
バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。
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目次
大切なのはパワーバランス
輝くようなお肌を誰しも求めています。
美しい肌は、あなたの体内が真に健康であることを証明する世界共通のステータス・シンボルです。
お肌を健康的に守っているのは、皮膚の上に生息している共生細菌です。
1兆個ほどの肉眼では見ることのできない共生細菌があなたの腸内だけでなく、お肌の上にも住んでいます。
善い子(善玉菌)もいれば、悪い子(悪玉菌)もいます。

善玉菌だけでなく悪玉菌も必要です。
善玉菌の中には、多くなり過ぎると悪さをし始める、日和見菌と呼ばれるものもいます。
重要なのは、善玉菌と悪玉菌のパワーバランスです。(共生細菌の詳しいパワーバランスについては『バクテリア・コミュニケーション』をご確認ください。)
健康的な共生細菌は、健康的な免疫機能を作り、体内の炎症によるダメージを減少させます。
パワーバランスが崩れると、悪玉菌があなたの腸内を支配するようになります。それをディスバイオシス(dysbiosis|腸内菌の共生バランスの失調)と呼びます。
腸内のディスバイオシス
腸内にディスバイオシスが起こると、食品由来のタンパク質が腸壁から血液中に漏れ出すリーキーガットと呼ばれる状態が起きます。
それが、体内の免疫機能を刺激し、食物アレルギーの原因となったり、肌荒れなどの炎症の原因となったりします。
そして、重篤な自己免疫疾患へつながっていくことが多いです。
腸内環境とお肌トラブルの関係

腸内細菌は、お肌に多大な影響力をもっています。
腸内に課題を抱えている人、例えば、グルテン不耐症、SIBO、コーン病、IBD、IBSなどをもっている人は、大抵、お肌にも課題をもっています。
その仕組みは次の通りです。
- 腸内細菌のバランスが失調すると(ディスバイオシスが起こると)、悪玉菌はあなたの免疫細胞にネガティブなシグナルを送ります。
- 免疫細胞はそれを敵であると認識し、悪玉菌を殺します。
- 悪玉菌は死ぬと腸壁を透過して血液の中へ流れ込み、悪玉菌の死骸は体内を循環し体全体に軽い炎症を起こします。
- 死骸の一部は様々な体内の部位(お肌、関節、臓器など)に流れ着き、そこで炎症を起こします。
- 免疫細胞が死骸に気づくと、それが敵であると認識し、死骸を退治するためにサイトカイン(炎症性物質)の兵隊を送り出します。
- 死骸を退治するには多すぎる兵隊によって、お肌や関節やその他の臓器の炎症が悪化します。
- 更に、お肌に流れ着いた悪玉菌の死骸は、お肌の共生細菌のバランスを崩します。腸内だけでなくお肌においてもディスバイオシスが起こります。
健康的なお肌の上には、約1cm四方に800万個以上の共生細菌がいます。脂性肌の人になると8000万個以上になります。
この共生細菌のパワーバランスが崩れ、病原菌が多くなると、肌荒れ、吹き出物、ニキビ、発疹、痒みなどが現れます。
腸-皮膚相関(gut-skin axis)

「腸-脳相関(gut-brain axis)」という言葉を聞いたことがある人はいらっしゃると思いますが、それと同様の関係がお肌にもあります。
「腸-皮膚相関(gut-skin axis)」と呼ばれる関係です。
例えば、切り傷などの治りの遅い人は、亜鉛欠乏など様々な他の理由も考えられますが、腸内環境が乱れていることも重要な原因となります。
マスクで肌荒れ
コロナやインフルエンザの感染予防のために、あるいは、花粉症予防のために、更には、防寒のためにマスクをして外出する人は多いと思います。
その結果、特に、鼻や口周り、頬のあたりにお肌トラブルが起こりやすくなります。
吐く息に含まれる湿気がマスクでこもり、バクテリアにとっては増殖しやすい環境が生まれます。特に、皮脂分泌が顔の部分は要注意です。
もちろん、お肌トラブルはマスクだけでなく、ストレスや食事によっても起こります。
なお、コロナ禍下のスキンケアについては『コロナ禍だから大切にしたい、見過ごされがちな体の自衛システム』をご参照ください。
お肌トラブルに大金を払う前に

しつこい慢性的なお肌トラブルを抱えている人は、外側からケアする製品や薬へ大金を支払う傾向があります。
例えば、次のようなものです。
- 医薬部外品のクレンザー、スクラブ、化粧水など
- 皮脂を取り除くパック剤
- 糖質ステロイド(糖質コルチコイド)系の薬
- シクロポリンのような医薬品
- など
シクロポリン|免疫に関わる血液中のT細胞の働きを阻害することで強力な免疫抑制作用を示し、自己免疫疾患の症状を抑える。お肌トラブルでは、乾癬、アトピー性皮膚炎の治療に用いられます。
テレビや広告の効果もあって、免疫機能向上のために発酵食品などを食事に加え、腸内環境の改善を意識する人が増えていますが、スキンケアのために発酵食品をと考える人は、まだ少ないかもしれません。
お肌トラブルを抱えている人は、大抵、腸内環境に問題を抱えています。
お肌に塗るクリームで、腸内細菌のバランスが改善されることはありません。
エステや化粧品やサプリメントに何万円も投資する前に、まずは腸内環境を整えることから始めませんか?
健康的な腸内細菌の育て方
腸内から悪玉菌を減らして善玉菌を増やす方が、お肌の上に何かを塗るよりもずっと早くお肌の状態を改善させることができます。
それに、お肌の上から塗るものに効果があったとしても、一時的に症状を抑えるだけで、お肌トラブルの根本原因を解決しているわけではないことも多いです。
腸内細菌(マイクロバイオータ)はペットのようなものです。
単に、腸内に入れれば良いというものではなく、健康的な腸内環境を維持したいなら、善玉菌が好む餌を与えてあげなくてはいけません。
健康的な腸内環境の維持にとって重要なものは、プロバイオティクスとプレバイオティクスです。
お肌トラブルにプロバイオティクス

テレビCMなどで時々耳にしますから、プロバイオティクス(プロビオティクス)という言葉を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
食べる善玉菌のことです。
ヨーグルトや乳酸菌飲料などの発酵食品や乳酸菌入りのサプリメントのことを指す言葉として用いられています。
特に、酒さ(しゅさ)、乾癬(かんせん)、湿疹など、免疫反応によって起きるお肌トラブルの改善に果たすプロバイオティクスの役割に期待が高まっています。
- 酒さ|通常は顔面の中央部に発赤と小さな吹き出物が現れ、皮膚の下の血管がはっきりと見える持続性の皮膚の病気
- 乾癬|1つまたは複数の盛り上がった赤い斑を生じる、再発を繰り返す慢性の病気。免疫系の問題が関わっている可能性がある
1. プロバイオティクス豊富な食品

プロバイオティクス豊富な食品を食べることで、腸内に好ましいメンバーを加えることができます。
発酵した食べ物、例えば、ヨーグルト、チーズ、ケフィア、キムチ、お漬物、味噌、ザワークラウトなどの中に善玉菌(プロバイオティクス)が豊富に含まれています。
ただ残念なことに、発酵食品の全てにプロバイオティクスがいるとは限りません。発酵食品の製造工程・加工工程によって、死んでしまっていることも多いのです。ヨーグルトも味噌も、発酵した後、熱処理などされてから販売されているものが多く(例えば、スーパーの常温の棚に並べられている味噌など)、そうした製品内のプロバイオティクスは死んでいます。と同時に、私達への健康効果も激減しています。
また、プロバイオティクスのサプリメントの中には、ヒトの腸内に住んでいない菌まで混在しているものもありますのでサプリメントを選ぶ際には十分な注意が必要です。
参考:『死んだ乳酸菌も腸内環境の役に立つ「だからサプリメントで十分」は本当?』
2. プロバイオティクスは定期的に
思い出した時に、たまに、プロバイオティクスが含まれている食品を口にするくらいでは、あなたの腸内環境の改善には大した役には立ちません。プロバイオティクスを日常の一部にすることが最も効果的な方法です。
科学的にはどれくらいの頻度で食べることが最適なのかはまだ判明していませんが、少なくとも1日に1品は何かしら発酵したものを食べることを意識することが大切です。
「プロバイオティクスを定期的に食べることで、
精神疾患や肥満症、糖尿病や神経変性疾患などを起こす病原菌に
腸内環境を乗っ取られることを予防することにもなります。」
と、ハーバード大学栄養学部テレサ・ファング助教授はおっしゃいます。
プレバイオティクスで育てる

プロバイオティクス豊富な食品をたくさん食べ、善玉菌を腸内にたくさん送り込んだとしても、あなたの腸内環境が彼らにとって住み心地の良い場所でなければ、彼らは棲みついてくれませんし、増えてもくれません。
例えば、白砂糖、獣肉(牛・豚・羊など)、粗悪な油が使われている食べ物は、腸内環境を有毒にし、腸内細菌同士のパワーバランスを崩し、結果、善玉菌にとっては居心地の悪い場所を造ります。
プレバイオティクスとは、善玉菌が好む食品や食品成分のことです。腸内環境を善玉菌にとって快適にする食べものです。大腸内のpH(酸・アルカリ)バランスを病原菌が住みにくい環境にしてくれると考えられています。
代表的なプレバイオティクスは、オリゴ糖と食物繊維です。豆類、全粒穀類、ネギ類、根菜類、ベリー類に多く含まれています。
プロビオティクスは肌に塗っても効果はあるのか

お肌の上に住んでいる共生細菌(マイクロバイオータ)と腸内に住んでいる共生細菌(マイクロバイオータ)の顔ぶれは全く違います。
そのため、食べる善玉菌(プロビオティクス)をお肌に塗っても問題はないと思いますが、効果があるかは大いに疑問です。
お肌の上に住んでいる皮膚の善玉菌を塗る方が、腸内の善玉菌を塗るよりも良いとは思いますが、これもまた、現在、世の中で販売されている「乳酸菌入り化粧水」がどれだけお肌の共生細菌(マイクロバイオータ)に特化したものなのか大いに疑問です。
もしあなたのお肌トラブルの原因が腸内環境なら、善玉菌は食べた方が効果的です。
例えば、火事で燃えている家に、外側から水をかけることは無駄ではありませんが、家の中にホースを伸ばして燃えている炎に直接水をかける方が、ずっと効果的に短時間で鎮火できるのと同じです。
なぜ皮膚科医はプロバイオティクスを処方しないのか
お肌トラブルが腸内の善玉菌と悪玉菌のバランスの崩れで起きているのなら、皮膚科医は、なぜ、プロバイオティクスではなく、ステロイドクリームやイソトレチノインなどの医薬品を処方するのでしょうか。
イソトレチノイン(商品名:ロアキュタン)|ビタミンA誘導体を含む内服薬。皮脂の過剰な産生を軽減させ、毛穴のつまりを防ぎ炎症を抑える作用を持つ、重症ニキビの薬。
と、考えていたら、私の自宅近くにある個人病院の皮膚科の先生は、腸内環境の改善とプロバイオティクスの処方をされていました(笑)良心的で最先端の情報を実践されている先生もいらっしゃるということですね。
患者側が正しい知識を得て、医者を選べばよいということですね。
特殊なお肌トラブル専門レスキュー隊員

上でお伝えしてきたように、プロバイオティクス豊富な食品を食べることで、悪玉菌を退治し、腸内環境を改善することで多くのお肌トラブルは改善します。
でも、特定の疾患には、特定の菌株しか効きかないことも判っています。
どの菌株でも良いわけではないのです。それどころかあなたの腸内や免疫システムと親和性のないプロバイオティクスを取り込むと、自ら、自己免疫疾患の火種を撒くことにもなりかねません。
ここから先は、リーキーガットなどによる特殊で慢性的なお肌トラブルにも効果があることが示された特殊な乳酸菌の菌株についてお伝えします。
それぞれの菌株に特化したサプリメントは、入手可能です。お医者様にご相談の上、ご活用ください。
なお、裏付けとなる研究論文を最後に参考文献として一覧にしています。



1. 乳酸菌(ラクトバチルス)プランタルム
プランタルムは、その名前の通り、植物性の発酵食品に多く棲んでいる乳酸菌です。次の働きをしてくれていることが判っています。
- お肌の保湿
- 紫外線からお肌を保護
- 病原菌を殺す天然の抗生物質の産生
- 重要な抗酸化活動
特に、乳酸菌プランタルムHY7714株が、腸の透過性に関連している物質を減少させることが報告されています。
- 血漿中のマトリックスメタロペプチダーゼ(MMP-2およびMMP-9)|タンパク分解酵素
- ゾヌリン|細胞から分泌されるコレラ菌に由来するヒトタンパク質。消化管壁の細胞間の結束を弱め穴をあける(リーキーガットを起こす)ことが知られている
- カルプロテクチン|好中球(免疫細胞)の細胞質成分の60%を占める成分で、腸管粘膜で炎症が生じると放出される
その結果、炎症が大幅に改善し、乳酸菌プランタルムHY7714株には、腸壁バリアの完全性を回復させる効果があることが明らかにされています。

2. 乳酸菌(ラクトバチルス)ロイテリ
強い抗炎症性作用を示す株です。
TNFや特定のインターロイキンなどのサイトカイン(炎症性物質)を抑制し、酒さやニキビによる症状を改善させることが報告されています。
3. 乳酸菌(ラクトバチルス)ラムノサス
大人ニキビはホルモンバランスの乱れによって起こることはよく知られていますが、インスリン経路に問題があっても起こります。
乳酸菌ラムノサスは、遺伝子のスイッチを切り替えることで、このインスリン経路を改善することでお肌トラブルを改善すると考えられています。
乳酸菌ラムノサスは、幅広く健康に関与しているため、多くのプロバイオティクス系サプリメントに使用されています。その他の乳酸菌と同様に、乳酸菌ラムノサスも消化管粘膜の強化を助けます。
専門レスキュー部隊の副作用

上記したプロバイオティクスのサプリメントによって、ほとんどの人のお肌トラブルは改善され、便通、ガス、胃痛、胸やけまで改善したと報告する人も多いです。
しかし、当然、極わずかな人に下痢など不快な症状が起きます。わたし達は一人ひとり異なるので反応もそれぞれです。
特に、腸内細菌が長年に渡ってバランス失調し、既にリーキーガットが起こっている場合には、腸内の悪玉菌と善玉菌のバランスを調整するというよりも腸内の悪玉菌を追い出し善玉菌に総入れ替えするくらいのことになるので、下痢が起こることがあります。
腸内細菌の入れ替えは一晩ではできません。時間と忍耐が必要です。1~2週間続くこともあります。不快かもしれませんが、重篤になることは稀ですから水分補給をしっかりしながら体の自然治癒力に任せてみましょう。
とは言え、2週間以上も下痢が続いたり、腹部に痛みを覚えるようなら、躊躇せずに医師の診断を受けてください。
ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス

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参考文献
- “Regulatory effects of Lactobacillus plantarum HY7714 on skin health by improving intestinal condition”, Bora Nam, Soo A. Kim, Soo Dong Park, Hyeon Ji Kim, Ji Soo Kim, Chu Hyun Bae, Joo Yun Kim, Woo Nam, Jung Lyoul Lee, Jae Hun SimPLOS x, Published: April 10, 2020https://doi.org/10.1371/journal.pone.0231268
- “Lactobacillus reuteri maintains intestinal epithelial regeneration and repairs damaged intestinal mucosa”, Haiqin Wu, Shuang Xie, Jinfeng Miao, Yuchen Li, Zhihua Wang, Minjuan Wang, Qinghua Yu, 2020 Jul 3;11(4):997-1014. doi: 10.1080/19490976.2020.1734423, PMID: 32138622, PMCID: PMC7524370, Epub 2020 Mar 5
- “Nourish the healthy bacteria in your digestive tract with a mix of probiotics and prebiotics”, Harvard Women’s Health Watch, April, 2021
ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング