力と腸内環境を健康に保っておくことも必要ですね。
既にメタボな人は正攻法で
と言っても、既にメタボになっている人にとって、「激しい運動をする」は、何のアドバイスにもならないでしょう。
だって、運動が好きならそもそもメタボになどならなかったはずです。しかも、既に高血糖や高血圧を伴っている場合には、もはや激しい運動は返って危険です。
ですから、残念なお知らせに聞こえるかもしれませんが、やはり正攻法が一番です。
適度な運動と食事の改善、これが最も効果のある方法です。
今まで様々な食事法を試してきたけれども、効果が一時的でリバウンドを繰り返してしまっている、あるいは、なかなか続けることが難しいと感じるのなら、ヘルスコーチと、一度、話をしてみませんか?
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やみくもにやるのではなく、あなたのバイオ個性に沿って食べることに効果があるのです。
公認ホリスティック・ヘルスコーチは、食事だけでなく、あなたを取り巻く様々なこと(環境、仕事、家族、人間関係など)を考慮して、プログラムに反映させ、あなたが、なりたいあなたになれるようコーチングを提供します。
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参考文献
- “An exercise-inducible metabolite that suppresses feeding and obesity”, Veronica L. Li, Yang He, Nature volume 606, pages785–790 (2022)
- “Exercise molecule burns away hunger”, Tahnbee Kim & Scott M. Sternson, 15 June 2022, Nature
ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング