バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。
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目次
お料理に使われる葉っぱは4月から10月頃が旬
オレガノは、イタリア料理や地中海料理によく使われるハーブです。私もトマトソースをイタリアンに仕上げる時には必ず入れます。
青臭さがとれるので乾燥させてから、お料理に使うことが多いです。
そして、6月から8月頃に可愛らしいピンク色の花をつけます。オレガノには、花ハッカという和名もあります。
オレガノは、ワイルド・マジョラムとも呼ばれ、スイート・マジョラムやポット・マジョラムとは、親戚です。そのため、よく間違われることが多いようです。
オレガノは、お料理に使われるだけでなく、古代ギリシャの時代から、薬として用いられてきたメディカル・ハーブです。特にオレガノの精油は、今でも、自然療法の風邪薬や、消化不良などの胃腸薬として用いられます。
今回は、オレガノ、特にオレガノの精油に含まれている成分(チモールやカルバクロール)のメディカル作用について、伝統的なものから現代科学で研究が進められていることがらまでご紹介していきます。
中でも、新型コロナウィルスの予防や重篤化予防に役立つ可能性についてもご紹介します。
伝統的な自然療法薬としてのオレガノとオレガノ精油
(裏付けとなる研究論文は、最後に参考文献として一覧にしています)
消化不良の改善
胃腸の調子を整えて、消化を促す作用があると言われており、食べ過ぎによる胃もたれには、オレガノのハーブティが効くと言われています。
マウスの研究では、オレガノ精油の抗炎症作用が、TNBS(トリニトロベンゼンスルホン酸)によって起こされた大腸炎の症状や消化器官の炎症を低下させ、改善に導いたことが報告されています。
筋肉・関節のこわばりの解消
筋肉のけいれんや筋肉痛、関節のこわばりを改善すると考えられており、入浴剤として、オレガノ精油を使います。
生理痛の緩和・鎮痛作用
オレガノには、鎮痛作用だけでなく、エストロゲン様の作用があります。
試験管試験では、オレガノから抽出した3つのフラボン(ルテオリン・グルコシド、ルテオリン・グルクロニド、アピゲニン・グルクロニド)がエストロゲン様の活性を示したことが報告されていてます。具体的には、オレガノ1gは、21~7,409ngの17β-エストラジオールと等価の物質になるとのことです。
そのため、生理痛の緩和にはなりますが、妊娠中の女性は避けた方が良いですね。
疲労回復・発汗作用
心身の疲労回復にも効果があるといわれています。
抗ウイルス・抗真菌・抗菌作用
オレガノの精油は、抗ウイルス作用や抗真菌作用だけでなく、抗菌作用でも広く認識されています。
1) 抗HIVウイルス(新型コロナウイルス予防も?)
オレガノに代表されるシソ科の植物の抗ウイルス効果が調査されています。
ウイルスはその構造からエンベロープのあるものとないものに分けられます。エンベロープ(封筒)とは、脂質でできている二重の膜のことです。
エンベロープ・ウィルス:
- 新型コロナウィルス、インフルエンザウィルス、ヘルペスウィルス、風疹ウィルス、B型肝炎・C型肝炎ウィルス、エイズウイルス
- アルコール製剤が効きやすい性質をもっています。
ノンエンベロープ・ウィルス:
- ノロウィルス、ロタウィルス、ポリオウィルス、アデノウィルス
- 一般的なアルコール製剤ではダメージを受けにくい性質をもっています。
シソ科の植物の精油は、試験管試験ですが、エンベロープ・ウィルスに対して顕著な抗ウィルス効果を示し、特に、ウィルスのライフサイクルの初期段階に、これらの精油を使用することで、ウィルスの構造に対して最も効果を示したと報告されています。つまり、感染の初期段階でオレガノ精油がよく効くということですね。
また、HIVウィルスの寿命に関係している主な酵素に対して効果を示したとのことです。また、薬剤耐性がある場合でも、効いたそうです。
今回の新型コロナウイルスもエンベロープ・ウイルスですし、HIV治療薬が効いたという報告もあることから、オレガノ精油もコロナウイルス予防に役立つ可能性が期待できますね。
また、動物実験においても、シソ科の代表的な精油の使用がいくつかのウィルス性疾患の予防と治療に役立つことを示唆しています。
ちなみに、この研究の対象となったシソ科の植物は、タイム、ミント、オレガノ、バジル、セージ、セイボリー、ローズマリー、レモンバーム等でした。
2)室内環境の殺菌
- 病原菌: 大腸菌、ネズミチフス菌、エルシニア・エンテロコリチカ、黄色ブドウ球菌、リステリア菌、大便連鎖球菌
- 環境細菌: セレウス菌、アルスロバクタープロトフォルミエ、シュードモナス・フラギ
- カビ菌類: ケトミウム球菌、 ペニシリウム・クリソゲナム、クラドスポリウム、 葉上生息菌、アスペルギルス・フミガータス
に対するオレガノ精油の効果を検証した研究があります。
希釈しないままの精油も、希釈後の精油も非常に強い抗菌作用を示したそうです。また、ディフューザーを用いた場合と直接塗布した場合の効果に差はあったものの、両方で抗菌作用が確認されています。
また、ディフューザーを用いた際、24時間後においても、試験管試験ですが、ヒトの肺細胞のDNAへのダメージは見られなかったとのことです。
研究者は、オレガノ精油には、室内環境の汚染除去、広域抗菌剤としての可能性があると述べています。
殺菌電解水(次亜塩素酸水)との比較
ちなみに最近、新型コロナウイルス対策として人気の殺菌電解水(次亜塩素酸水)の殺菌・殺ウィルス効果と比較すると、オレガノ精油は、次亜塩素酸水とほぼ同じ広範囲で効果があることが判りますね。
効果の度合いの優劣は上記の研究からは判別できませんが、次亜塩素酸水よりも、オレガノ精油の方が安全性は格段に高いことは確かですよね。
3)食品の防腐剤
近年、食品添加物に対する消費者の意識の高まりから、天然の代替品に関する研究が進められている中、オレガノ抽出液と精油は、その抗酸化作用と抗菌作用によって、天然の食品防腐剤、保存料として、有力な候補と考えられているようです。
オレガノには、胃腸を炎症から守る作用もあることから、防腐剤としてだけでなく、胃腸にも良い添加物として注目されています。
オレガノ精油の防腐剤(酸化防止と変色防止)効果を、鶏肉を使って検証した研究があります。
骨なし・皮なしの鶏むね肉を、生のままと加熱後に、次の5つの方法で処理し、酸素透過性バッグに包装して、冷蔵室(4℃)で7日間保管します。
- 何も使用しない
- 100 ppmオレガノ精油
- 300 ppmオレガノ精油
- 400 ppmオレガノ精油
- 5 ppmのブチル化ヒドロキシアニソール(BHA、一般的に酸化防止剤として使用される食品添加物)
加熱の方法は、生肉を酸素不透過性真空バッグに入れ、芯部温度が75℃になるまで調理した後、室温まで冷まし、酸素透過性バッグに再包装しています。
100〜400 ppmレベルのオレガノ精油は、いずれも、脂質とタンパク質の酸化を大幅に削減させ、生肉と加熱肉の両方で変色を減少させたことが報告されています。ただし、400 ppmのオレガノ精油が最も高い効果を示したそうです。
また、加熱肉で、ヘキサナールと呼ばれる主要なアルデヒド(毒性のある物質)の発生も、オレガノ精油で処理することによって大幅に減少したことから、研究者は、鶏肉の天然の防腐(酸化防止&変色防止)剤としてオレガノ精油が優れた候補となると述べています。
4)家畜の抗生物質の代用
牛や豚の病気治療のためだけでなく、脂肪を増やし成長を促すために、飼料に抗生物質を混ぜることが一般的な畜産業界で行われてきましたが、近年、抗生物質を成長促進剤として用いることを規制・禁止する国も増えてきました。理由は、食肉に投与された抗生物質を食事から摂り込むことで、ヒトの体内で耐性菌が発生するのを防ぐためです。
ここ数年グラス・フェッド(牧草のみで飼育)と記載のある牛肉や抗生物質を使用せずに飼育された豚肉や鶏肉などもオーガニック・ショップだけでなく、普通のスーパーでも時々、見かけるようになりましたよね。
そうしたことから、腸管毒素原性大腸菌(ETEC、E.Coli)に感染した子豚の成長と腸内ダメージについて抗生物質と比較して
- 安息香酸(殺菌・防カビ剤):3,000μg/ t(A)
- バチルス・コアギュランス(乳酸菌):400μg/ t(B)
- オレガノ精油:400μg/ t(O)
の併用効果を調べた研究がありました。
30頭の子豚は、上記した3つの物質を飼料に混ぜられ、22日目に、生理食塩水またはETECが経口投与され、26日間観察が行われました。
具体的には次の6つのグループで比較が行われています。
- 感染なし+生理食塩水(CON)
- ETEC感染+治療なし(ETEC)
- ETEC感染+抗生物質(AT)
- ETEC感染+安息香酸 + 乳酸菌(AB)
- ETEC感染+安息香酸 + オレガノ精油(AO)
- ETEC感染+安息香酸 + 乳酸菌 + オレガノ精油(ABO)
結果
- 食事にオレガノ精油を混ぜた5と6のグループは、病原菌による成長低下と下痢の発生率が有意に低下
- 4、5、6のグループは、病原菌による血清中のサイトカインとサイトカイン誘発物質を有意に抑制
- グループ6は、腸粘膜の発現遺伝子をオンにし、サイトカインを誘発する空腸粘膜の遺伝子をオフにして、空腸および盲腸の消化器の微生物叢を改善
したことが報告されています。
研究者は、安息香酸、乳酸菌、そしてオレガノ精油を混合したものを使用することで、抗生物質を使用しなくても、子豚を病原菌から守りつつ、腸内環境も健全に保つことができると述べています。
また、牛豚の呼吸器疾患にもオレガノ精油が効いたという報告もありました。
抗がん作用/抗糖尿病作用
植物由来のフェノール化合物(ポリフェノールなど)の抗酸化作用は、もうよく知られていますよね。中でも、オレガノ精油が、強力な抗酸化剤、抗炎症剤、抗糖尿病剤および癌抑制剤になることが近年実証されてきています。
でも、食事から得られる量は、とても少量です。
そこで、食事、調味料、薬用茶、甘味料として、どのくらいの濃度であれば、有効になるのかを調べた研究がありました。ただし、試験管試験、細胞実験です。
結論としては、調査した全ての要因評価で、100 μg/ml の濃度が適切だったと報告されています。がん細胞のグルタチオンを枯渇させ、酸化還元を妨害し、がん細胞死を促したと報告されています。
そこで、少し計算してみました。
精油は、20滴で約1mlと言われています。1滴が約0.05 mlということです。
まず、1滴のオレガノ精油が何グラムなのかを計算するにあたり、オレガノ精油の主成分のカルバクロールの密度(977.2 mg/ml )を用いると、オレガノ精油 1ml は、977.2 mg となります。1滴48.86mg。重い!
なので、100μg/mlの濃度にするには、約5リットルの水に1滴程度ということになります。むちゃくちゃ薄いんじゃないかと思うのですが、これは、細胞に直接塗布した場合の濃度なので、私達が食事から摂る場合には、どれだけ消化吸収されるのかなど考慮しなければいけませんから、まぁ、普通にお料理に使う程度で多すぎることはあり得ないと思いました。じゃあどれだけ多く食べたら良いかは臨床研究を待つ必要がありそうですね。
1)胃がん抑制への期待
こちらも試験管試験ですが、オレガノ精油が、ヒト胃癌細胞株(AGS)のコロニー形成特性、転移能力を低下させ増殖を妨げたこと、がん細胞の成長を阻害したこと、また、がん細胞のミトコンドリアを阻害しアポトーシスを誘発したことが報告されています。
研究者は、オレガノ精油の胃がんへの代替療法薬としての可能性に言及しています。
2)乳がん抑制への期待
オレガノの、乳がんへの抗腫瘍効果を試験管試験とマウスを使った動物実験において、検証した研究があります。
マウスに、凍結乾燥させたオレガノを食事の0.3%と3%の2つの濃度で与え続け、その後、発がん性物質を投与し、その14週間後に解剖。乳腺腫瘍を摘出し、組織病理学および免疫組織化学による分析が行われています。また、MCF-7(ヒト乳腺癌)細胞の試験管試験も実施されています。
食事の0.3%のオレガノ
何も与えられなかったマウスと比較して
- 腫瘍罹患率を55.5%抑制
- 腫瘍発生率を44%抑制
- 腫瘍体積を44.5%抑制
腫瘍細胞の分析では、
- Ki67、VEGFR-2、CD24、EpCAM(腫瘍マーカー)の減少
- カスパーゼ-3(アポトーシスに不可欠な酵素)の増加
が示されています。
食事の3%のオレガノ
- 腫瘍の潜伏期間を12.5日延長
- Bcl-2、VEGFR-2、CD24、EpCAM(腫瘍マーカー)の減少
- カスパーゼ-3(アポトーシスに不可欠な酵素)の増加
が示されたとのことです。
- 病理組織分析では、両方のグループで、高悪性度/低悪性度のがんの比率が有意に低下したとのことです。
- 試験管試験では、オレガノがMCF-7(ヒト乳腺癌)細胞の生存と増殖を減少させることが示されました。
冒頭近くで紹介したように、オレガノ精油にエストロゲン様の作用があることを考えると、意外な結論ですが、亜麻仁油に含まれているエストロゲン様の成分リグナンも、乳がん細胞の減少に効果が示されていますので、オレガノにもエストロゲン調節作用があるのかもしれませんね。(多かったら減らし、少なかったら増やすなど)
白血病抑制への期待
造血器悪性腫瘍である急性骨髄性白血病(AML)は、予後があまり芳しくなく、治療の選択肢も限られている病気です。
血液中には赤血球、白血球、血小板などの血液細胞があり、骨の内部にある骨髄で血液細胞のもととなる造血幹細胞から増殖しながら分化(未熟な細胞が成熟した細胞になること)してつくられます。
急性骨髄性白血病は、このような血液をつくる過程の未熟な血液細胞である骨髄芽球に何らかの遺伝子異常が起こり、がん化した細胞(白血病細胞)が無制限に増殖することで発症します。
沙棘(さじー)の葉や野ばらの葉、ガーデンセージやオレガノの白血病への抗腫瘍作用について調べた研究がありました。試験管試験です。
それぞれから、水/エタノールで抽出した物質が、
- 急性骨髄性白血病細胞の成長を抑制し、白血病細胞の生存率を低下させたこと
- 通常細胞へ毒とならない程度の低濃度のビタミンD3(1α、25-ジヒドロキシビタミンD3)を併せて投与すると、造血幹細胞からの正常な分化(未熟な細胞が成熟した細胞になること)能力を強化したこと
が報告されています。
また、ビタミンD3とオレガノ等の組み合わせは、正常なヒト末梢血単核細胞には、わずかな影響しか与えなかったとのことです。
医療として用いるのには、まだまだ試験管試験や動物実験段階で、道のりは長いですが、家庭の薬箱として、がんや生活習慣病の予防として、日々の食事に取り入れたり、ライフタイルとしてオレガノ精油を活用する理由としては、十分ではないでしょうか。
オレガノの利用法
乾燥オレガノ:
- お料理の香づけとして(トマトソースやお肉料理)
- パンに練り込んでオレガノブレッド
フレッシュ・オレガノ
- サラダ
- ビネガーに漬けて、ハーブビネガー
- オリーブオイルに漬けて、ハーブオイル
- ハーブティ
オレガノ精油
- お料理の香料として
- アロマテラピー
- 手作り化粧品の香料として
- 入浴剤
ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス
ちょうどトマトも季節ですし、オレガノを利かしたトマトソースを作ってみるのも悪くないですね。美味しく季節を楽しみながら、ウィルス対策できたら気持ちも明るくなりますように!
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参考文献:
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ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング