バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。
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先日、マイケル・ポーラン氏によって推薦されていた、ニューヨークタイムズ紙に掲載されたケイト・マーフィー氏の記事が非常に面白かったので、和訳しました。
ポーラン氏は統合食養学を実践している、ジャーナリストで、カリフォルニア大学バークレー校のジャーナリズムの教授す。
あなたは、記事を読んでどのように感じるでしょうか?
原著: Kate Murphy 2014年8月23日
目次
フード2.0
コミュニケーションの方法、リサーチの仕方、本の買い方、音楽の聴き方、車の予約方法、デート相手の見つけ方を変容させてきたシリコンバレーは、今、私達の食べ方を変えようとしています。メールが長い会話にとってかわったように、マッチングサイトが、ゆっくりとぎくしゃくとした他者と親密になっていくプロセスを消し去ったように、テクノロジーの起業家達は、効率的に数学的に導き出した食べ物に私達を惹きつけようとしています。
フード2.0と呼びましょうか。
スティーブ・ジョブスの「ヒトは、見せられるまで自分が何が欲しいのか気がつかない。」と、いう信条に従い、ハイテク・スタートアップ企業の何社かは、粉末状の植物成分や培養した動物の細胞片から、“肉”や“卵”をエンジニアリングする(創り出す)ことによって、食品システムを変革しようとしています。ある企業は、藻の副産物から液体商品を創り出し、食材の調達や調理、噛むことすらしなくてもいい方法を考えています。
これは当然、メニューに掲載している食材を、どこから調達しどのように調理したのか、より天然で加工されていない方が良いという、磨きをかけたロマンスの鎧をつけたレストランの、地産地消ムーブメントと直接対決するものです。
でも、極端に異なるアプローチにも関わらず、ハイテクとローテクの両料理陣営の – よりサステイナブル(持続可能)な食糧供給の仕組みの構築と、傲慢にならずに人々の食欲を商業化する方法の発明 – と、いう願いは同じです。
「シルベスター・グレアムが、グレアムクラッカーを発明してから、人々は倫理的な立場から、道徳的でピュアな食品を創り出そうとしています。グレアムクラッカーは、人々を満腹させることで、肉や脂を食べるような淫らなことを人間がしないよう、道徳的な選択肢を増やすはずでした。」
と、マサチューセッツ工科大学(MIT)の人類学者であるヘザー・パクソン氏は言います。
動物性タンパク質の代替品は魅力的な投資先
道徳的な理由からなのか、己の優秀さを信じるジョブス教信仰からなのか、ハイテクフードの起業家たちは、主に、動物性タンパク質に替わる食品を創り出すことに注力しています。需要は確実に存在します。
豚肉、鶏肉、その他の動物性食品の世界消費量は、2020年までに2倍になると予測されています。動物性タンパク質は、食糧供給の仕組みの中で、もっとも環境への悪影響が大きく、自然資源を消費するものです。膨大な土地と水の利用、公害の垂れ流しや抗生物質の乱用に加え、温室効果ガスの14.5%を占めると、国連が発表しています。
- クライナー・パーキンス・コウフィールド&バイヤー社
- クローズド・ループ・キャピタル社
- コースラ・ベンチャーズ社
- コラボラティブ・ファンド社
などのベンチャーキャピタル企業は、フード2.0プロジェクトに大金を投じています。資金援助者は、
- グーグル社のセルゲイ・ブリン
- ツイッター社のビズ・ストーン
- ペイパル社のピーター・シール
- マイクロソフト社のビル・ゲイツ
- フェイスブック社とスポッティファイ社の株を早期に買ったアジアの大富豪リー・ケイ・シン
など、テックワールドの有名人が名を連ねています。
レシピではなくアルゴリズム
「我々は、人々を誤った道に迷いこませる
今の狂った邪道なフードシステムを
全て取り替えてしまうような発明を探しています。」
と、サンフランシスコに拠点をおくハンプトン・クリーク社のヴィーガン第一シェフであるジャシュ・テトリックは言います。
彼の会社は、カナディアン黄色豆から抽出したタンパク質を使って卵の代用品を創りました。スクランブルエッグ(商品名Just Scramble)やマヨネーズ(商品名Just Mayo)、クッキー生地(商品名Just Cookie Dough)に使用されています。(左写真)
これらの商品は、全米のスーパーマーケットの棚に並び始めています。
現在の卵の代用品 (Ener-G, the Vegg, etc.)と肉の代用品 (Tofurky, Soyrizo, etc.)は、家庭にあまり浸透できませんでしたが、 ハンプトン・クリークとその競合企業は、食物科学ではなく、コンピュータ科学に基づいて、より良い製品を創り出すことができると考えています。
従来、動物性タンパク質の代用品として使用されてきた、大豆、小麦グルテン、野菜スターチなどの材料の代りに、フード2.0企業は、数千種類もの植物を解析し、より美味しく継続的に入手可能なタンパク源を創り出せる成分の分離や合成をコンピュータ・アルゴリズム(数学解析)を用いて行っています。
「うちのデータ部長は、グーグルマップやユーチューブのデータ解析部長だった人です。最近、雇った7人全てがデータ科学者です。我々は、実験をクラウド上でやります。材料をすりつぶして、レシピに反映させる必要はありません。」
と、テトリック氏は言います。
フランケンフードの誕生
同じ頃、NY州ブルックリンとカリフォルニア州に拠点をもつモダン・ミードウ社や、欧州の研究者を中心とした試験管肉のメーカーは、 皮膚や臓器を再生するための細胞再生医療技術を用いています。
「血管を作るのが私の通常の仕事です」と、オランダのマーストリヒト大学の血管生理学の教授マーク・ポスト博士は言います。彼は、家畜の幹細胞から試験管バーガーを最初に創ったチームを率いています。昨年、ロンドンのニュース発表会見の場で、試食も行われました。
バーガー用パティ1枚の製造に、33万2,000ドル(約3,320万円)かかることから、商業化には、まだ長い道のりがあることを認めつつ、「可能だということを示したのです。」 とポスト博士は言います。
しかし、いわゆるフランケン・フードには、重大な問題もあります。
フランケンフードの課題
食べ物が私達の体をどのように満たしているのか、多くのことが、公衆衛生の専門家にも、まだ、判っていません。食物の成分を取り出したり、再合成させたり、ペトリ皿の上で培養したりすることで、食物のもつ利点を全て再生できるとは考えられません。
また、評論家は、こうした食品を作るために必要とする資源や二酸化炭素の排出量が、従来の食品加工と比較して少ないという確証はないと、その効果に疑問をもっています。
「植物性タンパク質を遠心分離する代りに、
野菜をそのまま食べればいいのではないの?」
と『フード・ポリティクス』の著者であり、ニューヨーク大学の栄養学・公衆衛生学の教授であるマリオン・ネスレ博士は問いかけます。
食事はセックスと同じ
ハイテクフードの起業家は、大抵、白人で学歴も高く、人生のほとんどをファストフードで満たしてきたような若い男性達です。彼等はより便利(コンビニ)で美味しいものを創ろうとしています。
「空腹のためにわざわざ時間をとったり、空腹に思考の流れを遮られることは、私にとっては耐えられないことです。」
と、ソイレント(Soylent)の開発者であるサンフランシスコ在住のボブ・ラインハート氏は言います。
ソイレントとは、食事を代替することを目的とした液状の食品で、クラウドファンディング・キャンペーンによって、1年間に300万ドル(約3億円)を集め、そのキャンペーン中に購入予約した6万人の支援者に届けられています。
「私にとってバランスのよい食事をするということは、まるで、生物化学と調理と調達と洗浄が混ざり合った、混沌とした海の中に飛び込むようなものです。(だから液体だけで済ませられるのは理想的)」
しかしネスレ博士は、
「食事はセックスと同じで汚くて多くの問題をもっていて当然」
と、言います。
セックスと同様に食事も、感情や心理、社会や文化、性認識や宗教等と似た危険をはらんでいます。食事を共にするということは、関係を築き、維持するということです。お祝いをしたり、悲しんだりすることです。ある人は、自分が食べる食事に自分のアイデンティティを見るかもしれません。またある人は、影響力を得たるためだったり、失わせるために食事を利用するかもしれません。
こうした食事のもつ見えない力が、フード2.0にとって、もっとも気が重い挑戦となるでしょう。
宣伝によって文化は変えられるのか
「我々が直面する最も大きな障害は、肉の文化的重要性です。」
と、ヴィーガンでビヨンド・ミートの最高経営責任者であるイーサン・ブラウン氏は言います。
ビヨンド・ミートは、肉の味や食感を再現するために植物性タンパク質を分離し、再合成する特殊な工程を開発しました。
「別にあなたは、鹿肉と我々の製品のどちらかを選ばなければならないわけではありません。でも、加工がかなり進んだタイソン(Tyson)の製品か、我々の製品のどちらが良いかを考える必要はあります。」
かなりクレバーなソーシャルメディアやマスメディアを使ったマーケティングが予想できます。宣伝や広告は、私達にチートスやオレオ、コカコーラが欲しいと思わせます。例え、それらの食品が不自然な食品だったとしても。
であれば、こうしたハイテク・ミートや卵と、どう違うというのでしょう。
たぶん最終的には、全て結局、豆腐を使った肉の代用品とそう変わらないのではないのでしょうか。
例えどんなに数学解析を用いてスライスしようとしても。
原典:“Rethinking Eating”, SundayReview, NEWS ANALYSIS, New York Times, KATE MURPHY, AUG. 23, 2014
ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス
統合食養学のヘルスコーチが体の仕組みを説明する際によく用いる言葉があります。
体は蜘蛛の巣と同じ
蜘蛛の巣の糸を一本だけひっぱったら何が起こりますか?その一本だけがスルスルっと抜けるなんてことはありませんよね?普通は、蜘蛛の巣全体が動きます。
あなたの体も同じです。全てがつながっているホリスティックな存在です。
それは食べ物においても同じことが言えます。野菜だってお肉になる前の動物だって皆、ホリスティックな存在です。そうした存在の一栄養素だけを抽出したり、合成したりしても、ホリスティックな存在を再現することはできないのではないかと思うのです。また、人工的に造り出された、ホリスティックなバランスを欠いた食品を口にすることが体に及ぼす影響についても心配です。
いくら植物性の食材を使っているからと言って、ある成分のみを分離抽出した後、必要な成分のみを人工的にあるいは、この記事で紹介されているように数学解析的に合成したとしても、そうして造られた「食べ物もどき」に、自然食品以上の価値があるとは、私には思われないのです。
ネスレ博士がおっしゃっている様に「野菜をそのまま食べなさい」と私も思います。
肉を食べたくないなら、環境問題が心配なら、肉を食べなければいいじゃないか、野菜をそのまま食べなさいと、私は思うのです。そして、わざわざ肉もどきを造ってまで肉が食べたいないら、ちゃんと本物の肉を食べなさいとも思います。
心や体や食品の在り方にまで、無理をさせてまで、そもそもやることなんでしょうか?と思うのです。
あなたはどのように考えましたか?
公認ホリスティック・ヘルスコーチは、食事だけでなく、あなたを取り巻く様々なこと(環境、仕事、家族、人間関係など)を考慮して、プログラムに反映させ、あなたが、なりたいあなたになれるようコーチングを提供します。
もしおひとりで取り組むことに不安や難しさを感じるのでしたら、ヘルスコーチと、一度、話をしてみませんか?
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