バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。
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目次
ロマンチックな愛は脳の原始領域
いつもならしないことや言わないことを、恋愛中にしてしまう、言ってしまう、考えてしまう。自分が自分でなくなったように感じた経験をしたことが、誰にでもあるのではないでしょうか。
そんな恋愛中の心の現象について、ボストンのマサチューセッツ総合病院の精神科医で、ハーバード大学医学部の准教授ジャクリーン・オールズ博士は次のように述べています。
「脳の原始領域がロマンチックな愛に関与している」
脳の原始領域とは、側坐核と偏桃体を指します。
恋の始まりの脳内ホルモン
恋に落ちるのは報酬
生物人類学者のヘレン・フィッシャー博士は、好きな人の写真を観た時と、友達の写真を観た時の大学生の脳を機能的MRI(fMRI)を用いて2,500回もスキャンし、その結果、好きな人の写真を観ると、快楽ホルモンのドーパミンを放出する脳の領域(快楽中枢)が活発になることを、2005年に発表しています。これは、ロマンチックな恋をしている人の脳の機能的MRI(fMRI)画像を世界で初めて発表した研究となりました。
オールズ博士は、
「恋に堕ちると、脳の報酬システムを動かすドーパミンが大量に放出されます。」
と、述べています。
ドーパミンはあなたの脳の報酬回路を活性化して、幸福感に似た楽しい感覚をもたらします。
恋に堕ちるのは恐怖
一方で、マサチューセッツ州ベルモントにあるマクリーン病院の精神科医で、ハーバード大学医学部の教授リチャード・シュワルツ博士によると、ロマンチックな愛の初期段階、つまり、恋に落ちたときには、ストレスホルモンのコルチゾールが増加します。
好きな人を見たり、好きな人のことを考えると、心臓がバクバクして、頬が赤くなったり、冷汗が出たり、気持ちが不安定になったりしますが、これ全て、コルチゾールの仕業です。
コルチゾールは脳の偏桃体(恐怖心と関係している)を刺激します。あなたを「見知らぬ危機」から守ろうとして体を準備しているのです。
恋に堕ちることは、原始の脳にとっては、報酬でもあり危機なことでもあるんですね。
そして、コルチゾールが多くなり過ぎると、幸福ホルモンのセロトニンが枯渇していきます。
セロトニンが抑制されれば、恋愛行動にブレーキがかかります。
恋のはじまりの狂気
この、コルチゾール過剰とセロトニン枯渇による「リスク反応」を乗り越えて、恋愛を進める上で、ドーパミンが脅威反応を軽減する大きな役割を果たしていることが次第に判ってきました。
「恋のはじまりの、狂ったように夢中になる
思考、期待、恐怖、強迫観念に近い盲目は、
この、コルチゾール過剰による
セロトニン枯渇とドーパミンによって引き起こされる」
「恋は盲目」と言われる現象は、恐怖反応と報酬反応というアンビバレンスな状態の脳(矛盾感情)によって生じるものだったんですね。
失恋のやけ酒は万物共通?
あなたの脳の快楽中枢は、お酒を飲んだ時にも活性化します。
カリフォルニア大学サンフランシスコ校が、2012年に『サイエンス(Science)』誌に発表した研究が笑えました。
「性的に拒絶された雄のショウジョウバエが、
雌のショウジョウバエと交尾したショウジョウバエよりも
4倍のアルコールを飲んだ」
というものです。
「失恋のやけ酒」って、万物共通なんですね(笑)
でも、ショウジョウバエと同じ行動パターンって、どうなんですかね?ヒトとして・・・(悩)
交際中の脳内ホルモン
愛着・安心感・絆が生まれる
めでたく交際が始まると、オキシトシンとバソプレシンと呼ばれるホルモンが分泌され始めます。
バソプレシンは、利尿を妨げる作用のあるホルモンなので、血圧上昇ホルモンとも呼ばれます。しかし、一夫一婦制の関係を生み出す行動に関連していると考えられているホルモンです。
オキシトシンは、肌と肌の接触、スキンシップによって分泌が促される愛着のホルモンです。特に、セックス中に多く放出され、愛着の感情を深め、カップルがお互いに親密さを感じるように働くと考えられています。
オキシトシンは、関係に対する満足感や落ち着き、安心感を生みます。
緊張や感情のジェットコースターからの解放
健康的な恋愛関係が続くと、コルチゾールとセロトニンが正常レベルに戻ります。
その結果、感情のジェットコースターが落ち着くようになります。
シュワルツ博士によれば、1~2年以内で落ち着いてくるとのことです。
そして、DHEAというストレスワクチン作用のあるホルモンによって、ストレス源として始まった恋愛は、もはや「危機」ではなくなります。
セロトニンが元に戻らないとストーカーに
この時、幸福ホルモンのセロトニンが元に戻らなかったり、もともとセロトニンが不足している場合には、他のホルモンが暴走を始めます。例えば・・
- 快楽ホルモンのドーパミンが、パートナーに対する愛着の感情が生じることを妨げ、体の快楽だけの関係を求めるようになったり
- 愛着ホルモンのオキシトシンが、愛着ではなく執着に代わり、嫉妬深くなったり、ストーカー行為を生じさせたり
健康的な関係の維持にはセロトニンが欠かせませんね。
長くなると関係はマンネリになる?
2011年にニューヨーク州のストーニーブルック大学が、平均21年間結婚していた夫婦の脳をfMRIスキャンしたところ、新しく恋をしたカップルの脳に見られるのと同じ脳の快楽中枢で、同じ強度のドーパミン活動が観察できたことを報告しています。
つまり、愛情関係が長期間に渡っても、安定した関係を築いているカップルでは、相手に対する喜びや愛着が失われるわけではないということです。
シュワルツ博士とオールズ博士は、
「情熱的な愛から、思いやりのある愛へと、
時間の経過とともに関係性は変化する」
と、説明しています。
一夫一婦制とオキシトシンは無関係
ただし、パートナーとの誠実な関係の維持を可能にしているのは、オキシトシンではないことを、2023年1月に発表した研究が、2023年3月のサイエンス誌『ネイチャーダイジェスト』で紹介されていました。
関係への安心感にはオキシトシンは必要かもしれませんが、不倫の予防にはならないようですね。
ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス
今回ご紹介した様々なホルモンの作用や増やし方や減らし方、バランスの保ち方については、マインド・ボディ・メディシン講座セルフドクターコースで詳しく教えています。
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参考文献:
- “Love and the Brain”, Harvard Mahoney Neuroscience Institute, Harvard University
- “Mating proximity blinds threat perception.”, Cazalé-Debat, L., Scheunemann, L., Day, M. et al., Nature 634, 635–643 (2024). https://doi.org/10.1038/s41586-024-07890-3
- “Oxytocin receptor is not required for social attachment in prairie voles”, Kristen M. Berendzen, Ruchira Sharma, Maricruz Alvarado Mandujano, Karen L. Bales, Nirao M. Shah, Devanand S. Manoli, Published: January 27, 2023, REPORT| VOLUME 111, ISSUE 6, P787-796.E4, MARCH 15, 2023, DOI:https://doi.org/10.1016/j.neuron.2022.12.011
ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング