バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。
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目次
ビタミンB2の食事摂取基準(2020)
成人一日の摂取基準です。
- 女性|必要量:1.0mg、推奨量:1.2mg
- 男性|必要量:1.3mg、推奨量:1.6mg
過剰摂取による副作用や毒性の報告がないため、限界量は定められていません。
ビタミンB2の性質
ビタミンB2は、次の2つの補酵素の成分です。
- フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)|呼吸反応の一部で、エネルギー生産の中心
- フラビンモノヌクレオチド(FMN)
ビタミンB2(リボフラビン)から造られる補酵素は、フラビン補酵素と呼ばれます。炭水化物、脂質、タンパク質の代謝に関与している多くの経路での酸化還元反応に関わっている重要な酵素です。
フラビン補酵素は薬剤や毒素の代謝(分解)にも関わっています。
なお、フラビン補酵素を使用する酵素は、フラビンタンパク質と呼ばれます。
ビタミンB2の機能
ビタミンB2から造られた補酵素(前掲)には、2つの機能的な役割があります。1つは、酸化還元機能、もうひとつは、抗酸化機能です。
酸化還元機能
活性酸素から細胞を守っている抗酸化酵素グルタチオンの酸化還元には、FADが不可欠です。ビタミンB2が不足すると体内の酸化ストレスが上昇します。
体内でビタミンB2がちゃんと機能しているか否かは、赤血球のグルタチオン活性の度合いによって測ることができます。具体的には、FADによって活性化した酵素と活性しなかった酵素の比率を示す、赤血球グルタチオン還元酵素活性係数(EGRac)によって、ビタミンB2の機能性を評価することができます。
抗酸化機能
プリン誘導体(ヒポキサンチンやキサンチン)を尿酸へと酸化する反応を触媒するキサンチン酸化酵素が正常に機能するためにはFADが不可欠です。
尿酸は、血液中で最も効果的な水溶性の抗酸化物質です。
アミノ酸システインの代謝を助ける
アミノ酸システインのメチオニンへの変換において、葉酸が正常に働くためにはFADが不可欠です。
他のビタミンB群と同様にビタミンB2が増えることで、毒性をもつホモシステインの血中濃度を低下させることができます。そのことから心疾患を予防し、認知症を予防します。
ビタミンB群の代謝を助ける
フラビンタンパク質は、その他のビタミンB群(ビタミンB6、ナイアシン、葉酸)の代謝に関与しています。例えば、ビタミンB2は、ビタミンB6と共にトリプトファンからのナイアシンの合成をします。
そのためビタミンB2の不足は、体内の多くの機能に影響を与えます。
偏頭痛の予防と改善
脳内でのミトコンドリアの酸素代謝が損なわれることが偏頭痛の病理に関わっていることを示す報告があります。ミトコンドリアの電子伝達系は、フラビンタンパク質を必要とします。
1日400 mgのビタミンB2を3か月間摂取すると、偽薬を摂取したグループと比較して、頭痛の発作頻度と頭痛のある日を有意に減少させたことが報告されています。効果は3ヶ月目に最も顕著だったとのことです。
頭痛とビタミンB群との関係については『あなたの頭痛はチーズが犯人かもしれませんよ』もご参照ください。
鉄分不足による貧血予防と改善
メカニズムは、まだよくわかっていないものの、ビタミンB2が不足すると、鉄分の吸収が妨げられ、腸内で鉄分の損失が増え、ヘモグロビン合成に影響することが示されています。
また、ビタミンB2が十分に維持されることでヘモグロビンの濃度が改善すること、鉄分欠乏による貧血が改善されることが観察されています。
特に、妊婦では、鉄分と葉酸に加えてビタミンB2を摂取することで妊娠中の貧血の発生頻度が改善したことが報告されています。
ビタミンB2欠乏症
ビタミンB2欠乏症は、単独で見つかることは稀です。ビタミンB2が欠乏している時は、他の水溶性ビタミンも欠乏状態にあることがほとんどです。そのため、ビタミンB6欠乏やナイアシン欠乏など、ビタミンB群全体の欠乏が同時に起きている可能性があります。
アルコール依存
アルコール中毒者においては、ビタミンB2の摂取不足、吸収不足、利用率低下などで、欠乏症を起こす可能性が最も高いと考えられています。アルコールを日常的に大量の飲む習慣のある人も要注意です。
身体活動が活発な人
アスリートや肉体労働者など、身体活動が活発な人は、ビタミンB2の必要量が大きいため不足しがちです。しかし、ビタミンB2が運動機能を特に高めるという報告はありません。
拒食症/乳製品を食べない人
その他、拒食症がある人や、乳製品アレルギー/不耐症があることで乳製品を食べられない人もビタミンB2欠乏症になる可能性があると考えられています。
ビタミンB2欠乏症の一般的な症状
ビタミンB2欠乏症の症状には次の様なものがあります。
- 咽頭痛、口内や喉の赤みや腫れ
- 唇のひび割れや痛み(口唇症)
- 口の端が切れる・痛み(口角炎)
- 舌の炎症や発赤(舌炎)
- 角膜の充血
- 脂漏性皮膚炎
- 正色素性正球性貧血|赤血球数の減少、ただし赤血球中のヘモグロビン濃度と赤血球の大きさは正常
ビタミンB2と病気との関係
がんの化学療法による副作用の軽減
抗がん剤タモキシフェンで90日間治療を受けた78人の閉経後の乳がん患者にビタミンB2(10 mg/日)、ナイアシン(50 mg/日)、コエンザイムQ10(100 mg/日)を同時に投与し、抗酸化効果を評価した研究があります。タモキシフェン治療に伴う酸化ストレスを効果的に予防したことが報告されています。
ビタミンB2は、光増感剤としても作用するため、がんの光線力学的療法の効果を高める可能性があると考えられています。
また、マウスを用いた動物実験ですが、抗がん剤シスプラチンによる肝臓と腎臓におけるDNAの損傷がビタミンB2の投与によって減ったことが報告されています。
角膜拡張の改善
角膜拡張は、角膜の形状が歪み視力に影響する目の疾患です。
角膜を補強し、角膜の損傷が進行するのを制限するために、紫外線照射とビタミンB2の投与が行われます。
白内障
ビタミンB2の摂取が多い上位5%(中央値で1.6~2.2 mg/日)のグループは、下位5%のグループと比較して、白内障に50%もなりにくいことが報告されています。
子癇前症(しかんぜんしょう)
子癇前症は、妊娠中の高血圧と過剰なタンパク尿を起こす危険な病気です。大量出血リスクも上昇します。
栄養状態が健全な妊婦と比較して、ビタミンB2欠乏症の妊婦は4.7倍も子癇前症を起こしやすいことが判っていますが、その理由はまだ判っていません。ただ、血中のホモシステイン濃度の上昇と、子癇前症には関連性が認められています。
子癇前症については『危険な妊娠合併症を予防できる簡単な方法』もご確認ください。
甲状腺機能低下症/副腎疲労
甲状腺機能低下症、副腎疲労(副腎機能不全)では、ビタミンB2のFADやFMNへの変換が損なわれることが判っています。そのため様々な代謝に関係する不調が起きます。
甲状腺機能低下症については『甲状腺機能低下症』をご参照ください。
ビタミン2を多く含む食品
上の画像で楕円形で囲まれている数値は、1日の推奨値をクリアするそれぞれの量です。
レバーと乳製品以外では、海藻類とキノコ類、ナッツ類と豆類に多く含まれています。
ビタミンB2の過剰摂取
ビタミンB2の過剰摂取による毒性または有害作用は報告されていません。
ビタミンB2を過剰摂取すると、尿の色が濃い明るい黄色になります(フラビニュリア)が、これは無害の副作用です。
なお、発がん物質のクロム(六価)が体内に蓄積されている場合には、ビタミンB2を過剰に摂取すると、DNA損傷リスクが高まる可能性が指摘されています。
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参考文献
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- “The effect of exercise on the riboflavin status of adult men”, Soares MJ, Satyanarayana K, Bamji MS, Jacob CM, Ramana YV, Rao SS, Br J Nutr. 1993;69(2):541-551
- “Diet and nuclear lens opacities”, Mares-Perlman JA, Brady WE, Klein BE, et al, Am J Epidemiol. 1995;141(4):322-334
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ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング