【ビタミンB1】ビタミンB1が予防するのは脚気だけじゃない|ビタミンB1の機能と多く含む食品

2019/07/01/

バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。

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ビタミンB1の食事摂取基準(2020)

成人の一日の摂取基準です。

  • 男性 必要量:1.0~1.2mg、推奨量:1.2~1.4mg
  • 女性 必要量:0.8~0.9mg、推奨量:0.9~1.1mg

上限値は定められていません。

耐容上限量を算定できるデータが現在十分把握できないため、厚生労働省は、耐用上限値を定めないとしています。

ビタミンB1の性質

ビタミンB1は、「チアミン」、または「アノイリン」とも呼ばれる水溶性のビタミンです。

体内では、次の様なリン酸化された状態で存在しています。

  • チアミン一リン酸(TMP)
  • チアミン二リン酸(TPP、チアミンピロリン酸)
  • チアミン三リン酸(TTP)

ビタミンB1の機能

エネルギー代謝の補酵素

ビタミンB1は、食べ物からクエン酸回路を通してエネルギーを作ることに関与している代謝酵素と結合し、エネルギー代謝の(カロリーを燃やしてエネルギーを作る)働きを助ける役割を担っています。

そのため、ビタミンB1が不足すると、疲れやすくなります。

中枢神経や末梢神経の保護

ビタミンB1は、神経細胞内でエネルギーを供給しています。

特に、脳のリラックスに欠かせない神経伝達物質GABAの合成に必要な窒素を提供する酵素の働きを助けています。

そのため、ビタミンB1が不足すると、次のような神経伝達が正しく行われていない症状が現れるようになります。

  • イライラ
  • 情緒不安

ビタミンB1の不足と欠乏症

ビタミンB1欠乏症の初期には、代謝回路の重要な反応を触媒する酵素トランスケトラーゼの減少が始まります。

ビタミンB1に依存している他の酵素と異なり、トランスケトラーゼは赤血球に存在しています。そのため、赤血球でのトランスケトラーゼの活性度合を調べると、ビタミンB1の過不足が評価できます

ビタミンB1が不足あるいは欠乏すると脚気(かっけ)が起こります。

脚気の症状には次の様なものが含まれます。

  • 疲労感
  • 息切れ
  • 動悸
  • むくみ
  • 食欲不振
  • 手足のしびれなど

そのため、脚気だと気付かれないことも多いようです。脚気は、軽症であれば生命に関わることはありません。

ビタミンB1の不足や欠乏は、心血管系、神経系、筋肉系、消化器系、中枢抹消神経系にも影響を与えます。

影響を受けた臓器によって、脚気の症状は、次のようなものに分かれます。

  1. 乾性脚気
  2. 湿性脚気
  3. 脳性脚気
  4. 胃腸の脚気

1. 乾性脚気

神経障害を伴う麻痺性または神経性の脚気です。初期には「灼熱足症候群」が起こることがあります。

主な症状には、次のようなものがあります。

  • 反射の異常
  • 感覚の衰え
  • 足や腕の脱力感
  • 筋肉痛
  • しゃがんだ状態から立ち上がることが困難

など

2. 湿性脚気

心臓血管系(循環器系)に起こる脚気です。

症状には次のようなものがあり、重症になると、うっ血性心不全を起こすこともあります。

  • 頻脈
  • 心臓肥大
  • ひどいムクミ
  • 呼吸困難

3. 脳性脚気

主に、アルコール依存症の人に多く発症する中枢神経系に起こる脚気です。胃の不調による栄養失調でも起こることが観察されています。

主な症状には、次のようなものがあり、重篤になると、ウェルニッケ脳症やコルサコフ精神病が起こります。

  • 記憶障害
  • 歩行障害
  • けいれん発作

など

4. 胃腸の脚気

代謝機能の不全による乳酸の蓄積から起こる乳酸アシドーシス(体内が酸性に傾き過ぎてしまう状態)によって起こる脚気です。

主な症状は次の通りです。

  • 吐き気
  • 嘔吐
  • 重い腹痛

など

次の状況などで、ビタミンB1の消費量(必要量)が多くなった際、摂取量が追い付かないと不足が起こります。

  • 激しい身体運動
  • 発熱
  • 成長期
  • 妊娠/授乳

また、次のような傾向のある人は、ビタミンB1を不足あるいは欠乏しやすいと言えます。

単純な炭水化物は、白米、白い小麦、白砂糖など、精白された炭水化物のことです。

白く単純な炭水化物には、ビタミンB1が少ないため、こうした炭水化物を中心的に食べている人では、ビタミンB1不足/欠乏が起こりやすくなります。

コーヒー/紅茶

コーヒーや紅茶などカフェインを含む食品は、抗チアミン因子(ATF)と呼ばれる、ビタミンB1を不活性化してしまう成分を含んでいます。

カフェインレス(ディカフェ)のコーヒーにも含まれています。

淡水の生魚や生の貝類、生の甲殻類には、ビタミンB1を分解してしまうチアミナーゼ(ビタミンB1分解酵素)が含まれています

そのため、こうした食品を生食することが多い人は、ビタミンB1が不足することがあります。

なお、チアミナーゼは加熱することで不活化するため、加熱した魚・貝・甲殻類は大丈夫です。

重症な飢餓状態にあった人に炭水化物を与えると、ビタミンB1欠乏状態になります。

そのため、ファスティングなどを行った後の回復食には、必ずビタミンB1を多く含む食事が不可欠です。

アルコールは、食事以外で、ビタミンB1欠乏症が起こる主な原因のひとつです。

高齢者は、食の偏りや胃腸での吸収の減少や基礎疾患などからの影響で、無症状性のビタミンB1欠乏に陥っていることが多いと考えられています。

ビタミンB1が欠乏している母親の母乳で育った乳児は、乳児脚気を発症しやすいことが報告されています。

利尿剤の長期服用によって、不足あるいは欠乏が起こることが指摘されています。

利尿剤(フロセミド)は、腎臓でのビタミンB1の再取り込みを妨げます。結果、ビタミンB1が尿に多く流出してしまうため、長期間利尿剤を使用している場合は注意が必要です。

また、透析を必要とする腎不全の人は、高い確率でビタミンB1の喪失量が増加するため、欠乏症になりやすいことも明らかにされています。

その他には、次の要因によってもビタミンB1不足あるいは欠乏が起こることが報告されています。

  • 食欲不振
  • 肥満外科手術(減量手術)
  • 胃腸の悪性腫瘍
  • 吸収不全症候群
  • など

病気との関係

ビタミンB1欠乏は、次の現象と関係していると考えられています。

  • ミトコンドリア機能障害
  • 慢性的酸化ストレス
  • アミロイドβタンパク質の増加
  • アルツハイマー病の進行
  • その他の障害

白内障との関係

ビタミンB1と白内障の発症との因果関係は不明ですが、ビタミンB1を多く食べている人ほど次の特徴があることが報告されています。

  • 核性白内障になりにくい
  • 水晶体の混濁が少ない

糖尿病との関係

健康な人と比べて、I型糖尿病とII型糖尿病の両方で血中のビタミンB1の濃度が低く、ビタミンB1欠乏症を起こすリスクが高いことが明らかにされています。

高血糖が続くとビタミンB1輸送体が減少し、腎臓におけるビタミンB1の再取り込みが減少する可能性が示唆されています。その結果、ビタミンB1の不足が起こる可能性があります。

また、ビタミンB1が不足すると、すい臓でのインスリン分泌機能が低下し、血糖値が改善しにくくなることも報告されています。

ビタミンB1の不足や欠乏を改善することで、心疾患合併症リスクを低下できる可能性が示唆されています。

なお、チアミン(ビタミンB1)反応性巨赤芽球性貧血症候群の人は、ビタミンB1が欠乏すると糖尿病を発症します。

アルツハイマー病との関係

アルツハイマー病の人の脳内では、次の現象が観察されています。

  1. ビタミンB1に依存している機能の低下
  2. ブドウ糖代謝の低下

また、健常者と比較して、アルツハイマー病の人の血液中では、次の成分の濃度が低いことが報告されています。

  • ビタミンB1
  • チアミン二リン酸(TPP)
  • チアミン一リン酸(TMP)

なお、ビタミンB1誘導体を大量に(1日あたり約100mg)投与すると、アルツハイマー型認知症の症状が軽くなるという報告があります。

高尿酸血症は、血液中の尿酸濃度が高いことを意味します。

痛風や尿路結石、腎障害の原因となるほか、肥満や高血圧、脂質異常症、高血糖を合併することが多く、脳卒中や心臓病などになりやすくなります。

2017~2020年の米国民健康・栄養調査(NHANES)に参加した成人5,750名のデータを用いて、食事からのビタミンB1摂取と高尿酸血症との関係を分析した結果、次のことが報告されています。

  • 男性・・・ビタミンB1摂取量が多いほど、高尿酸血症のリスクが有意に低下
  • 女性・・・両者の間に有意な関連性は認められなかった

ビタミンB1を食事から摂取する量が最も多かった男性のグループでは、最も少なかったグループと比較して、高尿酸血症を45%も予防できる可能性が示されています。

がんとの関係

急成長する腫瘍のあるがん患者では、ビタミンB1が欠乏することがよくあります。がん細胞の成長にビタミンB1が大量に消費されてしまうためです。

そのため、がん患者へのビタミンB1の補給は、ビタミンB1欠乏症を防ぐために一般的に行われている治療であり必要なことですが、過剰なビタミンB1の補給は、がんの成長を促してしまう可能性があるため、慎重に行う必要があることが指摘されています。(実際のエビデンスはない)

ビタミンB1を多く含む食品

動物性の食品では、笑っちゃうくらい、豚肉の独壇場ですね。

この次に、惜しくもトップ10入りを逃したのが、いくらとすじこです。

豚肉以外では、魚卵に多いという印象ですが、100g中に一日の必要量の10%以上を含んでいる場合、その栄養素を豊富に含んでいると言って良いというFDA(米国食品医薬品局)の定義に従ってみてみると、トップ10には入りませんでしたが、鶏肉や羊肉、そして牛の内臓肉にも豊富に含まれています。

植物性の食品では、シード(種)類に多く含まれている印象ですが、ナッツ類にも豊富に含まれています。豆類は、大豆以外では、ひよこ豆、あずき、レンズ豆などにも豊富に含まれています。

上の表からは、お野菜に少ない印象を受けるかもしれませんが、FDAの定義に則れば、次のお野菜にも豊富に含まれています。

  • アスパラガス
  • ほうれん草
  • たらのめ
  • 芽キャベツ
  • モロヘイヤ
  • にんにく
  • とうもろこし

など

過剰摂取による副作用

次の量のビタミンB1を1日で摂取した際、毒性を示唆する様々な症状が報告されています。

  • 1日に体重1kgあたり50 mg以上 または
  • 1日3,000 mg以上

食事によって一日に3,000mg以上のビタミンB1を食べることは非現実的です。しかし、サプリメントで摂取する場合にはその限りではありません。

ビタミンB1をサプリメントで摂っている人は、ビタミンB群が水溶性だからと言って甘くみてはいけません。

1日10 g のビタミンB1のサプリメント錠(チアミン塩酸塩)を2週間半飲み続けると、次の症状が発生したことが報告されています。

  • 頭痛
  • いらだち
  • 不眠
  • 速脈
  • 脆弱化
  • 接触皮膚炎
  • かゆみ

摂取を中止すると2日後に症状が消えたとのことです。

厚生労働省が上限値を定めていないのは、厳密な量を科学的に確定できないからであって、決して安全だからではありません。

ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス

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参考文献

ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング