
バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。
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目次
こんな目の症状ありませんか?
- ゴロゴロする/不快感がある
- 乾いた感じがする
- 何となく見づらい/かすんで見える/疲れている
- 白っぽい目やにが出る/くしゃくしゃする
- 朝開けずらい
- 充血している/ヒリヒリ痛い
これは全てドライアイの症状です。
今回は、パソコンやスマホの日常的な長時間の利用によって現代病となったドライアイについて、意外な解決法をお伝えします。
ドライアイとは
ドライアイは、「乾燥性角結膜炎」と呼ばれる目の症状です。
涙の量が減ったり質が低下して、目の表面が乾きやすくなることで起こる目の様々な不快感です。ひどくすると角膜が傷ついてしまいます。
ドライアイには次の2種類があります。
- 涙の量の異常減少によるドライアイ
- 涙の質の異常低下によるドライアイ
涙の量の異常減少は、文字通り、涙の量が減ってしまったことによるドライアイです。一方、涙の質の異常低下とは、涙の成分バランスが崩れてしまい目の表面を覆う涙の膜を維持する能力が低下してしまったことによるドライアイのことです。
そもそも涙とは?

涙は、下の図の様に、油層と液層でできています。液層は2種類のムチン(粘膜)でできています。そのため正常な涙にはとろみがあります。
涙は、上まぶたにある、「主涙腺(しゅるいせん)」から分泌されます。大人では1日に約0.5~0.75cc程度分泌されるといわれています。涙の比重は1.59で、浸透圧は0.9%の生理食塩水に相当します。

涙の主な役割は、乾燥の予防、殺菌・洗浄、栄養補給です。
涙の成分がバランスよく分泌されていると涙の膜が目の表面に留まり、角膜を保護したり、潤滑油のような役割をしてくれます。瞬きすると、油層と液層が新しいものと入れ替わり、ゴミや菌などの有害物質を洗い流して、目の表面を清潔に保っています。
成分バランスが崩れると・・
例えば、涙の成分バランスが崩れて、油分が減少すると油膜が十分に造られなくなるので、液層が蒸発しやすくなり目の乾燥が起きます。
また、ムチンが減少すると涙が水っぽくサラサラになり蒸発しやすい状態になります。そして涙の液分が減少すると、涙の浸透圧が高くなり、角膜などに負担がかかり炎症が起こります。
だからと言って、目薬を使う回数が多すぎると涙が洗い流されてしまい、返って角膜に傷をつけてしまうことがあるので目薬に頼り過ぎることにも注意が必要です。
ドライアイをセルフチェックする

12秒間まばたきしないでいられるかが目安になるという研究があります。
12秒間開けていられない場合には、ドライアイの可能性があるので、眼科を受診してみましょう。
眼科での検査
ちなみに、眼科でのドライアイの検査は次のように行われます。
次の2つのいずれかに該当する場合にドライアイと診断されます。
- 自覚症状
- 自覚症状かつ「涙液層破壊時間(BUT)検査」が5秒以下
「涙液層破壊時間(BUT)検査」は、黄色い染色液を点眼して行われます。まばたきをしないで目を開いた状態のまま、涙の層が角膜を覆っている時間(何秒で涙層が壊れるか)を調べる検査です。5秒以下だとドライアイと診断されます。
一般的なドライアイ用の目薬と涙点プラグ

目薬
ドライアイの改善に処方される目薬には次の様なものがあります。
- 人工涙液
- ヒアルロン酸製剤
- ムチンや水分分泌を促進する点眼薬(ジクアホソルナトリウム)
- ムチンを産生する点眼薬(レパミド)
など
涙点プラグ
「涙点」という涙の出口に栓(プラグ)をしてしまうことで、涙の排出を遮断して、涙が目に溜まっている時間を長くする治療法です。
保険適用の治療法です。
ドライアイになる原因
できれば上で紹介した目薬や治療が必要となる前に、食事やライフスタイルでなんとか改善できるのが理想的です。
そのためにはまずは、あなたのドライアイの原因を特定し、その原因に合った改善策を練るのが得策です。
ドライアイになりやすい環境や状況やライフスタイルを次にいくつか紹介しますので、あなたの生活のどこに改善の余地があるのか見つけてみてくださいね。
目の酷使(PC/スマホ/運転/ゲーム)

例えば、パソコンやスマホを長時間使用している人や、長時間運転をしているドライバーさんなど、あるいは、精神を集中する必要のある精密な手仕事などをしている人、ゲームを長時間する人もドライアイになりやすいです。
原因は、まばたきの減少です。
何かを集中して見ようとすると、やはり瞬きは少なくなります。普通は、1分間に20~30回くらい瞬きをしているものですが、何かを凝視している人は、その回数が4分の1に減ってしまうと言われています。
ストレス/緊張
自律神経が涙の分泌をコントロールしています。リラックスすると優位になる副交感神経は涙を分泌させ、緊張すると優位になる交感神経は涙を止めるよう働きます。
そのため、ストレスが高い環境や緊張した環境で働いている人は、交感神経が優位になっているので、涙の分泌が抑えられてしまっています。それがドライアイの原因となります。
夜更かし

あなたの身体活動は昼間に活発になるようにできています。昼間の活動を支えるために分泌されているホルモンや涙も、夜は休息・睡眠モードになります。そのため、夜間は涙の分泌が少なくなります。
また、睡眠不足も涙の量を減らしてしまいます。
それだけでなく、太陽の自然光ではなく、LEDや蛍光灯などの人工灯によって目が疲れやすくなります。だから夜遅くまで起きて目を使っているとドライアイになりやすいんです。
しっかりと眠ることがドライアイの改善になります。
エアコン
一日中、空調が効いたオフィスで仕事をしている人、自宅でもエアコンをつけっぱなしにしている人、エアコンの効いた車で長時間運転をしている人などはドライアイになりやすいです。
エアコンは空気を乾燥させます。エアコンの風に直接あたっていると目だけでなく、お肌も乾燥してしまいます。特に湿度の低い冬の暖房は、室内をものすごく乾燥させてしまうため、ドライアイが起こりやすい環境です。
こうした環境に暮らしていると、一緒に暮らすペットの目もドライアイになります。
飛行機とホテル

飛行機をよく利用する、あるいは、ホテルに滞在する機会の多い人もドライアイになりやすいです。
機内は大抵とても乾燥しています。また、ホテルも空調を常に使用しているため、大抵、とても乾燥しています。そのため、飛行機をよく利用する人や、出張などでホテルによく滞在することが多い人で目に違和感を感じるようであれば、ドライアイになっている可能性があります。
コンタクトレンズ

コンタクトレンズは、涙の表面にレンズを浮かべて視力を矯正しています。でも、コンタクトレンズは涙を吸収してしまうため、涙が減りドライアイのようなゴロゴロしたり、充血したりする症状が起こります。
コンタクトレンズを使っている人は、使っていない人と比べてドライアイになりやすい傾向があります。コンタクトレンズで、目を傷つけてしまう原因の約90%がドライアイです。
レーシック手術/屈折矯正手術
レーシックは、レーザーで角膜を削って平らにすることで視力を向上させる手術です。大抵、手術後の3~6カ月間は、ドライアイになります。その後、改善することがほとんどですが、ドライアイが続いてしまう人もいます。
レーシック手術によってコンタクトレンズをつけなくて良くなるので、コンタクトレンズが原因のドライアイは改善しますが、術後6か月間ドライアイになってしまうことを考えると、既にドライアイの人は、ドライアイが改善してから手術を受けた方が良いでしょう。
紫外線

目には紫外線をブロックする仕組みがあります。でも、強い紫外線を浴びると細胞の抗酸化力が弱くなるため炎症が起きます。角膜の酸化ストレスがドライアイや結膜炎の原因のひとつと考えられていますので、紫外線の強い季節に屋外で活動することが多い人は、目を紫外線から保護することが大切です。
日差しの強い屋外に長時間いるような場合には、紫外線をカットする機能をもったメガネやサングラスをしてくださいね。
加齢
加齢に伴い、涙の量と質の両方が低下します。具体的には、涙層の一番外側の油膜が薄くなって蒸発しやすくなります。
特に、50歳を超えると男性も女性もドライアイになる確率が高まります。体内の炎症(老化)と関係していると考えられています。
自己免疫疾患/炎症性疾患

スティーブンスジョンソン症候群やシェーグレン症候群などの自己免疫疾患では、涙腺が破壊され重篤なドライアイになることがあります。(なお、シェーグレン症候群は中高年の女性に多い疾患で、涙が少なくなるだけでなく、口が乾くなど、身全体が乾燥する症状が現れます。)
その他、橋本病、糖尿病、関節リウマチなどもドライアイを起こしやすい疾患です。
こうした疾患では体内に炎症性サイトカインが多く発生しているため、他の臓器と併せ、目の炎症も起こりやすくなっているのです。
花粉症などのアレルギーも炎症性疾患です。花粉症などのアレルギー症状では目がかゆくなって粘り気のある涙がでることがありますが、ドライアイでも同じような症状が起こることがあります。ドライアイは乾燥による結膜炎、花粉症はアレルギー性の結膜炎です。原因は異なりますが、両方とも結膜炎ですから、目の充血や違和感などの症状は同じなんです。
またアレルギー改善薬の抗ヒスタミン剤は、体を脱水する作用があるため、涙が減少するだけでなく、喉の渇きなども起き、体全体を乾燥させてしまいます。ヒスタミン剤の副作用については『抗ヒスタミン剤の副作用は生活の質を低下させる』をご確認ください。
体を脱水する医薬品
体を脱水させる作用のある薬は、抗ヒスタミン剤だけではありません。目の充血を取り除く作用のある目薬は、涙を抑制することを知っていますか?
その他、次のような薬も体の脱水を促す作用があり、ドライアイを起こすことがあります。
- 抗うつ剤(ノルトリプチリン、アミトリプチリン、ドキセピンなど)
- シクロベンザプリン、バクロフェンなど(硬直した筋肉のこわばりを改善して痛みを取る薬)
- 睡眠薬
- 降圧剤
- チアジド系利尿薬(血圧改善のために処方される薬)
ドライアイの症状がひどいようなら医師にお薬の変更など相談してみてくださいね。
ドライアイを放置すると花粉症になる

順天堂大学大学院による研究によって、花粉症の症状(重症度)と関係があるライフスタイル要因が判明しています。
ドライアイ
調査対象となった花粉症患者9,041人のうち、ドライアイを併発していた人は、49%(4,429人)にも上りました。
- 軽症・・・2,201人
- 中等症・・・1,001人
- 重症・・・1,227人
また、ドライアイの重症化と花粉症症状重症化との間に有意な関連が認められています。
花粉症を併発するライフスタイル要因
既にドライアイを発症している人が、花粉症を併発するリスクの倍率は、次のライフスタイル要因によって高まることが示されています。
- 女性・・・2倍
- 精神疾患(治療中)・・・2.18倍
- 精神疾患(過去罹患)・・・1.44倍
- ペット飼育・・・1.23倍
- コンタクトレンズの使用・・・1.35倍
- 6時間未満の睡眠時間・・・1.29倍
- 喫煙習慣・・・1.40倍
花粉症予防のために、女性を止めることは無理ですが(笑)、ドライアイを改善することと併せて、上のリストの中では、睡眠時間と禁煙は努力によってなんとかなりそうではありませんか?
ドライアイを予防・改善するライフスタイル

ドライアイに共通している改善法は、もちろん、目を乾燥させないことです。
「目を乾燥させない」方法を考える時、目の保湿と環境の加湿は誰にもすぐに思いつくと思います。ここでは、そうした基本的な改善方法に加えて、少し意外な、でも効果が研究によって示されている方法をご紹介します。
まばたきの回数を増やす
意識して、まばたきをすることが大切です。
目を酷使している人はもちろんのこと、夜更かしの人にも効果的です。
私達は無意識のうちにまばたきをしているのが普通なので、意識して行うことは忘れてしまいがちです。特に何かに集中している時には、忘れてしまうことが多くなってしまいますので、スマホのアラームなどを活用して、定期的にまばたきを意識するキッカケを作っておくと良いですね。
環境の適切な加湿

室内の乾燥には加湿器を使いましょう。
ホテルなどでは濡れタオルをバスルームに干しておくだけでも加湿できます。あるいは、バスタブにお湯をはっておくのも良いです。
機内ではアイマスクをしたり、ただ目を瞑っているだけでも効果があります。あるいは意識してまばたきをしたり、必要なら点眼も有効です。
定期的に休息して目を休ませる

パソコンで仕事をすることの多い現代人は、できれば1時間ごとに15分くらい目を休ませるのが理想的だと言われますが、そんな頻繁に15分間も休憩していたら、いつまで経っても仕事は終わりません(笑)なので、次の方法が役に立つかもしれません。
コンタクトレンズや眼鏡をしている人
遠近両用でパソコン用に調節されたコンタクトレンズや眼鏡にすると、目の疲れが軽減します。
パソコンやテレビを長時間使用する人
眼球の露出が少なくなるよう、目を伏し目がちにすると乾燥しにくいと言われています。そのため、ディスプレー画面の位置を低めにして使用すると予防になります。
ただ、ディスプレー画面が低い方が良いとは言っても、首が下がってしまうと肩こり(スマホ首)の原因になるので、あまり下に置きすぎるのもお勧めしません。PCスタンドなどを活用して、目が伏し目がちになる、でも低すぎない高さにディスプレーの位置を設定してくださいね。

一方で、テレビを寝転んで画面を見上げるようにして観ていると目が乾き、ドライアイになってしまう可能性があるので、注意が必要です。
マイボーム腺のマッサージと温湿布
マイボーム腺とは

マイボーム腺は、目を乾燥から守っている涙の一番外側の油層を作る脂質を分泌してくれています。
そこがつまってしまうと、油膜が薄くなって目が乾きやすくなります。
マイボーム腺のマッサージ方法
マイボーム腺の働きを助け、涙の分泌を促すためには、朝起きた時や寝る前に10分間ほど、目を温めるように温湿布すると効果的です。タオルの温度は40℃くらいが良いと言われています。
また、朝晩の洗顔時に目を閉じた状態で、まつ毛の生え際に指をそろえて優しく当てて、ゆっくりと左右にマッサージするのも良いです。
また、赤外線温治療などもありますよ。
アイメイクの注意点

また、まぶたの際までアイメイクをしてしまうと、マイボーム腺を塞いでしまうため、油分が分泌されなくなってしまいドライアイの原因となるので、アイメイクを、まつ毛の内側までするのは避けた方が良いでしょう。
有酸素運動

『実験的眼科研究(Experimental Eye Research)』の2022年1月号に発表された研究論文は、運動を習慣にすることで、目の水分量が増加し乾燥しにくくなることを示しています。
研究では、ドライアイではない18歳~25歳のアスリートの学生とアスリートではない学生のグループ(男女約半々)にそれぞれ疲労するまで有酸素運動(トレッドミル/ランニングマシーン)をしてもらっています。
その結果、どちらのグループにおいても運動前と比較して、涙量と涙液層破壊時間(BUT)が増加したことが報告されています。ただし、統計上有意な改善は、アスリートのグループでした。また、性別による改善度合いに違いはなく、運動時間と改善度には若干の関係性が見られたとのことです。
運動がなぜドライアイを改善するのか不明ですが、意外な改善方法です。ドライアイの人は、ジョギングやランニング、エアロビクスなど、有酸素運動を習慣にすると症状の改善が期待できそうです。
笑う

笑うことが人工涙液の点眼と同じくらいドライアイの改善に効果があることが示されています。
中国最大の眼科センターが、2020年6月~21年1月に実施した研究では、年齢18~45歳の症候性ドライアイ患者299名を次の2つのグループに分け、笑い療法の効果を調べています。
1. 笑い療法グループ・・・1日4回、次のフレーズを30回(約5分間)繰り返すエクササイズを8週間続ける
「ヒーヒーヒー(Hee hee hee)
ハッハッハッ( hah hah hah)
チーズ、チーズ、チーズ(cheese cheese cheese)
チーク、チーク、チーク(cheek cheek cheek)
ハッハッハッハッハッハッ(hah hah hah hah hah hah)」
2. 人工涙液グループ・・・1日4回、1%ヒアルロン酸ナトリウム点眼薬の点眼を8週間行う
結果、両方のグループにおいて、眼の表面の疾患指数と非侵襲的涙液層破壊時間が有意に改善したことが示され、両グループ間に差はほぼ無かったことが報告されています。
笑うことがドライアイをなぜ改善できるのかという生物学的メカニズムは不明ですが、研究者は、声を出して笑う時には、腹筋や骨盤底筋などをコントロールしている運動神経が働き、特に、お腹から笑う時の腹式呼吸は自律神経を刺激するため、涙の分泌が促進されるのではないか、また、笑うことで、目の周りの眼輪筋が収縮し、隣接するマイボーム腺が圧迫されることで目の表面に脂質が押し出されるからではないかと、推察しています。
確かに、笑い過ぎて涙が出ることありますものね。
そして、目が笑っていない作り笑いでは効果なしということですね(笑)
ドライアイを予防・改善する食事
私達は食べたものでできています。質の良い涙をたくさん作りたいのなら、涙の材料になる食材を食べることが必要です。目の炎症を抑えたいのなら、抗炎症作用や抗酸化作用のある食材を食べると効果的です。
特にドライアイの改善には、抗酸化物質を多く含む食事をするのが効果的です。
ただし、統合食養学はホリスティック栄養学ですから、ミクロ栄養素(サプリメント)で栄養を摂ることを勧めることはありません。ホールフード(丸のままの食品)で”食事”をすることを勧めます。
便宜上、薬効となる成分名/栄養素名を記載しますが、それらを豊富に含む食品を併せて紹介しますので、是非、”食事”を見直す参考にしてくださいね。
ビタミンAの多い食品


ビタミンAは、非常に強力な抗酸化ビタミンです。ビタミンAは、特に暗い場所での視力調節に不可欠な栄養素です。ビタミンAが不足すると角膜が乾燥し目の炎症が起こります。
ビタミンAの詳しい働きについては『ビタミンA』をご確認ください。
魚油(DHA/EPA)
DHA/EPAは、動物性のオメガ3不飽和脂肪酸です。体内の潤滑油として働き、当然、目の乾燥も防いでくれています。
例えば、最近行われた無作為二重盲プラセボ対照臨床試験では、軽度~中度のドライアイ患者を次の3つのグループに分け、90日後の状態を比較しています。
1日に次の量の油をそれぞれ摂取します。
- オリーブ油・・・1,500mg
- オキアミ油(クリル油|EPA 945 mg、DHA 510 mg)
- 魚油(EPA 1,000 mg、DHA 500 mg)
結果、オキアミ油と魚油の両方ともが、3か月(90日)間、毎日摂取すると、ドライアイ患者の涙液浸透圧が低下して(目が潤った状態になって)、涙液の安定性が向上したと、報告されています。特に、オキアミの油で改善が顕著だったそうです。
そこで、実験で使用された量を食品で摂る場合にどれくらい摂ったら良いか調べてみました。
オキアミ油

厚生労働省の食品成分表には、オキアミ油の登録がありませんので、登録のあった「生のオキアミ」で調べています。
実験で使用されたEPAとDHAと同等量を摂ろうとすると、オキアミ約270gが必要となることが判りました。(オキアミ100g中には、DHA200mg、EPA350mgが含まれています)。
たらの油

実験ではどの魚の「魚油」が使用されたのかわかりませんでしたので、やはりこちらも厚生労働省の食品成分表に掲載されている唯一の魚油「たらのあぶら」を参考にしています。
今回実験で使用されたDHAとEPAと同等量を摂るためには、たらの油約7.7g中が必要です。油は小さじ一杯が4gなので、たらの油小さじ2杯弱を毎日飲むと良いことになりますね。
ガンマリノレン酸
ボラジオイルとブラックカラントに含まれるガンマ・リノレン酸15mgを毎日2回45週間摂ったドライアイの患者の炎症が改善し、涙液の安定性が上昇したことが報告されています。
ガンマ・リノレン酸は、オメガ6不飽和脂肪酸のひとつです。
ボラジオイル

ボラジ/ボリジは、ヨーロッパで代替医療に用いられる薬草です。
厚生労働省の食品成分表に「ボラジ/ボリジ」の登録がないため、ボラジオイルの約20%がガンマ・リノレン酸だと記されている研究論文を基にすると、ボラジオイル約75mgでガンマ・リノレン酸15mgが摂取できます。
ただ日本では飲食用のボラジオイルが手に入りにくく、あっても非常に高価なので食事に利用するのは難しいです。
ブラックカラント(黒スグリの実)

厚生労働省の食品成分表には、「カラント(すぐりの実)」一般の掲載しかなく、「ブラックカラント」の登録がないため、こちらもブラックカラントのシードオイルの約15.8%がガンマ・リノレン酸だと記されている研究論文を基にしています。
従って、ブラックカラントのシードオイル約95mgでガンマ・リノレン酸15mgが摂取できます。

また、厚生労働省の食品成分表によれば、一般的なカラント100g中には、ガンマ・リノレン酸が130mg含まれています。
そのため、カラントの実(ベリー)を11.5gを1日に2回食べても同じです。
ヘンプシード

残念なことに、ヘンプシードを用いてドライアイの改善を検証した研究はありませんでしたが、麻の実(ヘンプシード)100gにも140mgのガンマ・リノレン酸が含まれています。
そのため、ガンマリノレン酸がドライアイの改善になるのであれば、ヘンプシードを1回に10g強食べても良いことになるのでは?
ヒアルロン酸を多く含む食品
ヒアルロン酸自体は、涙の成分ではありませんが、涙の成分のムチンと非常に似た性質をもっています。
ヒアルロン酸はゼリー状の物質で、グルコサミンとグルクロン酸という2種類の糖が一組になって直鎖状につながった、グリコサミノグリカンというムコ多糖類の一種で、強い粘り気や弾性があります。たった1gで約6リットルもの水分を保つ力があります。
ヒアルロン酸は次の様なゼリー状あるいはネバネバとしたヌメリのある食品に多く含まれています。

- 鶏のとさか/鶏皮/手羽
- 軟骨(鶏・豚・牛)
- 豚足
- うなぎ
- ふかひれ
- スッポン
- 魚の目

- きのこ類
- 山芋
- オクラ
- 納豆
その他
はちみつを軟膏として、患部に塗布することで炎症が改善することが報告されています。詳しくは『はちみつ|眼科疾患の改善』をご確認ください。
ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス

目薬ばかりに頼っている生活から卒業して、今回ご紹介した食事やライフスタイルを生活の中に取り入れて、ちゃんと潤った目を取り戻してくださいね!
でも、ひとりでがんばることに少し不安を感じる人は、ヘルスコーチと、一度、話をしてみませんか?
公認ホリスティック・ヘルスコーチは、食事だけでなく、あなたを取り巻く様々なこと(環境、仕事、家族、人間関係など)を考慮して、プログラムに反映させ、あなたが、なりたいあなたになれるようコーチングを提供します。
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参考文献:
- 「ドライアイとは」、参天製薬
- 「「ドライアイ」の原因・症状・予防法」、ロート製薬
- “Using the AllerSearch Smartphone App to Assess the Association Between Dry Eye and Hay Fever: mHealth-Based Cross-Sectional Study.”, Inomata T, Sung J, Nakamura M, Iwagami M, Akasaki Y, Fujio K, Nakamura M, Ebihara N, Ide T, Nagao M, Okumura Y, Nagino K, Fujimoto K, Eguchi A, Hirosawa K, Midorikawa-Inomata A, Muto K, Fujisawa K, Kikuchi Y, Nojiri S, Murakami A., J Med Internet Res. 2023 Sep 12;25:e38481. doi: 10.2196/38481. PMID: 37698897; PMCID: PMC10523221.
- “Differential effect of maximal incremental treadmill exercise on tear secretion and tear film stability in athletes and non-athletes”, Samuel Abokyi, Sekyere Nyamaah Mensah, Heinz Otchere, Yaw Osei Akoto, Michael Ntodie, Exp Eye Res, 2022 Jan;214:108865. doi: 10.1016/j.exer.2021.108865. Epub 2021 Nov 27, PMID: 34848214
- “Effect of laughter exercise versus 0.1% sodium hyaluronic acid on ocular surface discomfort in dry eye disease: non-inferiority randomised controlled trial.”, Li J, Liao Y, Zhang SY, Jin L, Congdon N, Fan Z, Zeng Y, Zheng Y, Liu Z, Liu Y, Liang L., BMJ. 2024 Sep 11;386:e080474. doi: 10.1136/bmj-2024-080474. PMID: 39260878.
- “A Randomized, Double-Masked, Placebo-Controlled Clinical Trial of Two Forms of Omega-3 Supplements for Treating Dry Eye Disease”, Laura A Deinema, Algis J Vingrys, Chinn Yi Wong, David C Jackson, Holly R Chinnery, Laura E Downie, Ophthalmology, 2017 Jan;124(1):43-52. doi: 10.1016/j.ophtha.2016.09.023. Epub 2016 Nov 3, PMID: 27817918
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