バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。
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目次
プルーンとプラム
あなたは、プルーンとプラム、どちらが好きですか?
プルーンは、単にプラムを乾燥させただけのものです。
なぜか米国では、「プラム」という言葉の方が受けが良いようで、広告には「プルーン」ではなく「乾燥プラム(Dried Plum)」なんて言葉が使われたりします。
英語が母国語でない人達が多いので、わかりやすくしているだけですかね?なぞです。
単に乾燥させただけと言っても、味も食感も全然違います。
プラムはとてもジューシーな果物なので、旬の時には、生のまま楽しむ方が私は好きですが、フルーツは、乾燥させるとパワーアップする栄養素をもっています。
さて、昔からプルーンは便秘解消と貧血予防に訊くと言われてきました。
プルーンの鉄分が貧血予防に効くと言うのは本当か?
プルーンの鉄分は他のドライフルーツと比べて特に多いわけではない
プルーンに含まれている豊富な鉄分が貧血予防と改善に効果があると従来から言われています。その様に記載しているサイトも少なくありません。
確かに、プルーン100g中には、1日の必要量(10mg)の10%にあたる1mgの鉄分が含まれています。(米国食品医薬品局FDAの定義に従えば、100g中1日に必要とされる量の10%以上を含んでいる場合に「豊富」という表現をして良いことになっています。)
でも、その量は、他のドライフルーツと比較して、特に多いという量ではありません。
例えば、レーズンやドライフルーツのアプリコットは、プルーンの2.3倍の鉄分を含んでいます。
プルーンの貧血予防・改善効果は銅
ただ、プルーンには、造血作用を助ける銅も多く含まれています。1日の必要量(女性0.7mg、男性0.9mg)の約50%にあたる0.3mgも含んでいます。銅は鉄分を運ぶ役割も担っています。
もし本当にプルーンに貧血改善・予防効果があるとしたら、それは、銅のお陰ではないかと思います。
詳しい銅の作用については『生命維持にとって不可欠な銅は多くても少なくても問題』をご参照ください。
プルーンの食物繊維が便秘に効くというのは本当か?
便秘については、科学的にも、プルーンが腸の健康的な機能を改善させることが証明されています。
(裏付けとなる研究論文は、最後に参考文献として一覧にしています)
具体的には、プルーンを食べると、「便通の頻度と定期性」が改善するそうです。便が柔らかくなり、楽に排出されるようになるのです。
プルーンの食物繊維は他のドライフルーツと比べて特に多いわけではない
自然な排便には食物繊維と水分が重要ですが、プルーン100gには、1日に必要な食物繊維の量(女性17g、男性19g)の約40%にあたる食物繊維7.2gが含まれていて、その半分を不溶性食物繊維が占めています。
不溶性食物繊維は、便の量を増やし腸を刺激し、水分を保持して便をスムーズに移動させます。そのため、便意が自然に起きるようになります。(不溶性の食物繊維で便秘が悪化する体質の人もいますので、体の声を聴きましょう)
そのため、プルーンの豊富な食物繊維が便秘改善に役に立つことは確かです。
でもプルーンの食物繊維は、他のドライフルーツと比べて決して特に多い量ではありません。
例えば、乾燥ブルーベリーは不溶性食物繊維だけで14.6g、干し柿は12.7gもあります。
食物繊維の多さから便秘に効くと言われているオオバコ茶よりも、プルーンの方が効いたことも報告されています。プルーンと同等かそれ以上の食物繊維を含んでいる他のドライフルーツよりも、プルーンの方が便秘に効く理由は、なんでしょうか。
なお、ジュースは、食物繊維が取り除かれてしまっているので、食物繊維を摂りたいのなら、ジュースよりも野菜やフルーツそのものを食べる方が効果的です。最近、食物繊維を添加しているジュースもありますが、フルーツが自前でもっている食物繊維と同じ効果を期待することはできません。
プルーンの便通改善効果はソルビトール
ソルビトールは、糖アルコールに分類される物質です。甘味があるにもかかわらず糖ではありません。
ソルビトールの腸内吸収率は非常に低いため、腸内に長時間、水分を含んだままとどまります。スポンジのように水を吸収するため、便が柔らかい状態に保たれるのです。
プルーンが他のドライフルーツよりも便秘改善に効くとしたら、その理由は、ソルビトールです。
なお、ソルビトールは、化合物として工場で作ることも可能です。人工甘味料として使われていたりします。人工甘味料のソルビトールは、腸が弱い人に下痢を起こすことが報告されていますので要注意です。
便秘のない人が食べても安心
プルーンは、便秘がない人が食べても、特に変化を起こさないそうです。
つまり、プルーンを食べても下痢になったりしないということです。
もちろん、摂り過ぎれば、天然のソルビトールも下痢を起こしますから、何事もほどほどに・・が大切ですね。
こんな便秘の人にプルーンがお勧め
花粉の季節に花粉症の人に起こる便秘
抗ヒスタミン系のアレルギー薬を服用した次の日に、便秘を経験したことはありませんか?
花粉の季節に、便秘がちになることに気がついた人はいますか?
抗ヒスタミン剤は、体内の水分を奪ってしまうので、便が乾いて固くなり便秘を起こします。
抗ヒスタミン系のアレルギー薬を長年服用している人で、慢性的な便秘に悩んでいる場合は、まずは、肝臓をデトックスしてあげてください。肝臓に蓄積した薬品系化学物質を排出しないと、便秘薬を飲み続けないといけない体になってしまいます。
肝臓をデトックスしながら、プルーンを食べるようにしてくださいね。
お肉ばかりの野菜不足で起きている便秘
お肉ばかりで野菜不足の食生活の人の健康問題は、便秘だけではないと思いますが、とりあえず、プルーンが、便を適度に柔らかくし、排便時の詰まり感を解消してくれるので、排便にかかる時間を短くしてくれます。
排便時に無理にいきむことで起こる、脳出血や静脈瘤やヘルニアのリスクを減らすことができます。いきみ過ぎて、排便中にクモ膜下出血を起こす人もいるんですよ。
甲状腺機能低下症で起きている便秘
プルーンだけでは便秘を解消させることは難しいかもしれません。詳しくは『甲状腺機能低下症の予防と改善(2)- 食事』をご参照ください。
プルーンは閉経後の女性の骨を強くする
プルーンは、多くの研究によって、閉経後の女性の骨量減少の予防と改善、症状の回復に効果があることが示されています。
プルーン100gで、39mgのカルシウムと40mg のマグネシウムが摂れます。それぞれ1日の必要量の約6%と17%に当たります。
権威ある『英国栄養学ジャーナル(British Journal of Nutrition)』に発表された論文によれば、プルーンは、乾燥リンゴ(ドライフルーツのリンゴ)よりも、格段に骨密度の改善効果が高かったそうです。
ホルモン充填療法や骨粗鬆症改善薬などを服用していない、閉経後1年から10年経っている女性160人を次の2つのグループに分け、実験が行われました。
- プルーンを1日100g食べるグループ
- 乾燥リンゴを1日100g食べるグループ
3か月、6か月、12か月ごとに骨密度の検査を行った結果、プルーンを1日100g1年間食べ続けたグループは、乾燥リンゴを食べ続けたグループと比較して、骨の破骨サイクルが遅くなり、骨密度が有意に改善したそうです。
しかも、この実験の後、プルーンを食べるのを止めても、5年間は、この効果が継続されたことが報告されています。
このプルーンの効果のメカニズムは、プルーンに含まれているフェノール類が、破骨細胞と骨芽細胞の新陳代謝のサイクルに対して、ユニークな生理活性を起こしていると、する論文が、2017年1月現在で24も発表されています。
閉経したら、1年間毎日100gのプルーンを食べ続けたら、5年間は骨粗鬆症を心配しなくて良いってことですね。
とはいえ1日100gを毎日となると大変ですから、閉経前から、少しづつ、定期的に食べておくと安心かもしれません。
毎朝3つぶで血圧低下
パキスタンで行われた高血圧とプルーンの関係を調べた研究では、高血圧症の患者にプルーンを食べてもらい、プラセボ(偽薬)を与えられた患者と比較して、血圧が有意に下がったことが報告されています。
毎朝、8週間、プルーンを食べるか、同量をジュースにして飲んでもらいます。
- 3つぶ(約11.5g)のグループ|上の血圧も下の血圧も、両方とも低下
- 6つぶのグループ|上の血圧だけ低下
が有意に観察されたことが報告されています。
高血圧の患者に、βブロッカー(降圧剤)の代わりに、プルーンを処方してくれるお医者様が何人いるでしょうか?プルーンは、副作用もなく、「毎日プルーンを3つぶ食べましょう!」の方が、いくつもの薬を毎食後に飲むよりも、ずっと簡単で楽しい解決策のように思えます。
なぜプルーンが血圧を下げるのかというメカニズムについては、まだ不明なことが多いようです。しかし、研究者は、プルーンのカリウムが貢献しているのではないかと考えているようです。
確かに、プルーンには、1日の必要量(女性2,600mg、男性3,000mg)の約18%から16%のカリウムが含まれています。
善玉コレステロールが上昇し総コレステロールが低下
同じ実験で、プルーンの代わりに毎朝コップ1杯のお水を飲み続けてもらったグループと比較して、
- 善玉コレステロール(HDL)値が上昇
- 悪玉コレステロール(LDL)値と総コレステロール値が有意に減少
したことが報告されています。
認知症・アルツハイマー病から脳を守る
ホモシステインを分解し減少
マウスを使った研究ですが、アルツハイマー病と関係性の高い神経毒であることが判明している、ホモシステインの血中濃度が、プルーンを食べることで改善することが報告されています。
心疾患や動脈硬化の前兆である高ホモシステイン血症のマウスに、プルーン・ジュースを凍結乾燥(フリーズドライ)したものを、腹腔内注射によって投与すると、プルーンに含まれているフェノール酸系の抗酸化物質によって、次の酵素が活性したことが報告されています。
- SAH|S-アデノシルホモシステイン加水分解酵素
- NADPH|ニコチンアミド・アデニンジヌクレオチド・リン酸( キノン酸化還元酵素-1)
医療的に、SAH酵素とNADPH酵素の活性は、ホモシステインの分解を意味し、結果、血中のホモシステイン値が低下します。
脳のアミロイドβタンパク質を抑制
血中コレステロール値と脳のコレステロールの蓄積が多いほど、アルツハイマー病の原因物質であるアミロイドβタンパク質の発現が多くなることは、既に、研究により判明している事実です。
研究では、5か月間、高コレステロールの食事を与えたマウスにプルーンを食べさせた際の認知機能と脳タンパク質の発現について調べています。
マウスは、米国栄養研究所(American Institute of Nutrition)が開発した、AIN-93Mと呼ばれるマウス用の標準精製飼料のコレステロール含有量を5%にして与えています。
- コレステロール5%含有のAIN-93Mだけを与えたグループ
- コレステロール5%とプルーン粉末2%を含有したAIN-93Mを与えたグループ
- コレステロール5%とプルーン粉末5%を含有したAIN-93Mを与えたグループ
の3つのグループを比較したところ、
- 血中と脳細胞中のコレステロール値|どのグループにおいても大きな相違はなかった
- アミロイドβタンパク質の発現|プルーン粉末を5%混ぜたグループにおいてだけ、増加がみられなかった
ことが報告されています。
註:コレステロールとプルーン
通常の食事にプルーンを追加して食べると、食べないよりもコレステロール値が下がったことを上で紹介しましたが、今回の研究では、高コレステロールの食事を続けたら、プルーンを食べていてもコレステロール値が下がらないことが報告されています。
つまり、コレステロール値を下げたかったらプルーンを食べるだけでは効果がないこと、高コレステロールの食事を改善した上で、プルーンを加えるのでなければ意味がないということが2つの別々の研究を総合すると言えるのではないでしょうか。
プルーンに含まれているコリンと脳
プルーンが脳を守っている仕組みのひとつは、プルーンに含まれているコリンという物質です。種をとった後の約3つぶのプルーンには、約17mgのコリンが含まれているとのことです。
コリンは、神経伝達物質アセチルコリンの原料となる物質です。
2018年8月29日、理化学研究所が発表した研究によれば、アセチルコリンは、熟睡に不可欠な神経伝達物質です。(研究は、レム睡眠に必須なアセチルコリン受容体遺伝子を特定したと報告しています。)
私達の脳は、睡眠中に
- 脳内のデトックス(アミロイドβなどの除去)や
- 神経細胞の修復や増殖
をしています。そのため、睡眠の質を高める、熟睡することが認知症予防になるのです。
プルーンの色に含まれるアントシアニンと脳
赤青紫色のベリー類には、アントシアニンと呼ばれる抗酸化物質が豊富です。この物質が脳細胞を保護しているのではないかと考えられています。
アントシアニンには、
- 脳の活動によって発生する酸化物質を、即座に除去するように作用
- フリーラジカルのような酸化物質が脳細胞にダメージを起こす前に除去する
作用があることが報告されています。
プルーンを生活の中で活用する方法
プルーンの旬は7月頃から10月頃までです。9月頃が出荷の最盛期だそうです。
お料理
そのまま食べても美味しいですが、
- サラダのトッピング
- 鶏肉といっしょにグリル(レーズンを使うのと同様に)
- お菓子類の甘味やつなぎとして
など、様々に活用して、生活の中に上手に取り入れていけるといいですね。特に、閉経を迎えた女性は!
ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス
公認ホリスティック・ヘルスコーチは、食事だけでなく、あなたを取り巻く様々なこと(環境、仕事、家族、人間関係など)を考慮して、プログラムに反映させ、あなたが、なりたいあなたになれるようコーチングを提供します。
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参考文献:
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- “Comparative effects of dried plum and dried apple on bone in postmenopausal women”, Hooshmand S, Chai SC, Saadat RL, Payton ME, Brummel-Smith K, Arjmandi BH, Br J Nutr. 2011 Sep;106(6):923-30. doi: 10.1017/S000711451100119X. Epub 2011 May 31
- “Bone-Protective Effects of Dried Plum in Postmenopausal Women: Efficacy and Possible Mechanisms”, Arjmandi BH, Johnson SA, Pourafshar S, Navaei N, George KS, Hooshmand S, Chai SC, Akhavan NS, Nutrients. 2017 May 14;9(5). pii: E496. doi: 10.3390/nu9050496
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- “Effect of lyophilized prune extract on hyperhomocysteinemia in mice”, Haddadi-Guemghar H, Tlili A, Dairou J, Paul JL, Madani K, Janel N, Food Chem Toxicol. 2017 May;103:183-187. doi: 10.1016/j.fct.2017.03.018. Epub 2017 Mar 10
- “Use of prunes as a control of hypertension”, Ahmed T, Sadia H, Batool S, Janjua A, Shuja F, J Ayub Med Coll Abbottabad. 2010 Jan-Mar;22(1):28-31
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- “レム睡眠に必須な遺伝子を発見-睡眠はどこまで削れるか-“, 2018年8月29日, 理化学研究所, 東京大学, 日本医療研究開発機構
ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング