
バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。
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目次
サクランボには大きく2種類ある
サクランボはとっても身近なフルーツですが、実は、ものすごい作用を持っているんですよ。
丁度、今が旬(6月~7月)のサクランボについてお伝えします。
サクランボは大きく分けて2種類あります。スイートチェリーとサワーチェリーです。
その名前の通り、甘いサクランボと酸っぱいサクランボに分けられます。
スイートチェリー

とても甘いので、そのまま生で食べられるサクランボです。
日本で有名なのは佐藤錦とかアメリカンチェリーでしょうか。(アメリカンチェリーは品種名ではなく米国から輸入されたサクランボを意味しています。)
サワーチェリー

本当は、タルトチェリーと言うのですが、とても酸っぱいので、サワーチェリーとも呼ばれます。
酸っぱいので生で食べるよりも、ジュースにしたり、パイやタルトやケーキに使われます。パイチェリーとも呼ばれます。北米、特に米国ミシガン州でほとんどが栽培されていて、日本ではほぼ栽培されていません。
そのため、生のタルトチェリーを日本で手に入れることは難しいのですが、缶詰やジュースや冷凍の形式で購入できるようですよ。製菓材料の専門店などにあるようです。
今回の記事の主役は、酸っぱいタルトチェリーです。
(裏付けとなる研究論文は、最後に参考文献一覧として掲載しています。)
タルトチェリーの主な抗酸化成分

タルトチェリーには次の2つの抗酸化成分が多く含まれています。
- メラトニン
- アントシアニン
メラトニンってご存知ですか?
メラトニンは、抗酸化物資である前に、神経伝達物質(脳内ホルモン)のひとつなんです。
睡眠をコントロールするホルモン
メラトニンは、私達の睡眠をコントロールして、脳が体内時計(概日リズム)を正しく管理するのを助けています。室内をちゃんと暗くして眠ると夜間に松果体(しょうかたい)から分泌されます。夕方以降、特に、夜中に明るいところにいたり、寝る前にスマホやPCの青色ダイオードの光を浴びていると、ちゃんと分泌されなくなり、体内時計が狂って自律神経が失調してします。(参考:『不眠の7つの危険性』)
私達の体内時計の管理に関わっているホルモンがもうひとつあります。
『幸福ホルモン』と呼ばれているセロトニンです。セロトニンは朝の光を浴びることで分泌され、私達の目覚めと関係しています。朝、太陽の光をちゃんと浴びないと、やはり、体内時計が狂ってしまい、自律神経が失調してしまいます。それだけではなく、セロトニンは幸福ホルモンなので、不足すると、うつの様な症状が現れ始めてしまいます。
- 睡眠をコントロールするのがメラトニン
- 覚醒をコントロールするのがセロトニン
セロトニンとメラトニンは、“目覚め”と“眠り”、“昼”と“夜”、“陽”と“陰”の関係にあります。
その他のメラトニンの働き
概日リズムのコントロールとは別に、メラトニンには次の働きがあることが既に判明しています。
- 抗酸化作用(動脈硬化予防、心疾患予防)
- アンチエイジング作用(老化予防作用)
- 免疫調節作用
- 肝機能改善(アセトアミノフェン等の肝毒の解毒)
- 抗がん作用(アポトーシス、抗血管新生作用、腫瘍抑制作用、抗増殖作用など)
更に、メラトニンは、睡眠中に脳が、脳に溜まった老廃物を排出する働きを助けることも判ってきました。神経組織の保守に一役かっているのです。そのため、アルツハイマー病やパーキンソン病などの予防や改善の効果が期待されています。(参考:『アルツハイマー病・認知症(3)予防と改善の食事(つづき)』)
抗酸化作用については、脳の松果体だけでなく、私達の細胞の中にいるミトコンドリアもメラトニンを産生している可能性があり、近年その証拠となるデータの蓄積が進んでいます。
また既に、メラトニンを用いた創薬研究が進められているとのことです。現在、臨床試験のフェーズIIとIII にあり、1日20mgのメラトニンを夜9時以降に被験者に投与しているとのことです。
メラトニンは食べ物からも取り入れられる

セロトニンは、食べ物から摂取しても体内に吸収されません。例えば、キウイフルーツにはたくさんのセロトニンが含まれていますが、キウイフルーツをいくら食べても、体内のセロトニンの量は増えません。私達は、セロトニンの材料となる食べ物を食べて、セロトニンを体内で造る必要があります。(参考:『セロトニンを造るアミノ酸 – トリプトファン』)
一方、メラトニンは、セロトニンを材料にして体内で造られる他、食べ物から直接摂取してもちゃんと体内に吸収されることが、最近の研究で明らかにされています。
メラトニンの多い食品
タルトチェリーには、スイートチェリーに比べて50倍ものメラトニンが含まれており、タルトチェリー1g中には、13.5ng(ナノグラム)のメラトニンが含まれています。
1日に必要となる最小限量のメラトニンは、サクランボジュース大さじ2杯でとれるとのことです。
なお、ドライチェリーには、メラトニンは含まれていないそうです。
タルトチェリーの効果

アスリートの運動能力の回復促進
タルトチェリージュースが、運動後の痛みを軽減し、筋力の回復を促進し、血中の炎症/酸化ストレス・マーカーを減少させたことが報告されています。これらの作用は、筋力運動と持久系の運動の両方で観察されています。
日常のトレーニング段階でタルトチェリージュースを飲むことは、運動効果を高めるために適切でない場合もありますが(参考:『翻訳シリーズ|野菜と果物はあなたを殺そうとしている』)、激しい競技会の後、あるいは、試合が連日となるような場合など、素早い筋力の回復が求められる場面においてタルトチェリージュースに効果が期待できると研究者は述べています。
研究によって使用された量やタイミングが若干異なるものの、多くの研究が、濃縮還元ジュースを1回250~350ml(濃縮ジュースの場合は30ml)を1日2回、試合の4~5日前から飲み始め、回復を早めるために試合後2~3日飲み続けることを勧めています。
関節痛・筋肉痛の改善
タルトチェリージュースに含まれるファイトニュートリエント(植物性栄養素)の抗炎症作用が、アスピリンやイブプロフェンと同様の鎮痛効果を持つことも判り、筋肉痛の緩和に効果があることが報告されています。(参考:『運動によるダウンタイムを短縮して筋肉痛を緩和する食事法とケア』)
また、500mlのタルトチェリージュースを6週間毎日飲み続けた場合、マイルドな膝関節炎の症状が緩和されたと報告されています。
動脈硬化・高血圧改善し心疾患予防

タルトチェリージュースの抗炎症作用と抗酸化作用によって、心血管疾患とアテローム性動脈硬化症の発症が改善されるという報告があります。
37名の高齢者(65歳~80歳)にタルトチェリージュースを毎日480ml 12週間飲み続けてもらったところ、対象グループと比較し次のことが観察されました。
- 上の血圧(収縮期血圧)と悪玉コレステロール(LDLコレステロール)値が有意に低下
- 血中の8-オキソグアニングリコシラーゼがDNA修復を活性化
- C反応性タンパク質、マロンジアルデヒドが有意に減少
研究者はタルトチェリージュースには心疾患予防効果が期待でき、今後は、大規模な調査が必要だと述べています。
- 8-オキソグアニングリコシラーゼ|活性酸素によって損傷したDNAの部位を修復する酵素
- C反応性タンパク質|体内で炎症反応や組織の破壊が起きているときに血中に現れる
- マロンジアルデヒド|脂質過酸化分解生成物の一つ。脂質過酸化の主要マーカー
睡眠の質の改善

20人のボランティア被験者が次の2つのグループに分けられ、48時間尿サンプルを収集しメラトニン代謝物の量を測定しています。
- 7日間、濃縮タルトチェリージュースを飲む
- 7日間、疑似ジュースを飲む
タルトチェリージュースを飲んだグループで
- 尿中総メラトニン量
- 寝床にいた時間
- 総睡眠時間
- 総睡眠効果(アンケートによる回答ベース)
が有意に上昇したことが報告されています。
またメラトニンの概日リズムには影響がなかったとのことです。
このことにより研究者は、タルトチェリージュースが健康な男女ともの睡眠の質を高め、また、睡眠障害を改善できる可能性に期待できると述べています。
また、加齢による不眠に悩まされる人が多いことから、お年寄りの半分には本物のタルトチェリージュースを、もう半分にはチェリー味の甘味料ジュースを飲んでもらったところ、本物のタルトチェリージュースを飲んだグループは、若干、眠りに落ちる時間が短縮され、夜中に起きる頻度が少なくなったそうです。
血中のメラトニン値を測ったところ、本物のジュースを飲んだ人の血中メラトニン値に上昇がみられたものの、チェリー味のジュースを飲んだ人のメラトニン値に変化はなかったそうです。これは、ジュースではなく、タルトチェリーをそのまま食べた場合にも、同様に、血中メラトニン値の上昇と睡眠の改善がみられとのことです。
連続した夜勤はメラトニン量を減らしてしまう
500日(2年弱)連続で夜勤を行った看護師を追跡調査した研究では、夜勤によって次の傾向が見られたとのことです。
- メラトニン量が激減
- 乳がんリスクが13%上昇
がん予防

タルトチェリーに含まれているアントシアニンとシアニジンがシクロオキシゲナーゼ酵素を阻害することは以前から判っており、そのことで細胞の炎症が抑制されます。
シクロオキシゲナーゼ|炎症反応の誘導において重要な役割を果たす機能分子。発熱や痛みを起こす生理活性脂質プロスタグランジンの合成に関与する酵素
マウスを用いた動物実験ですが、
- 通常食
- タルトチェリー
- アントシアニン
- シアニジン
- スリンタグ
のいずれかを食べさせたマウスの腸の腫瘍の発生を比較しています。
スリンダク|非ステロイド性抗炎症薬に属する抗炎症薬。プロスタグランジンの合成を阻害して抗炎症作用を示す。
通常食とスリンタグを摂取したマウスと比較し、タルトチェリー、アントシアニン、シアニジンを摂取したマウスは、盲腸腺腫が有意に少なく、小さかったことが報告されています。
また、ヒト結腸癌細胞株HT29とHCT116を用いた試験管試験では、アントシアニン、シアニジンが細胞増殖を抑制したことが観察されています。
研究者は、タルトチェリーが大腸がんを予防する可能性があると述べています。
また、ヒト乳がん細胞MCF-7を用いた試験管試験では、濃縮タルトチェリージュースが細胞死に効果を示したものの、増殖を抑制する効果は示されなかったことが報告されています。
更に、細胞死において、タルトチェリージュースが起こしたのは、アポトーシスであり、ネクローシスではなかったとのことです。
細胞死は、大きく分けてアポトーシスとネクローシスに分けることができます。
- アポトーシス|生理現象による細胞死、自動制御された細胞死
- ネクローシス|感染や損傷等の非生理的状態による細胞死、偶発的、事故的細胞死
タルトチェリーではなくメラトニンそのものを用いた試験管試験では、ヒト乳がん細胞MDA-MB-231を81%死滅させ、腫瘍を縮小させたことが報告されています。
マウスを使った動物実験では、メラトニンを21日間与えられた乳がんのマウスは、そうでないマウスと比較し、乳がん腫瘍が59%も小さくなったとのことです。この試験で使用されたメラトニンの量はかなり大量で、体重1kgに対し40mg。タルトチェリージュースから摂ることは難しい量です。
でも、日々の生活の中にタルトチェリージュースやパイを楽しみながら加えることで予防になるのなら嬉しいですね。
ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス

タルトチェリーはジュースや冷凍品が比較的一年中手に入りやすいと思います。ただしオーガニックのもの、無添加(甘味料や着色料や香料のないもの)のジュースを選んでくださいね。
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参考文献:
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- “Melatonin and its ubiquitous anticancer effects”, Sankha Bhattacharya, Krishna Kumar Patel, Deepa Dehari, Ashish Kumar Agrawal, Sanjay Singh, Mol Cell Biochem, 2019 Dec;462(1-2):133-155, doi: 10.1007/s11010-019-03617-5, Epub 2019 Aug 26, PMID: 31451998
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ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング